叢雲、天より根差す光   作:聖徳王の笏

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八十九話 東神の回顧録

 

 

「……長かった。……いや、あまりにも長すぎます。もはや、私の貴重な時間を全てこれに捧げたと言っても過言ではありません。これから一から添削して、それをまとめ直して、……う、あたまが……」

 

 

そう言うのはかつての僕の右腕、古明地さとりである。

地底にかつての活気を! と周りからせがまれたことで観光案内の本を作っていたはずが、気付けば辞書のように分厚い、旧主である僕の目線で見た地底の出来事についてまとめた記録までもを書ききっていた。

 

 

「……憐れみの感情を抱くならもう少し労わって欲しいのですが?」

 

 

「……いや、ホントにありがとうさとりちゃん、君がいなければこういうことは出来なかったよ」

 

 

 

そりは合わないかもしれないが、お互い何かをし始めれば過集中するタイプなので作業を進める際の相性は中々いいと思う。ペース感が一緒なので、こちらが休みたくなれば向こうも同じであると言うのがとても助かるのだ。

 

 

 

「社交辞令とかじゃなく、本心からそう思ってるのが能力で読めてしまうのが腹立たしいですね。

……にしたって、これを纏めるのが怖い。こんな全方位に喧嘩を売るような内容、とても世に出していいものとは思えません」

 

 

 

「いいんだよ別に。怒った連中は皆僕が叩きのめしてやればいいだけなんだから」

 

 

「……それ本気で言ってます? 貴方弾幕勝負苦手って言ってたじゃないですか。

それとも、もしやその叢雲剣で真っ二つに……とかはしませんよね? そんな事をしたら、お父上よろしく貴方は幻想郷から追放されること間違いないですよ?」

 

 

 

「……君は僕をなんだと思ってるのさ」

 

 

「かつての主にして、この地底に厄介事を持ち込みかねない危険な存在です」

 

 

 

「……酷くない? それに、そんな馬鹿な事はしないってば。ただ普通に弾幕勝負で戦うだけだよ」

 

 

 

「ならいいでしょう。……そうしたら、今日のところはこれぐらいにしましょうか。

私は時間のある時にまた作業を進めますから、進捗があった時はまたその都度お知らせします」

 

 

「了解。それじゃあ僕はちょっとばかし勇儀のところに顔を出して、それから地上にもどるとしようかな」

 

 

 

「……神奈子さんに怒られても知りませんからね?」

 

 

「大丈夫、許可なら貰ってるから。お土産だけ貰って、サッと帰るさ」

 

 

目を細めながらこちらを見つめるさとりちゃんを他所に僕はお燐が入れてくれた茶を飲み干した後、掛けていた椅子を机の下へとしまい込んだ。

 

 

「それじゃ、またね。

……あっ、もしソレ以外にも地底のことで何か困り事や問題がある時はいつでも声をかけてくれていいからね。すぐに駆けつけるから」

 

 

「私にとってはコレが今一番の困り事ですよ。

……でも、ありがとうございます。それではまた」

 

 

原稿用紙を指さすさとりちゃんに別れを告げ、僕は何度も通ううちにすっかり間取りを把握した地霊殿の廊下を一人で進む。

すっかり顔を覚えられたのか、ここに住まうペット達に飛びかかられてじゃれつかれたり、体を擦り付けられたりと随分甘えられつつ、妖しい雰囲気がなんとも乙な玄関へと辿り着いた。

 

 

「あれ? もう帰っちゃうの? まだ帰るには早くない?」

 

 

 

声をかけてきたのはここの主であるさとりちゃんの妹、こいしちゃん。

彼女は僕から見て左手、正面玄関から見れば向かいにある階段の手摺へと腰掛けながらそう聞いてきた。

 

 

 

「帰るよ〜。すべき事は終わったからね」

 

 

「えー……ってことは、もう来ないってこと!?」

 

 

「さとりちゃんから呼ばれたら来るけど、昨日までみたく自分から来るってのはなくなるかな」

 

 

「え──!!! それじゃあ遊べないじゃん!」

 

 

僕の答えを聞くやいなや、こいしちゃんはぶーぶーと不満な様子を見せた。

確かに、ここへと来る時は彼女の相手をしてあげていた。なのでそれが終わってしまうのが不満らしい。

 

 

 

「ウチに来てくれたらいくらでも構うけど? 天狗の許可とか色々必要になるだろうけどね」

 

 

