無名のリンクス 先生になる   作:雨垂れ石

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約束された『勝利』


コールサイン 00

 

 

「ううっ! アリスが連れていかれちゃった!」

 

「落ち着け、計画通りだ」

 

「アリス……待ってて、すぐに助けてあげるから!」

 

「まさか一撃とは…………でもまぁ、これで一つ目の仕掛けは、上手く行った感じかな」

 

モモイ達の作戦、それはアリスとヴェリタスの部員たちが陽動作戦を行っている間、セミナーの鏡がある場所へと正面突破を試みるという物

どうにも不安しかないが、まあ進むしかないのだろう……

 

「ここまでは計画通り……先生、準備のほうは」

 

「いつでも行ける」

 

「なんとしてでも成功させようね……犠牲になったアリス達のためにも」

 

「いや誰も死んでないからねお姉ちゃん!」

 

「ほら、ボサっとしてねぇで早く行くぞ」

 

「よーし!モモイパーティ……セミナーダンジョン攻略へ…いざ行かん!!」

 

「……はぁ……………」

 

本当に、セミナーを襲撃している雰囲気なのか?

まぁ、気が晴れるから別にいいけどさ……

 

そうして、モモイパーティ一同は、セミナーへとまっすぐ進んでいく

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「先生、お姉ちゃん、ハレ先輩から連絡!アカネ先輩を閉じ込めるのに成功したって!」

 

「指紋認証システムも正常に作動したな」

 

ヴェリタスの部員の一人マキとエンジニア部のコトリ、この二人が囮となりメイド部のアカネを閉じ込める事に成功

 

そして最初、アリスがセミナーを襲撃した際にヴェリタスが指紋認証システムをハッキング、これで先生達は堂々と中を走れるようになった

 

「これで生徒会の役員達も動けなくなった……今、このタワーの中で動けるのは私達だけ!」

 

「本来のエンジニア部製よりほんの少しだけ弱そうに見える、最新型のセキュリティ……上手く行ったみたいだね」

 

「名前を隠してたし、多分あれもエンジニア部製だとは思わなかっただろうねその辺の塩梅も、さすがはエンジニア部!」

 

「よし、じゃあ堂々と入っちゃおう!」

 

モモイ達は先へと進んでいく、進んでたどり着いたのは、外の景色がよく見れる通路へとたどり着いた

 

そう、警戒しながら歩いていた時……

 

『伏せて!!』

 

「……ッ!!モモイ!!ミドリ!!」

 

ドカアアアン!!

 

モモイとミドリを掴み、地面に伏せた直後

窓から対戦車ライフルの弾丸が飛んできたが……

 

また聞こえた……ステラの声だ……

ステラのおかげで何とか回避出来だが……

一体どうしてわかったんだ……ステラがここにいる訳でもない……

 

いやそれよりもだ……

あのライフルは、『ボーイズ対戦車ライフル』

 

大昔に起きた戦争の前に作られたとされている、かなり古い銃だ

このキヴォトスではそう珍しくもないだろうが、俺にとってはオーパーツ級の代物

よく、コロニーにあった図書館で読んだ記憶がある

 

あれを喰らえばいくらキヴォトス人でも、タダじゃすまない

……潰しとくか

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……避けたか、さすがシャーレの先生だな」

 

「しかし、あの距離からどうやって察知したんだ?」

 

「……あの兵器を操縦しているほどだ、相当の実力者だろう」

 

先生達がいる所から、反対側の建物に

コールサイン02『角楯カリン』が人身の愛銃『ホークアイ』を持ち

先生達がいる方に向けて何発も撃つ

 

「だが、いくらあの先生でも、生身ではどうする事も……」

 

先生達がいる建物の屋上に謎の光が見えた

 

「なんだ、あの光、照明でもな……」

 

ドカアアアン!!

 

カリンのいる建物にレーザーが撃ち込まれ、建物の一部が崩落した

 

 

 

コールサイン02を無力化

 

「……」

 

「(なぁアロナ……)」

 

『どうしましたか、先生?』

 

「(本当に破壊天使砲の出力下げたんだよな?)」

 

『はい、30%の出力でやりましたが……』

 

……破壊天使砲はやりすぎだったか?

オーメルのレーザーバズーカで良かったか……

 

「せ、先生……今のは一体?」

 

「ネクストを遠隔操作してスナイパーを無力化した、進むぞ」

 

「う、うん」

 

「このまま行けば鏡の場所に行ける!ダンジョン完全攻略まで目前だ〜〜!」

 

「油断しちゃダメだよお姉ちゃん」

 

「大丈夫大丈夫♪ だってシャッターは……」

 

ドカアアアン!!

