無名のリンクス 先生になる   作:雨垂れ石

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私は、AL-1S……いえ、アリスです


AL-1S

 

 

「それよりも、何か方法はあるのか?」

 

「えっへん!その為の準備だってもう出来てるんだから!」

 

「え?」

 

「そうなの!?」

 

 「何でミドリが驚くのさ!?……とにかく私達には切り札がある、その切り札を使って今回のミレニアムプライスに私達のゲーム!」

 

そうして、モモイは腕を組み、高々に自信を持った声で

 

「テイルズ・サガ・クロニクル2を出すんだから!

 

そう自信満々にモモイは言うが………

 

「売れてないゲームの続編とかもっと売れないのでは?」

 

「先生シャラップ!!」

 

「と、とにかく!前作よりもいい奴を作ってユウカにギャフンと言わせてやるんだから!!」

 

「その為にも!廃墟へ行こう!!」

 

「??????」

 

話に繋がりがないんだが?

テイルズ・ザガ・クロニクル2を作るのになぜ廃墟に行く必要がある?

 

「なぁ、モモイ……ゲームを作るのと、廃墟になんの関係が?」

 

「フフンッ…昔のミレニアム、ううん昔のキヴォトスには伝説的なゲームクリエイターが居たの、その人がミレニアム在学中に作ったのがG.Bible」

 

「詳しい内容は知らないけどその中には最高のゲームを作れる秘密の方法が入ってるんだって!」

 

「それってゴシップ情報じゃないの?」

 

「違うよ!G.Bibleはあるって!読めば最高のゲームを作れるようになるゲームの聖書は絶対にある!そのG.Bibleを読めば最高のゲーム……テイルズ・サガ・クロニクル2を作れるはず!」

 

「ふむふむ……ふむ?」

 

モモイの説明を聞き、怪しいと思いながらも少し気になっていた先生

ミドリがモモイを怪しみながら聞く

 

「お姉ちゃん、その廃墟って場所にG.Bible?があるって誰に言われたの?」

 

「その廃墟はヒマリ先輩曰く『キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まる、時代の下水道みたいな場所なのかもしれない』らしいの」

 

「ヒマリ先輩って、ヴェリタスのあの車椅子に乗った美人のヒマリ先輩?いつもRPGの賢者みたいに『私は何でも知っていますよ』って感じのヒマリ先輩が『かもしれない』って言葉を使うのも珍しいね……それくらい未知の世界なんだ……待って?」

 

「なによ」

 

「まさかとは思うけど……お姉ちゃんが『ここにG.Bibleがある』って言ったのはヒマリ先輩の言葉を聞いたから!?そ、それだけの理由で行くの!?危険すぎる!」

 

「それだけじゃないよ、ヴェリタスにG.Bibleの捜索を依頼したら座標を教えてくれたの。『最後にG.Bibleの稼働が確認された座標』をね、『その座標が指していたのは普通の地図には存在しない場所』だった」

 

「だとしても、先生はどう思っていますの?」

 

……生徒をそんな危険な所に連れていくのは気が引ける

だが、こいつらの部活のためにも行かないといけないのだろう……

 

「生身でそんな危険な場所に行くのは流石に了承できない」

 

「そ、そんな!」

 

「ただ、それでも行きたいのなら、1つ方法がある」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「わぁぁぁ!!すごいーー!!」

 

「こ、これが先生の……」

 

現在、俺は才羽姉妹をホワイト・グリントに乗せて、廃墟を探索している

元々一人用のコックピットの為、少々窮屈ではあるが、モモイ達の背丈ならギリ2人は入れる

ミドリは、初めての事なのか、少し震えているが

モモイは構わず興奮している

 

「とりあえず、一通り探索をして、怪しい所にマーキングしよう」

 

「お前たちの感覚でいい、好きな所を選べ」

 

「うーん、あっ!あっちなんか怪しいと思う!」

 

モモイがさしたのは、大きな工場だった

 

「あそこに行きたいのか?」

 

「うん!」

 

「わかった……」

 

ホワイト・グリントを着地させ、モモイ達を下ろす

工場内部へ入っていくと、まぁ当然ボロボロの内部

ホワイト・グリントを見つけた時といささか似ている気がするが

まぁ気にしないでおく

 

「うわぁ、ボロボロだ……」

 

「ほんとに、ここにあるの?」

 

