アビドス高等学校屋上
「………」
ぶっ倒れるように寝転がって呆然と空を見ているが…
夜空が綺麗だ…前にも思ったのかもしれんが…あっちでは見ることもなかった綺麗な夜空…だがそれがどうした
右腕は先程掃除用のロッカーを思いっきりぶん殴ったことによって手が切れ血が出ているし、それによってロッカーのドアを貫通してしまって破片が手に刺さっている状態であるし…めちゃくちゃ痛いだがそれもどうした
「はぁ…」
やってしまった
俺がアビドス砂漠を調査するなんて言い出し…その結果、月に払う借金の返済額が増えたし…みんなを苦しめるような事をしたし…
全部俺のせいでこのような事になってしまった…
『あの……先生大丈夫ですか…?』
アロナがそう言ってくる…俺の様子を見て気にかけてくれているだろうが…あいにくそんな気分じゃねぇ…
「大丈夫に見えるか?」
『あ…いえ…その…』
「…………………」
「アロナ…今から
『えっ?まぁいいですけど…』
今はなんか現実を見たくない…今の状況から逃げるように…意識をシッテムの箱に移す
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「あっ先生…」
「…………」
シッテムの箱に入り…近くにあった椅子に座る…それと同時に…アロナがいちごミルクを二つ持ってきて、1つは俺に…もう1つはアロナ自身に置いて向かい合うように座った…
「すみません先生…今はいちごミルクしか用意できませんでした…」
「いや…いいんだが…珍しいな…」
こうしてアロナが好物であるいちごミルクを差し出すんなんて滅多に…いや一度もなかった…
「あの後…先生は元気がなくて…少しでも元気になれたらって…」
まさかロッカーを壊すほど乱れたなんて…
「…………やっちまっまたな…俺があんな事を言い出したから…こんな事に…」
「アビドスを助けるつもりが……アビドスを苦しめているような事をしてるんじゃねぇか…」
「生徒の為にやっているのに…どうして生徒を傷つけるような事になってんだよ…」
「俺のせいだ…」
そう先生は愚痴…と言うより自分を責め立て…俯いてしまう…
………私は席を立ち…先生のもとに寄って……
ギュッ
「?」
先生の顔を抱き抱えるように抱きついた…
「アロナ?」
「大丈夫ですよ…先生のせいじゃないです…」
「確かに今アビドスは苦しい状況ですけど…まだ終わったわけじゃないですよ」
そう…まだ終わってない…少ししかないけど…まだアビドスが無くなるまで時間はある…まだ手は打てるはずです…
それに…前々からある事をしてますからね…
「だから先生…最後まで頑張りましょう…私も全力でサポートしますので」
「できるのか?」
「私を誰と思っています?シッテムの箱のメインOSでもあり先生のパートナーのスーパーAIアロナちゃんですよ!」
フッ…アロナの元気な様子を見てたら気が楽になったな…
まだ終わりじゃない…出来ることはまだあるはずさ
「ありがとうな…また慰められたな…」
「いえいえ!また辛かったらいつでも慰めますよ!」
「………フッ…」
そうして俺はシッテムの箱から意識を戻す
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さてどうしようか…残された手段は少ない…
カイザー諸共潰すのは選択肢にはあるがそれは本当の最終手段…
………やはりあれをやるのがいいのかね…だがそうなると…皆の信頼を無くすことになるからな…まぁ色々考えよう…
そうして屋上を出ようとしたところ…
ガチャ
屋上の扉の開く音がした…その方向をむくと…
「あっ…やっぱりこんな所にいたんだ先生…」
ホシノが屋上に来た…
「ホシノ……帰ってなかったのか…」
「ん?いやぁあの後先生がいないから探したんだよ〜」
「よく屋上ってわかったな…」
「いやぁ〜だって1箇所だけロッカーがドアごと壊されていたし…その先に血が続いていたからねえ…」
…………今考えるととんでもない事をしたな…
「手…傷だらけでしょ…ちょっと見せて…」
そうしてホシノは俺の手を手当する…
「破片が刺さってるじゃん…痛くないの?」
「………それより痛いものは経験した事がある…」
「ふーん…」
「よし…いいよ…」
そうして手当てが終わりホシノに感謝を伝えたあと…ふと思い出したことがあった…
「そういえば…ホシノ…1つは聞きたいことがあるんだが…」
「うへぇ〜先生も?」
「いや〜シロコちゃんといい、先生といい……うへ〜、おじさんとお話したいことがあるの? モテモテだー」
