ブレスオブファイア3二次創作 釣竜伝説   作:泉 とも

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なんだか大変なことになっちゃったなあ

 ドラグニール。

 

 それは女神ミリアの手を逃れた、ドラゴンの末裔たちが隠れ住む集落。だがほとんど廃墟に近く、最早朽ちるのを待つばかりであった。

 

 そんな所にリュウたちはやって来た。俄かにざわめく生き残りたち。

 

 ドラゴンの力を捨て老いさらばえた住民と、一握りの年少者らしき者。

 

「お前たち、ここから出て来たのか」

「えっはい」

「待ってろ、今長老を呼んで来る」

 

 そして始まる歴史物語。

 女神とドラゴンの世界を巡る戦い。

 正義と悪の因縁。

 

「ドラゴンの御子、あなた方がこの世に生まれたのは、恐らく女神ミリアと戦うためでしょう!」

 

 お年寄りの一人が力説する!

 

「奴めは死の砂漠を越えた先におります!ですがドラゴンの勇者とその仲間なら必ず越えられるでしょう!」

 

「いやあの、ボクはまだ行くと決めた訳じゃ」

 

「大丈夫です、力ならあなたも負けておりませぬ!自信をお持ち下され!」

 

「いやだから」

「力なら負けておりませぬ!自信をお持ち下され!」

 

 あれよあれよという間に、自分たちの与り知らぬ過去を押し付けられてしまい、リュウたちは成す術も無かった。

 

『なんだか大変なことになっちゃったなあ』

 

 というのが一行の胸中であった。

 

 冷静になって考えれば当然、この流れは当然なのだ。

 

 数百年以上世界の命運を賭けて戦う二者の、相容れぬ死闘。竜と神、どちらかが滅び去るまで続く争い。

 

 そして今、遂にドラゴンは敗北を喫し滅亡しつつあった。生き残った人々の心中が穏やかであろうはずもない。

 

「あのさあ、ティーポ」

「何だよリュウ」

「やっぱり神様に会うのやめようか」

 

 リュウはそんなことを言う。ストーリー的にはそこまで執着する理由は彼には無いのだ。

 

 ただ旅の意味とか、自分の生の意味とか、とかくそんなものを求める内に、漂流していったというか。

 

「オレもその方がいいと思うけど、逃がしてくれるかな」

 

「一応あの機械が直った以上、ここまでみんなが行き来できるようになったから、悲観的になることはないと思うわ」

 

 相部屋で雑魚寝していたモモが呟く。

 

 トランスポートの修復は、再び人類が外へ出る足掛かりを得たことを意味し、この限界集落が滅亡する日も遠のいた。

 

「いきなり余所者が来ても困るから、しばらくは妖精さんやマニーロたちに様子見を頼もうぜ」

 

 まるで腕利きのケースワーカーの如き視点でレイが言う。

 

 世界中の何処にでもいるその種族なら、馴染まないということもないだろう。

 

 問題を起こさないとは限らないが。

 

「砂漠を越えるのも現実的じゃないし」

「だよねえ」

 

 この時はまだ、ギリギリの所で当事者にならずに済んだのだが。

 

 翌日。

 

「ボノに会ってくだされ。この集落の最古参です」

「はあ……」

 

 そして。

 

「教えて下されご老人!」

「えーい老人老人言うな!同い年のくせに!」

 

「頭に来た。もうわしピチピチしたおなごとしか口きかないもんね!」

 

 →モモ。

 

「いやじゃいやじゃ!もっとピチピチしたおなごじゃないといやじゃ!」

 

「ひっどーい!失礼しちゃうわー!」

「はっはっはっはっはっはっはっは!」

「笑い過ぎだよ兄ちゃん!」

 

 →ニーナ。

 

「わしにチューしてくれ」

「え!?ど、どうしよう、リュウ」

 

『どうしてボクに聞くの?』

 

「そっそうよね」

 

 と、だいたい本編と同じことが起きた。

 

「さて、これで思い残すもなくなったし、リュウよ。ティーポを連れて来い。何をするかもう察しはついとるじゃろう?」

 

 

