一行は彰人の潜伏場所に近づきつつあった。
「来てもいいぞ。だって」
「初音の
ガナードやゾンビの群れを避け三人は喜山彰人の潜伏場所を目指していた。
「初音……。喜山君ってどんな人?」
「
襲ってきたゾンビを掌底で吹き飛ばす。
壁に当たったゾンビはミンチになり完全に生命活動を終焉させた。
「ナイスショット」
「ゴルフじゃないからね睦ちゃん……。だけどどこか恨んでるような目を見せる時があったかな。何を恨んでいるかは分からないけど」
「世に対する恨み……だったりするのかもしれませんわね」
———思えば私も、お父様やお祖父様(こちらは現在進行中で)に莫大な憎悪を抱いていますわ。
こんな事が起きる前から世界は平等ではない。
他者への劣等感や憧れと言った牙は容易に私達の心に牙を剥きたてる……。
亀裂となって分断を齎してしまう事も……。
かつて
「世に対する恨み、か」
「どうしようも無い事が時として非情に起きる事もある。Ave Mujicaのすれ違いとか……私自身ではコントロール出来なかった事も」
「それが、人生でもあるんですけどね」
祥子は眉を下げながら苦笑してみせた。
人生は光ばかりではなく闇を味わう事も悪くはないと言わんばかりに。
「……喜山さんの場所へ行きますわよ。まずは出来る目標からこなしましょう」
「「うん(!)」」
———闇に染まるのは簡単、闇を使いこなすのは難しいけれど。
光を浴びるのも簡単、光を浴び続けるのは難しいけれど。
でも私はこれから何度も闇に染まり、光を浴びるのでしょうね。
人生とは……そう言うもの。
私は
短時間の中で数多の挫折と少ない幸福を味わったからこそ見つけ出した答えであった。
「見えてきた。あれが彼がいるマンションだよ」
初音は無数の劫火が覆う中、燃えてないマンションを指差した。
—————
インターホンが鳴った。
「……お出ましか」
家の主は気怠げにモニターを確認した。
間違いない、三角初音、豊川祥子、若葉睦の三名だ。
「やっぱり……私怖い」
「俺がいる心配するな」
『彰人君。居るよね?』
スピーカーから響く初音の声に、炎茉は肩を震わした。
自然と涙が溢れるが、優しく彰人は指の腹で涙を拭い、炎茉と肩に両手を置きながら優しくキスをした。
「しょっぺえ」
「煩い……もう。でも落ち着いた……ありがとう」
笑いながら言う彰人に炎茉も笑いながら返す。
「よし。もう大丈夫だ。じゃあ俺は
炎茉の「お調子者」と言う声を聞きながら、彰人は通話ボタンを押す。
「よぉ。初音にそっちの二人(祥子は知ってるけど)は初めましてだな」
『初めまして豊川祥子と申します。喜山彰人さんですね。宜しくお願いします』
『若葉睦…です。宜しくお願いします』
「祥子に睦だな。気軽に彰人って呼んでくれや。ま、三人共入んな」
『『『お邪魔します(わ)』』』
ドアが解錠され三人は彰人の潜伏場所に入る。
それなりに広いが主立った家具はソファとテレビだけで後は書類等が机に置かれたり壁に貼られている。
「よぉ。初音」
出てきた居場所の主はTシャツの上からでも分かるように筋肉がついているが引き締まっており一見すれば分からない。
「ありがとう彰人君。誰も頼れる人がいなくて貴方が受け入れてくれて良かった」
「なぁに。どうってことねーよ」
彼氏と仲良くする叔母を炎茉はキッチンからジーっと見ていた。
三人はその視線に気づく。
「あ、仲間がいたんだね?。初めまして私は三角初音」
「豊川祥子ですわ」
「若葉睦」
「……
名乗りながら炎茉は彰人の横に並ぶと彼の腕を引き寄せた。
「おいおい炎茉……」
そこで二人の関係を悟った初音は苦笑いしながら炎茉に謝罪の意を込め頭を下げた。
「ごめんなさい。炎茉ちゃんと彰人君はそう言う関係なんだね……」
「うん。おば……初音ちゃんはちょっと馴れ馴れしいかな」
「ごめんね(おば……?)」
「なにか本当にお邪魔してしまったみたいですみません。彰人、炎茉」
「大丈夫だよ。先ずはこの床を見るといい。色んな武器があるからな」
彰人が床の扉を開けると床下には銃がいっぱい置かれた部屋が出てきた。
五人は階段を使い下へと降りる。
「凄い……。まだ銃の記憶は疎いけどこの弾薬と武器量戦争が出来るね」
「素人の私から見ても尋常じゃありませんわね」
初音と祥子が並べられた銃を見る中、睦は炎茉を見ていた。
「炎茉」
「何?睦ちゃん」
「炎茉……祥に似てる初音にも。髪型と髪色と目の色が違うだけで祥にそっくり」
その言葉に初音も反応しだす。
「本当だ。さきちゃんにそっくり〜〜〜!。双子さんみたい!」
「あまり見ないで!。顔が似てる人なんてなんぼでもいるよ」
「でも本当に瓜二つ。姉妹と言われても驚かない」
「おーい皆。取り敢えず今は生き残る為の武器選びに専念してくれ」
皆、我に返り武器選びに戻った。
———何故あんなに祥に似て……。
疑問を残しながら。