叢雲、天より根差す光   作:聖徳王の笏

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五十九話 神霊達のデザイア

 

 

 

「流石は歴史の偉人その人ですね! ですが、守矢の当代の風祝として私も負けていられません!」

 

 

 

「あぁ、もっと君の力を見せてくれ。そして、私の力を見聞きせよ!」

 

 

 

 おー、盛り上がってるなぁ。

 いま、僕は神社裏の湖に突き刺さる御柱に座り、早苗と神子の親善試合(エキシビションマッチ)を観戦しているところである。

 

 

 あの宴会のあと、やっぱり異変の首謀者と戦えていないのは嫌だと早苗が言い出した為、ならいっぺん手合わせする? と聞いた所、神霊廟のメンツも乗り気だったので後日開催しようという流れになった。

 そして、それを比売に伝えると、「ウチは参拝客だって多いのだから、どっかの神社みたく境内でドンパチやらなければ良いわよ」と、許可を貰えたので、双方都合の合う日にちを決めて今に至る……といった感じである。

 

 

 

「しかし、神子は随分と仕上げて来たな。動きにキレがあるし、幻想郷での戦い方が身に染み込んでいるようだ」

 

 

 

「そりゃあ、そうとも! 血の汗を流し、眠る時間を削る程、この我が太子様の鍛練に付き合ったのだから! 

 ……いや、あれは二度としとうないが。いや本当に」

「……なにがあったのさ」

 

 

 

 試合の監督者として神子が連れてきた布都がその身を震わせながら語った内容とはこうである。

 

 

 ある日の神霊廟にて、神子から直々に弾幕ごっこの練習相手の指名を受けた布都は、嬉々として練習相手を引き受けたという。

 そうしたら、明らかに屠自古さんの一件に対する鬱憤ばらしをするかのように避けようがない弾幕を張られ、これでもかというほどにコテンパンにしてやられたらしい。

 

 

 

「太子様が良い気分転換ができたといわれたから良かったものの、あれは厳しかった……。なにせ、青娥殿の丹を飲んでもどこか体に違和感があったからな」

 

 

 

「意外と執念深いからねぇ。でもまぁ、破門されなくて良かったね」

 

 

 

「正しく。故に、我は朝斗彦殿に礼を申さねば気が済まぬ。朝斗彦殿、改めて感謝申し上げる」

 

 

 

「いえいえ〜、もし何かあった時は頼ってね」

 

 

 

「持てる器も大きいとは、流石は山に住まう妖共を調伏し、従える神であるな……。……この物部布都、感服しました!」

 

 

 

「……いや、別に妖怪の山に住んでるとはいえ、妖怪達は従えてはないからね。…あっ!そうそう、物部は元々八百万の神々に仕える一族なんだから、いつでもこっち側に戻ってきていいからね?」

 

 

 

「……むっ、いや? うーん……えっとそれは……丁重にお断りする」

 

 

 

 比売から課せられてるノルマを満たす為に改宗させようとしたけどダメか〜、いやダメだろうな。てかそもそもまともに改宗させたことなんてないし、一度もノルマ達成したことすらないんだけどね。

 

 

 いや、たま〜にその時の気分でどうですか〜なんて質問して入信を進めたりはするけど、大抵は早苗に唾付けられた後なんだよね。

 彼女のそこら辺の人を見る目は自分達の中で一番良いものだと思う。

 

 

 

 そんなことをやっている間に、目の前では早苗が攻勢に出て、神子が初めの手札を切っていた。あの手の細かい隙を掻い潜らなきゃ行けないスペルは、僕みたいな雑な奴からしたら使われるとウゲッってなるな。

 

 

 ちなみに、僕は流れで避けるタイプのスペルの方が好きなんだよね。それこそ、横にいる彼女が異変の時に使ってた、国譲りの頃の建御雷が乗り回していた天鳥船みたいな技とか。あれは避けてて気持ちいいだろうな〜。

 

 

 

「時に朝斗彦殿、そなたはどちらが勝つと思う?」

 

 

 

「うーん、今のところは早苗かなぁ。ほら、今もキワで上手く躱したし、なにしろ既に相手の手札を一つきらせてるからね」

 

 

 

「確かに、あのおなごやりおるな。だが、一つ言っておく! 此度勝つのは我らが太子様のみぞ! 

