いろいろ忙しくて亀のような投稿頻度だけどゆるして?
てなわけで本編スタート
前回のあらすじ
ラプチャー侵攻によって大切なものを失ってしまったハル。
避難所から抜けてきた先に少女と出会う。
その少女と仲良くなった後、物音がしたため様子を見に行くとそこには怪物がいた。
「…人間……まだいたのか。」
異形の化け物がハルを舐めるように見ている。
「た、…タスケ」
「チッ!」
化け物が腕からカマキリのような鎌を生やし、何か話そうとしている大柄な男の首を切断した。
その首は怪物の足元に転がり、その足で踏み潰された。
「クソ…ゲートもあの生命体のせいで生まれるのも一苦労だ……。」
「しかも……魔力もほとんどない無意味な人間しかいないし……」
「
「誰かがサバトでも起こしてくれないものか……」
は?
今…なんて……?
無意味…??
無意味、だと……
怪物が歩いてこちらに向かってきている。
「んん?」
「お前…魔力を持っているな?しかも、今までより多い…!」
「ふふ…フハハハハハハ!!!」
「これで新しいファントムを生み出せる…!そして…」
「私の…
手に持っていたバックを前に出したが、それが切り裂かれてしまい、中にあった日記帳や箱の中身が散乱しながら地面に倒れる。
「ぐぅっ…あ………!」
胸に一撃を貰い、血が滲み出てくる。
「フフフ……!さぁ…これで………」
「・・・・・おや?」
「………人間の気配がするな…この先か?」
「私は運が良い……ゲートにするか人質にするか…」
とハルの来た方向を見る。
「っ…!」
「や、……めろぉっ…!!」
怪物の腰にしがみつき、あの子へ向かわせないように今できる力で押さえつけようとする。
「ふんっ!!」
強く顔面を殴られて他に伏せてしまう。同時に口の中が裂けて血が流れていく。
「ごっ……!」
「ゲートなら…私に絶望しろ!!」
「いや……フハハハハハハハハハ!そうか!あの先にお前の大切な物があるのか!!そうかそうか!!なら壊してやろう!!!!」
怪物はそのまま去ろうとしている。
彼の意識は朦朧としながらも、脳裏にあの子が浮かぶ。
あの怪物の存在はわからないけれど、ハルは起きあがる。
今まで真っ白で生きていた…最悪な世界で、今でも死にそうなほど、もう諦めたいほど、ハルの物語は、孤独だった。なにも特徴が無かった。
しかし、子供たちの笑顔は、人の喜ぶ姿は彼に色をつけてくれた。
「ぐっ…うぅっ…」
だからこそ、今起きなければ、その笑顔も無くなる。そして、あの少女の元に行って、沢山人のいるところで安全に暮らせるために。
這いずりながらも何か無いかと散乱した切り裂かれたバックのほうへと向かう。
箱に手を伸ばす。
片方の腕でなんとか起き上がって手探りで掴む。
「うおおおおっ!」
怪物の後頭部に小道具を投げつけた。
「………まだ息があるか。」
「っ……ごほっ…!」
怪物はカマキリの鎌を展開して歩み寄る。
ここで後ろに下がってもやられるだろう。
一瞬、過去の出来事が過ぎる。
家族との思い出。
孤児院で育ったこと。
誰からも拒絶させられていたこと。
「ハル…お前は…父さん…母さんの…最後の……希…望………」
父の遺言が聞こえる。
(俺は…)
「俺が君の希望になるよ」
(俺はぁ!!)
投げようとしていたベルトを右手に持って左手で殴りかかった。
「ぐっ…!」
怪物の頬に力が伝わる。
「
「俺は……まだ、……死んじゃ…いけ、ないんだ……!」
「俺…はぁ…!!」
手に持っていた手形のベルトに力が込められていく。
「もう…!逃げない…!俺は、!もう!失うのは!!!」
するとベルトは魔法陣を形成し、銀色の装置を出現させる。そして横にはホルダーが備え付けられている。
「っ…?」
「そのベルト……魔法使い…か!」
「
「ちょうどいい……ここにいる人間諸共死んでもらうぞ…!」
「っ!」
ハルはベルトを腰に巻いて出現したホルダーに手を伸ばして取り出し、右手中指に手の形をした指輪をつける。
(間に合えぇぇ!!)
ハルはベルトの手形の部分に手をかざす。
「は?」
「死ねぇぇぇぇ!!」
「っ!」
鎌の一撃をすんでのところで回避する。
「ぐっ!違うのか!」
(いや待て…オフって言ってたから…)
「できた!」
「はぁぁぁっっ!」
「っ!!」
ハルは横に跳んで回避する。
「ちっ!ちょこまかと!!潔く死ねぇぇ!!」
「そうも!いかないんだよ!!!」
ホルダーから赤い宝石の指輪を手に取り、右手につけてドライバーにかざす。
「なっ!」
「・・・ほう?どうやらわからないようだね。」
(なら、放置して嬲り殺そう……)
(まずは……脚を…!)