「わかんない、けど探さないと分からないでしょ!」

 

前向きなモモイである

元々の性格なのか、またまた……

いやないだろうな、こういう子だ

 

モモイは、ある扉付近に近づき

その扉を眺めている

 

「この扉の先に何かありそう!」

 

その時だった……

 

《接近を検知》

 

「うわっ何!?」

 

目の前にある大きな扉から機械音声が聞こえてくる

まだここにも電源が入っている施設があるのか……

 

《対象の身元を確認します、才羽モモイ、資格がありません》

 

「え、え!?何で私の事を知ってるの?」

 

《対象の身元を確認します、才羽ミドリ、資格がありません》

 

「私の事も…一体どういう……?」

 

生徒の名前を知っている?

それに資格とは……?

 

《対象の身元を確認します》

 

《ネクスト ホワイト・グリントのパイロット》

 

《シャーレのリンクス先生、資格があります》

 

「えっ?先生には反応した?」

 

このシステム、ネクストとホワイト・グリントの名を………

いや、元々この廃墟でホワイト・グリントを見つけたからっと言いたいが……

それでも、本来このキヴォトスには無いはず、あってはならないものがあるというのに、なぜ知っている?

 

《よって才羽モモイ、才羽ミドリを、リンクス先生の『生徒』として認定、同行者である『生徒』にも資格を与えます》

 

《ゲートが開きます》

 

システムをそう告げ、扉を開く

 

足元の扉がな

 

「「うわああああああああああああ!?!?!」」

 

そのまま真っ逆さまに落ちていった

 

俺はすぐに、モモイ達を抱え

 

ズガンッ!!

 

壁を蹴り、勢いを殺しそのまま着地する

 

「大丈夫か?2人とも」

 

「大丈夫です、ありがとうございます」

 

「うん、大丈夫!それにしても先生すごい身のこなしだね」

 

「まぁ、運動神経がいいだけだよ……」

 

AMSの手術したお陰なのか、身体の反応速度と運動神経が上がっている

それとも……

いや今はやめておこう

 

「まさかドボンするとは……ムービー中のQTEは禁止のはずでしょ!」

 

「最近やったゲームの文句言わないで、お姉ちゃん。それに、そんなに深いところまで落ちたわけじゃないみたい」

 

「…………」

 

確かに、モモイ達を抱えて壁を蹴って着地した間の時間は短かった……

 

「しかし、ここって一体……」

 

「どうしたの?お姉ちゃ……」

 

モモイとミドリが黙る

2人ともある場所を見つめて固まっている

俺も、モモイ達の向いているところを見ると……

 

椅子に眠るように座る、少女がそこにいた

 

「女の子?」

 

「……返事がない、ただの死体のようだ」

 

「不謹慎なネタ言わないで! それに死体っていうか……ねえ、見て、あの子……『電源が入ってない』みたいな感じがしない?」

 

「うーん? 確かに言われてみれば、何だかマネキンっぽいね、どれどれ……」

 

そうモモイが近寄ろうとするが……

 

「まて、モモイ、無闇に近づくな」

 

好奇心旺盛なモモイが思わず近付こうとしたところを手で制して止めると、彼女は不思議そうに俺を見た

 

「え? なんで? 普通逆じゃない?」

 

「……何かがあった時、全て防ぐだけの力がシッテムの箱にはある、お前達より防御力は上だ」

 

PAほどでは無いがな……

 

『あっ先生!今失礼な事考えましたね!』

 

いやなんでわかるんだよ、でも事実でもある

常時展開の自動回復付きのPAと長時間の展開のできないエネルギー制限のあるシッテムの箱と比べれば天と地の差だ

いやまぁネクストの技術がおかしいだけの話なんだけど

 

「…………」

 

取り敢えず全員を下がらせた上で、俺は彼女が眠る所へ近づく

……近付いただけでは、特に反応はしなかった

そして、呼吸をしていない

見る限りでは、やはり人形なのか?

