現代ダンジョンに地味異能では厳しい   作:氷桜

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かなり短めです、申し訳ない


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きらり。

 

目線の奥で光が見えた気がして、反射的に破片をその方向へと差し向ける。

 

がつん。

 

何かが触れるような重みと、破片に当たる音と。

空間全体に作用される圧が同時に掛かったのはほぼ同じ瞬間。

足を持ち上げ、後方に飛び跳ねる。

一拍の後、足元に強い雨音のような雑音が突き刺さるように響いた。

 

「っ……!」

 

なんだ、と言葉になるよりも先。

砂地(と呼ぶのが正しいのかは別として)に転がった多数の武器を認めた。

 

投げられた。

相手も、此方を敵と認識している。

なら、やるべきことは単純だ。

 

「小鳥遊ィ! 行け!」

「はぁい!」

 

俺の操作圏内に踏み込んだ、第一陣と思わしき存在達へと武具を差し向けて振り回す。

或いは、空間全てを掻き回すように。

直接的な攻撃ではなく、傷つけることだけを意識する。

 

他の仲間達、先輩方。

各々が動き始めるのを認めながら。

唯一点、叫んだ後輩を例外として……竜巻でも描くようにぐるぐると引き回す。

 

(硬い……いや、ぶち抜ける!)

 

かつん、がつん。

 

一個、二個。

恐らくは頭部に当たる部分に当たる感覚が手元に伝わる。

 

前者は力を失い、地面に転がりそうになるのを再度浮かべてぐるりと回し。

後者は十分に力が乗ったからだろう、硬質の物質に穴を開ける時のような突き抜ける感覚だけが残る。

 

尖った部分を相手の側に向けるようにしたからなのか。

或いは、ちょっとした小細工をしたからなのか。

めり込むような感覚の後に、柔らかい何かを貫いていることだけは確かに分かる。

 

「硬皮、内部は肉か体液!」

 

頭上、この階の入口で戦った蟻人の強化型――――のような感覚。

鎧の代わりに自分の皮膚を固くし。

群れを成すことで昆虫としての強みを押し出してくる、人としての優位性……武器を持つ存在。

 

「刃は通んのか!?」

「お前だと分からん、支援に回れ!」

 

目の前に壁が現れ、前進する九十九先輩の影に隠れ。

同時に進むかどうか躊躇していた雄二に対しても俺が感じ取ったモノを伝え、現状維持を指示する。

 

『扉』を護ることを意識するなら、俺の操作圏内全てを制圧するくらいで丁度良い。

だからこそ、直線的に向かわせた破片と遠心力を載せた破片とを二種類用意して向かわせた。

 

前者は相手の意識を奪いつつ、此方を狙う武器に干渉して少しでも方向を変えるため。

後者を本命としつつ、そもそも「皮膚に見える部分」を貫通できるかを試すため。

 

そして、ある程度想定していた通りではあるが……俺の力だけでは相手の皮膚を貫けない。

ある程度勢いをつけることを前提とするから、数を排除することが出来ない。

 

相性が悪い。

その事実は分かっていたけれど、舌打ち一つくらいは零してしまう。

 

『センパイ』

「天音ちゃんの糸ならまず行ける……だろうけど、まだ見せたくないな」

 

その舌打ちを聞いて掛けられる声。

使う時になれば使わざるを得ないが、まだ早い。

相性問題を全て無視できる札を切るのは、もう少し先でいい。

 

「それに」

 

こうして一分一秒を稼ぐ間に、先輩達は最前線に辿り着いた。

俺から見て右と左。

背に負った人間離れした大剣と、腰に掃いた刃が重なって煌めく。

 

『それに?』

「先輩方が問題ないって言った以上、俺等は耐えるだけでいいはずだ」

 

同時。

黒い塊が、宙を舞った。

 

地面ごと。

砂地ごと。

弾け飛んで、体液らしきものの雨が降り注ぐ。

 

「【双拳】の、あの人がそういったのなら」

 

師匠への憧憬を込めて、呟いた。

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