朝の陽差しがオフィスのガラスを淡く照らすころ、真田ウェルネスのウェブサイトに短い文言が掲載された。
「このたびは当社の専務の不祥事により、多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。社内で事実関係の究明と再発防止策の実施を進めてまいります。代表取締役社長 真田梨央」
広報・法務の合同会見が午後に予定されており、社内は戦々恐々としていた。広報担当者は電話対応に追われ、法務は記者の質問に備えて資料を突き合わせる。現場のモニターには既にSNSやそこから派生したワイドショーの映像が流れている。視聴者のコメントや転載が矢継ぎ早に飛び交う。批判、懸念、失望、罵声――渦は大きかった。
テレビのニュースを偶然見ていた刑事・宮崎大輝は、画面の中の梨央を見つめながら眉を寄せる。彼は真田家が抱える問題が、優と梨央本人にどれほどの重圧をかけるかを思い、胸の奥が痛んだ。
「……あいつら、大丈夫かよ」大輝は呟く。手元の無線に短く状況報告を入れた後、顔色を曇らせる。
優は朝、ゼロの助言に従って学校を休むことにした。ゼロの声が耳に届く。
『今日の状況は不安定だ。君は無理に出る必要はない。だが、心配なら、香坂に信頼できる仲間を頼んだらどうだ?』
優はベッドでしばらく天井を見つめていた。そこへチャイムが鳴る。玄関先に立っていたのは香坂美咲と、彼女が連れてきたクラスメイト数名だった。数日前、香坂が呼びかけてくれた「高校生らしいことをしよう」計画が、思いがけず優の心を支えていた。
「みんな、この前のこと、聞いたんだ。噂とか、いろいろあるみたいだけど……私たちは優のこと、信じてるよ」香坂は真摯な眼差しで言った。
クラスメイトたちも、気まずそうにしながら口々に励ましの言葉をかける。優はその純粋さに胸が熱くなり、ぎこちなくも嬉しげに笑った。
「ありがとう、みんな。今日は……ちょっとだけ外に出てみるよ。学校に行くかどうかは、あとで決める」
香坂たちはそれを聞くと元気よく「よかった!」と笑い、優を励ました。彼らが帰ると、優は一度深く息を吸い、窓の外に目をやる。胸の奥はまだ揺れているが、仲間の存在が彼の背中を押した。
銀河の彼方、暗黒の空間。黒い結晶とギガバトルナイザーの力がとどろく中、空間そのものが歪んだ。闇の圧力が高まり、ねじれた光が収束した瞬間——業火のような赤い光が引き裂かれ、姿が現れた。
ウルトラマンベリアル。かつて敗れたはずの邪悪の化身が、黒い結晶とギガバトルナイザーの保管・再結合によってその肉体を徐々に取り戻していた。彼の復活は単なる再生ではない。闇と破壊を統べる「帝国」の復興を意味していた。
周囲には影のように五つの姿が揃う。ダークネスファイブ——メフィラス星人の「スライ」、ヒッポリト星人の「ジャタール」、テンペラー星人の「ヴィラニアス」、グローザ星系人の「グロッケン」、デスレ星雲人の「デスローグ」。彼らは怪獣墓場で既に働き、ギガバトルナイザーの復活に貢献していた。
ベリアルは低い声で宣言する。
「諸君、聞け。かつて我が名は恐怖の象徴だった。しかし今や、我が軍は整い、神器は復たたられた。地球——いや、全宇宙を我が銀河帝国に屈服させるのだ。まずはあの小さき次元(ゼロが守る地球)を滅ぼし、そして別世界にある“光の国”をも焼き尽くす。復讐は完遂されねばならぬ!」
ダークネスファイブの者たちは餓えた獣のように笑った。ベリアルはさらに言葉をつけ加える。
「我が命令は明白だ。ストルム星人、そなたは地上に赴き、如月を導け。共にゼロを葬れ。そして我が帝国の力を地に示せ」
黒い光の中で、ストルム星人・伏井出ケイの姿が立ち上がる。その眼には復活の歓喜と、かすかな戦意が宿っていた。
ベリアルは冷酷に笑う。
「さあ、時は来た。各宇宙の壁を叩き、我らが歩みを止めぬ時が到来したのだ!」
――宇宙の片隅で、ベリアル銀河帝国はその復活を宣言した。
ベリアルの復活を感知した光の国。高次の巡察を務めるウルトラマンタロウは直ちに異常を察知した。タロウは、様々な宇宙に向けてウルトラサインを送る。各宇宙の盟友たちにゼロの支援を要請するためだ。