関節部分に継ぎ目が見られないという、人形らしからぬ精巧な作りではあったが……

 

「どう先生?起きた?」

 

「…………いや、反応は無い椅子の近くに端末もあるが、機能していないようだ」

 

そうして端末を見てみる

見た目だけならば、普遍的なモニターとキーボードが埋め込まれた端末だが……そのモニターはひび割れており、長い間使われていないことは把握できた。

試しにキーボードに打ち込んでみたが、反応は無い

この少女と連動している様子もない

 

「……これから本体に触れる」

 

「おぉ……なんかそこはかとなく──」

 

「やめてお姉ちゃん、真面目なシーンだから」

 

慎重に、いつでも退けるように備えながら、俺はその少女の頬に触れた

 

頬に触れて数秒経ったが……

 

「……変化は見られない、肌の質感は……人形よりも人間に近い、が」

 

呼吸こそしていないが……それ以外で、生きていないことを判別することが難しい

皮膚の表面温度は冷たいが……無機質な冷たさではないことが俺にそう思わせるのだろうか

 

「ねえ先生、もう近付いても良い? もっと近くで見たい!」

 

「それに……その、そのままじゃ可哀そうなので。服でも着せてあげたいです」

 

「……そうだな」

 

ミドリに言われて、改めて確かに、絵面としてはかなり危険であることに気が付いた

裸体の少女に触れる大人

いくら人形とは言え、これ以上の接触は控えるべきか

俺にはこういうのは全くわからないが、ステラが言ってた気がする……

 

『女性の身体はデリケートなんだよ!』

 

って言ってた気がする、よく分からなかったが……

なんせ戦う事しか学んでないからな……

 

「あぁいいぞ、けど警戒は緩めるなよ」

 

「やったー! どれどれ……」

 

「へー、すごい、肌もしっとりしてるし柔らかい……」

 

そうして、モモイは近付いてすぐさま、人形をぺたぺたと無遠慮に触った

……警戒という言葉を知らんらしい

と、そこで……

 

「ん、あれ?先生、ここ、文字が書かれてるよ」

 

モモイは椅子に刻まれた文字を見つけたらしい

この人形の名前……ということだろうか。

モモイは恐らくはその文字列であろう場所を指でなぞりながら、そのまま辿々しく読み上げる

 

「AL-IS……アル、イズ……エー、エル、アイ、エス? んー、どう読むんだろ……アリス、とか?」

 

「ちょっと待って、これよく見ると全部ローマ字なわけじゃなくて……

AL -1Sじゃない?」

 

「えー、そう?」

 

かりにくいが『AL-1S』が正しいようだ

しかしこれは、人形の名前や作品の名前と言うよりも『型番』に近いだろう

ネクスト、のような

人間ではなく……兵器につけるような……

 

「ていうかミドリ、予備の服なんて持ってきてたんだ……ってそれ私のパンツじゃん!」

 

「違うよ、これは私の、猫ちゃんの表情が違うでしょ……よし、これでいいかな」

 

俺が考えている間に、どうやらミドリによる人形の着せ替えは終わったらしい

彼女の着替えというだけあって、緑色がアクセントとして加えられた制服である

 

……同じ服を複数持っているのか、と思ったが、制服であれば何ら不思議ではない、のか?

 

「いったいこの子は……それにこの場所、どう考えても普通じゃないよね」

 

「この子に聞いた方が早いんじゃない?」

 

「それはそうだけど、この子が起きなきゃできないでしょ。もちろん、それができれば一番……」

 

と、ミドリが人形の方を見て、その言葉が終わるその瞬間だった

 

眠っていた少女は、ゆっくりと目を開けた

体を起こし、周りをキョロキョロ見渡したあと、俺の方を見た

そして、俺の頬をペタペタと触れている、まるで赤ん坊のように

 

「俺の顔に何かついているのか?」

 

「……状況を…確認、難航」

 

「?」

 

「会話を……試みます、説明を、お願いできますか?」

 

「説明と言われてもな……君は誰だ?ここは一体なんだ?」

 

「本機の自我、記憶、目的が消失状態にあります…本機の名称について、答える事はできません」

 

「あなたの……名前は?」

 

「……リンクス」

 

「……リンクス、登録」

 

「うわ、すごい。ロボットの市民ならキヴォトスによくいるけど、こんなに私たちに似てるロボットなんて初めて」

 

俺の側まで再び歩いて来たモモイは、少女のことを『ロボット』と評した

ロボット……機械、あるいは兵器、なのか。

 

「……『接触許可対象』とは、俺たちのことか?」

 

「回答不可、本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定されます」

 

「…………どうする」

 

「うーん……工場の地下、ほぼ全裸の女の子、おまけに記憶喪失。……ふふっ、良いこと思いついちゃった」

 

