問題児たちと黒い義肢を持つ転生者が異世界からが来るようですよ?   作:夜空 太陽

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とりあえず、転生前の話を投稿します。




雪降る日の悲しい記憶

俺には、恋人がいた。

 

桜木 花音、目の前で両親を殺され人間不信になった俺を救ってくれた大切な人だ。

 

俺は高校一年の夏、花音に告白した。

 

告白の台詞は聞かないでくれ恥ずかしいからな。

 

まあ、遅いって泣きながら怒られたんだけど。

 

その後は、バイトをして孤児院を支えながらそれなりに楽しい生活を過ごしてきたんだ。

 

でも、そんな楽しい日々はある日突然瓦解した。

 

 

 

 

 

あれは、バイトが遅くなり帰ったら遊んでやると約束していた俺は孤児院の子供たちのご機嫌取りにケーキを買っていこうとケーキ屋で少し悩んでいつもより一時間くらい帰るのが遅くなった日だ。

 

俺のいた孤児院は子供が四人ほどだったので職員の人の分を合わせても2ホールあれば十分だった。

 

前に買ったちょっと高めのコーヒーでも飲むかな。

 

おかしい。

 

俺が孤児院の前に着くといつも聞こえてくる騒がしい子供の声が聞こえてこないので不思議に思い中に入ると見えたのはガムテープで口と腕を塞がれている子供たちと一人だけ腕をロープで縛られ吊るされている花音と横に立っている俺がよく知っている男だった。

 

横に立っていたのは俺の両親を殺した男だ。

 

「やあ、久しぶりだね黒夜君」

 

「ああ、そうだな楠さん。なぜあんたがここに居るんだ?そして何をしている?」

 

「ああ、そうだここに来たのは君に絶望をあたえるためだよ」

 

「絶望?」

 

「そう!君に絶望をプレゼントしに来たんだ!例えばこう!」

 

楠は全く抵抗のできない花音の腕を包丁で切りつけた。

 

「んんっ!」

 

花音の腕が血で染まった。

 

その瞬間、俺は楠に向けて走り出した。

 

しかし、呆然と立ち尽くした状態からのスタートダッシュはスピードが乗らず楠の元に着くまでには三秒ほどかかってしまった。

 

その、数秒の間に楠は包丁を俺の心臓めがけて突き出してきた。

 

しかし、俺はギリギリのところでよけたが左肩に包丁が突き刺さった。

 

そんなことはかまわねぇ!

 

俺は怒りで痛みを無理矢理押させつけ刺された勢いを利用し刺された左肩を中心に遠心力で威力を増したパンチを楠の顔面にぶちこんだ!

 

やっていたバイトが運送物を店の倉庫に運ぶというバイトだったのである程度強い力があった。

 

ぶっ飛ばした勢いで肩に刺さっていた包丁もはずれた。

 

「ぐはっ!」

 

楠は五メートルほど飛んでいって気絶した。

 

「花音!」

 

俺は花音に駆け寄りロープをほどいて下ろした。

 

「大丈夫か!」

 

口に貼り付けられたガムテープを痛くないようにゆっくり剥がした。

 

「はい、助けに来てくれるって信じてました・・・」

 

花音の腕の傷を見ると皮膚は切れてはいたが血管までは切れていなかった。

 

「よかった、直ぐに警察を・・・」

 

ザクッ!

