現代ダンジョンに地味異能では厳しい   作:氷桜

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ちょっとだけ側面が見えるやべーやつ。


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「取り敢えず現段階で分かったのは救いだな、全力で使ったら金にならん」

 

戦闘後。

得た獲物の処理を行いながら感想会。

 

地面に落ちた、大体鳩を一回りか二回り程太くした鳥。

空を飛べるという利点を活かすために筋肉が多く、骨が脆いという特性を石で叩き折った死骸。

その首から小刀で血を抜き、逆さにして()()()()()

生命体の正しい血抜きのやり方なんぞ知らんので、色々調べて試してみて、一番楽な方法を採用した結果。

 

死んでしまえば唯のモノ。

だから別に他に投げ付けることだって可能な「重量物」。

十キロなんて制限を超えるほど重いわけでもなく、こういう時は手で持つ必要がなくて助かっている。

 

「ならどうするんです?」

 

一人しょぼんと落ち込んでいる天音ちゃんは会話の外。

多分意気込んだ結果なんだろうけど、アレはグロというかスプラッターと言うか……。

まあなんというか、惨殺死体に近いんじゃないか? あの末路は。

 

「加減を覚えさせる……ってのは勿論そうなんだが、後は生命体の知識を深める辺りか?」

 

多分だが、さっきのは『過回復』を全開で使用したことで一気に増えた血液が溢れ出して圧力になった、みたいな状態に見えた。

水風船と同じだ。

元から適量の水が詰まった袋の中に唐突に数倍の量を流し込まれ続ければ、いつかは破れて弾け飛ぶ。

相手が生命体の中でも生物種……要するに『生きている』分類のやつに対してはそりゃ特効も特効だろうさ。

 

傷さえ付けられれば、其処から溢れ出す契機を作り出せる。

傷があっても、その傷自体を癒やし無かったことに出来る。

 

ただ、これはきちんと扱えることが前提だ。

元々分かってたことだが、その重要度は更に増したという結果だけが残ったようなもん。

 

「一応今後のこと考えればお前さんも勉強しておいて損はないんだが」

「あ、その辺私は無理です!強い相手ならビビッと来るので分かりますけど!」

 

覚えろよ、と言いたいけれど言うに言えない。

自分で理解できてるなら深く突っ込む内容ではないので。

ただまあ、釘は刺しておかないと。

 

「別に感覚型を自称するのは構わんが、試験で酷い点数取っても知らねーからな?」

「え゛っ」

 

堂々とした態度が唐突に固まる。

なんか此奴、見れば見るほど変な方向性が見えてくる気がする。

根はポンコツ、って辺りだけはマジな気がするけど。

 

「そりゃそうだろ、何のために『学園』って名付けられてると思ってんだ。

 地図の書き方、階の特徴、生命体の変異型……地味に覚えること多いんだから覚悟しとけ」

 

最低でもノルマ階までは攻略することを強制させる。

その他の知識、一般常識的なところも詰め込み教育として残っているけど比重は然程高くない。

唯でさえ入る前提条件がある以上、その全ては出来れば『迷宮』関係の探索に関わって欲しいと思ってるのはマジなんだろうし。

入れなかった人達も、その補助要員……或いは利益を上げた集団(クラン)を会社として残す場合に色々と助言も出来る。

なんでこんな仕組みが速攻で了承されたのかが分からんが、通ってしまったのだから。

必然的にそれに従うしかないのは悲しい身分だな俺達。

 

「えー……折角そう言うのから逃げ出せたと思ってたのに」

「お前さん、去年まではどうしてたんだよ……」

「主に運動系の成績でゴリ押ししました!これでも剣道の大会では結構良い成績だったんですよ?」

 

あー、そんな感じはする。

知識じゃなくて肉体性能で突っ込んで最奥で困ってる姿が容易に浮かぶ。

っていうか小鳥遊と出会った時そのまんまじゃねえか。

 

「……あの、先輩?」

「んだよ」

「ダメなものを見る目で見てくるのやめてくれませんか……?」

 

いや実際そうだろ。

言葉にするのは流石に可哀想だからやめてやるとしても、全員が覚悟決めてりゃあんな逃走はしねーよ。

一人が殿を張る、という覚悟の上で全員が受け入れるなら兎も角。

周囲の痕跡からしても矢を散らしまくって後衛に一匹抜けて、それで怯えて逃げたとかっぽかったし。

 

「出来る限り善処する」

「やめてくださいってばー!」

 

無視だ無視。

宙に浮かせて上下に振って見て、血が多少しか落ちなくなったのを確認してビニール袋に包んで空間解錠。

別に仕舞う必要性は無いんだが、なんか中に血が貯まる気がしてビミョーに嫌だ。

 

「んで……どうする、交互に練習しとくか?つーか必要かお前さんよ」

「うわ、話急に戻しましたねこの人」

「うっせ。で?」

「んー、この辺のは()()()()になっちゃうので……必要は無いですかね?」

 

本来は狩るだけ(それ)で良いんだぞお前。

相手が子鬼複数で、初見の生命体だったから彼処まで梃子摺ってただけとかそういうアレか?

やっぱ本質アホの子で且つ戦鬼とか剣鬼とか言わんよな?

 

口に出して確定させてしまうのが怖いので何も言わない、言えない。

と言うか聞きたくない。

なので未来の俺に全力で投げ付けつつ、二人の間では確定した事項を天音ちゃんに告げる。

 

「というわけで方針は決まった、天音ちゃん」

『は、はい……』

 

つい先程兎の足を刈り取った糸は、特に血が染み込むこともなく相変わらずの純白。

俺の石も同じようなもんだが、水で洗い流さないといけないって差異が酷くないかね。

 

「この階……と一角兎に関しては君に一任する。特異性の使用は任せるから売れるようになるまでやってみて」

 

先輩いなくてよかったなぁ、と改めて思う。

少し強めに言わなければならないところで指示できるし、それを受け入れる余地もあるから。

 

「頑張って、天音ちゃん!」

『う、うん』

 

それに、まぁ。

万が一があったとしても、それを当然のように対応できる俺達がいるなら。

文字通りの訓練地帯にしかならんわな、こんな場所。

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