どこかおどけたように、ホシノは言った
どうやらシロコが既に例の退部届について訊こうとしたようだったが、ホシノははぐらかして帰したらしい
「それにしても……うへ、先生やるねえ? 私の可愛いシロコちゃんと、いつの間に仲良くなったの? いやいや、やっぱり先生は侮れない大人だな~。おじさんは流れに付いていけなくて何だか寂しいよ」
そんなホシノを無視をして退部届を出す
「それって……」
あからさまに、わざとらしく驚くようなリアクションを取る。
「うへ~、いつの間に……! これ、盗ったのはきっとシロコちゃんだよね? 全くシロコちゃんったら、いくら何でも先輩のかばんを漁るのはダメでしょ~先生、きちんとシロコちゃんを叱っといてよ~? あのままじゃとんでもない大悪党になっちゃってもおかしくないってー」
ころころと表情を変えながら…すらすらと言葉を並べながら
「この退部届について…聞いている…」
「…………そっかー」
「……聞かせてくれるか」
「うーん…逃がしてくれそうには……ないよね?」
答えることもなく…ただジッとホシノを見つめる…
「はあ、仕方ないなあ…面と向かってっていうのも何だし……先生、ちょっとその辺一緒に歩かない?」
特に否定する理由もないので、ホシノの一緒に歩いていく
「けほっ、けほっ……うわぁ、ここも砂だらけ……」
「いつもみんなで掃除しているのに…せっかくの高校生活が全部砂色だなんて、ちょっとやるせないと思わない?」
「それでも、かけがえのない場所なんだろ?」
「……今の話の流れで、本当にそう思う?」
「お前自身の行動が…それを証明してる…」
「…………」
ホシノは立ち止まって、面食らったような表情をして。
少しだけ…笑った…
「……うへ、やっぱ先生は凄いね」
どういった意図の発言なのか俺には分かりかねたが、ホシノはそれを説明する気もないようで、再び歩き始める…
「…………砂漠化が進む前、アビドスはかなり大きくて力のある学校だったって言われてるけど……そんな記憶も実感も、おじさんには全く無いんだよね…最初から全部めちゃくちゃで、ちゃんとしたものなんて何一つない学校だった」
誰に言うでもなく、誰に聞かせるでもなく、ホシノは語る。
「おじさんが入学した時のアビドス本館は、今はもう砂漠の中に埋もれちゃったし。当時の先輩たちだって、もうみんないなくなった…今いるここは、砂漠化を避けて何回も引っ越した果てに辿り着いた、ただの別館」
「……ま、でもここに来てシロコちゃんやノノミちゃん、アヤネちゃんにセリカちゃんと会えたから……うへ、やっぱり好きなのかもしれないなぁ……」
弱い……笑みだ
今にも崩れそうな…
「…………そうか」
「……うへ、降参…正直に話すよ、先生」
「実は…二年前からある変な奴から提案をされているんだ…」
……あなたに、決して拒めないであろう提案をひとつ
……アビドス高校を退学し、私共の企業に所属する…その条件を呑んでいただければ、今アビドスが背負っている借金の半分近くをこちらで負担しましょう…
……ククッ、ククククッ……さあ、答えを聞きましょう…もしイエスならば、こちらにサインを………
そんな事を言われたらしい
ま、断ったけどね、とホシノは続けた
「それは誰から見たって破格の条件だった…でも、その時は私がいなくなったらアビドス高校が崩壊するって思ってたからこそ、ずっと断ってたけど……」
「……あいつら、PMCで使える人材を集めているみたい」
「……その提案をしたのは誰だ」
「……分からない…私も、あいつの正体は知らない…ただ、私は黒服って呼んでる」
「…………」
「何となくぞっとするやつで……キヴォトス広しといえども、ああいうタイプのやつは見たこと無かった…ただ、怪しいやつだけど、別に特段問題を起こしたりもしなかった」
黒服…………ゲマトリア…
第三者の組織…
「……なるほどな…ならこの退部届は…」
「……うへ」
「まあ、一ミリも悩んでなかったって言ったら嘘だし…ちょっとした気の迷いっていうか………うん、もう捨てちゃおっか」
そしてホシノは、俺から退部届を受け取ると、それを丁寧にびりびりと破き、窓から捨てた
「うへ〜、スッキリした」
「余計な誤解を招いてごめんね…ただ、こんな話をみんなにしたところで、心配させるだけで良いことも何も無さそうだったからさ」
「でもまあ、可愛い後輩たちにいつまでも隠しごとをしたままっていうのも良くないし……明日、みんなにちゃんと話すよ…聞かされたところで困らせちゃうだけだろうけど、隠しごとなんて無いに越したことはないだろうし」