 

 

 ……フレー! フレー! 太子様! 絶対勝てます太子様! 頑張れ負けるな太子様!」

 

 

 

 ……ホントに神子の事が好きなんだなぁ、この子。

 あっ、今神子がこちらを見てウインクしてた。余裕あるなぁ。でも、余所見したら……ああほら、早苗のスペルに囚われた! なにやってんだよ、油断しすぎだよ! 

 

 ……ここで使われたら神子も手札を切らざるを得ないし、不利なままだなぁ。一体何を慢心してるんだか。

 なお、横では布都が両手を頬に押し付けて絶叫、そのまま喉を枯らしそうな勢いで声援を送り始めた。幼い娘のようで微笑ましいなぁと思いながら勝負を見守っていると、慣れ親しんだ気配が近付いてくる。比売だ。

 

 

 

「お疲れ、見に来たんだ」

 

 

 

「えぇ。ここだったら社の参拝者への神徳も及ぶから……。邪魔するわよ、物部の尸解仙」

 

 

 

「むっ、八坂神奈子。邪魔しておるのはこちらの方でな、気になされるな」

 

 

 

 いや、僕には殿付けで比売は呼び捨てなのか……。基準が分からん。

 

 

 眉間に皺を寄せた比売にも一切の物怖じをせず、布都は一心不乱に声援を送り始めたので、その内比売は気にすることをやめた。偉いぞ。

 

 

 

「……彼女、随分と主のことを慕っているのね」

 

 

 

「いや、凄まじいよ。宗教屋の自分が言うのもなんだけど、これもう狂信の域だもの」

 

 

 

 立ち話もなんだしと言って僕が隣にずれて手招きすると、彼女はどかりと腰を下ろして胡座をかいた。

 視線の先にいる早苗をじーっと見つめる様子は、さながら腹を痛めて産んだ我が子を見守る母のよう。我が愛する妻はいつの時代も母性豊かなのである。

 

 

 

「…むっ、来たッ! 助大刀いたしますぞ! 太子様!」

 

 

 

「……えっ!? ちょ、このタイミングでか!? ……あーっ、もう! やってやんよ!」

 

 

 

 その刹那、突如布都と買い物かごを腕にかけた屠自古さんが戦いに乱入。神子のスペルカードによって召集された彼女たちは、まるで主を守るかのように弾幕を撃ち始めた。

 

 

 

「三対一!? ソレ、酷いですよ!」

 

 

 

 当然早苗は文句を言うものの、ルール違反という訳では無いので、ぶーたれつつも戦い続ける。なお……。

 

 

 

「ちょっと!? ねぇ貴方、アレダメじゃないの!?」

 

 

 

「いや、神子はスペルカードの行使を宣言してやってるから別にルール違反じゃないし……」

 

 

 

「あんなの認めるなんてダメよ、早苗を手伝わなきゃ」

 

 

 

「いやいやいやいや! そっちの方がダメだって! 初めから参加してる訳でも、スペルカードの範疇で収まってるわけでもないのに、いきなり外から手出ししたらこっちが反則で負けるから!」

 

 

 

 立ち上がり乱入しようとする比売の腕を掴み、そんなバカなことはするなと言うと、比売は眉間に皺を寄せてこう言うのである。

 

 

 

「……朝斗彦! アンタあの娘が自分の弟子だからって、贔屓してるんじゃないでしょうね!」

 

 

 

「そんなわけないだろ! 何言ってんだよ比売! それを言うなら早苗だって稽古つけてやってるんだから弟子みたいなものでしょ!」

「うるさいうるさい!」

 

 

 

 まさかの場外乱闘の予感。なんでこうなるんだ。

 ちなみに、このマヌケな夫婦喧嘩をしている間に早苗のスムーズな反撃で豪族達の乱舞は終わり、

 

 

 

「ふぃー、役目を勤めて参ったわ」

 

 

 

 と言って布都が戻ってきたため、ほら言った通りに帰ってきたじゃないか! と、必死の説得を行い、荒ぶる女神を鎮めることに成功したのであった。でかした布都! 

