現代ダンジョンに地味異能では厳しい   作:氷桜

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凄い変な名付けられ方をしていますが、主人公達の第一学園は大体群馬~長野~埼玉近辺をイメージしています。
これより北、福島~青森付近に第七学園が存在しますがこれは純粋に「発見された順」で名付けられてる設定です。


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俺達探索者にとっての招集とは、()()()()以外の何事にも該当しない。

 

一定の条件で集められた探索者の卵と、後は連絡が付く範囲の卒業生達と。

短期間で集められた戦力を以て最優先的に対応しなければならない臨時的な要求の集まり。

入学した当初に存在だけは教えられ、けれど今まで対応したこともない事象。

俺が――と言うか一般的に――知られている召集令はたったの三度。

 

一度は第三学園。国の中央部、やや富士山沿いに存在する九十九先輩の嘗ての出稼ぎ先。

『迷宮』が発生した直後に巻き起こったらしい、子鬼の軍勢への討滅戦。

 

二度は第五学園。更に西、嘗ては古都と呼ばれた地域の更に西。

第一階層から発生したらしい、屍人の群れのような集まりへの対抗策。

 

そして三度は第二学園。東の都と呼ばれ、国の首都として認められていた地域の海辺寄り。

第二階層が海辺の作りになっているこの『迷宮』で、半魚人の襲撃があり殲滅戦が実行された。

 

そのどれもが最低限の成果を叩き出してはいるものの、被害は甚大。

特に屍人の群れの関係では参加者の半数が死亡……軍隊における「全滅」の定義を越えたと記されていた。

 

(それが再現される、ねえ)

 

ぼうっと視線を頭上に持ち上げながらに考える。

そうなった時、第一発見者(と言いたくはないが)である俺達は先ず間違いなく組み込まれる。

それに対して、どの程度準備と防衛が出来るのか……そもそも、一番の有効打である薬がどの程度効くのか。

その辺り全てを任せるしか無い以上、今は待つだけでいいのか悩んでしまう。

 

「どーしたんです、先輩」

「いやぁ……考え事。ってーか今更なんだが」

 

妙に晴れた空が憎らしい。

昼休みに駆け込んできた小鳥遊(アホ)と、恥ずかしながら着いてきた天音ちゃん。

二人の行動は既に当然のものと化し、裏で手を出そうとした数人が痛い目を見たとは雄二と当人の話。

なので今更引っ張り出す内容ではないのだが、思うことはある。

 

「それで一食ってマジで言ってるのかお前」

「え?当たり前ですよね?お祖父ちゃんも毎食これくらい食べてましたし」

 

重箱、とまでは言わないが運動部員が普通に喰らう大きめの弁当箱が二つ。

片方に白米が、もう片方におかずが。

朝夜は寮で食えるが昼飯は自分で用意するのが当然のこの場所でそれだけ食えるのはそれなりに稼いでる証拠では、ある。

あるが。

 

「なんとなーくお前が寮で食事制限喰らう理由が分かった気がする」

「好きなだけ食べても良いじゃないですかー!」

 

多分ンな事したら調理員が泣くぞ。食費で。

つーかそんだけ食っといてそのスタイルを維持できてる時点で何かがおかしいんだが。

代謝が恐ろしいのか、或いは特異性の代償にカロリーでも使ってるのか。

口には出さないが、天音ちゃんの目の色が凄いことになってんぞ。

 

「まあ良い。別にお前が太ろうがなんだろうが自己責任だし」

「先輩、あんまそういう事言わないほうがいいですよ……?」

「お前の異常な量見なけりゃこんな事言うまでもねーんだわ」

 

俺は普通の弁当箱。昨晩の残りの肉野菜炒めと米、後はカップスープにサラダ。

天音ちゃんはもう少し小さい、少食と言ってもいいレベルで控えめな野菜多め。

其れ等を前に比較でもしなければこんな事言うまでもないので一応突っ込んでおく。

 

「で、雄二からの情報を共有出来るのは此処までになるわけだが」

 

普段からあっちこっちで昼食を取るが、今日は人気のない外で食べたのはこれを早めに共有するため。

進行度が俺と合致している二人は先ず間違いなく呼ばれるし、最悪一年だけで独立させられる危険があった。

前もっての連絡と、そうさせないための注意勧告。

 

「私達は『全部月見里先輩に言って下さい』でいいんですよね?」

『お任せして大丈夫ですか?』

「大丈夫大丈夫、その辺の交渉技術だけは大分上だし」

 

まあ、実際には無駄に築かれてるコネの圧が主因なんだろうけど。

特に個人とは言え、創作者に幾つもの伝手がある劣等生とか扱い難くて仕方ないだろう。

好き勝手に利用されない為に先輩達が抑えてる部分もあり、幾らかは俺の功績として回ってきているからそうもなる。

 

「ただ、幾らか問題がないわけじゃねえんだよなぁ……」

 

愚痴を言える相手も限られる。

そして、相手を見た面子も限られる。

だから身内の間にだけ通じるように、言葉にする。

 

()()()()()、ってところですか?」

「後は昨日の面子全員を集めたとして、戦場次第じゃ相性が悪いのは簡単に予想付くしな」

 

対多数向け、言い換えるなら戦場が広い方が得意なのが俺達。

近距離での戦闘が出来ないわけではないけれど、今回どう動くか次第ではその優位を働かせられない可能性がある。

ならば対策するべきなんだけど……その為にどうすればいいのかが決まらない。

 

「うーん」

『……傭兵とか雇いますか?』

「それも一つの案、先行して組んでおけば流石にそれを解体しようとまではしないだろうし」

 

ただ、それで雇える相手に対してある程度の信用がいる。

或いはそれを紹介してくる相手への信用……結局こういう時は紹介した相手の顔を潰すか否か、みたいな話になるし。

やっぱり一度誰かに相談するべきなんだろうか。

 

「雄二のやつも色々探ってみる、とは言ってたが……」

 

俺達が知ってる相手で、頼める相手で、取引できる相手で。

ついでに言えば強い人だと尚良い。

そう考えると――――。

 

「あ」

 

呼ばれるようなら、あの人が言ってた事を引っ繰り返すことにはなるが一人だけ思い付く。

そんな俺の言葉に、浮かぶ疑問符は二つ。

 

ただそれを説明することはなく……あるかもしれない可能性の一つとして、留めるだけで済ませた。

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