「実際のところ、今はあの提案を受ける以外、他の方法は思いついてないんだけどね」
「……そうだなあ…奇跡でも起きてくれれば良いんだけど……」
「奇跡、かあ」
「……さ~てと、この話はこれでおしまい。じゃあ、また明日…先生」
普通ならまた明日学校で会うとは思うが…
しかし、続けて言ったホシノの言葉は……明確な別れの言葉だった…
「さよなら」
そうホシノは言って昇降口に向かって歩き出した…
俺は何も言わない…だが…1つは確認しておきたい…
「ホシノ」
「ん?何…先生…?」
「それが………お前の選んだ選択が?」
「うへぇ…止めないんだ…」
「それがお前が自分で選んだ選択なら…俺が止める義務はない…」
「…」
「やっぱり先生は”本物”だね…」
「…………俺は”本物”じゃない…だが…」
「”偽物”は”偽物”なりに抗ってやるさ」
「………そっか…」
「じゃあね…先生…アビドスの事…みんなを頼むね…」
そうしてホシノは去っていった…
…………最低だな…薄々感じてはいたが…
本来は止めるべきなのに…だがそれは”本物”するもの…
”偽物”は”偽物”のやり方でやってやるさ…
シッテムの箱を取り出し呼びかける
「アロナ…予定変更だ…準備を進めるぞ…」
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アビドス対策委員会のみんなへ
まずは、こうやって手紙でお別れの挨拶をすることになったこと、許してほしい。おじさんにはこういう、古いやり方が性に合っててさ
みんなには、ずっと話してなかったことがあって
実は私、昔からずっとスカウトを受けてたんだ
カイザーPMCの傭兵として働く、その代わりにアビドスが背負っている借金の大半を肩代わりする、そういう話でね。
中々良い条件だと思わない? おじさんこう見えて、実は結構能力を買われててさ
借金のことは、私がどうにかする…すぐに全部を解決はできないけど、まずはこれでそれなりに負担が減ると思う。
対策委員会も、少しは楽になるはず。
アビドス高校からも、キヴォトスからも離れることになったけど、私のことは気にしないで。
勝手なことをしてごめんね。
でもこれは全部、私が責任を取るべきこと。
私は、アビドスの最後の生徒会だから。
だから、ここでお別れ。
シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん。
最後にお願い、私たちの学校を守ってほしい。
砂だらけのこんな場所だけど……私に残された、唯一意味のある場所だから。
それから、もしこの先どこかで万が一、敵として相対することになったら。
その時は、私のヘイローを「壊して」。
よろしく。
じゃあね。
先生へ
実は私、大人が嫌いだった。あんまり信じてなかった。
ホワイト・グリント…だっけ?それに乗った先生が来た時だって、「なんかヤバそうな大人が来た…」って思ったくらいだし?
でも、先生みたいな大人と最後に出会えて、私は……いや、照れ臭い言葉はもういいよね。
先生。
最後に我がままを言って悪いんだけど、お願い。シロコちゃんは良い子だけど、横で誰かが支えてないと、どうなっちゃうか分からない子で。
悪い道に逸れちゃったりしないように、支えてあげてほしい。
大丈夫…先生は”本物”だから…私と違ってみんなを助けれる力を持ってるんだから。
約束だよ、先生
そう内容が書かれていた…
何を考えて、何をしたのかが分かる文章だ。
何をしてほしいのか……嫌でも分かる文章だった…
「何なの!? あれだけ偉そうに話しておいて! 切羽詰まったら何でもしちゃうって、自分で分かってたくせにっ! こんなの、受け入れられるわけないじゃない!」
「……助けないと…私が行く…対策委員会に迷惑がかかるし、私一人で……」
「落ち着いてください、今はまず足並みをそろえないと……ドガアアアアアアアン!!きゃあっ!?」
ホシノの行方を案じる暇もなく、事態は進む
子供の感情を無視して、大人の都合と悪意で進行する
企業が侵略を始める…
「爆発……!?」
「近いです、場所は……っ!? ……そ、そんな、市内……!?」
『行け、行け!』
『進め!』
『うわあぁぁぁっ!?』
『……この自治区にはもう、退去命令が下った!』
『ふふふっ、ふふふふふふふ…………! ついに、条件は全てクリアした!最後の生徒会がアビドスを退学……これで実質的に、アビドス高等学校は消えた!』
高笑いしているカイザーPMC理事を、ハッキングしたカメラ越しに確認する
……早いな…
流石大企業の