 

 

 

 その後、何の変哲もない弾幕に早苗が被弾したりした(彼女曰く、空より差した日光が目に入って何も見えなくなったらしい)ものの、終始優勢なまま試合を進め、我らが風祝は勝利を手にしたのであった。

 

 

 

「いや〜……ギリギリでしたが、やりきりましたよ! 神子さん、ありがとうございました!」

 

 

 

「すっかりやられてしまったよ。早苗、こちらこそありがとう」

 

 

 

 固い握手を交わす早苗と神子。うんうん、なんだか見ていて胸が熱くなるよ。

 

 

 横で湖の水位をかさ増ししそうな程に悔し涙を流している布都に手持ちのハンカチを渡してやりつつ、こうして親善試合はこれにて終いとなった。

 

 

 

「ところで神子、この後どうするの? なんか予定あったりする?」

 

 

 

「いや、特にはないな。神霊廟へと戻り、夜まで時間を潰そうかと思っていた。師匠、いかがしたのか?」

 

 

 

「いや……君に会わせたい人がいる。場所を変えることにはなるけれど、それでもいいなら来てくれないか?」

 

 

 

「私は良いが、誰だ……?」

 

 

 

「それは今言ったら面白くないからさ。……比売、所用があるから人払いを」

 

 

 

「……ああ、アレね。分かったわ」

 

 

 

 僕が彼女に人払いを頼む時の理由は一つしかない。河勝と接触する為だ。

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

 

「ここは……」

 

 

 

「ここはかつての上の社の代わりに気持ち程度に建てた社。御神渡りを行えないほどに力が弱まりすぎた僕の伴侶と土着神はいつしか下諏訪へと移り住み、今の守矢神社へと繋がった。ここは言わばかつての名残、外界に残された社を忘れないようにする為、小規模ながら形ばかりで建てたんだ。

 

 まぁ要するに、密会するにはもってこいの場所さ」

 

 

 

「なんと……道理で私の記憶とは場所も形も違うわけだ」

 

 

 

「まぁ場所に関しては妖怪の山の地形にあわせてって感じだけども、まぁそうだね……おっ、目当ての者が来るぞ」

 

 

 

 いつの間にやら宙に浮かんだ扉がぎぎぎ……と軋んだ音を立てながらゆっくりと開くと、中から車椅子に乗って不機嫌そうに現れたのは摩多羅隠岐奈。

 もう一人の弟子にして、いまやこの幻想郷において強大な力を持つ絶対秘神である。

 

 

 

「我が名は摩多羅隠岐奈! ……障碍の神にして、能楽の祖、斗星を受け継ぎし者だ。私が誰だかわかるか、豊聡耳王子よ」

「な、何者だ!? いや、その冠にその気配、もしや河勝か!?」

 

 

 

 いや気付くのはやっ、見た目自体変わってるのに。

 

 

 

えっ早くない? 

 

 

 ……ゴホン、その通り。かつて人としての生を過ごした時の我が名は秦河勝である。……本当に久しいな、王子」

 

 

 

 

 

「な、なんか……私が知る河勝よりも随分と禍々しくなってないか? というか、なんで性別が変わっているんだ?」

 

 

 

 それはかくかくしかじか……というやつだ、と腕を組みながら河勝が自信満々に言うと、神子は頭を左右に傾けて困惑していた。

 いや伝わらないのかい。

 

 

 

「まぁ、僕の御魂を宿してるからだよ。僕と違って、自由に性別を入れ替えたりはできないみたいだけれどね。

 河勝も今や立派な神、正体不明の絶対秘神さ」

 

 

 

「そうだ。

 私は仮初の姿にある間、その身に力が発現することは終ぞなかったが、大避の明神として神霊へと昇格し、数多の神格を受け入れたことでこの力を手に入れ、そして名実共に神になった。

 

 

 ……最も、初めは能楽や災難避けの神だったと言うのに、この曲がった指や動かぬ脚といった生前に患った障碍までも司ることになるとは、全く思いもよらなかったがな。お陰で毎日が苦痛に塗れている」

 

 

 