「……なにそれ、めんどくさー。バレなきゃいいじゃん、そんなの」

 

 

「……推奨はしないけど別にそれでもいいんだよ? どうせ怒られるのは侵入を許した下っ端天狗だもの」

 

 

こうして、僕の無責任な発言によってまた一人の哨戒天狗が怒られることが確定してしまった。まぁ……別に直接管轄してる訳じゃないし、別にいいや。

 

 

「やったやった!」

 

 

「連中相手にかくれんぼするってのもいいし、山頂の湖で弾幕勝負したっていい。とにかく、歓迎するよ」

 

 

「やった──! 朝斗彦、ありがとう!」

 

 

ペット達に混ざって飛びかかってくるのでそれを受け止め、降ろしてやった後、「もう行かなきゃ」と、彼女に伝えると、じゃあついて行く! と言い始めた。

別にやめろという必要もないので、二人で旧都の勇儀の元へと向かうのであった。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

「……おっ!? 皆、東神(とうじん)サマが参られたぞ! 酒をもて!」

 

 

がやがやと騒がしい酒場の暖簾を潜ってやっほーと手を振ると、昔から変わらぬ定位置に座って顔をほんのり赤くさせた勇儀がこちらへと気付き、周りの連中へと僕の来店を知らせた。

 

彼女の座る座敷席へとあがり、そのままちょっと早めの酒盛りの開始である。

 

 

 

「いやいや、こんな早い時間から呑みに来るとは。アンタもなかなか……ワカる口じゃあないか」

 

 

「ようやっと、例の作業が終わったからね。ちょっとばかし此処に顔を出してから帰ろうと思ったのさ」

「私も居るよー!」

 

 

 

「東神様、何をお飲まれになりますか?」

 

 

「……なら、濁酒を。前に妻と来た時に出してくれたヤツがいいな。

こいしちゃん、君も何か飲むかい?」

 

 

「えっとー……別にいいや! お水だけ頂戴!」

 

 

「……ということだから、その二つをよろしく頼む」

 

「承知致しました」

 

 

 

「おやおや、キレイ好きの神様にしちゃあ随分渋い選択だね」

 

 

「昔ながらの濁酒だって良いものだよ。しかもさ、地上で飲むのとこの旧地獄で飲むのじゃあ、味の感じ方も違うってものだろう? 

それに、前君が勧めてくれた後に比売が気に入っちゃってさ。土産にもう一本欲しいって頼まれてるんだ」

 

 

「おおそうか! そりゃあ良かった! 明神サマにもまた来てもらいたいものだ」

 

 

「いや〜、分からないけど誘ってはみるよ。

向こうは変な意地はってるってだけで元々温泉とか大好きだし、ここの食事だって美味いものばかりだもの」

 

 

「アタシらはいつでも二柱のことを歓迎するよ。なんなら一人と一柱も増えたっていい」

 

 

 

「お世辞でもそう言ってもらえるのはありがたい限りだね……おっと、僕らのが来たよ。ほら、お水」

「やったー」

 

 

「それじゃあ……「乾杯」」

「かんぱーい!」

 

 

こうして僕達は盃を掲げ、くいっと飲み干した。

こいしちゃんだけは目をぱちくりとさせて眺めているだけであったが。

 

 

「……ふぅー、この甘さが癖になる」

 

「酒はやっぱし米のものが一番いいさね、外つ国のモノはアタシには合わない」

 

「僕は別になんだって飲むけどねー。

ただ、慣れた味の方が変に酔わずに済む気がするから好きだな」

 

 

酒好きの二人でそんな話をしていると、何を思ったかこいしちゃんが手元にあった湯呑みに入った水をぐいっと一気飲みした後に、「……かぁーっ!」と、蟒蛇のように溜息をついた。

 

 

「二人の真似! ねぇねぇ、どう? どう?」

 

 

「……ぷっ、アッハッハ! なんだい、いい飲みっぷりじゃないか!」

 

 

「はは、羨ましくなったのかな」

 

 

「東神サマがいる時はこいしの動きが分かりやすくて助かるよ。

 ……すまんが、水をもう一杯くれ!」

 

 

こうして出されたつまみなどを手に取りつつ、世間話をしていると、酒場に入ってきた三人組に対しておーいと呼び声をかけ、勇儀が手招きした。

 

 

「東神サマ、アタシのダチのパルスィと、こっちはヤマメにキスメだ。いいヤツらだからさ、相席させてもいいかい?」

 

