ブレスオブファイア3二次創作 釣竜伝説   作:泉 とも

9 / 38
強いやつ!偉いやつ!

「えー、では今日はお城に帰る前に、プラントのごみ処理場へ行く。いいな?」

 

『はーい』

 

 レイの確認にリュウたちは仲良く返事をした。

 

 三人の頭には漫画みたいなタンコブができている。昨日浜辺に忘れていたレイを助けた所、ガチ目のトーンで怒られたのだ。当然である。

 

「手伝わせちゃって悪いわね、でもありがとう」

「いやいいんだ、行こう」

 

 モモ以外は全員目の下にクマができていた。

 

 それもそのはずで、塔の中はろくに生活スペースが無く、その辺を歩いているとモンスターや機械と遭遇し、戦闘になった。

 

 足音や鳴き声もあって到底寝られる環境ではない。モモとハニーだけならいざ知らず、五人ともなると安全な部屋が見つからない。

 

「しかし野宿の方がマシな暮らしがあるとは思わなかったぜ」

 

「家の中にモンスターを放し飼いにしてる奴って結構いるんだな、リュウ」

 

「うちのお墓もそうよ」

 

 寝られなかったキッズはそのまま夜通し探検していた。元気が過ぎる。

 

「ごめんねー、こんなことならお父さんの書斎を、片付けておくべきだったかしら」

 

「いや、まあ、そこまではいいさ」

 

 レイは僅かな緊張感を持って答えた。リュウたちの探検に付き合う際、彼は鍵開けのスキルを駆使して、モモの父の書斎に入った。

 

 書斎は書斎でもえっちな本が死ぬほど詰め込まれた書斎に。

 

「そっとしておいてやろう、な」

「レイ……ありがとう」

 

 処分をすることもできず、突然の死を迎えたモモの父。ふとしたきっかけで知った複雑な家庭の事情。

 

 本を熟読したかったが、レイはそっとしておくことにした。ノイズが多すぎた。

 

「あっ馬車が来たよ」

「アレに乗って行くのね」

 

 街道には迎えの馬車がやって来た。プラントが手配した迎えである。

 

 女子一人にお便り一つ出して、徒歩で行き来しろは頼む方からしても無責任である。

 

 そのための足が用意されたのだ。

 

「でもさー、ゴミ処理場って何捨てるんだ?」

「食べ残しとか皮とか種なら、土に埋めるよね」

 

「プラントのゴミ処理場は、育ちすぎて食べられなくなった強化作物や、実験で出た失敗作を、火山の溶岩に捨てる場所なのよ」

 

 食べられない物を捨てるという一言で、リュウたちは納得しかけて、疑問符を浮かべた。

 

「やっぱり埋めたらいいんじゃない?」

「だよなー」

 

「うーん、失敗作の中には土に毒を流してしまう物や、育ちすぎてモンスターになってしまった作物もあるの」

 

 モンスターになった作物。リュウたちは強化作物が美味しくなかった理由に思い当たり、顔が青くなる。

 

『モンスターだから不味かったのでは?』

 

 喉元まで出かかった言葉を、誰もが飲み込む。

 

「それがまた復活しないように、溶岩に捨てるの」

「モモさんものしりー」

「へへへ……」

 

 などと話していると馬車はプラントに到着、一同は外側を回ってごみ処理場へ向かった。

 

「暑っ、臭っ!」

「はえー、でっけえ洞窟だなあ」

 

 掘り抜かれた人口の空間は、溶岩の熱気が充満しており非常に暑かった。

 

「プラントの不調の原因があるかもしれないから、一通り見て回りましょ」

 

「えっ、心当たりとか場所とか分からないの?」

 

「あくまでも可能性の問題だからね」

 

 ごみ処理場内部は、こんな環境でもしぶとく生きている奴らなせいか、モンスターも一クセあった。

 

 しかし今は五人パーティである。ロマサガや世界樹並みと来れば、苦戦はしない。

 

 彼らは敵を蹴散らしながら奥へと進む。

 

「うへえ、昨日はあんなに涼しかったのに。早い所ボスでも出ないかなって……」

 

 暑さから逃れたい一心で、その辺の横穴に入ったティーポは、そこでとある物を見つけた。

 