「くそ!なら!」
ハルは左手の中指にその紅い宝石をつける。
「っ!」
かざしても何も反応しない。
(なんで……!)
(いや…横になにかスライド…)
ハルはベルトの左右にある部品を触ると手形の付け根の部分が左手に向かうようになった。
「っ!?」
(できた!!)
「させるかぁぁぁっ!!!」
大ぶりに鎌を振ってくる瞬間、死を覚悟した。
だけど…俺はぁ!!!
あの子を!!
「っ!」
ハルは左手の赤い指輪についてある銀の装飾を下げ、ベルトにかざす。
振りかざされた鎌は正面に展開された魔法陣によって防がれる。
「クソ!」
魔法陣がハルを包まれるほど、火のエフェクトと同時に黒いローブが装着され、紅い宝石と同じ顔が装着される。
「っ゛……、」
なんだこれ……体が疲れ……
「ぬぁぁぁぁぁっ!!!」
緑色の斬撃が飛んでくるが疲労感が重くのしかかる身体で避けた。
「っ!」
「っと…!」
「逃げるな魔法使いぃぃ!!!」
また鎌を大きく振りかざそうとするが、それを腕で受け止める。
「ぐぅっっ……!!邪魔をするなぁー!!」
「邪魔…だと……!」
「そうさ魔法使い!!貴様のせいで私の僕になるファントムがどれだけ死んだか!」
「おかげで面倒なゲートを探し、絶望させなければならない!!」
「面倒……?だと…!」
「そうだ!我々ファントムは人間を絶望させなければ増えない!!面倒なことに、"自分の手"で!!」
「そのために……殺すのか…!」
「そうだとも?とは言っても……貴様には冥土の土産にもならんがなぁぁ!!!!」
怪物がこちらへ振りかぶりながら走ってくる。
ハルはそれを受け流して膝蹴りを腹部に強烈な一撃を与えた。
「ごっぉ!」
彼は一撃を入れた後に後ろへ下がり、距離を取る。また怪物が鎌を振りかぶって斬撃を放つがその間を避けきり、接近して肘撃ちや徒手空拳を放つ。
「はぁぁぁ!!!」
蹴りが怪物の胸部に放たれ、数m以上も建物の壁を破壊しながら飛んでいった。
「ハァ…ハァ………」
(なんだよ……身体は軽いけど、吸い取られてる気がする……でも、…)
(これでいい…。)
(それで良いんだ……俺は、あの子にアレを近づけさせない…今やれることは…それしか!)
「ぬぅぅぁっ…!!」
瓦礫が崩れる音がしたと同時にヨロヨロと怪物が立ち上がってきて、カマキリのような目をギロリと眼光を光らせる。
「魔法使いぃ……!」
「貴様は!一体!!なんなんだぁ!!」
「・・・・・・」
仮面の下で、彼は一瞬考える。
魔法使い、指輪、……なにも知らない。
だけど……今目の前にあるものは…あの子の命。
"彼"は言った。【希望】と。
自らも言った……希望。
誰かを待ち、寂しくならないように。
「…………俺は…」
「父さんと母さん、妹がいなくなって…ずっと1人だった。」
「だから俺は…誰かの拠り所となりたかった。」
「・・・・?」
「俺は、自分であるために…人を喜ばせようとした。」
「だけど……それは許してくれなかったらしい……だから…」
「俺は…」
「俺が…!最後の希望になるんだ!」
「お前みたいな化け物からも!!あのラプチャーっていうやつからも!」
「俺は!、人の笑顔を、希望を守る者になる!」
「それが!!俺だ!」
「覚えとけ!!!」
「うおおおおぉぉぉーー!!」
ハルは怪物に向かって走り出して飛び蹴りを当てる。
次に肘で頭部を殴り、相手の脚を払いながら回転して回し蹴りをくらわせる。
「ぐぅぅ…!」
「お前ぇ……!!」
「ほら、立てよ。まだ生きたいだろ?」
「煽るなぁぁぁぁぁ!!!」
「煽ってねぇけど……なぁ!!」
激昂した怪物は一直線に襲いかかるがハルはカウンターで回し蹴りをくらわせた。
「ぐぅっ…!」
「さぁ……こっからいなくなれ。そうしたら見逃す。」
(頼む…見逃させてくれ……早くあの子の元に…)
「フフフフハハハハハ!!!慈悲のつもりか?!」
「ここで消滅するのなら…ここでお前も絶望さ…せ……」
立ちあがろうとしていた怪物が途端に地面に膝をつけて息を切らす。
「ぐ…ぁ……ま、魔力…が……」
「こ、ここは…、退かせてもらう、ぞ…魔法使いぃ……!!」
「はぁぁぁっっ!!!」
「っ!?」
(くそ!避けれない!)