「あの変な傀儡二人も侍らせてるから余計にストレス溜まりそう」

「そこ、煩いぞ。

 ……して、王子。貴方はどの面を下げてここへと現れた」

 

 

 

 椅子に頬杖をつきながらそう問いただした河勝の目の奥はすっかり澱んでしまっており、それを見た神子がごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。

 

 

 

「わ、私は……その……」

 

 

 

「言葉に詰まるか。ならば、もう一つ聞こう。

 あの時、我らは志を同じくしてこの国を造ろうとしたのではなかったのか? 何故、仏教という柱を持って国を造ったにも関わらず、こんな事を……?」

 

 

 

「……」

 

 

 

「王子、私はな。

 空蝉を脱ぎ捨てて今の身を得てから随分と後に紫達の申し出を受けたことで、力を合わせてこの幻想郷を作り上げた。人の身では果たす事が出来なかった、真の楽園を作る為にな。

 

 私は貴方の導きのもと、この国を仏教のもと進歩させようとし、己の天命に従ってその一生を一度終えたというのに、肝心の本人が目先の野望に囚われ、仙人になるなど何たる不徳か! 

 それは共に国を造らんとした私や馬子殿、大王、そして民への裏切りだろう! 

 

 その上、自らが推進した仏教によって、今の今まで復活すらままならなかっただと? 聞いて呆れるわ。なんと間抜けで、愚かな決断だ……」

 

 

 

 幻想郷の者たちに受け入れられていたと感じていたであろうに、まさか久々に再会した兄……いや今の姿だと姉? 弟子に説教されるとは思ってなかったのか、神子は戸惑いが隠せていなかった。

 

 

 

「……流石に言い過ぎじゃない?」

 

「私が言わずして誰が言うのか。師匠、貴方か? 違うだろうよ。

 

 

 ……いいか二人とも。

 私は己の欲には忠実な人間だったし、神となった今でもそれは変わっていない。

 しかしだ。隣で切磋琢磨し合う貴方が居たからこそ、私は祖が選んだこの国の為に刀を振るったのだ。豊聡耳王子という親友の存在があったからこそ、ここまで登りつめることが出来たんだ! 

 

 

 ……にも関わらず、こんな事が起きた。

 師匠のような神道の神にも認められていた貴方が、間違った選択をした事、そしてそれに気付くことが出来なかった事が私には何よりも辛い。

 それによりにもよって、あの様なヤツに魅入られるなど……。何もせずとも、きっと貴方なら共に神へとなれたはずだったのに。残念だよ、太子様」

 

 

 

 感情のままに立ち上がった河勝が、勢い余って前へとヨロヨロと倒れそうになったのでそれを支えてやると、彼女は手短に礼を言い、同じく支えようとした神子に対しては何とも言えない反応を見せた。

 

 

 

「……まぁ、色々言いたくなる気持ちは分からなくはないけど、流石に気まずすぎる。ここは一度白黒ハッキリつけて、仲直りして欲しいんだけど」

 

 

 

「……なんだと?映姫にでも頼むのか?」

「いやあの人は相手するのが面倒臭い*1からちょっと……。

あと彼女は人の生き死にを管理する以上、仙人とは相性良くないでしょ。ちょっと公平じゃない気がするけど」

「ふん……」

 

 

 

 それから、僕一人であーだこーだ言っては隣にいる河勝に「いやだ、ありえない」と拒否されるというやり取りを繰り返していると、口を開いたのは渦中の存在こと神子だった。

 

 

 

「……河勝、そなたが私に対して思う所があるのについてはこちらがどうこう言える立場になく、ただ受け入れる事しか出来ない。本当に、申し訳なかった。

 

 

 あの時、本当に私が頼るべきだったのは不老不死の法などではなく、あなた方二人であった。しかし、私は妄執に囚われ、そして天命に背いてしまった。

 死という誰しもが避けられようのない概念を恐れるあまり、ただ尸解という希望に対して追い縋ることしか出来なかったのだ。

 

 

 だが、既に定まって久しい運命を変えることなど叶わない。もはや今の私は神仙である豊聡耳神子として、己が選んだ道を歩まねばならないのだ。

 

 

