IS世界だとウルトラマンの需要はないだろと思っていた時期がありました   作:八雲ネム

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第2話 怪獣出現と経過観察

 この世界に来てから3年、白騎士事件から6年が経過したものの一向に怪獣が現れず、女尊男卑の風潮が強まった事で男性への迫害が正当化されて多数の事故死と言う名のリンチや将来を悲観した結果として自殺する人が急増し、日本だけでも白騎士事件以前と比較して10倍以上になっている。

 その為、理由は兎も角として白騎士事件を起こした篠ノ之 束に対してここまで怒りの感情が残っていたのか、と言わんばかりに沸点が上がったのでティガとカミーラが止めていなかったら、この手で彼女を殺していただろう。

 当然ながら、男なのに成金で資産を増やし続けている俺に対しても女性権利団体などの過激派から様々な嫌がらせを受け、高層マンションの高い階層に暮らしていたのにそこに対して石を投げ込んだり、郵便ポストに嫌がらせの手紙やら何やらを大量に突っ込まれたり、電話やらメールもまぁ酷い状態になったのでこっちで特殊な端末を用意しなくちゃいけなかったりと、中々に大変だったのもキレる寸前まで行った事に関係している。

 

 その反面、かなりの利点も発生していて過度な女尊男卑の風潮で社会が一時的な混乱に陥ったので、様々な産業の株価が値下がりした事でISに必要な技術を有する企業などの株を可能な限り、業種や国籍に関わらず、広い分野で購入したので後はISのコアが手に入ればいつでも解析できる。

 ISコアは解析できない? 既存の兵器を凌駕するだけを考え、適切かつ迅速に運用する為に開発しただけの人間の技術は、次元移動や残留思念を追跡できるウルトラマンの技術力を考えれば容易い事ではある。

 生憎、ウルトラマンになってから()()千年程度しか生きていない俺に対して、マン兄さん達は基礎の半分も教えていないとの事なので今の俺には総当たりで解析するしかないのだが、それでも量子コンピュータよりも高速計算ができる今の頭があれば比較的、早く解析できるだろう。

 

 その為、他の人のISに対する部品供給を行いながら資産運用を続けているとこんなニュースが飛んできた。

 

『ご覧ください! モンド・グロッソの会場のすぐそばで見た事のない大きさの生物が出現しました! ここ数日間、この会場では第二回大会が開催されており、数え切れないほどの群衆が逃げ回っています!』

 

「ヤレヤレだぜ。不敗神話が出回った時点で予想が付いていたけどIS、全く役に立ってないじゃん」

「軍事用ISの開発がおざなりになっていたせいであの怪獣を倒すのに必要な火力が不足しているわね」

「まぁ、それも仕方ないんじゃない? 比肩する兵器がない中、無駄に時間と金が掛かる兵器の新開発なんてやりたがらないでしょ」

 

 それは、特撮ドラマのウルトラマンティガに登場したゴルザと呼ばれる怪獣が出現した事であり、身長が60メートルを超える怪獣を相手取って対処しているISが小さく見えてしまう。

 しかも、ウルトラマンシリーズに登場する怪獣の大半が数万トンクラスの体重を有している為、怪獣からの攻撃によってISのシールドバリアのエネルギーが消耗・枯渇して撃墜された後、その上から踏み潰されたらひとたまりもない。

 まぁ、エネルギーが枯渇しなくとも数万トンの重量に耐えられる様に設計されている、とはこれまでの情報収集から判断すると到底思えないのでIS側が不利な状況は変わらないし、そもそも論ではあるがISが装備する兵器自体が既存の兵器群と後は同じIS相手を主眼に置いていたので、怪獣相手には火力不足が拭えない。

 

 なので、俺はある組織に電話をした。

 

