ブレスオブファイア3二次創作 釣竜伝説   作:泉 とも

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リュウがドラゴンになる理由をそろそろ考えねばならない。


写真と違う男参戦

 ギシャボルゴとの戦いを終えたリュウたちは、無事にズブロ火山の洞窟を抜けた。

 

 近くにキャンプの設営を終え、ニーナたちを迎えにラパラへ戻る。

 

 そこには。

 

「誰そのおっさん」

 

 開口一番、ティーポが言う。

 

 そこにはパッケージだと角が下に生えて上を向いているのに、ゲームだと角が上に生えて後ろへ流れている、顔も獣人というよりクチバシっぽくて鳥に似ている大男がいた。

 

 ガーランドである。

 

「ああ、この人はガーランドさん。火山の向こうにある『ウルカン・タパ』っていう街の人らしいの」

 

 のんきにご飯を食べていたモモが帰って来たリュウたちに説明する。

 

「ニーナがまた脱走しようとした時に、ちょっとね?」

 

 例によって言う事を聞かないニーナが、三人の後を追おうとした為、彼女が止めに入った。

 

 危ないので待とうと言うと、一度は大人しくなったらしい。

 

 しかし店に入って来たガーランドが、火山の向こうへ行きたいと店の人に聞いているのを耳にして、声をかけたというのだ。

 

「それでガーランドさんを連れて、リュウたちを助けに行ったら、そのまま向こう側へ行こうって言いだして」

 

 リュウたちは勢い付いて動き出すニーナの姿が、容易に想像できた。

 

「で、間一髪オレたちが帰ってきたと」

「そうよー。おかえりなさーい」

「ああ、うん。ただいま」

 

 気の抜けたモモの声に、レイたちの体から力が抜けて行く。

 緊張や落ち込んだ気持ちが、何処かへとうっちゃられる。

 

「どうかしたの?元気がないけど」

「ああ、たった今なくなったとこだよ」

「まー、失礼しちゃう」

 

 そうこうしている横で、リュウはガーランドを見た。

 

 特に喋ることもなく、成り行きをずっと見守っている。

 

「あの、おじさん」

「……ガーランドだ。お前は?」

「リュウっていいます」

 

「そうか、リュウ。オレに何か用か?話の流れだと、オレは用済みらしいが」

 

 ガーランドが言うと、ニーナとモモはばつが悪そうな顔をした。

 

「そう言うなって。うちの連中が迷惑をかけたみたいだし?折角だから一緒に火山の向こうに行こうぜ」

 

「そっそうですよ!それにガーランドさん、里帰りだって言ってたし、私たちもそこの村に立ち寄りたいかなーって」

 

 ニーナが話を合わせる。

 

 都合が良く転がったからと言って、それで相手に失礼をしてよい訳ではないのだ。

 

「……ふむ。機械浜までは少し距離がある。オレの故郷で一泊してからの方が、安全だろうな」

 

 ガーランドはそう言うと、羽を広げて首を鳴らす。良い子はあんまりやっちゃだめだぞ。

 

「見た所ほとんどが女子供のようだしな、よかろう」

「へへ、助かるぜ」

 

「なんだい!子供扱いするなよな!」

「でも私たち子どもでしょ」

 

 正味の話レイもまだ少年の範疇である。

 

「今から出発すれば、恐らく夕方頃には着くはずだ」

 

「よし、善は急げだ。また面倒が起きない内に、さっさと通り抜けちまおう」

 

 そうしてリュウたちは先を急いだ。行って帰ってまた行っての強行軍である。

 

「ねえリュウ」

「なにモモ?」

 

「さっきレイがまたって言ってたけど、何かあったの?」

「ああうん、大きいモンスターがいたんだ。でももうやっつけたよ」

 

 リュウはごく自然体で話し、経緯の一部は伏せた。モモはそれに気付かず、なんだと納得する。

 

 そして。

 

「火山って暑いし息苦しいわね」

「ごみ処理場よりも温度が高いわー」

「ぷきゅー!」

 

 地面とモロに接触するペコロスを荷物に仕舞い、一行は無事に火山を抜けた。

 

 そのまま設営しておいたテントに入り休憩に移る。人は元よりモンスターも寄りつかなかったのか、中は手付かずだった。

 