「お、応戦しないとです! 何はともあれ、アビドスが攻撃されているのを見過ごすわけには……!」
「考えてる時間が惜しい、すぐに行こう!」
「で、ですが、私たちで撃退するにはあまりにも数が……いえ、とにかくまずは、市民の皆さんを避難させましょう! こんな大規模な攻撃……一体どうして、急に……」
「斥候が、もうこんなところにまで……」
「アビドス高校周辺に、カイザーPMCの兵を多数確認! すでに校内にもかなり侵入されています!」
「とりあえず、学校に侵入したやつからやっつけよう! アヤネちゃん、先生、お願い!」
「はい! 先生の安全を確保しつつ、学校に侵入した敵を撃退します! 校内の安全を確保した後は、市民の皆さんの避難を……!」
学校内に侵入してきた敵を撃破し
そうして何とか市街に辿り着けば、出迎えたのはやはり、数多の兵士を控えさせている
羽虫でも見るかのように、俺たちを見下している。
「ふむ…学校まで出向こうと思ったのだが、お出迎えとは感心だ」
「……これは何の真似ですか? 企業が街を攻撃するなんて……いくらあなたたちが土地の所有者だったとしても、そんな権利は無いはずです!」
『それに、学校はまだ私たちアビドスのものです! 進攻は明白な不法行為! 連邦生徒会に通報しますよ!』
「スカウトなんて、最初から嘘だったってこと? ……いや、それよりもホシノ先輩はどこ?」
「この悪党め……ホシノ先輩を返して!」
「……くくくっ、何を言ってるのやら」
「連邦生徒会に通報だと? 面白いことを言うじゃないか、今すぐにでもやってみたらどうだ?」
無防備に両手を広げながら、言い放った
「だが、君たちはこの状況について、今まで何度も連邦生徒会に嘆願してきたのだろう? それで、一度でも動いてくれたことがあったか?」
「…………」
「無かったはずだ。何せ連邦生徒会は今、動けないからな…いや、連邦生徒会でなくても良い…今までどこか他の学園が、君たちのことを助けてくれたことはあったか?」
1度たりともない…誰にも目もくれず…誰も助けようとしない…
「……そろそろ分かっただろう? 誰一人、君たちに手を差し伸べる者はいない。そして、アビドスの最後の生徒会メンバー、小鳥遊ホシノが退学した。アビドスの生徒会は、もう存在しないも同然。君たちはもう、何者でもない」
「…………!」
「公的な部活も、委員会も、生徒会も、自治区すらも無いアビドスは、学園都市の学校として自立・存続が不可能だと判断するしかあるまい……やれやれ、仕方ないな、この自治区の主人である我がカイザーコーポレーションが、あの学校を引き受けるとしよう。そうだな、新しい学校の名前は『カイザー職業訓練学校』にでもしようか」
「え……? な、何を言ってるの……!? 生徒会が無くても、アビドスには対策委員会がある! 私たちがまだいるのに、そんな言い分が通じるはずないでしょ!」
『…………それは』
セリカの主張は正しい…だがそれは対策委員会が正式に認められていたの場合だがな…
「…………アヤネちゃん?」
『対策委員会は、公式に許可を受けている委員会じゃない……』
「…………えっ?」
『対策委員会が出来た時には、もうアビドスには生徒会が無かったから……』
「え、えっ……!?」
「そうだ…所詮非公認の委員会、正式な書類の承認も下りていない。つまり、君たちの存在を示すものは何も無い」
「だが喜べ…アビドス高等学校が無くなれば、君たちはもうあの借金地獄からは解放されるのだからな」
「そんな、そんなことになったら、今までの私たちの努力が……」
「…………ほう、まさか本気だったのか? 本気で何百年もかけて、借金を返済するつもりだったと?」
「これは驚きだ…てっきり、最後に諦める時『でも頑張ったから』と自分を慰める言い訳をするために、ほどほどに頑張っているのだと思っていたが……いったい君たちは、どうしてあんなに努力していたんだ? 何のために?」
「あんた、それ以上言ったら……!」
「撃つよ」
「で、ですが……」
『……今ここで戦って、何かが変わるんでしょうか?』
「アヤネちゃん!?」
『今も、すごい数の兵力がこちらに向かって来ています……たとえ、戦って勝てたとしても……その後はどうすれば……? 学校が無くなったら、もう戦う意味がありません…学校をどうにか取り戻せたとしても、私たちにはまだ、大きな借金が残ったまま……』
『取引された土地だって戻ってきません…何より、ホシノ先輩もいない、生徒会も無い、こんな状態で……私たちみたいな非公認の委員会なんかに、これ以上、一体何が……』
ドカアアアアアアアン!!