 

「えええッ!? なになに、地震!?」 

 

「もう!!お姉ちゃんがフラグ立てるからじゃん!」

 

「急ぐぞ……多分、アカネが強引に抜け出して来た……」

 

爆弾を使ってこじ開けるとはな……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

閉じ込められていたアカネは自分が所持していた爆弾を使い、強引にその場から抜け出した、アカネの近くにはコトリとマキが目を回していた

 

「ふぅ、あまり学校の施設を壊したくないのですが……ユウカ、申し訳ないですがシャッターは無理矢理破壊しました……ゲーム開発部の現在の位置は?」

 

 

『…………』

 

「ユウカ?」

 

『はっ!ごめんなさい』

 

「その様子からして、カリンは負けたのですね」

 

『えぇ、カリンがいる所に謎のレーザーが撃ち込まれて、その建物が崩落したわ』

 

「……えっ?」

 

『……多分、あれをできるのは先生の機体ぐらいしか』

 

『今、鏡を守っている差押品保管所の方に向かっていると思うわ………お願い、なんとか……』

 

次の瞬間…このフロアの全ての明かりが消えた

 

「あれ、ユウカ?ユウカ!」

 

アカネが呼びかけるが、返答は返ってこなかった

 

「まさか、電力と電波を遮断して……!?」

 

その回答に思い至ったアカネは元々焦っていた顔からさらに焦った顔を見せる

 

「くッ……ここまでするとは……!……停電といい先生も、なんなんですか!!……ああもう……なんでこんな時にあの人はいないんでしょう」

 

今ここにいないリーダーに対し、アカネは愚痴っていた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さっきの停電ってウタハ先輩とヒビキの策が成功したって事だよね?」

 

「うん、そのはず……確か、このポイントを抜ければ……」

 

「流石はエンジニア部だ、準備ができたら一気に行くぞ」

 

「うん!ここまで来たら誰も……」

 

「あ!やっと来たね!!」

 

「お姉ちゃんもうフラグ建てないで!」

 

「別に建てたくて建てたわけじゃないってば!!」

 

モモイ達の前に立ちはだかったのはコールサイン01 『一之瀬アスナ』

 

「遅かったね~、だいぶ待ってたよ~ようこそ、ゲーム開発部の子達!それから先生!」

 

「来るのが遅いから寝ちゃう所だったよ〜」

 

「でも、ここまでみたいだね」

 

「えぇ、チェックメイトです」

 

奥から、さらにアカネとユウカがこちらに歩いてくる

 

「うッ……ユウカ!」

 

「久しぶりね、取り敢えず、ここまで状況を引っ搔き回した事については褒めてあげる、ここまで手を焼くなんて、本当に驚いたわ」

 

「フフン♪そうでしょそうでしょ?」

 

「先生が色々やってくれたおかげだけどね」

 

「うっ」

 

「先生も……本当に色々やってくれましたね」

 

「俺は別に乗り気ではなかったけど……」

 

「とにかく、こんなありとあらゆる方法を使ってセミナーを襲撃するなんてやり過ぎよ、猶予を与えた事といい、ちょっと甘過ぎたのかしら」

 

ユウカは銃のセーフティを外し、3人に銃口を向ける。

 

「もう悪戯じゃ済まされないわよ、無条件の1週間停学か、拘禁くらいは覚悟しなさい」

 

「停学!?…拘禁!?」

 

「そんな……1週間だと……ミレニアムプライスが終わっちゃう!」

 

その程度なのか、と思う。

これだけ派手にやったのに、より重い処罰を下されても文句は言えないような事件であるにも関わらず

とは言え、一週間の拘禁でさえゲーム開発部にとっては死活問題だ

ミレニアムプライスに出展するための作戦によって参加できなくなるようでは、元も子もあるまい

 

「アリスちゃんも、今は反省部屋に入って貰ってるわ、1人だけで可哀想だったけど、あなた達が来ればきっと喜ぶでしょう」

 

「うぅ……!」

 

「先生も、抗議文ぐらいは送らせてもらいますよ」

 

「……まぁ、別にいいけど」

 

「ここで、本当に……? 嫌だ……っ!」

 

「お姉ちゃん……!」

 

「ごめん、ごめんね先生……先生は色々助けてくれたのに、私たちの力不足で……私たちのせいで……!」

 