「いや、今の言葉の羅列からは、嫌なことしか思い当たらないんだけど……」

 

「ねえ、先生、ちょっと相談があるんだけど」

 

「……なんだ」

 

「持ち帰っても良い?」

 

「…………」

 

っと唐突にモモイがそう告げる

 

「連れて帰ってどうする?」

 

「そりゃ〜、部員にするよ?」

 

「……はっ?」

 

「い、色々も大丈夫なの?」

 

「大丈夫でしょ!ね!『アリス』!」

 

「ア……リス……?」

 

「あなたの名前だよ、アリス! よろしく!」

 

「……本機の名称、『アリス』確認をお願いします」

 

「ちょ、ちょっと待って! それお姉ちゃんが勝手に読んだ名前でしょ!? 本当ならAL -1Sちゃんなんじゃないの?」

 

「そんなに長いと呼びにくいじゃん。どう、アリス? 気に入った?」

 

「…………」

 

少女は……

AL -1Sと思われる機体は、少し考え込むようにして目を瞑ってから、にっこりと笑って

 

「……肯定、本機、アリス」

 

どうやら、気に入ったらしい

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「わー!!それは食べちゃダメ!クソゲーの中でも神ゲーの部類に入っている貴重な物だから!」

 

「ぺっしなさい、ぺっ!」

 

「ぺっ!」

 

「ぺっ!ってしたカセットが壁に埋まった!!」 

 

あれから、アリスをミレニアムまで連れて帰ってきたが……

アリスは部屋に入り座った後、近くにあった物を手当たり次第に口に入れていた

ゲームのリモコンや雑誌、ゲームの円盤などお構いなしに食べようとしており、モモイ達が止めようとしている

まるで赤ん坊の用だ、産まれたての……

 

「……で、結局どうするつもりなんだ?」

 

「? どうするって?」

 

「アリスはミレニアムの生徒ですらない、このままアリスを部員にしたって、学生証がなければユウカに疑われて一瞬でバレるぞ」

 

「まぁ、学生証については、私の方で何とかするよ!」

 

「すごい自信だな……」

 

「ミドリ先生は、アリスに話し方を教えてあげて!」

 

「は、話し方?」

 

「今のままだとレイヴン先輩が言った通り、疑われちゃうかもしれないから……もし、何かの拍子にユウカに『本当にゲーム開発部なのか』って聞かれたとして……」

 

『肯定、あなたの質問に対し、アリスの回答を提示、私はゲーム開発部の部員』

 

「……なんて言っちゃった暁には、全部台無しになりかねない」

 

「それはそうだけど………はぁ、仕方ない、やれるだけやってみるよ」

 

「よし、じゃあ任せた!」

 

モモイは俺達に丸投げして部屋から勢いよく飛び出して行った

 

「信用していいのかダメなのか………いや、今はとりあえず口調を整えるために何か資料を…」

 

そうして、ミドリはパソコンを開き、教育用のプログラムを調べている

俺は床に散らばったカセットやペットボトルだらけの部屋を掃除をする

ていうかいつもこの散らばり具合なのか?

 

「……? 正体不明のものを発見、確認を行います」

 

「ん? あっ、そ、それは……っ!?」

 

「……雑誌?」

 

「……はい、ちょっと恥ずかしいんですけど、実はその中に、私たちが作ったゲームが載ってるんです……まぁ、すごい酷評されちゃったんだけどね」

 

「……作っただけ凄いじゃないのか?」

 

「あはは……そう言って頂けると………いや、クソゲーランキング1位にはなっちゃったけど、アリスちゃんがどう思うかは分からないし……」

 

「……ミドリ?」

 

「アリスちゃん、私たちのゲーム……やってみない? 会話をしながら進められるから、ゲームをやってみるのも勉強になるかも」

 

「……? ここまでの言動の意図、完璧に把握しかねます……しかし………肯定、アリスはゲームをします」

 

「ほ、本当に!? ちょ、ちょっと待ってて、すぐにセッティングするから!」

 

ミドリは急いでゲームをセッティング、俺も様子を見る為に座る

アリスは何故か俺の膝に座って来たんだが……

 

「よし、準備完了!」

 

「………アリス、ゲームを開始します」

 

「タイトルから分かるかもしれないけど、このゲームは童話テイストで、色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの」

 

《コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた……》

 

「……?」

 

「えっと、王道とは言っても、色々な要素を混ぜてたりするんだけどね。トレンドそのままでもダメだけど、王道に拘り過ぎても古くなるからってことで」

 

「…………ボタンを押します」

 

《これよりチュートリアルを開始します》

 

《まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください》

 

「Bボタン……」ポチッ

 

ドカアアアン!!