「えぇ、はい。お久しぶりです。はい、そうです。あの怪獣の生体調査を行いたいと思いまして。はい、死体になっても構いません。ISの攻撃でも通さない外皮を始め、未知の体組織が気になってますので。はい、そうです。最悪、周辺諸国も含めて現地の軍隊を出動させてください。そうしないと国が滅びますよ、とも伝えてください。では」

「当事者の国?」

「いや、防諜機関経由でEUに対して警告してもらう事にした。男の俺が提言しても聞き入れられないからな」

「それで動くのかしらね」

「動くしかねぇだろ。じゃねぇと自分達が色んなお題目で建てさせた建物が壊されるんだからな」

 

 電話相手は、3年の間に訳あって知り合った日本における防諜(カウンタースパイ)を生業にしている一族である更識家であり、16代目当主の楯無*1の伝手を頼る事にした。

 本来、こう言った状況ではすぐにでも現地に行ってウルトラマンに変身して怪獣を倒すのがセオリーだろうし、俺個人としてもすぐに飛び出したいと強く思っているものの女尊男卑の風潮を少しでも変えないと、傲慢な女性陣からタダ働きさせられそうなのでここは我慢して成り行きを見守るしかない。

 数が限られているISで、怪獣を倒せなくても既存の兵器群で対抗できるし、場合によっては倒せる事を人類側に理解させないと人類文明の健全な発展は見込めない。IS一強である事も、ウルトラマンに依存される事も俺個人としてはお断りだからな。

 

 その為、人類側のレーダーに感知されない様にステルスモードで現場上空まで移動しながら経過観察をしていたのだが、序盤は酷いの一言では済まされないレベルでISの醜態を晒す事になった。

 何しろ、想定外に加えて大会用にリミッターを付けたりしてチューンした状態とは言え、迅速に実戦用にリミッターを解除するのにもたついたりしてダメージを碌に与えられない上、ゴルザの攻撃を避けられずにモロに喰らって絶対防御に必要なエネルギーすら切らして高所から叩き落とされたりしてISの神話を台無しにしたからだ。

 まぁ、俺としてはその方が今後の活動が楽になっていいのでISを操っていた人に同情しながら特に手出しをせず、見守っていると急遽、展開する事になったEUの陸海空軍によって怪獣への攻撃は物量作戦へと移行する事になった。

 

 これもISには頼れないと判断した結果なのだろうが、彼らの判断によって怪獣に対して少しずつだがダメージを与えられる様になって最終的には彼らだけで怪獣を倒してしまった。

 

(やはり、色んな規制やら政治的建前によって実戦においそれと言って出せず、スポーツ観戦にしてしまった弊害だな。お陰で命懸けで戦おうとする奴が少なくなった様に見える。軍人さん達の活動と比較しての話ではあるが)

 

 怪獣との戦闘結果を見て、そんな事を思いながら明日の株価は酷くなるなと予想して欧州における関連株を売って利食いする様に、デイトレードを調整する事にした。

 幸い、今回の騒動である程度の損害は出るものの欧州株の他に日本株は勿論だが米国株にも手を出している為、致命傷になる程の損害は出ない計算なのですぐに利益は取り戻せるだろう。

 問題なのは、日本で怪獣が出現しないと政府としても重い腰を上げずに小手先の方針変更をしてしまう可能性が高い為、人命を重視するなら怪獣に暴れてほしくないと思う一方、方針転換する為にも怪獣に暴れてほしいと言う矛盾した考えになってしまった。

 

(かなーり複雑だが………まぁ、待つしかないわな。下手に動いて逆に怪獣認定されても困るしね)

 

 その為、かなり悩んだが被害が出たけど人類側で対処できたと言うウルトラマンとしては良くないけど、文明の発達の為ならやむなしと言う事で暫くは動かない事にした。

 勿論、被害が許容できないレベルで大きくなる様であれば介入するものの今暫くは様子見に徹して、彼らの判断を待ってから決めようと思いながらティガ達の元に戻った。

*1
17代目当主になる刀奈は小6から中1の時期なのでこの時は16代目の当主が担当

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