『詰み』の状態に陥ったと思い込んでいるモモイとミドリは、瞳を潤ませて今にも泣く寸前だ

……彼女たちの行いは正しいものではないが、しかしなんだろうな

彼女達の泣いている姿を見ると不思議とこいつらを守らないといけない気持ちが一段と増す

本来であれば、彼女たちはこんな思いをせずに済んだのだから

 

「……諦めるのか?」

 

「諦めたくない、けど……もう無理だよ、C&Cとセミナー……どっちもミレニアムでトップレベルに強力な二大勢力、こんな状況で、いったいどうしたら……!」

 

「……ユウカ」

 

「……なんですか?」

 

「最も警戒すべき人は誰かな?」

 

「……それは、先生ですよ」

 

「……なら」

 

「その先生が何をできるか、今一度知っておいた方がいいかもな」

 

「何を言って……」

 

俺はモモイとミドリを地面に伏せさせ、その瞬間

 

 

ドカアアアン!!

 

 

ユウカ達の居るとこに、破壊天使砲のレーザーが撃ち込まれた

今度は出力を10%にしているからは建物は崩落しなかった

 

「えっ?えっ?」

 

「これでわかっただろう、俺が何をできるか」

 

シッテムの箱を経由してのネクストの遠隔操作

ほとんどアロナが操作しているが、指示しているのは俺なので実質的に俺が操作していると言える

 

「あぁ、そっか聞こえないんだったな」

 

「まぁいい、とりあえず進むぞ」

 

「う、うん」

 

破壊天使砲を直撃はしてないとはいえ、着弾地点の近くにいたユウカ達はその衝撃波で気絶している

 

俺達はその隙に、鏡の場所へと走っていく、途中いつの間にか抜け出していたアリスとも合流し鏡のあるとされている部屋の前にたどり着く

 

「フッ!!…んぬぬぬぬぬぬぬ〜〜だめだ、しまっちゃってる」

 

「モモイ、離れてろ」

 

ズガンッ!!

 

 

扉を蹴り飛ばす

ホシノ時にもやったが、今回は普通の扉だったから余裕で空いた

 

「行くぞ」

 

「う、うん」

 

「(ねぇ、扉ってあんなふうにへし曲がるっけ?)」

 

「(……アリスちゃんのスーパーノヴァを蹴り上げる程だから、まぁ扉は……)」

 

「(それでも納得は出来ないけど……)」

 

「(アリス知ってます!先生はいわゆるチートキャラですね!)」

 

「(うーん、否定できないのがなんとも……)」

 

扉が開き、モモイ達は入っていく

 

「あれでもないこれでもない……鏡どこ!?」

 

「鏡が入っているUSBは…」

 

「これじゃないよね」

 

「流石にそこまで大きいのでは………!」

 

中に入ったモモイ達が鏡を探していたその時

 

「ん?」

 

ふと外から気配を感じた……

誰かこっちに近づいてきてる?

 

「先生?どうしましたか?」

 

「……みんな、静かに」

 

……この気配、只者じゃない

C&Cか?

いやでも、あいつらは4人だ、1人は建物ごとだし、2人は、破壊天使砲の爆風で気絶していた……

だとすると………

 

「……まずいな」

 

「C&Cのコールサイン00『美甘ネル』が近づいている」

 

「えっ嘘ぉ!?」

 

「ネル先輩って今日は不在じゃ!?」

 

セミナーが襲撃されたから戻ってきたのだろう

しかしまずいな、逃げようにも今から出たら各自にバレる

だからといってこの部屋に隠れる場所は…… モモイ達はいい、俺が隠れる所が……

 

「………」

 

モモイ達を近くにあった箱に押し込む

 

「えっちょ?先生!?」

 

「そこでジッとしてろ」

 

「えっでも先生は!」

 

……来た

自分のコートをモモイ達に被せ俺も隠れる

 

 

「……なんだこれ、ドアがぶっ壊されてやがる……ドアがあんなふうにへし曲がることなんてあるか?」

 

そうして、ネルは部屋へと入っていく

 

「……荒らされてんな、間違いなくここに誰かがいた……が、姿が見えねぇな……てかなんだこのでっけえ武器」

 

「……そこか」

 

そして一番隠れている可能性が高い場所を見つけ、愛用の銃であるダブルSMG、ツイン・ドラゴンを構えて叫ぶ

 

「おい、そこに隠れてんだろ……出てこい!」

 

(ヒィッ!?)

 

(声抑えて!……うぅ怖い)

 

(あ、アリス知ってます……あれは、ヤンキーです)

 

(いや、ヤのつく裏の方の人かも)

 

(それだけは絶対にないよ!)