 

「カハッ!」

 

背中の腹部の辺りに強烈な痛みを感じ内臓が傷付いたのか血を吐いてしまった。

 

「くははぁ!油断したなぁ!ガキ!」

 

おそらく、背中を刺されたのだろう。

 

痛みに耐えられず倒れこんでしまった。

 

「黒夜!」

 

楠は花音の髪を引っ張り殴った。

 

「花音!」

 

「くははぁ!この女が傷ついてるのはテメェのせいだよ!」

 

「楠、貴様!殺す!殺してやる!」

 

「こ・・・くや」

 

「花音!」

 

「駄目じゃないですか、殺すなんて言っちゃ・・・カフッ!」

 

「うるせぇんだよ。ガキどもが目の前でイチャついてんなよぉ!」

 

楠が花音の腹に包丁を突き立てた。

 

「貴様ァ!」

 

「くははぁ!ざまぁみろ!ここのガキどもが怯えてるのも、この女が傷ついてるのも全部全部テメェのせいなんだよ!」

 

「殺す!殺してやる!貴様だけは絶対に許さねぇ!」

 

俺はバイトの荷物開封用のカッターをポケットから出し刃を出した。

 

「っは!ガキがーーー!」

 

「死ねぇ!楠!」

 

俺はカッターを楠の腹に突き立てた。

 

楠は痛みで倒れこんだ。

 

俺は腹部から血を出している花音に近づき抱き寄せる。

 

「花音!おい!花音!」

 

「駄目...じゃないですか...人を殺しちゃ。」

 

「何言ってんだよ!お前!殺されかけたんだぞ!」

 

俺は殺されたとは言わなかった。

 

現実から目を背けるために。

 

「分かってますよ。だけど黒夜ともっと一緒にいたかったなぁ」

 

「な...何言ってんだよ!もっと一緒に居ようぜ!」

 

「駄目だよ。私はもう死んじゃいますから」

 

花音は自分の腹をそっと見るとそう言った。

 

「そんなことねぇよ!もっと一緒に居ようぜ!それで、俺が就職したら孤児院を出て結婚して、一緒に暮らして、それで、それで!「ねぇ、黒夜」

 

俺が感情のままに叫んでいると花音が諭すように俺の名前呼んだ。

 

「な・・・なんだよ」

 

「私ね、黒夜と居れて嬉しかった」

 

「は?何言ってんだよ。

これからも一緒に居るんだろ?」

 

「ううん、私は一緒に居られないよ。

だって・・・死んじゃいますから。」

 

なんで・・・なんでこんな状況でお前は笑ってんだよ!

 

「黒夜、貴方に出会ってからの六年間楽しかったよ。

喧嘩した時も、初めて手を繋いだときも、とっても楽しかったよ」

 

花音は微笑みを消さない。

 

「もっと一緒に楽しいことしようぜ!

もっと、思い出を作ろうぜ!

もっと!もっと・・・」

 

「黒夜、ありがとう楽しい日々をくれて。

私、私ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー死にたくないなぁ」

 

瞬間、一筋の涙が花音の頬を伝った。

 

そして花音の笑顔が少しだけ歪んだ。

 

なんで、なんで!今頃そんなこと言うんだよ!

 

「でもね、もう時間がないみたい。

もし・・・もしも、同じ世界に二人とも生まれ変われたら。探しだしてくれますか?」

 

「ああ、絶対に見つける!」

 

「ありがとう...約束ですよ。絶対に見つけてくださいね?...見つけてくれなかったらオシオキです」

 

「ははっ...そりゃ怖いな」

 

俺の声は悲しみや絶望が入り交じり訳の分からない感情に引き吊られメチャクチャになる。

 

「さよなら」

 

花音は目をゆっくり閉じた。

 

その閉じた目からゆっくりと一粒だけ涙が流れた。

 

「か・・・のん?おい!起きろよ!目を開けてくれよ!花音!」

 

花音の体が冷たくなり俺の体温を奪う。

 

命の暖かさを奪う冷たさだ。

 

この感覚は一度味わったことがある。

 

両親が死んだとき俺が嘘だと両親に触れたときだ。

 

俺の両目から涙が溢れだした。

 

俺はもう目を開けない花音を抱き締めながら泣いた。

 

「もう・・・俺を一人にしないでくれよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は無限に等しい涙を流しながら力尽き倒れ・・・そして、死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、寒い雪の降る夜の悲しい記憶。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめん、守れなくて。

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