ブレスオブファイア3二次創作 釣竜伝説   作:泉 とも

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先遣隊の出発

 ――おい聞いたか?今年の漢羅強烈大武会。

 ――どうせまたガーランドが優勝したんだろ?

 ――ああ。それで飽きて里帰りに出たとか。

 ――里ねえ、あんな化け物の故郷ってドコなんだろ。

 

 港町ラパラの食堂。灯台の問題を解決したリュウたちは、荷運びギルドの前マスターたちから謝礼を受け取った。

 

 今は皆してちょっとリッチなお昼を食べている所である。

 

「さてと、色々あったけど、そろそろ次の予定を立てないとな」

 

 小魚の揚げ物を摘まみながらレイが言う。観光も一通り終えたので、後は残るか出発するかである。

 

「ええ!?まだもう二、三日いてもよいのでは!?」

 

 家出してまだ二、三日しか経っていないニーナが言う。日帰りだった前回よりも記録は更新中だ。

 

「私もまだ船を見てないわー」

 

 次にモモが不満を漏らす。元はと言えば完全にノープランで便乗したので、文句を言う筋合いはない。

 

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!」

「ティーポ早く食べなよ」

 

 ティーポとリュウはフナムシのからあげを挟んで睨み合っていた。

 

 じゃんけんで負けた方が食べるという勝負をして、見事にティーポが負けたのだ。

 

 以後ずっとこの膠着状態が続いている。

 

「あのなあって、まだ船が戻ってないのか?」

「ええ、実はそうなんですよ」

 

 料理を運んできたウェイトレスが会話に加わる。

 

 こうやって要領よく仕事を中断する人がたまにいるのだ。

 

「参ったな。モンスターは倒したし、灯台も直したから、これ以上できることはないぜ?」

 

「でもここで引き下がったら、私たちにあらぬ疑いがかけられるかもしれないわ!」

 

 言外に居残るべきだと主張するニーナ。

 彼女とリュウは仲良くお子様ランチを頼んだ。

 

 後で旗とお魚さんの飾りを交換してもらえることになっている。

 

「たぶん機械浜にいるとは思うんですが、きっと灯台の明りとは別の理由で帰って来れないのかも。例えば船が壊れたとか」

 

「そうなると船員は徒歩で帰って来るしかないわね」

 

 話の裏ではティーポがリュウの気を逸らし、その一瞬でからあげをペコロスの口に放り込んだ。

 

 ペコロスが泣きそうな顔でリュウを見ると、リュウは咎めるような顔でティーポを見る。

 

 ティーポは口笛を吹いて目を逸らした。

 

「でも今は歩きは無理じゃないかな?ズブロ火山は噴火して、山道は塞がっちゃったし」

 

「そうなると打つ手なし、か」

 

 流石に食料くらいは持っているだろうが、それも何時まで保つか。

 

「ねえねえレイさん、私たちで様子を見に行ってあげましょう!」

 

 何やかんや人のいい年長者の良心をニーナが突っつく。

 

 早くも人心掌握を身に付けつつある恐るべき幼女である。

 

「あのなあ、そうは言っても道がないって話だったろうが」

 

「いえ、一応あることはあるのよ?」

 

 ウェイトレスが助け舟を出してしまう。レイは困り顔を浮かべ、ニーナは目がしいたけになる。

 

「教えてください!」

 

 こういうときのニーナの反応は早い。声も大きい。

 

「山道が整備されるまではね、火山の中の洞窟を通ってたんだって。とっても危ないから、当時は腕っぷしの強い人たちを集めて、向こうと行き来したそうよ」

 

 地元の昔話はわりと教えられているもので、ウェイトレスさんもその例に漏れない。

 

「そこを通るにはどうしたらいいですか!?」

 

「荷運びギルドのマスターさんに頼んでみたら?でも危ないから、やめたほうがいいと思うけど」

 

 ――おーい、料理を早く持って行ってくれー!

 

「おっといけない。それじゃごゆっくり!」

 

 ウェイトレスさんは席を離れると、後にはやる気のオーラが立ち上るニーナと、あっちゃーという風に顔を押さえたレイがいた。

 

「ねえ聞いた!?行ってあげましょうよ!」

「あげましょうってお姫さん、あんたね」

「みんな一緒なら大丈夫よ!ね?」

 

 振り向くとみんなもだいたい食事を終えた所だった。

 

「そうね、例え船が壊れていても、それはそれで見る価値はあるわ」

 

「はいモモさんはこっち!ペコロスもこっち!」

 

 早い者勝ちと言わんばかりに自分の票を固める王女。末恐ろしい行動力である。

 

「リュウだってまだ大物を釣ってないわよね?火山の向こうの釣り場にはいるかもしれないわ!」

 

 ボーンドマリーナ、ランタンキャット、ボルデビが釣れるのは、火山から先の釣りポイントなので、外れではない。

 

「うーん、そうだねえ」

 

 普段ならぼんやり流されるだけの彼だが、しかしこの時は違った。

 

「ボクとモモが行くのはいいけど、危ないからニーナは待ってたほうがいいと思う」

 

「え!?」

 

 完全に予想外だったのか、ニーナは信じられないとばかりにリュウを見る。

 

 だが彼は珍しく彼女を見つめ返した。

 

「ニーナの提案は良いと思うけど、ニーナがすることはないと思う。ここは二手に分かれるか、せめてニーナを返してからやるべきじゃないかな」

 

 少女の身を案じるが故に出た言葉が、皮肉にもニーナの意図を遮る形になってしまう。

 

(リュウ……私のためを思って……!でもタイミングが悪いわ!)

 

 浮かれ半分衝撃半分。

 理解のある彼による、思わぬ妨害にニーナはたじろぐ。

 逆にレイはうんうんと頷いている。

 

「てぃ、ティーポはどう思うの?」

「えっああ、オレはどっちでもいいよ」

 

 ペコロスに謝っていたティーポは話を聞いていない。

 こうなると最終的判断はリーダーに委ねられる。

 

「分かった。一応おっさんたちに聞くだけ聞いて見よう」

 

「やったー!」

 

「ただし、火山に行くのは三人だけだ。全員固まって行って崩落や噴火になったら、助けにも行けないからな」

 

「うっ」

 

 放っておけばまた全員で行くという流れになってしまう。しかしそれは危険過ぎる。

 

 レイは意を決した。

 

「行くのはオレとリュウとティーポ、残るのはお姫さん、モモ、ペコロスだ」

 

『ええ~!?』

 

 これには女子二人も憤慨である。

 

「ちょっとちょっと、この話の流れでどうしてそうなるのよー。百歩譲って私がレイのポジションでしょー?」

 

「そうよレイさん、そこは私とリュウとモモさんじゃないかしら!」

 

 非難ごうごう、不満たらたら。しかしレイは頭を掻きつつ言う。

 

「いいか?お姫さんは今からお城に送り返してもいいんだぜ。モモだって船が戻れたら拝むチャンスがある。少しは我慢を覚えよう、な?」

 

『うっ』

 

 自分の空腹を耐えて弟分たちに食べ物を回す男の言葉に、少女たちは言い返せない。

 

 自分たちの言い分を聞きながら、危険から遠ざけるという選択を考えたレイを、無下にはできなかった。

 

「安全に通れそうだったら、後から来てもいいから」

「分かったわ。ここで三人の帰りを待ちましょう?ニーナ」

「はい……モモさん」

「ぴきぷー」

 

 かくして男三人はズブロ火山へ。

 女子+αはラパラに残ることとなった。

 果たして彼らの行く先に、何が待ち受けるのか。

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