 

「……机の下なんかに隠れたりはしねぇか、本当にどこだ?」

 

モモイ達は箱の中だが、先生はどこに隠れたのだろうか

そう、部屋の角に張り付いている

自身の力で何とか張り付いている状態

上を見られたら即終了である

 

「ッチ、気配はすんのに場所がわからねえ」

 

(さ、流石に先生が部屋の角に張り付いて隠れているなんて誰もわかんないよね!勝った!パヴァーヌ編•完!)

 

(あっ、モモイ、そのセリフはフラグというのでは)

 

「まさかとは思うが……地面の中か?それとも、天井か?」

 

(ヤベ)

 

(お姉ちゃんもう喋らないで)

 

(今回ばっかりは仕方ないじゃーーん!!)

 

そうして、ネルは天井を見ようとした時

 

「あ、あの!」

 

「あん?」

 

「ね、ネル先輩! 大変です!」

 

その音の主は、ゲーム開発部・部長のユズだった

 

「アンタは……?」

 

「せ、セミナー所属のユズキです!今、戦闘ロボットが暴走していてあちこちが滅茶苦茶なんです! カリン先輩、アスナ先輩が制圧を試みていますが……」

 

「なんだよ、暴走か?アレを差し押さえたのなんか随分前だろうに、まだ整備が終わってねぇのか……」

 

「状況的に助けが必要かと思い……それで、ここにいらっしゃると聞いたので……」

 

嘘である、ロボット達は暴走なんてしておらず、ユウカ達は破壊天使砲で気絶しているが、今ここにきたネルはそれを知らない……これは賭け、ユズは勇気を振り絞ってネルをはめていた

 

「仕方ねぇな。場所は何処だ?」

 

「あ、ありがとうございます! 場所は2Fの……Bブロックでだったはずです……」

 

「結構広いが……まぁ、アタシが気にする事じゃねぇな、アンタはどうするんだ?」

 

「わ、私は此処の整理をします。そ、その……戦闘は怖くて……経験もあまり無いですし……」

 

戦闘に参加しないと聞いたネルは『そうか』と呟き、ドアのない入り口まで歩いていき……そして、振り返った

 

「アンタ、覚えておきな。戦闘で一番大事なのは、武器でも経験でもねぇ、度胸だ」

 

「度胸……」

 

「その点で、アンタに素質が無いとは思わねぇ、自分がどう思われているかくらい、アタシにも分かってる、アンタが結構ビビりな事も、まあ見てれば分かる、それなのに、初対面のアタシに声を掛けるのは、度胸がないとできない事だろうからな」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

「じゃあな、またどっかで会おうぜ」

 

ネルは部屋か出ていく、ユズは気が抜けたように力が抜けて座り込む

 

「ユズ!」

 

「ナイスだよ!ユズ!!」

 

 「よくやった、ユズ」

 

「いえ、私は……えへへ」

 

「よし!これで心置き無く鏡を探せるね!!」

 

そうして、モモイ達は無事鏡を見つけ、この出来事はモモイ達の勝利で幕を閉じた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「………なるほどな」

 

呟き、ネルは背中を柱に預ける

そんな彼女の眼前には3名全員のエージェントが揃っていた

 

部長たるネルが不在の間に受けたセミナーからの依頼

その報告と情報共有。全てを聞き終えた彼女は微妙な表情を浮かべて

 

「ゲーム開発部か、知らねぇ部活だったが……そいつらにしてやられた、って事だな?……ついでにシャーレの先生にも」

 

「……申し訳ありません。この依頼を受託して、作戦を準備したのは私です。メイド部の名に、C&Cの戦果に傷をつけてしまいました、罰は何なりと」

 

「……んなこたぁどうでもいい」

 

ネルが失敗したアカネ達を責めるわけでもなく、咎めるわけでもなく、ただ『どうでもいい』と言って罰を与えなかった

 

「それに、あたしが此処に戻って来た時にリオから連絡が来た」

 

「会長から?」

 

「あぁ任務は撤回、無かった事に、だとよ」

 

「ッ!?」

 

セミナー・ミレニアムのトップたる存在、調月リオ。その人が直々に任務の撤回を言い渡した

それを聞きアカネ達は驚愕した

 

「……それは、一体何故……?」

 

「アタシの知った事かよ……けど多分、リオもヒマリも確かめてみたかったんじゃねぇのか?」

 

「……ゲーム開発部の力量を、ですか?」

 

「惜しいな。アイツ等が確かめたかったのはアリスとかいう奴と……シャーレの先生だ」

 

「リンクス先生?」

 