 

「勿論! ほら皆、座って座って」

 

 

「邪魔するわね。ほらヤマメ、キスメはこいしとセットの方がいいだろうし貴女はそっち座りなさい」

 

 

「ちょっとパルスィ! ……う、それじゃあ隣座ります」

 

 

あまりにも慣れた段取りで勇儀の右隣を確保し、僕の右側に座っていたこいしちゃんと向き合うようにキスメなる娘を座らせる、鬼の寵愛を受けし橋姫。……この娘、あまりにも熟れている。

 

 

「ねぇ朝斗彦、そのお面貸して!」

 

 

「いいよ、暇潰しになるならいくらでも」

 

 

「やったー! キスメ、被ってみてー!」

 

 

 

そして、空いていた僕の左隣には土蜘蛛の黒谷ヤマメが座ることになった。彼女が持つ危険な力も、未だこの地での信仰厚き僕にかかれば余裕で抑えられるのだ。

 

 

 

「そんなにビビらなくていいのに。やり合ったのだって遠い昔なんだから、もうその事は水に流そう。ね?」

 

 

「そ、そうだよね。私はただの堅洲国の土蜘蛛。イキって夜道で神様襲ったらボコボコにされたなんて事、全っ然覚えてないから! 

 

すみません、熱燗ひとつ!」

 

 

「めっちゃ覚えてるじゃん……。でも、顔は隠すのはやめたんだ。良かった良かった」

 

 

「…そりゃあ怖いヒトが居ないならもとから隠す必要なんてないもんー! 

 

……うあーッ!! おかえりなさい、我らの朝斗彦様! 土蜘蛛一同、みんなあの時の宣言に感謝してますぅ〜……。

ホントに、下級の鬼共からのアホみたいなイジメがあれっきり無くなりましたんでね。いやほんとに、貴方様は我らを照らす希望の星ですよ! 

だから昔のことは許して!」

 

 

基本的に土蜘蛛が顔を隠すほどに恐れた相手は鬼達だったが、そんな少数派のまとめ役である彼女が一番に恐れていたのは鬼などではなく、僕だった。

 

 

 

「なんかごめんよ。

……ところで、彼女っていつもこんな感じなの?」

 

「いいえ? 普段は良い賑やかし役よね」

「そうだねぇ」

 

 

 

運ばれてきた熱燗を飲んでは注ぎ、そしてまたぐびぐびと飲み干した後、そのまま机へと突っ伏したヤマメを見て、皆がなんとも言えない気持ちになってしまった。

 

しかし、彼女とは諏訪で敵味方に別れて戦ったが、まさかこんな所で再会するとは思いもよらなかった。昔はもっと怖い見た目だったよな。

彼女に加えてホタルのリグルもこの幻想郷には居るんだし、諏訪子も洩矢土着神軍団*1で反省会すりゃいいのに。

……いや多分気まずすぎて一言も喋れなそうだな、ソレ。一番仲良さげだった大百足もいないし。*2

 

 

 

「なんでヤマメはこんなにビビってんだ?」

 

 

「……いや実は昔ね、僕ら夫婦が諏訪を攻めた時に彼女とその氏族は諏訪子に味方したんだよ。それで交戦して、彼女は僕に負けたんだ。

戦争してる以上は僕も手加減はできないからさ。眷属にした木々の根を使って何本もの脚を拘束して、三日三晩晒しあげにしたんだ」

 

 

「何、そんなことがあったのか!! 

……アッハッハ! アタシの婆様の時代じゃないか! なんだコイツ、可愛い顔して随分な古株だねぇ!」

 

 

そういいながら勇儀は机に突っ伏したヤマメのつむじをチョンと突っつき、つつかれたヤマメは痛かったのか一言、「うっ!」とだけ呻き声を漏らした。

 

 

「はぁ……。だから昔はずっとコソコソしてたのね」

 

 

「……にしたって、アンタって案外やる事がえげつないな。あの魅魔だってアタシらがここに来た後しばらくの間晒し者にされてたしさ」

 

 

「それは必要なことだからだ。

僕は舐められやすいからね。やる時はやるんだという意思表示をしなければ、こんなに大きな邑を治めることなんて出来ないよ」

 

 

「…いや、実際東神サマの飴と鞭の使い分けは上手かったよ。アンタが居なくなってすぐに地獄が分裂しちまったのがそれを物語ってる。

 

