自衛官だったけどスネークになったので世界大戦を阻止してみた   作:みどり色

1 / 8
皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。
メタルギアソリッドΔの発売を機に、書いてみたくなったので投稿します。
基本的にギャグ路線でずっと進んで行くのでご了承ください。

追記
最初の部分の設定を色々変えました。
基本的に物語には影響ないのでご安心を。



第1話 目覚め

第二次世界大戦終結後、世界は東西に二分された。

冷戦と呼ばれる時代の幕開けである。

 

<中東某所>

 

時は現代、日本陸上自衛隊に所属する俺は祖国から遠く離れた中東の“ある国”にいた。

世界情勢は非常に不安定で、あちこちでドンパチやっている。

安全保障に関して言うならば、戦後最も緊張感が高いといっても過言ではないだろう。

 

俺の名は佐竹 澪(さたけ れい)。

高校卒業後に陸上自衛隊に入隊、普通科隊員として少し特殊な部隊に配属された。

まあ自分で希望したんだけどな。

階級は3等陸曹、いわゆるsergeant(軍曹)ってやつだ。

よく伍長と勘違いされるが3曹は軍曹扱いだ。

え?

そんなことはどうでもいいって?

すまぬ()

 

ま、まあ自己紹介は誰も興味ないだろうから割愛するが、そんな俺がどうして祖国日本から遥か遠い場所にいるかというと、まあ任務だからだな。

“ある出来事”をきっかけにこの地域の緊張感が一気に高まった。

この状況を重く見た日本政府は邦人保護、及び輸送の為に自衛隊の派遣を決定したのだ。

 

無事に邦人を保護、コンボイ(※)を形成して空港まで移動している。

※車列のこと(武装車両、警護車両、輸送車両等)

(あまり詳しいことを話すと関係各所に冗談抜きで怒られるから詳細は許して)

 

いや、『移動していた』だな。

なんで過去形なのかって?

今は止まっているからな。

いや、正確には“止められた”んだ。

 

 

武力によって。

 

 

空港までの道のりはだだっ広い平野が続いていた。

まあ実際は何も無い訳じゃないが、とりあえず景色はそんなイメージでいてくれ。

 

空港までの道のりでIED(即席爆破装置)によって先頭の車両が吹き飛んだ。

(マジで詳細はごめん)

 

もうそこからは地獄絵図。

だって民間人が乗っているからな。

何があっても彼らの身の安全が最も優先される。

どんなに厳しい訓練を受けても、世界のどこに出しても恥ずかしくないレベルの技術を身につけても、死ぬときは呆気なく死ぬんだと理解する。

 

分かっていたつもりだった。

そう“つもりに”なっていただけだった。

想定するのと、直面するのでは全く違う。

だが“つもり”になっていただけでも、想定していれば多少はマシだ。

 

断続的に迫撃砲による砲弾が落下してくる。

突然の襲撃に敵の位置もハッキリしない。

分隊長は無線を使っているが混線しているのか上手く通じていない。

まあ状況としては最悪だな。

 

その時、俺の乗る車両に至近弾が弾着する。

自衛隊に比べればその腕はお粗末なものだが、数撃ちゃそりゃ少しずつ修正もできるってもんだ。

俺が乗った車両を先頭にIEDで吹き飛んだ車両を追い越して前進する。

そもそもその場に留まることは悪手なんだが、吹き飛んだ車両に突っ込むわけにもいかないからな。

停止した時間はほんの短い時間だけだ。

その場に留まれば一気に“狩られる側”になる。

 

IEDを受けた仲間にはQRF(緊急対応部隊)が対応する筈だ。

さっきも言ったがどんな状況でも民間人の安全が最優先だ。

訓練された通り、車両のドライバーはアクセルを踏み込み、後続の車両も一定間隔で後続する。

 

この後のことは運が悪かったという他ない。

RPGの至近弾を受けたことでドライバーはハンドルを切ったのか、取られたのか、まあどっちでもいいか。

とにかく俺が乗った車両は少しだがラインから外れた。

その時、精度の悪い迫撃砲が直撃したんだ。

 

なんで分かるのかって?

トップアタックだったからな。

なんで分かるのかって?

車両内に大量の破片がまるで暴風雨のように注がれたからだ。

 

“限定された空間で爆発物を喰らう”

 

こんな地獄も中々なくねーか?

殆どの仲間は即死したはずだ。

俺は運が悪いことにまだ意識がある。

つまり死んではないってことだ。

だが身体は動かせないし、感覚もない。

 

あの人たち、無事に帰国出来ると良いな。

俺達はこの仕事を自分の意思で選んだんだ。

死んだって誰にも文句は言えない。

だけどあの人たちは違う。

 

・・・・・だめだ—————意識が

 

 

 

 

<某所 ICU>

 

慣れ親しんだような、それでいて今まで感じたことのないような痛みが身体を包み込んでいる。

・・・・・絶世の美女ならいざ知らず、こんなものに包み込まれたって誰も嬉しくない。

 

俺は気が付いたら病院のベッドに身体を横たえていた。

腕には点滴が繋がれているのに加えて、間違いなく俺の“モノ”に異物が挿入されていた形跡がある。

何故わかるかって?