 

「「??????」」

 

今、アリスはちゃんとBボタン押したよな?

 

<GAME OVER>

 

「!?!?」

 

「え……終わり?」

 

「あはははははっ! 予想できる展開ほどつまらないものはないよね! 本当はここで指示通りじゃなくて、Aボタンを押さなきゃいけないの!」

 

「お姉ちゃん……? 学生証を作りに行くって言ってなかった?」

 

「行ってきたんだけど、遅い時間だったからか誰もいなかったの。また明日行くことにするよ……それはさておき、あらためて見てもこの部分はちょっと酷いと思う」

 

「酷いというか、意味が分からなかったんだけど」

 

いや酷いなんて物じゃねえだろ

俺もアリスも理解が追いつかなかったぞ

 

「…………も、もう一度始めます……再開……テキストでは説明不可能な感情が発生しています」

 

「あっ、私それ分かるかも! きっと興味とか期待とか、そういう感情だと思う!」

 

「ポジティブな思考……手伝おうか?」

 

「い、いえ、これは…アリスがやると決めたことなので」

 

「分かった……」

 

ゲームを開始してから2時間が経過

 

「……電気処理系統、及び意思表示システムに致命的なエラーが発生……」

 

「頑張ってアリス、ここさえ乗り越えれば待望のクライマックスだよ!」

 

ゲーム開発部が作り出したゲーム、テイルズ・サガ・クロニクルははっきり言ってクソゲーを超えたバカクソゲーだった

 

「……質問、どうして母親がヒロインで、それでいて実は前世の妻で、さらにどうしてその妻の元に、子供のころに別れたきりの腹違いの友人がタイムリープしてきているのか……………………エラー発生、エラー発生!」(泣)

 

「前世の妻が今の母親でヒロインで、その母親に子供…あれ違う、前世の妻の子供……タイムリープ…で………」

 

「が、頑張ってアリス!クライマックスまでもう少しだから!」

 

さらに数分後、ついにアリスはゲートをクリアした

 

「すごいよアリス! 開発者二人が一緒とはいえ、三時間でトゥルーエンドなんて!」

 

「そ、それもそうだけど……もしかして、本当にゲームをやればやるほど、アリスちゃんの喋り方のパターンがどんどん増えてる……!?」

 

「……勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう」

 

「ほら、やっぱり!」

 

……機械的は無くなったとは言え、なんか悪化している気がする

 

「うーん……確かにそう、かも?」

 

「ゲームからそのまま覚えたせいで、ちょっとまだ不自然だけど……言葉を羅列してただけの時よりは、かなり良くなったと思う! 先生もそう思うでしょ?」

 

「…………まあ……」

 

なんも言えんな……

 

「と、ところでその………こういうのを面と向かって聞くのは、緊張するんだけど……」

 

「……?」

 

「「わ、私たちのゲーム、面白かった!?」」

 

「……………説明不可」

 

「え、えぇっ!? なんで!?」

 

「……類似表現を検索……ロード中」

 

「も、もしかして、悪口を探してる……? そんな事無いよね……?」

 

「……面白さ、……それは、明確に存在……」 

 

「おおっ!」

 

「プレイを進めれば進めるほど……、まるで、別の世界を旅しているような…………夢を見ているような、そんな気分…………もう一度……もう一度…………」

 

アリスはコントローラーを放さずじっと見つめる、すると

 

「……」ポロッ

 

アリスの目から涙がこぼれ落ちた

 

「えぇっ!?」

 

「あ、アリスちゃん!? どうして泣いてるの!?」

 

「決まってるじゃん! それぐらい、私たちのゲームが感動的だったってことでしょ!」

 

「い、いくらなんでもそれは……」

 

「ありがとうアリス! その辺の評論家の言葉なんかより、その涙のほうが100倍うれしいよ!」

 

ガチャ……

 

モモイそう言ったあと、ロッカーが開きそこから1人の生徒が出てくる

 

「ユズ……?」

 