今までよりも大きな斬撃がハルを襲う。だが彼は腕を交差させて防いだ。
「ぐっ……!」
腕に痛みが生じる。しかし、たいしたことでは無い。すぐさま周りを見るとあの怪物はおらず、残っていたのは1人の男性の死体だけであった。
「・・・・・・・・」
仮面の下で彼はその死体に目を向ける。
最後に聞こえた…微かな声。
助けて…と言っていたのであろうが…もう、答えはわからない。
「…ごめんなさい……」
静かに佇みながら両手を力強く握る。
もはや聞こえないその人に。なにも知らない誰かに。
彼は、届きもしない謝罪の言葉を、震えながら発した。
「……もう、行かないと………」
一歩踏み出そうとすると前に身体が倒れ、変身が解除される。
「っ゛…!」
(なんで…動いてよ…なぁ……!!)
起きあがろうにも力が上手く伝わらずに滑ってしまう。意識が朦朧とし、瞼が閉じていく。
(うごい…)
目の前が完全に暗くなった後、機械が擦れあったような音がつんざく。
"ラプチャー"が来た。
だが、もはや眠ってしまったハル"だけには"……どうすることもできない。……
「指揮官、発見しました。生存者で……す……」
白いドレスを着た人間?が寝ているハルを発見する。見たところ外傷も無く綺麗なままだ。そしてすぐ後ろには紅い髪の女性。目が星になっている女性。ケープを羽織った女性。聖女のような女性。そして軍服にグラサンをつけた男性が歩み寄ってきた。
「・・・……」
軍服を来た男性が寝ている青年に近づいて脈と呼吸を確認した。
「運が良かった………と言えば良いものなのか???」
「てかこいつ……寝てね?」
「どうすんだよ指揮官…」
「うむ……どうするか……」
「考えてなかったんですか?」
「寝てるとは思いもしなかったんだ…わかってくれリリス。」
「それは……そうだけど……」
「しっかし……指輪かこれ?いっぱいもってんなー?1個くらいもらっとくか!」
と紅い髪のニケは陽気に笑った。
「レッドフード………」
「レッドフード……それは駄目ですよ……」
「ふ、2人とも冗談だって!な?」
「ラプンツェル、近くにラプチャーは?」
「確認したところいませんでした。」
「そうか。ん?」
軍服の男がハルの腰にあるベルトに目を移す。
「こんなベルト売ってたか?しかも装飾が施されている……高級品か?」
「へー?なぁドロシー。お前お嬢様だったろ?こういうブランドとか無かったか?」
「こんなベルトを作っているブランドなんて知りませんよ…」
「なら、特注か。」
「あの……早く近くの避難所へ行かれたほうが良いのでは?さっきの子も行ったと思うので……。」
「ああ、ありがとうスノーホワイト。では、我々はこの人を…」
「おや?」
聖女の格好をした女性が人影が複数いるのに気づく。
「あそこに…人?」
「ラプンツェル…?何を仰っているのです?反応はこの方しか…」
振り返ると槍を持ち身体が石のように罅割れた、灰色の鬼のような姿の怪物がこちらへ向かってきている。
「「ウゥゥゥゥ……」」
「っ!」
ドロシーがアサルトライフルを構えて引き金を引くが銃弾が全く通らない。
「!!!」
「ドロシー、どいて!!!」
リリーバイスが拳を振りかぶって殴ると辺り一面は吹き飛び、瓦礫が数百mも飛んで行ったが、怪物達は無傷のままで、リリーバイスを蹴り飛ばした。
「っ!」
「リリスお姉ちゃん!!」
「全員退くぞ!!!」
と軍服の男が叫ぶと全員が後ろを向いて走り出す。
「なんなんだよありゃぁ!!?リリスのパンチ効かなかったぞ!?」
「レッドフード!今は逃げるのが最優先だ!!あの敵は槍しか持っていない!!このまま逃げれば……」
とレッドフードの背中を見ると男性が背負われていた。
「レッドフード!?背負ってますよ!」
「ああ?!当然だろ!?スノーホワイト!!すやすや寝てる野郎を置きっぱなしにするか普通!!!」
「それはそうですが!!!あなたは逃げれるのですか?」
「あったりまえだ!!」
「ドロシー!すぐに勝利の翼号へ帰還するぞ!」
「な、なぜです指揮官!このまま避難所へ…」