そのシグナルは深い宇宙を越え、ウルトラ戦士たちの元へ飛ぶ。各地で、ウルトラ戦士たちの胸中に危機感が走る——ゼロのいる次元が、大きな脅威に晒されているのだ。
ゼロ/優は眠りの中で、夢の中の出会いを果たす。ウルトラセブンの姿が静かに現れた。
「ゼロそして地球人よ、耳を貸せ」
セブンの声は穏やかだが、厳しい。
『親父……?』
優の心に、ゼロの意志が乗って答える。
『ゼロのお父さんなのか』
優の言葉にセブンが微かに頷く。
「ベリアルが復活した。来援はあるが、しばし時間が必要だ。君たちは持ちこたえねばならぬ。だが、独りではない。各宇宙の戦士たちもまた、我らの声を聞き、手を伸べるだろう」
セブンの口調は簡潔だが力強い。彼は続ける。
「ゼロ、優。試練は続く。だが、君たちの背には多くの者がいる。まずは我慢し、次の援軍が来るまで耐えよ」
夢は静かに消え、優はひとまず目を覚ます。セブンの言葉は、彼の胸に小さな灯をともした。
一方、地球には一足早く動いた者がいた。朝倉リク、彼の変身した姿——ウルトラマンジードが次元の壁を越えて降り立つ。リクはゼロ/優に接触しようと、優の高校の前で周囲を確認していた。彼は低く呟く。
「ゼロ……居なければ会いに行く。重要な話がある」
しかし、校門前で突如として激しい地鳴りがし、地面が裂けた。そこに如月の黒い影が現れる。かつての如月とは別人のように凶々しく、手には黒い結晶が揺れている。
リクは感覚で直ちに危険を察知した。彼の胸に、ベリアルの波長に共鳴するものを感じる。だが如月はすぐさま言葉を投げかけた。
「よく来たな、朝倉リク、いやウルトラマンジード。お前もまた“皇太子”の血を引く者だろう? ベリアル様は帝国を再興した。お前がその一員となり、我らと共に光を打ち砕けるなら、今ここで最高の栄光を与えよう」
リクは眉を寄せる。冷たい笑みの誘いに、彼の心は揺らがない。
「俺は、自分の力を誰かのために使う。光を守るために使うんだ。お前の帝国なんかに仕えるつもりはない」
如月の表情が険しくなる。彼は鼻先で嘲るように言った。
「ならば、ここで――消えてもらおうか」
如月は一瞬にして黒い光を放ち、周囲の大地を裂いてしまう。すると、空間の裂け目から、二つ、三つと異形の気配が呼び出される。ベリアル融合獣たちだ。スカルゴモラ、サンダーキラー、ペダニウムゼットン、キングギャラクトロン——四体が次元の裂け目から呼び出され、校門前に立ちはだかった。
リクは眉をひそめ、即座にウルトラマンジードに変身する。
ウルトラマンとウルトラマンベリアルのカプセルを使用したプリミティブ形態だ。
「行くぞ、子どもたちを避難させる!」ジードは叫び、ジードクローを構えるが、四体の融合獣は凄まじい力を持ち、リクは体勢を崩される。彼のオーラは強烈だが、数の壁は分が悪い。
SNSやライブ映像は瞬時に拡散される。校内の生徒たちは騒然となり、教室の中も黒板の前も混乱に包まれた。香坂は校庭の状況を見て、優に携帯で連絡を取る。
「優!大変!新しいウルトラマンが来てる! 怪獣が出てる!」香坂の声は動揺している。優はポケットのゼロアイを握り締める。ゼロの声が応える。
『香坂が言ってたな。混乱に乗じて、君がここから抜けて戦うべきだ』
香坂は優に言う。
「混乱に乗じて学校を抜け出して! あの怪獣たちを倒せるのは優だけ。私たち、連れてきた仲間がいるから、誰にも知られないようにする!」
優の顔は一瞬で引き締まる。彼は決断する。
「分かった。行く!」
そう言い残して、優は校舎の陰に消える。香坂は心配そうに彼を見送り、同時にジードの戦いを見守ることにする。
ジードはジードクローを使い、応戦するが、融合獣たちの恐るべき連携と火力に押し込まれる。スカルゴモラの咆哮、サンダーキラーの稲妻、ペダニウムゼットンの破壊光線、キングギャラクトロンの磁力波——四体が一斉に畳みかける。
そこへゼロが現れる。廃ビルの合間から跳び上がり、青き光が夜空を裂いた。ジードは素早く目を合わせ、二人は一時的な連携を図る。
「やっと会えた、ゼロ!随分探したよ!」
ジードの声には探していた焦りと、仲間としての希望が混ざっていた。
