現代ダンジョンに地味異能では厳しい   作:氷桜

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似たりよったりな奴等しかいねえ。


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『Chapter2-2』

 

「ん~~~……」

 

凝った身体を伸ばしてぱきぽきと音を鳴らす。

簡単なストレッチのつもりだが、案外話し込んでいたからか微妙に身体が固くなっている気がする。

 

「おい」

「なんだアホ」

 

()()()()()()()『扉』を抜けてきた奴には目もやらん。

それだけで済ませただけマシだと思え。

 

「俺に選択肢が他にあったと思うか?」

「無いなら無いで前置きなりして後で相談って言っときゃ此処まで怒らんわ」

 

今回の怒りの発端は徹頭徹尾スルーされそうになったことにある。

特に実際はどうあれ、俺達視点からはそう取られてしまうって部分を見落とした此奴のミス。

視野狭窄気味になる悪癖だけは治せ……って言って治らないから癖なんだが。

それでも尚、俺の見落としなんて部分を指摘されあうからまだ成り立つ打算関係。

 

「で、此処なら先ず誰にも聞かれねえから先に確認するぞ」

「あー、うん、はい、どうぞ」

「もう一発ぶん殴ってやろうか……まあ良い」

 

駄目だな、今は真っ当な会話から意識が消えてる。半自動的にそうしたか。

後で此奴に甘い九十九先輩経由よりは東雲先輩か店主(マスター)経由で言って貰おう。

 

……やる気がない返事、と言うよりは周囲に気を配るが故の自分の存在の軽量化の悪影響(デメリット)

仮に後から誰かが来ても、俺が独り言を言っているようにしか思わなくなる効果の反面。

噂、情報、周囲からの影響と言う重みを消す為に必要な行動ではあるが。

その代わりに、半ば機械のように自動反応するような感じになってしまう。

 

俺が対処法を理解しているからこそ、仲間内でも出来る……本来は単独行向けの此奴の「技」だ。

 

「お前等が抱えてるのは幾らだ?」

「残りが一千万、半分は即金で返したから自由行動が許されてる」

「完全に絡め取りたかったけど、ってとこか」

 

まあ、九十九先輩の能力クソ程有用だしな。

()()()()()()()()()ほぼ封殺さえも出来るハメ技も持ってるし。

身内に戻ってくれるなら後輩とかの指導も期待したいけど……大丈夫だろうか。

 

「しっかしまーた吹っ掛けられたもんだな」

 

頭にチョップ、と見せかけて肩を叩く。

身内でこれをする時の為に仕組んだ解除条件。

一度急所を狙う、と見せかけて殆ど何の意味もない位置を素手で攻撃する。

生命体の場合は先ず解除条件として成立しないが為に許されてる安全装置(セーフティ)

 

何処かとらえどころのなかった目線が定まり、同時に()()()()()()()()()此奴が急に実体を持つ。

正しくいることを認識しないと誤認する、周囲ではなく自分をそう定めた。

だから、周りに効果を発揮する技は応用と余技に過ぎない。

 

「それは九十九先輩も反省してるわ」

「だろーなぁ……」

 

正直、気絶さえしていなければこんな借金を背負うことはなかっただろう。

彼女の空間の中には相応の傷を癒やす回復薬だって入っているから、それを服薬出来れば問題なかった。

 

今回の場合は意識を失っているから、という理由で最大級のモノを使われたことが原因だと思う。

実際に効果はあったんだろうが、はっきり言うならあの人は自意識を保てる間は先ず死なない。

()()()()、と言い換えても良い。

 

俺が知る中でかなり上位クラスの盾役(タンク)としての実力を持つし、何より特異性がそれを証明している。

今回はそれを狙われたんだろうけれど。

 

「じゃあまぁ一千万返すのが最低目標として、いつまでよ」

「五百万を今月末までだとよ、そんで潜る権限解放」

「結構ギリだなー……」

 

稼ぐ手段はある。それは此奴も理解している。

ただそれは一回限りで、二度通じるほど甘くはない。

そして五百一気に返せるとも限らない結構な博打。

 

それに対し、一般的な第一階層の稼ぎだと一度は捻出出来ても二度三度と通じるかは微妙。

以前に現れた蝙蝠型のような相性が良い奴等を纏めて狩れれば『魔石』の売却価格で何とかはなる。

ただ、全ての相手に同じ事が通用するわけではなく。

そして安全性を担保しようとするなら一人頭の分け金は相応に減少する。

 

「おい零」

「わーってるよ、どっちにしろ賭けるなら割が良い方って言いたいんだろ?」

 

つまりは、十階の集落襲撃。

その奥の異物次第にはなってしまうが、下手に人数を増やした十一階層よりはまだ分の良い賭け。

……もう一つ思いつく内容が無いではないが、これから先に進むことを考えれば優先度は落とす。

多分、そのくらいは此奴も思いついてるはずだ。

 

「小鳥遊と天音ちゃんを入れて……後お前がいるならまあ成功率は担保出来るか。

 おまけで恵先輩にも頼れるだろうし」

「蹂躙にならねーかそれ」

「ならねえよ、範囲に対して発動できる特異性持ちいねーだろ」

「それもそう……か?」

 

疑問を抱く理由にも納得はするが、彼奴等もう変異待ちだからどうせすげー強化されるって。

まあ、そんな希望的観測の他に幾つか問題が無いわけではないが。

 

「前の襲撃はいつだった?」

「聞いてる限りじゃ三ヶ月前、俺等が突破する前々日くらいの筈だ」

「ならそろそろ復活しててもおかしくはない……俺等も集落から出てくる小隊は確認してるしな」

 

先ず第一に復活しているか。

次に何が手に入るかは不明。

最後に、そもそも集落の長を狩れるのかどうか。

 

「他に気取られないように動くってことだよな?」

「ああ、まぁこの時期に動くって話は聞いてねえから先ず行けるとは思う」

「何とも言えねえタイミングってのは事実だが、なぁ……」

 

メインプランを此方に回すのなら、幾つかサブで走らせたり準備が必要になる。

幾つか考えつつ、取り敢えず指を向けたのは部屋から出る方面。

 

「此処で俺等だけで考えても仕方ない、土産持って相談した方がマシだろ」

 

そもそも先輩の住処とか何とか何も聞いてない。

俺もあのアホの住処探しとかも並行しないといけない。

余り頼ってばかりはいられないが、まだ相談しやすい東雲先輩にでも聞くとしよう。

 

「まぁ、何のために今日潜ったか忘れるほうがアホらしいか」

「大量に素材持ち帰れば先輩の足しにはなるんじゃねえの」

「それだ」

「それだじゃねーんだわ、最初に其処に思考巡らせろや」

 

急にやる気出すんじゃねえ。

たまに紹介したのミスだったんじゃないかって自省すんだからマジでやめろ。

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