「確かに……あの人とあの白い兵器ははっきり言って異次元、リオ会長が警戒して調べるのもわかる…が、何故アリスまで?」

 

「さあな、その辺りの事情は知ったこっちゃねぇ」

 

ネルは預けていた背を柱から離し、アカネに命を出す、その顔は怒っているわけでもなく笑顔だった

 

「アカネ、調べておいてくれ」

 

「はい?何をですか?」

 

「ゲーム開発部だ、関係者も纏めてな、勿論シャーレの先生もだ」

 

「いきなり何故……リベンジ、ですか?」

 

「その表現はなんか癪だが……まぁ、ちと興味あってな、一通り情報が洗えたら、そいつ等ん所に行くぞ」

 

「……はい、望む所です、今頃あの子達は、メイド部に一泡吹かせたと喜んでいるはずです、ふふっ……次にお会いする時、どんな表情を見せてくれるのか……楽しみですね」

 

「うんうん! リベンジマッチだね! 私も準備しに行こ!」

 

「以前の戦闘では役目を果たせなかった。次は、失敗しない」

 

モモイ達と知らぬ間に、メイド部達と再戦が今決定した

今度はミレニアム最強も連れて

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うわーんもうダメだああぁ!!」

 

一方ゲーム開発部

鏡を手に入れたことによりG.Bibleのパスワードを解除できるようになり

本来なら今お祭り騒ぎだろうが、完全にお通夜ムードである

 

 

メイド部とセミナーと敵対しながらも奪取したヴェリタスの鏡を使用し、パスワードを無事解除できた彼女達は意気揚々ファイルを開いたが

 

そこに書かれていたのはただ一言

 

『ゲームを愛しなさい』

 

あれほど期待を煽るような噂でありながら……これとはな。

ただのテキストデータとなれば、肩透かしも良いところだろうな

それでも『伝説のゲーム開発者』が残す言葉としては、ある意味らしいと言えばらしいのだが……

 

伝説と呼ばれる人物は、概ね普遍的な価値観を大切にする傾向にある、ならば、行き着くところまで行き着いた人間は、ありふれたものに価値を見出す、ということなのかもしれない

 

アナトリアの傭兵も、そうだったのだろうか……

 

でも……何か引っかかるんだよな

何かが

 

……ファイルの作成日や最後に転送された日時、ファイル形式から考えても確実

作業者についても、噂の伝説のゲーム開発者のIPと一致してた。

それと、あのデータはこれまでに一回しか転送された形跡がない

妙にきな臭い……

 

「いっそのこと嘘って言ってくれた方がまだマシ! うああああん! 終わった! 私達はもう廃部なんだ!ふえぇぇぇぇん!」

 

何か特別なことを知れると思ったモモイ達はその中身の内容に落胆し絶望、もう自分たちは終わりだと叫びながら俺に頭を撫でられ泣き続ける

 

「……Keyってファイルのことは何もわからないんだな……」

 

<Key>、と表示されただけのファイル

拡張子も何もない、ただそれだけのものを。

ぱっと見、ファイルというよりは、ただの文字にしか見えないようなものだけれど……意味合い的には鍵か?

普通に考えたら、G.Bibleの鍵と考えるべきなのかもしれないが、解析した後に出てくるものとしては妙だ

金庫を開けた中にその鍵がある、みたいな変な状況である

 

「もうそっちはどうでもいいよ!……もう……もう終わりだよぉ…」

 

モモイの弱々しい声が部屋に響く、ミドリやユズも同じように啜り泣いている、そんな3人を見て悲しくなってきたアリスは、クッと顔を引き締めていう

 

「諦めては……だめです!」

 

「ごめんねアリスちゃん、私たちだけの力じゃ……いいゲームは作れない……」

 

 「いいえ、アリスは『テイルズ・サガ・クロニクル』をやる度に思います、あのゲームは、面白いです」

 

「グスッ……アリス?」

 

「感じられるのですモモイが、ミドリが、ユズが……このゲームをどれだけ愛しているのかを、その沢山の想いが込められたあの世界で旅をすると……胸が、高鳴ります、仲間と一緒に新しい世界を旅する、あの感覚は……夢を見るというのが、どういう事なのか、その感覚をアリスに教えてくれました」

 

「………」

 

「だから、待望のエンディングに近づくほどに、あんなに苦しんだのに、思ってしまうのです、この夢が、覚めなければいいのにと、アリスは、そう思うのです」

 

こんな風に誰かの感情を動かせるのなら

それはもう、才能が無いなんてことはないだろうな

 