 河勝、以前のような関係に戻れずとも、どうか私の事を認めて欲しい。欲張りで、我儘なのは重々承知しているが、どうか……どうか、頼む」

 

 

 

 悲しげな表情を浮かべながらそう言い終わるや否や、深々と頭を下げた神子を見た河勝は、眉間に皺を寄せて今暫く思案に耽った後、「はァ〜〜〜ッ」と長い溜息をついてから許しを認めた。

 

 ……横で請願の鋭い眼差しを送った甲斐があったかもしれないし、ないかもしれない。多分ない。

 

 

 

「……我らはかつて、水魚が交わるかの如き関係だった。然し、例え如何に美しい鉢と魚があったとて、そこに張られた液体が水ではなく油であれば、魚を受け入れることなどは間違いなく出来まい。

 

 

 きっと、今の私は油そのものなのだろう。友に失望させられた現実は未だ受け入れ難いが、受け入れないという選択肢を選ぶにはあまりにも時が経ちすぎた。故に、和を以て貴きを為すという、かつての貴女の言葉をいま一度信じ、元の関係に戻る事に努めるとしよう。

 

 ……それでいいかな。二人とも」

 

 

 

 

 

 河勝がそう言うと、神子の表情は目に見えて明るくなった。心なしか自慢の髪型も先程より自信に満ち溢れているような……。

 完全に構図としては甘い親と我儘な末っ子に振り回される長子なんだけど、あの傀儡を放置してたりと河勝もなんだかんだ甘いんだよな。一体誰に似たのやら。

 

 

 

「大人になったねぇ。子供の頃なら絶対意地張ってただろうに」

 

 

 

「私の事をなんだと思っているんだ、師よ。私だっていつまでも臀の青いガキじゃあないんだぞ」

「え? 河勝はずっと座ってるからむしろお尻は赤いんじゃ……」

「なんのなんだって?」

 

 

 

「どういう事だ」と、河勝から追撃を受けて押し問答をしていると、そんな僕達の様子を見て神子が笑い始めた。

 

 

 

「ふふ、やっぱり二人は仲が良いな。そのやり取りを見ているとどうしても人の身にあった頃が恋しくなるな」

 

 

 

 ニコニコと他所では見せない表情を浮かべながら、神子がそう言ったので僕達も掴み合うのを止めて笑い出す。

 

 

 

 それにしても流石仙人、生への欲がまだまだ強いね。国津神は生の象徴であるとはいえ、神霊というもの自体は生死を超えた存在だから、そこら辺にカルチャーショック? ってやつを感じるな。

 でも今の神子を見ていると、これまでの過去を乗り越え、今現在、そしてその先を見据える様になったのが目に見えて分かる。一時はどうなる事かと思ったけれど、連れてきて良かった! 

 

 

 

 とりあえず可愛い弟子たち二人の仲を修復する事が叶ったため、僕達は少しだけ世間話をした後に解散した。

 

 僕は目と鼻の先である神社へと戻り、「貴方はやらなくていいのよ」 ……なんて言う比売を無視し、早苗と一緒に夕餉の仕込みを手伝った。そして、食卓を囲んだ後、女子衆が入浴を終えたのを確認してのんびりと湯浴みをしてその日は眠りに着いたのであった。

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 そして後日、お気に入りの貸本屋へ借りた本を返す為に人里へと赴くと、そこには迷いのない表情で自らの信ずる道を説く神子の姿があった。その内容は庶民に向けた当たり障りの無いものなのでそれ程興味は無いものの、目が合ったので軽く手を振った後に僕は目的地へと向かった。

 

 

 幻想郷の歴史がまた一つ新たに紡がれる瞬間を見て、風来の神は今日も気ままに過ごすのである。

 

 

 

*1
映姫「*ガミガミ*」






「むっ!あれっ、注連縄がつっかえて上手く戸を潜れない」
「…もう!朝斗彦さん、注連縄は外に置いてきて下さいって私前にも言いましたよね?」
「ゴメンよ小鈴ちゃん。でもさ、もし置き引きとかされたら自分の名誉に関わるからさ…」
「そんなの盗む人なんて居ませんよ!…多分」


────────────────

神子様のお話はこれで一区切り、あとは河勝の最後の戦いだけ。

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