それこそ魅魔だってアタシらが揉めてる間に逃げちまったし、今どうしてるんかねぇ」

 

 

「さぁね。魔法の森で隠居でもしてるんじゃないか? 魔理沙は彼女に教えを受けたらしいよ」

 

 

「へぇ……」

 

 

知る限りの情報に対し、勇儀は興味無さそうなリアクションを見せ、煮魚を箸でつついた。

すると、「なんで聞いたのよ、妬ましいわね」……と、横から橋姫であるパルスィならではのツッコミがお見舞いされた様子がおかしくて笑ってしまった。

 

 

 

「ふぅ……。いやはや、君達は種族は違えど仲良くしてるみたいで良かったよ。あの時に言った事も無駄ではなかったってことだ」

 

 

「……今の地底は出来る限りアンタが遺した命令に則って話し合いで物事を決めてる。……まぁ、基本アタシらはさとりの提案に対して首を縦に振るくらいしかしてないがね。あれは心が読めるからコチラに不満なんかがあればすぐに察してくれるんだ。

 

 

しかし……。地底に活気を呼び込もうと思って、たまには色々と提案してみたら、一時的にとはいえ東神サマが戻ってくる事になるとは思わなんだ。

なんで突然そんな事をしようと思ったんだ?」

 

 

「たまたまさ。……いや、地上に住む御阿礼の子なんかと話していると、僕も何か記録を残した方がいいんじゃないかって思ったんだよ」

 

 

「私達にとっては少し昔の懐かしい記憶でも、地上に住まう者達にしてみればそんなことあったんだってなること間違い無しだものね」

 

 

「うん。それにね、僕は地上の者達に君らの存在を忘れ去られないようにしたかったんだよ」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「ああ。

 

だってさ、地上の妖怪達ってのは縁起にまとめられるのみならず、なんだかんだ人前で暴れたりすることで人々に認知されてる。

 

でも、君達は違う。この地底の中で完結してしまっているから地上に来ることは滅多にないし、人々もこんな奴ら本当にいるのか? 位にしか思わない筈なんだ。そうしたら少し世代を跨いだだけで忘れられてしまうだろ? 

 

だから、これは僕のエゴだ。かつて従えていた民達に対するお節介ってやつだよ」

 

 

「……おお……」

「殊勝な心がけね……。眩しすぎて妬ましいわ」

 

 

「この地に残れないという理由で去ってしまったのにノコノコと戻ってきた以上、前と同じ位置に収まろうとか……そんな傲慢な真似はしないよ。

だけど、それでも気に掛けたくなっちゃうんだ」

 

 

「噂に違わずお人好しなのね」

 

「このお方は昔っからそうさ。

何よりも人との縁を大事にされているから、何か此方側が問題でも起こさない限りはアタシたちの事は絶対に見捨てないのが分かる。だから私らもこの方を信じているのさ」

 

 

ぐおーっ! と、いびきをかくヤマメや、きゃあきゃあとはしゃぐこいしちゃんとキスメをよそに僕らはしばしの歓談に耽り、そして気付けば夕刻を知らせる時報の鐘が鳴り響くのが聞こえた。

 

 

「……マズイ、そろそろ帰らないと」

 

 

「おっと、もうそんな時間か。

……おい! 東神サマが帰られるぞ。お前ら、土産の準備は出来てるだろうな!」

 

「はい、姐さん!」

 

 

「すまないね。それじゃ、お勘定を」

 

 

「……! いや、いやいや! 別にアンタが払う必要ないよ!」

 

 

「なんでさ。前来た時はそっちが負担してくれたじゃないか。流石に申し訳ないよ」

 

 

「流石にアンタに払わせちゃ、こっちの面子が立たないよ!」

 

 

「いいのいいの。勇儀、君はここの鬼達をまとめる棟梁なんだから、たまにはこうやってヒトに甘える時があったっていいよ」

 

 

「……ッ!な、なら仕方ないね。アンタが頑固なのはここに居るみんなが知ってるし、ここは言う通りにするよ。…東神サマ、すまないね」

 

 

「宜しい。じゃ、先支払っておくから君は席でのんびりしてていいよ。どうせまだ飲むでしょ?」

 

 

懐にしまってある早苗から貰った手縫いのがま口から言われた支払額を出し、唖然とする勇儀に微笑むと、彼女はぎこちない笑みを返した。

 

 

 