『リク、久しぶりな!力を合わせよう!』
ゼロが応じる。
だが、戦況はすぐに悪化する。二人のカラータイマーが次第に赤く点滅し始める。空中での連携攻撃を試みるも、融合獣の集中砲火がそれを阻む。圧倒的な戦力差が、二人を押し込む。観衆のスマートフォンは広域で映像を捉え、SNSはさらに加熱する。
如月は高台から冷ややかに戦況を眺める。彼の横には伏井出ケイの姿がある。ケイは無表情に、しかし好意的に如月を見ている。
「ジード、ゼロ。だが、我が帝の命により、お前たちはここで消えるのだ」と如月は告げる。命令を下す如月の声は、冷たく硬い。
ジードとゼロは追い詰められる。だが、空の彼方に小さな光が二つ現れる。最初は蜃気楼のように見えたが、その光は迅速に近づき、やがて二人の姿を成した。
ウルトラマンオーブとウルトラマンゼットだ。
遠くで見ていた香坂は驚く。
「新たなウルトラマンが2体も!」
オーブとゼットは即座に戦線へ舞い降り、エネルギーの一部をジードとゼロに分け与える。光の交換は短時間で行われたが、その効果は劇的だった。
「ゼロさん、ジード!探しましたよ!」
「ゼロ師匠、ジード先輩!俺が来たからにはもう大丈夫です!」
「いやいや、ゼット、俺も一緒に来ただろうが」
オーブとゼットがコントのような会話を繰り広げる。
「もう良いから、2人とも!」
ジードが間に入る。
その光景に微笑ましくなったゼロ。
「ずいぶん、遅かったじゃないか。主役は遅れてくるってか?」
「ええ。ですが、これで4対4。ゼロさん、ジード、ゼット行くぞ!」
オーブのかけ声にゼロが反応する。
「よし!反撃開始だ!」
街に集まった人々は唖然とし、歓声と驚愕が交錯する。
如月は忌々しそうに眉を寄せるが、すぐに態度を切り替える。「まとめて片付ければ良い」彼は冷笑する。
四人は形態を変え、総力戦を仕掛ける。
インナースペースで優はライザーとニュージェネレーションカプセルα、βを手にした。
そして、ゼロと共に叫ぶ。
「俺たちに限界はねえ!」
ゼロはゼロビヨンドにネオ・フュージョンライズした。
「ワイドビヨンドショット!」
光線はスカルゴモラを貫き、スカルゴモラは爆散した。
ジードはインナースペースでリクの姿に戻った。
「行くぞ!アイルさんと共に!」
かつてサイドスペースの地球(日本•沖縄)のギリバリス戦で共に戦い、命を落とした盟友・比嘉愛琉ことクシア星人のアイル・サデルーナの名前を叫ぶ。
「つなぐぜ、願い!」
エボリューションカプセルの力でウルティメイトファイナルにアルティメットエボリューションした。
ギガバトルナイザーと対になる武器・ギガファイナライザーを起動し、リク本来の能力を解放。
「クレセントファイナルジード!」
サンダーキラーを切り裂いた。
サンダーキラーは周囲に雷を撒き散らし、爆散した。
オーブはインナースペースでガイの姿に戻り、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー、ウルトラマンエックスのウルトラフュージョンカードを取り出した。
「ギンガさん!ビクトリーさん!エックスさん!三つの光の力、お借りします!!オーブトリニティ!!!!」
オーブオリジンにギンガ、ビクトリー、エックスの幻影が重なり、オーブトリニティにトリニティフュージョンした。
そして叫ぶ。
「俺はオーブトリニティ。三つの光と絆を結び、今、立ち上がる」。
「トリニティウムシュート!」
オーブトリニティはペダニウムゼットンに対してトリニティウムシュートを放ち、ペダニウムゼットンは後ろに倒れながら爆散した。
ゼットは自分の中にいるハルキに声をかける。
「よし、ハルキ俺たちも行こう!」
「行きましょう、ゼットさん!」
ゼロビヨンド、ジード、ベリアルアトロシアスのウルトラメダルを取り出し、叫ぶ。
「闇を飲み込め、黄金の嵐!ゼロ師匠!ジード先輩!ベリアル!」
そして、デルタライズクローにウルトラフュージョンした。
幻界魔剣ベリアロクを召喚し、ベリアロクが喋り出す。
「なかなか面白えモンと戦ってるな。俺も混ぜろ。これが本気じゃねえだろ、お前ら!」
ゼットとハルキの声が重なる!