「ここからもう少し行くとオレの故郷『ウルカン・タパ』に着く。入り組んだ街だが、宿くらいはある」

 

「じゃあもう一踏ん張りってとこか」

 

 宿の当てが無い前提だったので、野営の準備をしていたが、それは杞憂に終わりそうだった。

 

「ねえレイさん、リュウたちを知らない?」

「いや、見てないが」

 

「リュウと、ティーポと言ったか。あの二人ならこの近くの釣り場を聞くなり、飛び出して行ったぞ」

 

 言われてテントや荷物を検めると、釣り具一式が無くなっていた。

 

「子供の体力ってすごいわよねー」

「愉快だね。後で迎えに行ってやるか」

 

 

 そして、釣りポイント9。

 

「大物がたくさんつれる!」と評判の ポイント。(だいたい原文ママ)

 生息魚 タイタン チヌーク ランタンキャット マニーロ

 

「ゲット!」

 

 リュウたちは海で体の火照りを冷ますと、そのまま釣りを始めた。

 

 見慣れた魚も釣れたが、それが今は嬉しかった。

 

「なんかこうして釣りしたの久しぶりだな」

「ティーポももっと釣りすればいいのに」

「そうだなー、よっと」

 

 タイタンを釣り上げると、ティーポは魚籠にそれを入れる。

 

「最近いろんなことが次々に起きてさ、ちょっと頭がこんがらがって」

 

 今度は釣れなかったので、またルアーを放る。

 

 リュウはと言えば、別方向にルアーを投げて魚たちを誘導していた。

 

「もしかするとオレ、なんかすごく大半なことになるかもって思った」

 

 今度も釣れないので、ティーポはまたルアーを投げる。

 むしろ釣れない方が、話に集中できている。

 

「なあリュウ、もしもオレが」

「うん」

 

「オレがその、何か大変な奴でも、うわ!」

「ティーポ!」

 

 うっかりかかった大きな獲物に、ティーポの体が引き込まれる。

 リュウは咄嗟に彼の体を支えた。

 

「くっこの!えい!」

「せーのっ!たあ!」

 

 二人で息を合わせ、じりじりと引き上げて行く。

 

「リュウ、オレが、オレがモンスターでも」

「せーの!うん?なに!?」

 

「オレがモンスターでも、一緒にいて、いいかな!」

「当たり前だろ!そんなことより集中しなよ!」

 

『そんなことって』とティーポは思ったが、リュウが気にしてないことが伝わり、彼は安心した。

 

「でもそうだよな。そうだ、こんなこと、ウラアアアア!」

 

 会心の叫びと共に、ティーポは釣竿を大きく振り上げた。まるで鍋のような形の大きな魚が、二人の前に躍り出る。

 

 ランタンキャット『111』

 

「で、でっけえ……!」

「すっごい……!」

 

 それはヒュージマウスよりもなお巨大な魚だった。あまりに大きく、最早魚籠には入らない。

 

「ねえティーポ」

「え、何だよ」

 

 リュウはティーポを見つめて言った。

 

「また二人で、釣りをしようね」

「お前って、ほんとそればっかりだよな……」

 

 それを皮切りに、二人はどちらからともなく笑い出して、そのまま笑い転げた。

 

 自分たちには自分たちの気持ちや都合がある。それでいい、それだけでいい。

 

「おーい二人共、そろそろ出発するぞー!」

 

「あ、レイ兄ちゃん見て見て!オレたちすっげーの釣ったんだぜ!」

「ほらこれ!」

「お前ら、まあ元気になったからいいか」

 

 自分たちの知らない大きなところで、深い悲しみがあったとしても、それは自分たちには関係がない。

 

 そう言わんばかりに、彼等は前に進んでいく。

 

「これだけでかいから、食ったらきっとうまいぜ」

 

 余談だがランタンキャットは不味い。チョウチンアンコウはアンコウの仲間だが、アンコウと比べて全然美味しくないのだ。

 

 現実は残酷である。

 

「おいおい、これでマズかったらどうするんだ」

「そのときはオレが責任とって食うよ」

 

 もう一度言うが、ランタンキャットは、不味い。

 

「またそんなこと言って後悔するよ」

「へん、大丈夫だって!」

 

 この日の夜、ウルカン・タパでは一人の少年が表情のない顔で大量の魚を遅くまで食べていたそうだが、それはまた別のお話。

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