「なっ!? き、北の方で大きな爆発を確認!」
「合流予定のブラボー小隊が巻き込まれて……!」
「何!?」
爆発する
爆発し、それによりまた爆発し……爆発は連鎖する
……大盤振る舞いだな、一体どれだけしかけたのやら…
「東の方でも確認! 合流予定だったマイク小隊も、大量のC4の爆発により壊滅状態です!」
「何が起きている!? アビドスの連中は、ここにいるので全員のはず…バァン!ぐぁっ!?」
「全く……大人しく聞いていれば、何を泣き言ばっかり言ってるのかしら」
こつ、こつ、こつ、と…
そんな、ハイヒールの音を立てながら…爆煙の中を歩いている人影がある…
「目には目を、歯には歯を…無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く……それが、あなたたち覆面水着団のモットーじゃなかったの?」
『あ、あなたは!?』
便利屋68…陸八魔アルの姿だった…
その彼女の立ち振る舞いは確かに、アウトローの姿だった…
「何をすればいいのか分からない、どうすればいいのかも分からない…やる事なす事、全部失敗に終わる…ここを潜り抜けたところで、この先にも逆境と苦難しかない……」
「だから何なのよ!!」
『え、えっ……?』
「仲間が危機に瀕してるんでしょう!? それなのに、くだらないことばっかり考えて、このまま全部奪われて、それで納得できるわけ!?」
「いやいや、アルちゃんその辺で勘弁してあげなよ…メガネっ娘ちゃんは繊細なんだから、こういう時もあるって」
アルの背後からひょっこり出てきたムツキは、作戦通り前衛なので問題はない
『ど、どうしてあなたたちが……!?』
「んー? ああ、やっぱ先生言ってないんだね」
悪わーるいんだ〜wと笑いながらムツキは言う…
「あはっ…!それにしても、私の可愛いメガネっ娘ちゃんを泣かした罪は重いよ? だからもうこれは……ぶっ殺すしかないよねっ!」
「ふふっ、ふふふふふ……準備はできています、アル様…仕込んだ爆弾もまだまだたくさんありますので……」
「先生…とりあえず計画通りだよ…」
「あぁ…よくやった…アル…それでこそアウトローだ」
「えっへへ//」
「あっアルちゃんがまたデレたw」
「……ふっ、ざけるな! シャーレ! こんなことをしてタダで済むと思っているのか!? 貴様の行為はいくら超法規的機関と言えど越権行為だ!」
どの口が言ってんだ
「……確かにその通りだ……お前の主張は、アビドス生徒会が消え、誰も管理する者がいないだからカイザーが引き受けるそういったものだったな」
「分かっているなら、尚更重罪だぞ! 正式に連邦生徒会へ抗議を……」
「対策委員会が本当に非公認ならな」
「……は?」
「誠に非常に残念な話だが……アビドス廃校対策委員会は、昨日付で連邦生徒会に認可された」
『…………え、えええっ!?』
「で、デタラメを言うなっ! 私が調べずにこんな事をしたとでも思うのか!? 有り得ない! 私は直前にデータベースの確認を……」
「ああ…どうやら連邦生徒会のネットの調子が悪かったらしくてなぁ…システムの更新が遅れてしまったようだ…だが…たかが一つの学園の部活動の表示反映が遅れただけだ、何も問題はないだろう…その数時間の間に侵略をするような
「き、さま……!」
「あっそうそう…確かこの状況にぴったりな言葉があるんだったな…」
「……ちょ、ちょっと待って! え、申請書は!? そんなの書いた覚えないんだけど!?」
「いいや、間違いなく書いたぞ……『署名』をな」
………この書類にみんなのサインを書いてくれ
「…嘘、あれのこと!?」
「……内容、間違ってなかったはずですけど……」
「さて、どうだったかな〜」
ノノミの言う通り、あれは正真正銘ただの受領書である…
あの書類は偽造ではなく、正式にシャーレとしての書類
「バカな……! 私が工作の痕跡を見落としただと……!? 有り得ん、そんな陳腐な作戦の見落としなど、有り得るはずが……!?」
「いや……お前は見落とした
「さて…無駄話も終わりだ…行くぞ…便利屋…ミッション開始だ」
さあ…カイザー理事…今度はこちらのターンだ…
破綻した計画の妥当な末路って言うやつを教えてやる
次回は黒服との会談とホシノ救出作戦の準備となります
お楽しみに
リンクス先生の大切な人『ステラ・エリン』をどのような登場させるか
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幻覚や幻聴として登場
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転生して『生徒』として先生と行動
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転生して『人間』として先生と行動