現代ダンジョンに地味異能では厳しい   作:氷桜

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日常。


069

 

翌週。

一切目が笑ってなかった御方に説明したら笑顔で詰められる恵先輩の絵面があったりもしたが脳内リセット。

 

「せんぱぁい」

「纏わりつくな離れろ」

 

真っ当に接するの……二週間振り、か?

元々呼び寄せようとは思ってたが、タイミングが良いと言えば良いのか何なのか。

今週潜る、という話は通してたしその影響だろうかこのハイテンションは。

 

「行くんです?」

「行くけど少ししたらな、彼奴が少し用事で外してる」

「あー、如月先輩?」

「ん」

 

数少ない信用できる相手に部屋の空き具合とか確認したり、装備の手入れをしたり。

後は万が一のために空き部屋の片付けしたりと色々やってたら時間があっという間に消し飛んだ後。

学校終わりの廊下、当然のように張り付きに来た(やつ)を鬱陶しげに追い払いつつ、その光景を周囲に見せる。

 

普段は介入されない……と言うか雄次以外と接する機会自体がほぼ皆無。

だからこそ、前回のアレが噂されるのを危惧した対応だったのは間違いなく。

ついでに言えば今こうしている間も視線が向けられているが、これに介入する余地は無い。

 

(色恋沙汰だと思ってくれりゃあ楽でいいんだけどなー)

 

先々週の()()を思い出す。

お優しい俺の同級生様が俺のことを悪しげに言い放ち、俺達のほうが利点が大きいと言い放った一大(アホの)舞台。

自分に酔っているのか、或いは此奴の外面に騙されたのかは知らんが優等生を横からヘッドハントするのはまあ間違ってない。

それ自体がマナー違反だとか細かい部分は除いて、圧力の掛け合いになった時は負けたほうが悪いのは不文律。

 

『は?』

 

ただ、その一言で相手を萎縮させるのは多分才能だと思うんだ。

他の理由付けをしようと思えば幾らでも出来るが、いきなり掛けるのが()じゃなく()()に近いのは多分本質。

 

政治の場……或いは力で何とかできると裏から手を回さなかったという敗因がまず一つ。

後輩だから、と無意識下に見下したお強い同級生様の目から見抜けなかったという敗因がもう一つ。

 

まあ、何にしても。

此奴は雛は雛でも鳳雛とかそっちの類。

 

多分本当の意味で強い連中ならいきなり介入しなかっただろうから、半ば見る為の贄として放置された集団の一つ。

他の相手が面倒を見て、自分のものだと無言に宣言しているのに脅し取ろうとしたならば。

どういう扱いをされるのかはまあ言うまでもない。

 

此処二週間程全く顔を見ていないのは……なんだろうな。唯の軟禁程度で済んでりゃ良いんだが。

まあ二度と浮かぶ瀬はないのだけは確かではあるのだけど。

 

「それはそーと、ずっと放置するの酷くないですか?」

「たかが二週間でそういう事言いだす相手だと俺は思ってなかったんだが」

「先輩にだけです!」

「嬉しく無さ過ぎる」

 

はぁ、と溜息が溢れる。

 

ついでにいうと放置しっぱなしでもなかったし。

定期的に様子見たり消耗品の補給とかでちょくちょく面倒見てやったろ。

他から浮いてるのは事実だが、いつかは知られることなんだから諦めればいいのに。

最低同級生一人いれば授業だって余裕で乗り切れるってのは俺等も実証してることだ。

 

「で」

宿()()ですよね!自分なりに探したんですよ!」

 

細かいところは良い……いや良くはないが優先度は下がって別のこと。

此奴に単独行動中に、万が一億が一見つけられないかと(八百万の)神に願いながら言っておいたこと。

もし見つけてくれれば一気に負担は減るので、まぁ無理だろうなと思いつつ言ったことではあるが宿題。

つまり、此奴が一人暮らし出来る部屋探し。

 

「おー、すごいすごい」

「雑!なんか凄い雑!」

「だってお前前回何処見つけてきたよ」

 

都合これで二度目の宿題報告。

前回は宿題の内容を伝えたその翌日、その辺で聞いてきた場所だけ報告してきたので頭を引っ叩いた。

確かに住所は存在してるけど其処は誰も住んでねえ廃墟だボケが。

 

「忘れました!」

「都合の良い脳みそしてるなぁ」

「良いことばっかです!」

 

それは余計なこと覚えなくていいって意味じゃなかろうな。

その分の負担が何処に伸し掛かってくるのか分かって言ってんだろうな。

相変わらず無駄に疲れる、此奴の相手すると。

 

「で?」

「今度はちゃんと住める場所でしたよ!外までは覗きに行きましたもん!」

「住所で言え住所で、地図で指差しても良い」

 

現住居を外に漏らす、というのは無論利点欠点どっちもある。

特に()()必要があるのは集団でも一箇所か二箇所、一番大事な場所だけでいい。

或いはそれを公表しておいて、と思わせても良い。

何にしろ、その選択は自分で選んだ上でするべきだ。本来なら。

 

「えーっとですねー」

 

……此奴の場合はマジで例外だが。

仮に侵入されたらそいつを叩き切りそうだし、自衛は出来る。

気にするべきなのは……絶対に選んではいけない場所を選んでいないか、という唯一点。

 

そして、口にした場所を脳裏で歩いてどの辺かを認識。

で、その辺の集団との繋がりやら聞いた話と結び付け、結論。

 

「毎度思うがなんでお前はそんな場所ばっか見つけてくるんだ?」

「???」

「いや、まあ、こればっかはお前に知ってろっていうのは無理があるから許すけどよぉ……。

 契約とか一切してねーよな?」

「無いです。なんか嫌な匂いがしたので」

 

男性限定集団(クラン)、の協力関係にあるって名目の女性限定集団。

その本拠地として抱えてるらしいアパートの一室とか明らかに飲み込む気満々じゃねえか。

これもまた見栄えと……後は才能見込んで取り込もうとしたんだろうなぁ……。

 

(病原菌みたいなもん取り込めば崩壊するだけって分からんもんかな)

 

「先輩」

「おう」

「今何か酷いこと考えませんでしたか?」

「考えるわけねーだろ、考える前に言うわ」

「それも酷いです!」

 

今直感で感じ取ったか此奴。怖い。

 

「でー、天音ちゃんはどうしたんだよそういや」

「職員室に書類取りに行ってます」

「あー……アレか、大量に貰ってコピーしてあるって言ってんのにな」

「自分でも持っておきたいんじゃないです?」

 

そうかなぁ、それだけの理由かなぁ。

なんとなく自分の立場を利用して動いてそうで怖いんだけど。

 

「なんで今年の後輩はどっちも妙に尖った性能してんだろうな……」

「先輩達には言われたくないんですけどー」

 

一般的ならまあお前等とは関わってねえからな。

そりゃそうもなるだろ。

 

ぐだぐだと話すこと暫し。

天音ちゃんと雄次とが同時に顔を見せたのは、その数分後。

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