「……私たちが作ったゲーム、ほとんどの人に受け入れられなかったよ」

 

「かもな、だけど、少なくとも目の前にいるアリスは、そのゲームのファンだ」

 

「…………」

 

『テイルズ・サガ・クロニクル』を否定するということは、間接的にアリスを否定することと同義である……

と言うのは大袈裟で、卑怯かもしれないが

こんな構図を作っておいて言うのあれだが、つまりはそういうことである

何も終わってなんかいない

あのゲームを作ったからこそ、アリスがここにいるんだ

 

「……作る」

 

「……私の夢は、私達が作ったゲームを皆に面白いって言ってもらう事。だから、これ以上は欲張りかもだけど……叶うなら、私はこの夢がこの先も終わらないでほしい。このゲームを面白いって言ってくれた人たちのためにも、頑張りたい!!」

 

ユズの叫び、それが心に響いた才羽姉妹は手を出し、ユズと共に二人の上へと手を重ねる

 

「まだ時間はある、やろう、やってやろう!私たちの作りたいものを最後まで、作っちゃおう!」

 

「うん!」

 

「うん」

 

「はい!」

 

「ゲーム開発部……『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めよう!」

 

「おーー!!」

 

こうして、ゲーム開発部は大切な居場所を守るための最後の戦いが始まった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お姉ちゃん、まだ!?」 

 

「ま、待って、急かさないで! あとこれだけ入力すれば終わりだから……!」

 

「あと2分だよ!? 急かさずにはいられないって!」

 

「正確には96秒です、そう言ってる間に残り92秒……」

 

「わ、分かった分かった! もうできたから焦らせないで!」

 

早く早く早く!!と急かすミドリにモモイは『わかったって!』と叫びながらパソコンを素早く操作する。今日はミレニアムプライスのエントリー締切日。アリスの言う通り、なんともう残り1分半が差し迫っている

 

「こっちは簡単なテストだけやって…………うん、エラーは出てない、モモイ!」

 

「オッケー! ファイルをアップロード、完了まで予想時間……15秒! アリス、あと何秒!?」

 

「残り19秒です……!」

 

「お、お願い……!」

 

デバック作業も終了、最後の確認も終わり、あとはエンターキーを押すのみ……そしてモモイが勢いよくそれを押すと……

 

【ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました】

 

画面にその文字が表示された時、皆は一様に大きな安堵の溜息を吐いて肩の力を抜き……そして、その喜びを嚙み締めた

 

「間に合ったあぁぁぁ!」

 

「ギリギリ……心臓止まるかと思った……」

 

「何とかなったな」

 

「うん!先生もありがとう! あとは……3日後の発表を待つだけ、だね」

 

「そうだね……3日後には、このままこの部室にいられるのか、そうじゃないのかが決まる」

 

「う、一気に緊張してきた」

 

ミレニアムプライズへ参加して終わり、では無い……ゴールは成果として何らかの賞を受賞する事、これが絶対だ

皆が緊張している中、モモイがある提案をした

 

「でも、3日後って結構長いじゃん? そこで提案なんだけどさ……先にWeb版の『テイルズ・サガ・クロニクル2』をアップロードしてみるのはどう?」

 

「ッ!?」

 

「ど、どうして?」

 

「3日間も待てないよ! それに、審査員の評価より先にユーザーの反応を見たくない!?」

 

「うーん、でもちょっと怖いかも……低評価コメントも心配だし」

 

ネットのコメントも言うのは全部が全部いいコメントだけとは限らない、必ず一つや二つは低評価のコメントがつく、ミドリはそれを恐れていた

 

「何言ってるのさ! ……自信をもって、見てもらおうよ! 私たちはベストを尽くしたんだから!」

 

「そ、それはそうだけど……」

 

「……うん、アップしよう」

 

「え?」

 

「私は……みんなに遊んでもらいたい、低評価コメントも……怖いけど、……みんなが一緒なら、大丈夫だから……」

 

「ユズちゃん……」

 

「それじゃあ今すぐアップロードー!」

 

「ああっ! ま、待って! 心の準備が……!」

 

「転送完了! プレイして感想が貰えるまで少なくとも2、3時間はかかるだろうし、後はしばしの休憩ってことで!」

 

それからしばらく経った頃

 

ピコン

 

と、パソコンから音が鳴りモモイ達は『ビクッ!』と体を震わせた。

 

「あっ、初コメ」

 

「何て!? 何て!?」

 

「えーーと…………」

 

<hermet021:わお、これ前回クソゲーランキング1位を取った、あれの続編? もうゲーム作りはやめたと思ってたけど、懲りないねぇ>

 

