かつて至高の現落伍者   作:九耀の翁

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新入生歓迎会③

「納得がいかないって顔してるね、やっぱりさっきの話がまだ気になる?」

 

「はい、でも今は集中しなきゃいけないと思うので聞きません、よろしければ後で詳しく」

 

「善処するよ」

 

「それは遠回しにNoって言ってるようなものですよ」

 

 何度も言うけど、アリーナはとても広い。

 

 どういう原理なのかは知らないけど、明らかに学園の敷地面積を越えた馬鹿げたサイズを誇っている。

 

 ただし、アリーナは大きく分けてA、B、C、Dそして特例ランク専用の全5つのエリアに別れていて、生徒は自分のランクに対応したエリアに割り振られることになっている。

 

 僕を含むF~Dまでのランク帯の生徒は全員Dエリアに割り振られているわけだけど。

 

「中々他の生徒に出くしませんね」

 

「う~ん...ちょっとおかしいかな、本来ならひっきりなしに参加者と鉢合わせる予定だったんだけど、もしかしてすでに全滅しちゃったのかな?」

 

 何故か他の生徒と全然エンカウントしない、明らかに異常事態だ。

 

 いつもなら我先にと僕に突っ込んできて最終的に同士討ちしてるのに、今回は気配1つ感じない。

 

「一応警戒しといてね新入生ちゃん、新入生ちゃん?」

 

 新入生ちゃんからの返事が帰って来なかったので確認したら、いつの間にか彼女は隣にいなかった。

 

 いったい何処へ?もしかしてはぐれた?

 

「あちゃ~僕も鈍ったなぁ...後ろかな?久しぶりだね、副会長ちゃん」

 

「お久しぶりです結木さん、今は落伍者と呼んだほうが宜しいでしょうか?」

 

「昔みたいに結木で良いよ、それで?今回の目的は新入生ちゃんのテストかな?」

 

 振り返ると、やはりそこには彼女がいた。

 

「はい、なので貴方はここに隔離させていただきました」

 

「僕が一緒だと、あの子の実力を正確に測れないから...で合ってるかい?」

 

 国立異能者教導学園、生徒会所属元副会長にして現生徒会長、天羽 彩乃(あもう あやの)

 

 さして、僕の元相棒だ。

 

「えぇ、貴方が隣に張り付いていると彼女の資質を見定めるのが難しくなりますからね」

 

「もしかして、久しぶりに生徒会メンバー候補が決まったんだね、ようやく人材不足が少し解消されそうでなによりだよ」

 

「...」

 

 うわぁかなり気まずい空気になっちゃったね、これどうしよう?

 

「...何も言わないのですか?」

 

「何をだい?」

 

 急に話題を振られると返答に困るんだけど。

 

「ようやく見つかった新しい相棒候補が、私たち生徒会に取られそうになっていますが」

 

「別に構わないよ、それを決めるのはあの子だし...それに、君が聞きたいのはもっと別の話だろう?」

 

 うまいこと僕から話を引き出したいだろうけど、こちらにはその気はないよ。

 

 あっ、そろそろ終わりかな?

 

「転移並びに空間断裂のコンボだったみたいだけどそろそろ時間切れみたいだね、それじゃバイバイ」

 

「待ってください!貴方は本当にもう...?」

 

「う~ん、戻る気は...ないかな、今の君たちにとって僕は居ても邪魔なだけでしょ?」

 

 タイムアウトだね。

 

「それじゃまたね、元副会長ちゃん」

 

 その言葉を最後に僕たちは光に包まれた。

 

 断裂されていた空間が正しく修復されたことで、元いた場所に戻されたんだろうね。

 

「さて、新入生ちゃんは大丈夫かな?」

 

「先輩!無事だったんですね!?」

 

 あらら、目の前に飛び出しちゃったか。

 

「ごめんね新入生ちゃん、なんか空間系異能者に別の場所へ飛ばされちゃってさ、それにしても凄いね?僕が居なくなった後これ全部1人でやったの?」

 

「はい、先輩が居なくなった後すぐにちょっと...」

 

 僕が視線を向けた先にはボロ切れみたいになった敵対クランの生徒たちが転がっていた。

 

 いや、多いな。

 

「新入生ちゃんは大丈夫?怪我とかない?」

 

「はい、とりあえずなんとか」

 

 うん、今すぐ治療が必要な怪我はないみたいだね、それにしてもこの数を1人で倒しちゃうかぁ。

 

 ますます生徒会が欲しがりそうな人材だ。

 

「1つ質問なんだけど、もしかして戦いが始まる前か終わった後に生徒会のメンバーに声をかけられなかったかい?」

 

「先輩のほうにも生徒会の方が?」

 

「うん、ちょっとね」

 

 副会長ちゃんのことは話さないほうが良いかな、教えても混乱の元になるだけだし。

 

「私、生徒会に入らないかって勧誘されたんです...でも断りました」

 

「断っちゃったんだ...ちなみに理由は?」

 

「急にこちらを分断してきて大人数をけしかけるような人たちは信用できませんし、私の心情的に嫌です」

 

 あぁうん、確かにそれはそう。

 

 やっぱりこの子素直だし、めちゃくちゃ真っ直ぐみたい。

 

「それに私は先輩と組むと決めているので、他の人に目移りしてる場合じゃありません!」

 

「えぇ、僕はあんまり気が進まないんだけど、なんでそこまで僕に拘るの?」

 

「助けて貰ったのもありますが、私の勘が貴方と組めと叫んでいるのです!」

 

 あっ、こ~れ逃げられないやつだ。

 

 断ってもずっとお願いされちゃいそうだし、仕方ないかぁ。

 

「...はぁ、良いよわかった!どうせ僕がOKしない限りずっと着いてくるんでしょ、後から後悔しても知らないからね?」

 

「はい、それじゃお互いに自己紹介しましょう!」

 

「....僕の名前は結木 夏彦(ゆうき なつひこ)、今後ともよろしく」

 

桐那 明(きるな あきら)っていいます、これからよろしくお願いします!」

 

 あ~あ、せっかく今年も平和に過ごせると思ってたんだけどなぁ。

 

 ...生徒会の皆、きっと怒ってるよね。

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