「な訳ないだろ!」
その瞬間、ゼットの身体が黒光し、デスシウムライズクローに変化した。
「ゼスティウムデスバースト!」
デルタクロスショットよりも強力なゼスティウムデスバーストでキングギャラクトロンに止めを刺し、キングギャラクトロンは爆散した。
人々は歓声し、救援活動が一斉に始まる。ジードとゼロ、オーブ、ゼットは息を切らしながらも互いに軽く拳を合わせ、戦線を整える。
香坂はホッと息をついた。。優はまだ胸の内で複雑な感情を抱きつつも、同級生たちが無事なことに安堵していた。
戦いが終わり、人間態に戻ったゼロ(優)、ジード(リク)、オーブ(ガイ)、ゼット(ハルキ)はすぐに香坂と合流した。香坂は動揺を隠せないが、優は落ち着いていた。
リク、ガイ、ハルキは優と香坂に自己紹介した。
その後、香坂は震えながら、「はい……でも、優が大丈夫でよかった」と答える。
三人(リク・ガイ・ハルキ)は表情を引き締め、優に言った。
「この地球は君たちの手で守ってくれ。僕らはしばらく宇宙の調査に出る。戻るまで、頼む」リクは短く告げた。ガイとハルキも同意する。
ゼロは優の身体を通じて、四人の意思を受け取りつつ、香坂に向けて静かに話す。
『我々はこの地球を護る。美咲、お前のような人がいるからこそ、彼らは戦える』
香坂は戸惑い、しかし誇らしげに笑う。優はそっと彼女の手を握り、微かな安堵の息を漏らす。
だが、歓喜の余韻をぶち壊すように、如月が五人の前に現れた。黒い結晶を掲げ、冷たく呟く。
「聞け。ベリアル様は復活した。世界はやがて終わる。お前たちの力では、抗えない」
それだけ言い残し、如月は闇の中へと溶けるように消えた。五人は一瞬言葉を失い、視線を交わす。
香坂は優の肩を掴み、震えながらも言った。
「ベリアルって、何なの?」と問う香坂に、リクが静かに説明する。
「ウルトラマンベリアル。僕の遺伝子学上のお父さんだ。でも、僕とは違うのは光を憎み、復讐を誓う者であること。かつて光の国を裏切り、闇に堕ちた暗黒のウルトラ戦士。だが、君たちがいるからこそ、俺たちは戦う」
優は小さく頷いた。
「俺がいる。みんな、ありがとう」とつぶやく。
香坂は「優がいるから大丈夫」と断言する。
四人が別れるころ、ひっそりと人並みの後ろに一人の女性がいた。カメラを抱え、黒いコートを羽織るフリージャーナリスト、橘しおり。彼女はその日の出来事をありありとカメラに収めていた。
スマートフォンの映像を確認しながら、彼女は低く笑った。
「真田の件といい、今度はこれか。記事にすれば食いつくに決まってる。真実を暴く時は、いつだって面白い」
シャッター音は、誰にも気付かれることなく夜に消えた。彼女の目は次の“スクープ”を求めて光っていた。
そして、彼女は半ば興奮気味に出版社に電話した。
「もしもし、私です。真田の件で良い記事が書けそう。それだけ?それだけじゃないわよ!ウルトラマンの正体がわかったの。記事にしたい。力貸してよ!裏どり?してあるわよ!この目で実際に見たんだから!」
しかし、電話の相手からはもしガセだったら真田に訴えられるかもしれないと言い、ガセではない証拠として写真を持ってこいと言われて、電話を切られる。
後には橘の発狂した声が夜空にこだましただけであった。
一方、優と香坂は並んで歩く。街灯が二人を優しく照らす。
「今日は……ありがとう、美咲」
優が小さく言う。
「いいって。私たち、友達でしょ?」
香坂は笑う。
二人の足取りは穏やかだったが、背後には確かな暗雲が渦巻いていた——ベリアルの復活、如月の変貌、そしてこれからやってくる本当の試練。
夜空の彼方では、ベリアルの笑いがまだくすぶっているかのようだった。