「…………」

 

そのコメントは、確実にゲーム開発部達と心を抉り、才羽姉妹はそのコメントが目に入った瞬間少し泣きそうになった

 

「………アロナ、発信元を特定、そのに最大出力の破壊天使砲をぶち込め

 

「ダメダメダメダメダメ!!」

 

「先生!それはシャレならないって!!」

 

「……大丈夫。ゲームをやってもいない人の発言だから……気にしないで、ね?」

 

ピコン

 

ピコン、ピコンピコン

 

その後も続々と、テイルズ・サガ・クロニクル2への反応が寄せられてきていた

 

「うわあぁぁ……! 無関心じゃなければ良いな、くらいに思ってたのに! ここまで数が増えると急に怖くなってきた!」

 

どんなに小さなコメントが来たとしても、誰かの目に入り、興味を持ってくれればそれで良い、それで満足だとモモイは思っていた

 

そう思ってた時だった

 

 

ドカアアアン!!

 

「うぎゃぁぁぁぁああああ!?」

 

「な、何!?」

 

「……今のは、『ボーイズ対戦車ライフル』」

 

「C&Cか……」

 

「ぜ、前回の仕返し!?」

 

「反撃を開始します!」

 

「ううん、アリス、一旦出よう!このまま戦ったら私達の部室が壊れちゃう!」

 

「そ、外に生徒会の人達も……!鏡の件の報復……!?」

 

「ちょ、ちょっとは申し訳ないと思ったけど……」

 

「ここは危険だ、避難するぞ」

 

「うん!」

 

俺たちは、ゲーム開発部から避難をし

全力疾走をするうちに彼女達は旧校舎の廊下まで辿り着いていた。

 

たが、そこで待ち受けていたのは……

 

「あ、きたきた!やっほ〜先生!」

 

「C……&C!な、なんでここに?」

 

「いやぁ、ごめんね! うちのリーダーがさぁ~」

 

「リーダー?」

 

「本当は、このようなことをしたくは無かったのですが……」

 

「誰の指示ですか?」

 

モモイ達を待っていたのはC&Cのメンバー、そしてその後ろからやってきたのは一人の少女

 

「アタシの指示だ」

 

メイド服の上から龍柄のスカジャンを羽織り、両手にサブマシンガンを構えた少女は、堂々とした佇まいで一歩前に出た

 

彼女こそミレニアム最強、美甘ネル

 

「君は……」

 

「初めましてだな先生…メイド部ことC&C部長、美甘ネルだ」

 

「……知ってるとは思うが、リンクスだ」

 

「な、なんのようですか?生徒会からの依頼はキャンセルされてるはずです……」

 

 

「……なに、用があるのはあんたじゃない。……そっちのバカみたいにデケェ武器持ってる奴と、先生、あんただ」

 

「アリスと?」

 

「俺……」

 

「そうだ、てめぇには用がある……C&Cに、一発食らわせてくれたらしいじゃねぇか……ちっと面貸せや」

 

武器を持ちそう言うネル、狙いは二人!?とモモイ達は驚き、今度こそ緊迫した状況になる……と、周りは思っていた

 

「しかし、一体どんな奴かと思ってはいたが」

 

「……なぁ先生、あんたはどれだけの修羅場をくぐり抜けたんだ?」

 

「……」

 

「あたしには感じるぜ、あんたの中にある『力』がな」

 

俺の中にある力か、ネクストの事か、はたまた…………

 

「誤解してるかもしれねぇから一応言っとくが、別にC&Cに一発食らわせた分の復讐ってわけじゃねぇ」

 

「違うんですか?」

 

「いやまぁ、何も思わなかった訳じゃないが……、あくまで正当な依頼の中での出来事だからな。…別にそこに恨みはねぇが……俄然、興味が湧いてきてな」

 

「要するに、戦いたいということか……」

 

「話が早くて助かるぜ」

 

そうしてネルは地面を勢いよく蹴り、アリスに迫る

 

「オラッ!!」

 

「アリスちゃん!!」

 

「アリス!」

 

ネルの蹴りが、アリスに入ろうとした時

 

ブォンッ!!

 

「……ッ!!」

 

アリスの前に立ち、ネル向けて回し蹴りをする

さすがミレニアム最強か、反応して避けた

アクロバティックな動きで後ろに下がる

 

「あっぶねぇ……」

 

「………」

 

ネルの方を向く

 

「む、無茶です先生!!」

 

「そうです先生!先生はヘイローを持ってないから銃弾1発で!!」

 

「安心しろ、使う弾はゴム弾だ」

 

そういう問題では無いな

ゴム弾でも相当痛い、跡が残るから

 

「……来いよ」

 

「……へっ」

 

「オラッ!!」

 

自身のマシンガンをこちらに撃ってきたが

 

「……」

 

すぐにネルの死角に入り込む

 

ドゴォン!!

