ブレスオブファイア3二次創作 釣竜伝説   作:泉 とも

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Join us家出娘 中編

 時は先日の夜まで遡り、場所はウィンディア城へと移る。

 

「ええ~~~~!!明日のお出かけは中止!?!?」

 

 城内全域に響き渡るような大声を、ちっちゃい女の子が上げる。ニーナである。

 

「うお、す、すまぬニーナよ。実はウールオルのマクニール村付近の森で、大規模な火事があったというのだ。被災地の様子を見に行かねばならなくて」

 

「で、でもでもお父様! 何も明日じゃなくても!」

 

「ニーナ、わがままを言ってはいけません。お父様は村の人たちが大変なことになっていないか、それを調べ、助けに行くのですよ。我慢なさい」

 

 シーダの森の大火災の噂は、早くもウィンディアまで届いていた。

 

 王の勤務姿勢も王妃の言葉ももっともだったが、折角の家族水入らずのお出かけを潰されたのでは堪らない。

 

「じゃ、じゃあせめてお母さまだけでも一緒に、街をお散歩するだけでも」

 

「いいですか、ニーナ」

 

 王妃の言い方にニーナは何度目かの絶望を味わう。この説教の時間はこの年で何度も経験し、その度に枕を濡らしたものだ。

 

「済まぬニーナ、父を許せとは言わぬが、せめて分かって欲しい」

 

「はい、お父様……」

 

 すっかりしょげ返ったニーナは、部屋に戻ると明日のピクニックのために用意した、あれやこれを見つめた。

 

 そして。

 

「家出しちゃう家出しちゃう家出しちゃう家出しちゃう!」

 

 深夜に猛烈な勢いで脱走した。

 

「お父様もお母さまももうしらない!私が二人のことを大事にしてあげようとしたって、そんなのに意味ないじゃない!ふーんだ!」

 

「あっニーナ様、どちらへ」

「家出です!」

「はあ、家出、ですか」

 

「これ!お父様かお母さまに渡してください、いいですね!」

「えっあっちょっと」

「探さないで!これは命令です!」

「え~~!」

 

 既に半泣きのニーナはその勢いと権力で門番も突破し、でも書置きは渡して、そして取り敢えず街の宿屋に泊まったのだった。

 

 そして時は戻り、少ないお小遣いで朝ご飯のパンを食べると、ニーナは街を出た。

 

 子供を甘やかさないにも程がある両親のせいで、彼女の路銀は早くも尽きそうだった。

 

(このままじゃダメよ!家出したんだから、野宿だって何だってできなくちゃ!)

 

 ニーナは川へ出て釣りを始めた。しかしじっとしていられない性分なので、全く上手く行かない。

 

 きっと釣り場が悪いんだと自分に言い聞かせ、彼女は場所を移した。

 

「たー!(クリティカルヒット)」

 

 そこでは勇ましい声と共に釣りをする、中々顔の良い少年がいた。

 

「トゥンク」

 

 一目で恋に落ちたニーナは、少年にぐいぐいと迫ったのだった。

 

 

 ――ここからリュウのターン。

 

 

 釣りポイント5

 

 変化にとんだ、川の流れに さまざまな魚が 集まる。(原文ママ)

 

 生息魚 ピラニー、 ブラウン、レインボー、ビッグマウス、ヒュージマウス

 

 

「それでね、お母さまったら酷いのよ!」

「そっか、大変だったね」

 

 横で大量の愚痴を言い続けるニーナに相槌を打ちながら、リュウは初めての釣り場を堪能していた。

 

 釣ったことのある魚も、そうでない魚も皆、生き生きとしている。数も多い。既に魚籠は一杯だった。

 

「きっとお母さまは王女としての私にしか興味が無いんだわ」

 

「そうかも知れないね。だからあんまり気にしたらダメ。よっと」

 

 言いながらリュウはビッグマウスを釣る。この釣果ならレイたちも満足だろう。

 

「……リュウって大人なのね」

「そんなことないと思う」

 

「ううん、私さっきから横でずっとおしゃべりして、気が散ったんじゃない?」

 

 ニーナは冷静になると、自分を客観視してばつが悪くなった。こういう所は結構聡い子である。

 

「集中し過ぎると魚にバレちゃうから、丁度よかったかも」

 

 一方でリュウは暢気なものだった。

 

「ありがと、リュウ」

 

 むしろニーナが騒ぐと魚が逃げるので、逃げる先に予めルアーを投げ込んでおくと、面白いように魚が釣れたのだ。

 

(こんな釣り方もあるんだなあ)

 

 などと秘かに感心していると。

 

「はあ~~。私ってダメね……」

 

 大きな溜息が聞こえた。リュウは釣りを中断すると、ニーナへと振り向く。

 

「本当は家族みんなで来たかったのに。何してるんだろ、私……」

 

 水面を見つめるニーナは、素朴な顔をしていた。

 

「例え魚が釣れなくても、みんないっしょだったら、楽しかったろうな……」

 

 ニーナの横顔を見て、リュウはレイとティーポを思い起こした。もしもその日がボウズだったとしても、三人一緒なら文句をブーブー垂れて、それも悪くないと感じただろう。

 

「ねえ」

「なに、リュウ?」

 

 リュウは釣竿を差し出した。

 

「約束でしょ。釣り、教えてあげる」

 

 ニーナはリュウを見つめた。大きく、そして柔らかな青空のように、優しい笑み。

 

「リュウ……うん!」

 

 少女は釣竿を握ると、目の前の釣りポイントへと向き直る。

 

「よーし!大物を釣り上げて、城のみんなをあっと言わせちゃうんだから!」

 

 釣竿にはまだ、少年の体温が残っており、温かかった。

 それがニーナに、勇気を与えた。

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