釣りポイント4。
「思わぬ大物がつれる穴場」と うわさの ポイント。
(だいたい原文まま)
生息魚 トベータ、イシムペスラ、チヌーク、タコ、マニーロ
「よーしリュウ、オレと勝負だ!」
「望む所!」
ティーポとリュウは初めての海を前にして、気炎を上げて釣竿を引いた。
『二人共がんばれー!』
そこに水着姿の女性陣から黄色い声援が送られる。
リュウたちは海に来ていた。その過程を少しばかり遡るとしよう。
――プラントにて。
『どうもお世話になりました!』
ニーナたち少年少女一同は、プラントの社会科見学を終えた。本日の午前中で、昼までは結構あるくらいの頃。
朝一でプラントを見学した彼らは、職員の方々から機械や施設の説明を受け、何と無く分からないままその場を後にしたのだ。
そこまで大きな場所でもなかったので、大して時間は掛からなかった。
これといって特別なことも起きず、強いて言うならティーポがベルトコンベアを逆走し、怒られたことくらいだろう。
「ねえねえ、この後海に行くんでしょ!」
珍しくリュウから次の予定を示した。放っておけば今にも駆け出しそうだ。
「そうねえ、ここからならたぶん、二時間も歩けば着くんじゃないかしら」
「じゃあオレたちなら走れば30分だな!」
「おいおいティーポ、お姫さんもいるんだぜ?」
「あら大丈夫よレイさん、私はゆっくり行くから」
「そう言われちまうとな……。いいさ、オレがおぶってくよ」
「きゃっ」
言うが早いかレイはニーナを担いだ。そして三人は海へと続く街道へ戻り、軽く手足を慣らす。
「リュウのリリフとげんきだまが有れば、たぶん大丈夫だろ」
「頑張る!」
「よーしそれじゃ行くぜ、リュウ、兄ちゃん!」
三人の男子は顔を見合わせると、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ありがとうレイさん。こほん、では位置について。よーい……どん!わっ」
三人は海へと走った。猛然と走った。
山と森で鍛えた手足、全力疾走を一分以上続けることなど造作もない。
「ねえ、連げんきだま使っていーい?」
「いいぞ!どんどんやれ!」
レイなどは流石に早く、ニーナを抱えているのにリュウたちと同じくらいの速さで走っている。
「うん!じゃあはい!」
リュウも回復魔法で疲労を癒しつつ、只管に道を駆けた。途中で塔を見かけた一行は、帰りにこの近くでキャンプをしようと決めた。
そして三十分後。
「ぜえ、ぜえ、さすがにちょっと、はあ、はあ、無理があったかな」
「おえ、ふう、でもよティーポ、砂浜が見えて来たぜ」
「……!」
リュウは最後の力を振り絞って走った。初めて嗅ぐ奇妙な匂い、地面いっぱいに広がる砂浜、そして。
満ち引きを繰り返す、波。
紛れも無い青。
そこに海が、あった。
「海だああああああああ!」
「あ、リュウ待てよ、オレも!」
「やれやれ、オレたちも行こうか、お姫さん」
「はい!」
そうして彼らは初めての海を体験した。
「でっけえー。これほんとに海なのかあ?」
「わかんない。でもたぶんそう」
スケールの大きいものに触れて、リュウとティーポは感動していた。
上手いリアクションこそできないが、深く感じ入っていることは確かだった。
「よし、泳ごうぜ!リュウ!」
「うん!その後釣りね!」
「あっ待って、こんなこともあろうかと、みんなの水着を持って来てたの……って、え?」
なんと特に気にすることもなく、二人はその場で服を脱いですっぽんぽんになったではないか。
「おーいお前ら、服を脱ぎ散らかすなよ。ったく、お守りはつらいぜ」
レイが二人の服を回収しながら後を追う。
野生児同然の田舎キッズには水着などという文化的な知識は存在しない。
むしろ服を着て見ずに入ると服がビショビショになってしまうことを、経験から避けただけ上等であう。
「きゃー!って、え?ティーポって男の子だったの!?」
「まあ結構分からんよな」
二重三重の衝撃にニーナが目眩を起こす。大きな海、実は男の子だったティーポ、眩しい肢体。
世の聖職者たちが見たら絶対良からぬ欲望を抱くであろう光景、少女の何かが危なくなる。
「うえ、ぺっぺっ!水がしょっぱい!」
「気付いたけど海って変な臭いがするな」
「池だって臭う時あるだろ」
「そっか、海ってつまり池のレベル99なんだ」
などと言いつつ一行は燥いだ。ビーチには強めのモンスターもおらず、平和だった。
カニを追い掛けたり、貝を捕ったり、ニーナが水着を披露しても、キッズの反応は今一つだったり。
(ヒソヒソ、なんでニーナは服を着てるんだろう)
(ヒソヒソ、バカだなリュウ、女はどこでもオシャレをしたがるんだよ)
(そっか、ティーポってあったまいー)
(もちろんだぜ……!)
歴史的に水着の誕生した経緯からするとあながち間違いでもないことをティーポが言う。
「その、似合ってる……リュウ」
ニーナはマッパキッズをあまり見ないようにしながら、顔を赤くしてもじもじとしていた。
「え、あっうん。似合ってると思う」
反対に何も分かってないリュウは、取り敢えず頷いた。
「そ、そう!?よかった。私ね、みんなの分の水着も持って来てるの。良かったら来て頂戴!」
そうしてニーナは両手に持っていた、二人分の海パンを手渡した。
「何だコレ」
「濡れてもいいパンツよ、遊び終わったら脱いで乾かすの」
『へー』
※サービスタイム終了のおしらせ。
「オレたちも遂にオシャレをする時代かあ」
「似合ってるかな?」
「とっても似合ってるわ二人とも!」
安心して直視できるようになると、ニーナはほっと胸を撫で下ろした。
そんなとき。
「あのー」
「はい?」
「君たちここで何してるの?」
背後からの声に振り向くと、そこには一人の水着姿の女性が立っていた。