IS世界だとウルトラマンの需要はないだろと思っていた時期がありました   作:八雲ネム

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第1話 人間社会に溶け込む為の作業

 偽造とは言え、戸籍を作って口座開設からの100万円の不正取得までは順調だったもののこれ以上、下手に弄ると警察などにバレる可能性が高い上に100万円だけでは大人3人が生活するには圧倒的に不足している。

 となれば、一攫千金を狙うしかないのだが仮想通貨や株式は時間が掛かったり、不確定要素が多すぎて赤字になるリスクが高いし、ハッキングだって無敵ではない。絶対にボロが出るのでここは下手に手を出さないのに限る。

 宝くじも、100万程度では大当たりが来る可能性は低い上に日本での最高金額が12億円と金額だけを見ればかなりの額だが、俺らがこれから行う事を考えればまだまだ足りない。

 

 情報を収集する上で、白騎士事件と言うワードがヒットした事からこの世界がインフィニット・ストラトスの世界だと判明した為、その技術を入手して解析・自分達で技術開発をしようと考えているので最低でもそれ以上の金額が必要になる。

 軍事用途で使われているパワードスーツの技術を、独力で開発するにはそれ以上の金額を一晩で稼ぐ必要があるのだがその過程で不確定要素が少なく、極力人には迷惑を掛けず、合法的に稼ぐ必要がある。

 その制限の中で、考え抜いた稼ぎ方は競馬で“誰が見ても不人気で無謀な賭け方”をするのが1番であり、やり方としては不人気な競走馬を遠隔でコントロール下に置いて不人気順から先頭でゴールさせれば良い。

 

 いくら、資金が必要だからと言ってもウルトラマンの力を乱用するのは良くないものの、今の世界で生き抜く為の初期費用を生み出すだけなら問題はないし、マン兄さん達からこう言われているのだ。

 

『この世界で君の実力を確かめたい。地球人からウルトラマンになった君が理不尽な世界でどうやって切り抜けるのかを』

 

 つまり、今の世界で彼らが設けている期間   どれぐらいの期間になるのかは知らされていない   の中でどうやって生きていくのかを観察しているんじゃなかろうか。

 俺自身、ウルトラマンの本質を理解し切れていないものの彼らの高潔な精神に感化されてしまった以上、例え神話に出てくるイカロスの様に太陽に近づきすぎて(ろう)の羽根が溶けて墜落する様な事が起きたとしても、少しでも彼らに近づきたくなってしまった。

 その為の運転資金として、競馬場に来たのだが今回のレースは16頭の競走馬が出走する様なので16番人気→15番人気→14番人気、と言う大穴中の大穴な万馬券を10万円分購入して競馬に洒落込んだ。

 

 勿論、ウルトラマンの能力で当該馬を掌握した上でギリギリな勝ち方に調整したので偶然、巨額を手にした成金として見られたしても変に怪しまれる事はない。

 その結果、大荒れにも程があるレース展開に多くの馬券が空を舞って泣き崩れる多数の観客を尻目に、倍率30万倍と言う大穴を10万円分も購入した俺は万馬券を換金してその場を去った。

 

(ミラクルおじさんもこんな感じだったんだろうなぁ。俺とは色々違うけど)

 

 10万円の30万倍、300億円の利益が出たのだがそれ以上の額がパァになった事で競馬場は阿鼻叫喚になるのは致し方ない状況だが、そんな事を思いながら競馬場を後にした俺は2人と落ち合う場所へ向かうと既にティガとカミーラが待っていた。

 

「そっちはどう?」

「上手くいったよ。これで11桁の黒になった」

「そう。こっちもいくつか見繕ってきたけど、セキュリティを重視するならマンションの方が良いと思うわ」

「………新しいのがメインだが古いのは保障できないからか」

「うん。実際、白騎士事件で女尊男卑の傾向が強くなりつつあるから」

「ネックなのは俺だな」

 

 そう。白騎士事件によって、人類が宇宙開発を円滑に進める目的で開発されたマルチフォームスーツであるIS(インフィニット・ストラトス)は、2,000発ものミサイルを撃破した事でパワードスーツとしての機能に注目が集まってしまった。

 それに加えて、各国の抑止力の要は維持・運用コストが莫大な核兵器や各種通常兵器からISに移行したのに加え、強大すぎる兵器を無制限に使用されると国家存亡レベルの被害が出る事が想定された為、21カ国が参加して後にアラスカ条約と呼ばれる様になる『IS運用協定』が成立する事になった。

 規制されるレベルの兵器が世に出た事で、世界の技術は向上する事になった一方でISには致命的な欠陥がある事が判明する。

 

 それは女性にしか、運用できない事。

 

 本来、兵器も含めたあらゆる技術は訓練を受けた人が男女を問わずに動かせなければ意味をなさないものの、ISはそれ以上に強力すぎた為に1つの風潮が生まれて強く事になる。

 女尊男卑。ISを動かせる女性が偉いんだ、と言う何をとち狂ったのかが疑問な風潮が強くなった事で女性が優遇されて男性が虐げられる社会構造になり、その風潮は年々強くなっているとの事だった。

 

「リーダーはティガとかカミーラにしない?」

「それは駄目。マン兄さん達から言われてるでしょ? マーズの実力を確かめたいって」

「そうよ。私達が代わりにやったら意味がないじゃない」

「こんな風潮で矢面に立ちたくないんだがなぁ」

 

 女尊男卑の風潮の中で、男の俺が先頭に立って行動すると甘い汁を啜ってる女性(バカ)共の妬みや嫉妬、或いは利権を侵害されたと判断してあらゆる攻撃をして来る事が考えられるので、可能なら避けたい事ではあった。

 しかし、ここで効いてくるのがマン兄さん達の言葉であり、俺の実力を確かめると言われたからにはやるしかなくなるのでため息を吐きながら俺名義で警備が厳重なマンションの一室を契約する事にした。

 その際、色々と言われたものの初期投資だと思いながら適当に受け流して内見を済ませ、契約した後で数日掛けて生活拠点にする為に家具や生活用品を揃えていった。

 

 内心でどう思うかは別にして、この世界で上手くやるなら人間に擬態して溶け込んだ方が良いのでそうしたのだが、ISによる女尊男卑の風潮は決して長続きしないと思っている。

 何しろ、マン兄さん達が話し合って今の世界に俺達を送り込むって事は人間社会の風潮を変えるだけではなく、現地で目覚めた怪獣を撃破する事も視野に入れている筈だ。

 となれば、目覚めた怪獣を撃破していくのは確定事項としていつウルトラマンの一員として登場して怪獣を撃破するかが問題である。

 

 これが女尊男卑の風潮が罷り通っていない世界であれば、早めに登場する事も可能だったがそうでない以上は風潮の根幹であるISの不敗神話にヒビを入れて流れを変わり始めた後の方が良い。

 その一方でウルトラマンは絶対ではないし、万能ではない事も周知させないといけない事から、無闇矢鱈に撃破しないで最初の数体は人類側で撃破させた方が良いとの見解でティガ達と一致した。

 その為、いつでも人類側と共闘できる様に300億円と言う資金を元に個人投資家として資産運用を開始するのと同時に、世界のニュースを高速で処理して株式デイトレードで完璧なトレードをする様にした。

 

 すると、300億の資産はあっという間に数千億の資産に膨れ上がったのでISに使われている技術を入手する為、分厚い札束でISに関わっている中規模会社をブン殴り、ISの技術交流も兼ねた展示会への参加権を入手する事にした。

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