「う……ああ、確かに飲み足りないが……でも、せめて見送りぐらいはさせておくれよ」

 

 

「わかった。任せるよ」

 

 

地上の飲み屋に比べて圧倒的に高さのある戸を引き、僕は店に面する旧地獄街道へと出た。

 

ここを通る時は初めこそ、『なんでここに居るんだ!?』と、好奇の目で見られることもあったが、さとりちゃんとの作業を進める時に記憶の思い出しも兼ねてちょこちょこ彷徨いていたこともあり、今は軽く挨拶を受けるくらいまでには落ち着いたから……まぁ、良かった良かった。

 

 

「土産も持たせたし、大丈夫そうかな。

それじゃあ、気を付けて戻るんだよ。向こうの三人にもよろしく伝えておいてくれよ」

 

 

「ああ、勿論。それじゃ、またね」

 

 

こうして、暫しの間続いていた地底通いの日々は終わった。

僕は守矢神社まで飛んで帰り、その日の晩は貰ってきた酒を皆で楽しむ事となったのだった。

 

 

 

そして、数ヶ月後にこの時の本が"東神(あずまがみ)の回顧録"として出版されることとなった。

元々さとりちゃんが配下と共にまとめていた"地底の歩き方"*3とセットで発表されたこの本は、視点人物である僕がそもそも変な上に、便所穴を掘らされたりとあまりにもやってる事が神様らしく無さすぎると面白がる者たちがいたらしく、カルト的人気を集めることとなった。

 

なお、宣伝の為のドサ回り中に読む? と聞いたら喜んで受け取ってくれた魔理沙からは

 

 

「グリモワールオブトモトビコ……だな。というかもじゃ神様、アンタが魅魔様と戦ってたなんて知らなかったぜ!敵討ちってことで今度弾幕ごっこしような!」

 

 

と、感想を貰った。

 

勿論同居人である三人にも読ませてみたものの、所々で比売をネタにしていた事に対して諏訪子がツボり、それに怒った比売との間で女同士の熾烈な取っ組み合いの喧嘩が発生することとなった。なお、その後落ち着きを取り戻した比売にはいじってゴメンねと伝えたところ、「ウチの宣伝だってしてくれてるじゃない。それくらいは別にいいわよ」と、謎に許して貰えた。

 

早苗は早苗で、「朝斗彦様を用無し扱いするなんて、酷いです!」と紫と河勝に対して怒っていたが、

 

「交渉役として連れてきたけど、先方が交渉しないってなったら僕だってそれ以上は役立てないから仕方ないよ」

 

とこちらが言うと渋々ではあるが納得してくれていた。

 

そして、悪役……なのかは分からない二人(魅魔は行方不明なので除外)はというと……、

 

 

「随分な扱いじゃないか、師匠。まぁ、紫に比べたらマシだから許してやろう。……ところで、前に相談した畜生霊の件は……なに、ダメ? そうか……まだ時期早々ということか……分かった」

 

 

「私をこんな扱いしてタダで済むと思ってるのかしら……? 

……そうねぇ、貴方人里に馴染みすぎてこのままじゃ博麗と守矢のバランスが逆転しそうだし、そろそろ異変の一つや二つに関わってもいいんじゃないかしら?」

 

 

なんて言われたので河勝の方は兎も角、紫に対しては

 

「はい、頑張ります!」

 

とだけ返事をしたら、てっきり反抗されるとでも思っていたのか目を丸くした後に珍しく笑っていた。

まぁ、正直に言えば一人で何かやるったってそもそも異変を起こす動機がないし、それについてはそういう事をしでかす連中に誘われたら乗るか……くらいの気持ちである。

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん見てー!」

 

 

「何よこいし……うわあっ! ……何よ、そのお面! 驚かせないで頂戴!」

 

 

「アハハ! お姉ちゃんが変な声出してるー!」

 

 

「……ッ!もう! というかこいし、アナタそれ……朝斗彦さんのじゃ……」

 

 

「……返し忘れちゃった!」

 

 

「今すぐに返してきなさいッ!」

*1:
諏訪子率いる諏訪の民に百々世、ヤマメ、リグルと蠢く妖達を加えたもの。二章参照。

*2:
百々世「いや…いるが?」

*3:
言わずもがな、『地球の歩き方』のオマージュ。





地底の話はこれでおしまい。あと書くとしたらもう一章くらいですかね。
気まぐれなので分からないですが、楽しみにして頂ければ幸いです。
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