 ――そしてボノからそう言われて、メンバーをレイとティーポに変えて戻って来た。

 

 

「なんかさあ、昔もこういうことあったよな。ほら、ズブロ火山で」

 

 三人はかつて気の触れた老人に襲われたことがあった。今にして思えば、彼の言葉はこの時に結び付いていた。

 

「うんボクもそう思った」

「あの爺さん、ここの連中の仲間だったんだな」

「何をごちゃごちゃ言っとるんじゃ」

 

 ボノに言われて向き直ると、彼はレイを指差して下がるように示す。

 

「すまんがこの二人だけで頼む。ドラゴンのみの慣習みたいなもんでの」

 

「ああ、分かった」

 

 そしてリュウとティーポが残る。

 

「これからすることは簡単じゃ。ワシはズルして本気を出すが、お前たちはドラゴンの力無しでワシを倒す。それができればワシのドラゴンの力をお前たちに授けよう」

 

「何かと思えば、要は修行か」

「そういうことなら」

 

「ふぁふぁふぁ、他の連中みたいなことは言わん。ただワシはこのために長い時間を待った。もういい加減やめたいと思ってたんじゃ。このチャンスは絶対に逃さん」

 

 はっきり言うご老人に二人は苦笑いを浮かべる。自分たちは関係ないのに謎の罪悪感が込み上げてくる。

 

「よっしゃ、じゃあとっととぶっ倒して、隠居させてやろうぜ、リュウ」

 

「行きます!」

「覚悟せい小童ども!」

 

 

 ――そして戦うこと暫し。

 

 

「まいった!ワシの負けじゃ!」

「指輪がなかったら危なかったな」

「共同体で増やしといてよかった」

 

 この時代からドラゴンはフェアリーに弱い。

 

「まさか戦ってる最中に装備を変更されるとは」

「臨機応変ってことさ」

「かかっ違いないわい。では約束通り」

 

 リュウとティーポはアンフィニのジーンを受け取った。

 

「まさかドラゴンの御子が二人も来るとは想定しとらんかったが、これはあくまでお主たちの力を引き出すきっかけに過ぎんから、個数が足りないとかはないぞい」

 

「いや別に聞いてないけど」

「取り合いにならないのは良かったけど」

 

 ボノは若人たちを眺めると、満足そうにうなずく。まるで全ての時間を使い切ったかのように。

 

「おい、爺さん!」

『え!?』

 

 少しずつ、その姿が薄くなっていく。

 

「元々、その力に活かされていたようなものじゃ。わしもイイ歳じゃったから、こうなるのは分かっておった」

 

「おいジジイ、こんなことされたって迷惑だぞ!」

「そうだ、ボクたちの力を返せば!」

 

 しかし二人が動くよりも早く、ボノの体は霧散してしまった。

 

『わしは満足しておる。これでよい。リュウ、そしてティーポ。お前たちは古いしがらみに囚われず、己が心のまま、自由に生きるがよい。ふぁふぁふぁ……』

 

 最後の言葉も消えると、老人の気配は完全に消えてしまった。

 

「ズブロ火山の時といい年寄りってのは、人の話を聞かないもんだな」

 

 レイは二人を迎え入れると、率先して外へ向かう。リュウたちも後に続く。

 

「そんなこと言われたって困るぜ、ったく」

「どうしようかなあ、本当に」

 

 外に出ると集落の人たちは、何が起きたかを察しているようで、何も言わなかった。

 

「ボノは女神との対決を託したんでしょう!」

 

 この人以外は。

 

 本編でいいえを選ぶと信じられんっていう人。きっちり恨みを抱えている黄色い服のお爺さんである。

 

「決めた」

「リュウ?」

 

「この話を終わりにしたい。だから、やっぱり神様に会うだけ会ってみよう」

 

 どこからか現れ、絡み付く他人の過去。

 唐突な因縁と犠牲。

 リュウは苛立っていた。

 

「そっか。そうだな」

「まったく、愉快だね、どうも」

 

 自分たちの周りで起きたドラゴンと神の対立。

 

 その煩わしい問題に終止符を打つべく、リュウたちは砂漠越えへと挑むのであった。

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