「このまま避難所へ逃げて、あのリリスの拳が効かない奴らを連れていく気か?」
「・・・・・」
「でも大丈夫なの?指揮官。」
「安心しろリリーバイス。報告書は書くさ。」
「私は手伝いませんよ?」
「な、!?」
「あっ!お、追いかけてきてます!!!」
ラプンツェルが振り返ると槍を掲げて咆哮しながら走ってきているグールの姿が迫ってきている。
「おチビちゃん!何か良いものない?」
「無いに決まってるじゃないですか!!!お姉ちゃんのパンチが効かなかったのにどうやって攻撃すればいいんですか!?」
「足止めだよ足止め!!!ほら!爆弾とかで地形をさ?」
「爆弾なんか持ってきてませーーん!!」
「えぇぇー…!?」
「あら、爆弾より良いものがあるわよ?」
「よし頼んだぞリリーバイス!!」
「ええ。」
リリスが微笑むとそこで立ち止まって地面に拳を打ちつけふと轟音と砂塵が周辺に飛び散り、巨大なクレーターを形成した。
「ウ゛ァ゛ァ゛ァァー゛…」
「ウ゛ッァァ゛ァ!!!!ッ!!゛」
1体のグールがそのクレーターに足を踏み外して落下すると次々と落下していく。
「知能は低いようね?助かったわ。」
「リリーバイス!!早く戻れ!!!」
「わかってますよー指揮官。」
廃墟の中、ボロボロな机に足を組んでいる女性が鎮座している中、1人の目が虚な男性が歩いてきて跪く。
「エンプーサ様、体調はどうでしょうか…」
「カイネウス…」
容姿端麗な女性はその男に対して不機嫌に睨む。
「ゴブリンから聞いたぞ?魔石を巻いたが取り逃したようだな。私は今機嫌が悪い。去れ。」
「わかりました。」
「・・・・待て。貴様にチャンスをやろう。」
「なんでしょう。」
「あの魔法使いを殺せ。」
「ついでに、あのラプチャー?と戦っているゴッデスも仕留めろ。あんな奴らがいなくなれば人間も絶望させやすくなるだろう?」
「お言葉ですが、彼女らにあのラプチャーとか言う機械どもを殲滅させておけば良いのでは?そうした方が…」
「ほう?ではあの無限の軍勢に勝てる算段はあるのか?無いだろう?」
「わかったなら早く行け。そして壊せ。」
「だが…!」
刹那、男性の目が少し光を取り戻しかけているが…
「
女性の目が光るとその目は虚に戻った。
「ぐぅっ……」
「・・・・・・・・」
「わかりました……エンプーサ様…」
「わかればよろしい。さぁカイネウス、私の言った邪魔者を壊しに行きなさい。」
「わかりました。エンプーサ様……。」
と深く頭を下げて立ち上がり、その場を後にした。
「……チッ。」
「昔は魔法使いがいるだけでさほど面倒では無かったが…あの物量の塊が出現してからは人間が減ったな。どう思う?ゴブリン。」
と言うと柱の影から背の小さな中年の男がゴマスリをしながら歩み寄ってきた。
「それはもう…あっしたちには不都合な存在であり、絶望に近づけさせる物でしょう。へへへ…」
「だろう?貴様にはチャームをしなくても私の下に付いてくれるから面倒でなくて嬉しいぞ?」
「へへへ……そりゃあ嬉しい限りですぁ。」
「引き続き情報を集めろ。良いな?特に魔法使いだ。」
「ええ!そりゃあもうバッチリ調べていきますんで……食わないでもらえると嬉しいですぁ…」
「食う?」
「アハハハハ!!!」
女性はその発言に声高らかに笑った。
「そうだな!食おうか悩むなぁー!……だが、貴様の分身の味は美味くないからなぁ……?本体も美味くないだろう?」
「やめてくださいよぉ…分身とはいえども痛みはあるんですから…あっしとしてはやめていただきたいばかりです。」
「アハハハハ!!そうか!なら良い情報を待っているぞ。そして、他の良いファントムも。」
「へへぇ。」
と軽く頭を下げて建物の暗い奥へと向かう。
「さぁ…もう一度だ魔法使い……、今度こそ貴様の中のファントムを僕にしてやる!」
次回予告
初の戦闘で魔力切れを起こし眠ってしまったハル。
目覚めたのは知らない天井。
人類を救うために集い、結成された部隊ゴッデス。
女神たちと魔法使いが今、邂逅する。
「んじゃ、よろしくな!ハル!」
4話 女神たち