「……ちゃ、ちゃんと、全部見てた」

 

「ユズ!」

 

「ユズちゃん、あれだけ探しても見つからなかったのに! いつからロッカーの中にいたの?」

 

「み、みんなが、廃墟から帰ってきた時から……」

 

「三時間以上前じゃん!? その時からずっとロッカーの中にいたの? あ、もしかしてアリスちゃんが怖かったから?」

 

「え、えと、それもだけど、どっちかって言うと、先生?が怖くて……」

 

怖いか……

アルに言われたように、様々な修羅場をくぐり抜けた目をしていると言われたことがある

だが自分ではそういった感じはしない……

 

「えっと、あの、その……あ、あ、あ……」

 

「あ……?」

 

「……ありがとう、ゲームを、面白いって言ってくれて……もう一度やりたいって言ってくれて……」

 

「……泣いてくれて…………本当に、ありがとう」

 

「?????」

 

「面白いとか、もう一度とか……そういう言葉が、ずっと聞きたかったの」

 

ユズはアリスの手を握りながらそういい、アリスはキョトンとしながらそれを見ていた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あらためまして、……ゲーム開発部の部長、花岡ユズです、この部に来てくれてありがとう、アリスちゃん……これからよろしくね」

 

「よろ、しく……? ……理解、……ユズが仲間になりました、パンパカパーン!……で合ってますか?」

 

「あ、うん、大体そんな感じ、かな」

 

「ふふっ、その様子だと、本当に私たちのゲームを楽しんでくれたんだね」

 

「RPGを面白いって思ってくれたなら、私がおすすめのゲームを教えてあげる」

 

「ちょっと待ったぁ! アリスにおすすめするのは私が先!良質なゲームをやればやるほど話し方も自然になって、私たちの計画の成功率も上がるんだし!」

 

「……ゲームの種類は多い、俺も手伝おう」

 

「……わかりました、アリス、ゲームを再開し、色々と教わります」

 

それからしばらく俺は、ゲームをやるアリスに付ききっきりで部室に残り、アリスと一緒にゲームをしていた

 

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……

 

「うわっ、アリス、読むスピード早くない……? 会話が出力されるとほぼ同時に読み終わってるみたいな……」

 

「アリスちゃん、次は伝説のオークバトルやろう! ターン制バトルの面白さを教えてあげる!」

 

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……

 

2時間後

 

日も暮れ、時間帯は深夜となっている

モモイとミドリ、ユズは寝落ちしているが

それでも、俺とアリスは起き、ゲームをしている

普通の人間なら、寝てしまうかもしれないが

いかんせん俺は普通の人間ではないから、1日ぐらい徹夜しても問題は無い

ユウカに知られたら怒られるだろうな……

 

「……クリア…………?」 

 

と、ここでアリスは、クリアしても次のゲームが供給されなくなったことに違和感を抱き、キョロキョロと周囲を見渡して、そこでようやく三人が眠ったことに気付いたらしい

それから唯一起きていた俺を見て、

 

「……クリアしました」

 

と、言った

 

アリスが何を求めているのかは定かじゃないが、取り敢えず無視するのも何なので、私はひとまず同意しておくことにした

 

「……そうか、良かったな」

 

「はい」

 

「面白かったか?」

 

「はい、敵を倒すだけでなく、戦力を維持するには資金が必要で、その資金は民衆からの寄付金を集める必要がありました」

 

「そのため、民衆からの支持率が低くなるようなこと……例えば都市を戦場にしてしまったり、過剰な戦力で一方的に勝ってしまうようなことを避けながらプレイするのが面白かったです」

 

「……そっか」

 

とりあえず、モモイ達の傍にあったゲームを適当に選び、アリスに渡す

 

「……先生は、ゲームをやらないんですか?」

 

「……俺は、ビデオゲームはやったことが無い」

 

「それをやれる程暇な世界から来たからな……」

 

「では、アリスと一緒にやりましょう」

 

「このゲームは協力プレイができるゲームです、先生もやりましょう」

 

「……わかった」

 

そうして俺も、アリスと一緒にゲームをやるのであった

ゲームをしている時のアリスは、とても楽しそうにしていた

 

 




fAの世界ってビデオゲームって存在しているのかね?
とまぁ、アリスの登場です
これからどうなるか、アリスはどのように成長するのか……
楽しみですね
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