「でっけえー。たまねぎか?これ?」

「ティーポ、何かあったかって、でけえたまねぎだな」

 

「わー、すっごいたまねぎ!」

 

 集まるとみんなしてたまねぎを連呼する。その声を聞いてたまねぎが目を覚ます。

 

「誰ですか、あなたたちは?」

「おいたまねぎが喋ったぞ!」

「すげえ、たまねぎのおばけだ!」

「これは立派な変異体ね……!」

 

 興味津々と言った様子で、暑さも忘れてたまねぎの変異体を囲んでわちゃわちゃし始める。

 

「あの!何かご用でしょうか?」

「あ、そうだったわー。いけないいけない。実はね」

 

 モモはかいつまんで事情を説明した。

 

「そうですか。私は変異体。そしてあなたたちは、私を排除しに来た」

 

「いえまだそうと決まった訳では」

 

 しかし変異体は聞く耳を持たず、戦闘モードに移行する。

 

「私は私の身を守るために、あなたたちを排除します!」

 

「愉快だね。話を聞かない奴に限って、話が早いと来てる」

 

 

 とはいえそこは多勢に無勢。直ぐに勝負は着いた。

 

「私の負けです。私のような危険な存在は処分してください」

「だから早えーって!」

 

 胴体のみとなった変異体は、打って変わって生を諦めてしまった。

 

「私はまた人を襲うかもしれない!私の意思は固いですよ!」

 

「クソッ、手も足も出ないくせに意地でも死のうとしやがる!」

 

 まるで元気なくせに死ぬ死ぬうるさい年寄りである。

 

「うーん、どうしたらいいかな」

 

「簡単だよ。勝ったのはオレたちなんだから、オレたちが好きにしていいんだ」

 

 弱肉強食、それは生殺与奪へと通じる一つの法である。

 

「ええ、それって乱暴じゃない?」

「でもオレこいつ殺すのヤダぞ」

「うん、ボクも」

「私も」

 

 ティーポが取るに足らないNOを言うと、周囲もそれに同意する。時には相手を尊重しないことが、相手のためになることもあるいい見本である。

 

「まあ行き違いはあったけど、そんなに死に急ぐこともないだろ」

 

「一先ず何処かに植え替えましょう。賢樹の森辺りに運んで、後は様子を見ればいいのよー」

 

「みなさん……」

 

 リュウたちは変異体を外へと運び出すと有言実行、件の場所へと運び込み、地面に半分くらいまで埋める。

 

「これでよしっと」

「ありがとう、みなさん」

 

「ちゃんとしたたまねぎになって、人生やり直すんだぞ!」

 

「頑張ってみます」

 ティーポは腕を組んで偉そうに言う。深く考えて喋ってはいない。

 

「でもびっくりしたわ。たまねぎがモンスターになっちゃうなんて」

 

「またこんなことがあったら、その時はどうしようかしらー」

 

 第二第三の変異体が生まれないとは限らない。というか変異体の中でも特別な個体が生まれる恐れがある、というのが今回発覚した問題だが。

 

「その時はシーダの森にでも埋めるさ」

「火事で焼けたし今は何もないもんね」

「誰も文句言わないだろ」

 

 などと話ながら一行はプラントにて、所長に一部を誤魔化して事後報告し、再び峠の茶屋訪れた。

 

「今回は助かっちゃったわー。ありがとー」

「まっ、お互い様だろ」

 

「それにティーポもありがとー」

「オレ?」

 

 カレーの量をどのくらいにするか、頭を悩ませていたティーポが振り向く。

 

 リュウは辛さで、ニーナは漬物の選択で悩んでいる。

 

「私だけだったら、きっと流されて処分しちゃったと思うの。あそこで君が嫌だって言ってくれて、助かっちゃった」

 

「そっか。なんか、照れるな。へへ」

 

 ティーポは鼻を擦ると、少しだけ赤くなってはにかんだ。

 

「これ食ったらウィンディアに戻るぞ。そろそろ手形もできてるはずだしな」

 

「そういえばそんな話だったなあ」

 

 寄り道がメインとなったニーナの社会科見学が、色々有ったが無事に終わりを迎えようとしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。