 

カウンターに蹴りを入れたが、腕でガードされる

 

「グッ、痛え……」

 

「そりゃドアを凹ませるほどだからね!!」

 

「あのドア破壊したの先生だったのかよ……」

 

ホシノを助ける時に、鉄の扉を吹き飛ばした時と同じぐらいの力だったが……

まぁキヴォトスの人なら耐えれるか……

 

「格闘がやれるのか……」

 

「なら……」

 

ネルは突如として消え

壁や天井を走ったり、飛んだりしてこちらに近づいてくる

 

「これぐらいの速さなら反応出来ねぇだろ!!」

 

「は、速い!?」

 

……これで速いか

 

「……フッ」

 

「あぁ!?何笑ってんだよ!」

 

「いや……」

 

ネルの足を掴み

 

「なっ!?」

 

そのまま地面に叩きつけるように投げ飛ばす

 

「グアッ!?」

 

「嘘でしょ……」

 

「なんで、目で追えるんだよ!?」

 

「いや、遅いからな

 

「はあ!?」

 

「人間の出せる速度なら別に見てから避けれる……」

 

「まぁネルが、僅か0.2〜0.8秒で800km/h〜4000km/hの亜音速、音速突破が可能なら話が変わるがな」

 

「そんな速度出せる訳ねえだろ!?」

 

……ネクストで感覚がおかしくなったのかね

人間の速度なら、余裕で対応できる

 

「……やっぱり先生ってチートキャラですよね?」

 

「音速を対応できるなんて、もう人間じゃ……」

 

まぁ、確かに普通の人間ではないな

否定はできない……

 

「クソ……」

 

「(あの速度を余裕で反応できるのかよ……どうすれば、先生の死角に……)」

 

「リーダー!」

 

ネルがそう考えている内に、さらに接近し

肩を掴み……

 

懐から取り出した、RSh-12(レクイエム)を……

 

ドゴォン!!

 

引き金を引き、ネルの額にぶち込む

 

 

「グアアアアアアア!?!!!」

 

大口径リボルバーをモロに食らったネルは、痛みに耐えれず、地面に倒れる

 

 

「なんだよ……これ……クソ痛え……!!?」

 

「うわぁ……」

 

「よ、容赦ないですね……」

 

「……」

 

「大口径リボルバーをモロに受けたのに、まだ意識があったとはな、大したものだ……」

 

待てよ、冷静に考えたら……

………ゼロ距離レクイエムはやりすぎたか?

 

「……すまない、少しやりすぎた」

 

「いや、いい……すまねぇ、しばらく動けねぇ………」

 

「……メイド部、ネルを医療室に……」

 

「は、はい、わかりました」

 

「治療費はこちらに回してくれても構わない、すまなかった」

 

メイド部は、ネルを抱えて去っていった

 

「……」

 

大人気ないっと言われれば、そうだな

この大口径リボルバーは、アビドスの出来事のあと、デザートイーグルより威力のある銃を探していた所、ブラックマーケットにあった

 

このリボルバーは、威力が段違い過ぎて一般では販売されてなく、入手方法も難しい

まぁいわゆるこいつは『違法武器』の分類に入るかもしれない代物

まぁ、幸いにデータベースにはこのリボルバーはレッドリストには入ってはなかったが、完全に白でもない

いくらキヴォトス人でも、このリボルバーを食らってしまえば、ひとたまりもないだろう……

使用するのは、オートマタ相手か、いざって言う時に使用することにしよう

 

ちなみにこのリボルバーの名前は『レクイエム』だが、別に俺が考えた訳ではない、アロナだ

意味はラテン語で『安息を』って意味らしいが、どうにもイメージとは違う気がする

まぁいいか……

 

とりあえず、メイド部は去ったし、ミレニアムプライス発表に備えよ

 

 




普通にネルに勝ってるリンクス先生って何?
あっ、先生の大口径リボルバーは、まんまバ〇オに出てきた銃と同じタイプです
ちなみに片手で撃てます

リンクス先生の大切な人『ステラ・エリン』をどのような登場させるか

  • 幻覚や幻聴として登場
  • 転生して『生徒』として先生と行動
  • 転生して『人間』として先生と行動
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