・・・細かいことを気にしてはいけない。

身体の状態を見てもしばらくの間、寝たきりだったことが分かる。

 

「どうだ? 最新のICUに入院した感想は?」

 

冷静に混乱?しているところ、突然顔に傷のあるイケおじが現れた。

なんだか既視感のある顔だ。

というかここはどこだ?

俺の最も新しい記憶は邦人保護、及び輸送の任務に就いているところで襲撃を受けたというところだ。

砲迫喰らって死んだ・・・と思っていたがどうやら助かったようだ。

見慣れない場所だし、いかつい欧米人のおっさんがいるから米軍の施設か?

っていうか日本語上手いなこのおっさん。

どう聞いてもネイティブだ。

 

「・・・ジャック?」

 

俺が反応を示さないため、続けてイケおじが声を掛けてくる。

そもそもジャックって誰やねん()

 

俺の名前は佐竹 澪(さたけ れい)、日本陸上自衛隊の3等陸曹であり、誉ある日本民族だ。

決してジャックなどという得体の知れない者ではない。

俺は純ジャパンだ。

 

「だ、誰だお前?」

 

「冗談に付き合っている暇はない。現在我々は非常に微妙な立場に置かれている。お互いヒーローになり損ねたということだ。今日来たのは我々FOXの汚名を返上する為だ」

 

「・・・はぁ?」

 

「状況が変わったんだ。まだ我々が生き残るチャンスがある」

 

「えーと、なんのチャンスが—————」

 

「落ち着け」

 

食い気味に諭されてしまう。

いやぁ、どちらかと言うと割と落ち着いてる方だと思います()

 

「葉巻でもどうだ? ハバナだ」

 

そう口にするとイケおじが葉巻を取り出して手渡してくる。

バハマだかバナナだか知らないが、俺は生まれてこの方葉巻なんて吸ったことなどない。

そもそも吸い方知らないんだけど?

タバコと違って肺に入れないんだっけ?

香りを楽しむ?

どこか千切るんだよね?

何それ美味しいの?

 

内心ドッキドキしながら得意のポーカーフェイスでいると自然と身体が動いてしまう。

慣れ親しんだ動きだ。

何度も繰り返していたことが分かるほどスムーズだ。

・・・こりゃヘビーだな。

 

ベットに腰掛け、葉巻を楽しむ。

ウマすぎる!!

 

ん?

ベッドに腰掛ける?

いやいやいやいや、生きていたのは・・・まあ1億5千万歩くらい譲っていいとしてあの怪我でベッドから起きてタバコを吸える?

そんな馬鹿な話があるか。

俺は間違いなく瀕死の状態だったはずだ。

生きていたとしてもまともに動けるはずはない。

 

え?

タバコじゃなくて葉巻?

どっちも似たようなもんだろ()

 

まあ、こんな俺だが頭はかなり冴えていて冷静だ。

この会話にも覚えがあるし、このイケおじも見覚えがある。

実写?だから少し違和感があったが今ならわかる。

 

「ビッグボスか」

 

俺は病室に備え付けられている鏡を見て独り言のように口を開く。

理由はよくわからないが俺は1964年、冷戦真っ只中のネイキッド・スネークの身体に憑依してしまったようだ。

自分の身体をよく見たら元の身体と全然違うし()

 

「? なんのことだ?」

 

「———いや何でもない。それでここには何の用で?」

 

俺は煙を吐き、渋い明夫ヴォイスを堪能しながら上官であるゼロ少佐に続きを促す。

ヤバい、この声クセになる。

 

「今朝CIA長官から呼び出しを受けた」

 

「俺達の処刑時期が決まったk」

 

「違う」

 

また食い気味だ。

もっと喋らせてくれ。

堪能させてくれ・・・・・

 

「いいか、よく聞くんだ」

 

 

 

 

つまりはこういうことだ。

東側、つまりソ連に亡命したザ・ボスが手土産にアメリカの新型小型核弾頭を二発持ち込み、そのうちの一発でソ連主力設計局であるOKB-754という兵器開発廠が破壊された。

その際に先の作戦(バーチャスミッション)で使用していたアメリカ側の機影がレーダーで探知されていた。

ロシア———違うか。

ソ連側としてはザ・ボスの亡命はアメリカの偽装亡命だと疑っている。

だからソ連としてはアメリカ自身で身の潔白を証明させるためにザ・ボスの暗殺を求めたのだ。

まあソ連というかフルシチョフ第一書記だがな。

ついでに国内の反乱分子であるヴォルギンの暗殺も・・・ということらしい。

ソ連の最高権力者であるフルシチョフの発言力は日に日に落ちており、いつまで軍部を抑えられるか分からないのだ。

ガチで一触即発の状態だ。

 

 

アメリカとソ連の要求をまとめると、

・ソコロフの奪還

・ジャゴホットの破壊

・ザ・ボス、ヴォルギン両名の抹殺

 

こんなところか。

まあなんていうか・・・

無理☆

どう考えても一人でどうにかなる問題ではない。

それに怪我人に任せる案件でもない。

ここは謹んで辞退させてもらおう。

 

これを一兵士に命じる・・・というか任せるアメリカも正気の沙汰とは思えないな。

まあスネークが失敗した時の予備(XOF)があるのは確かだけど。

 

「つまり全面核戦争を回避するには例の核爆発にアメリカが関与していないことを証明しなければならない」

 

「アメリカの手でザ・ボスを抹殺することが潔白の証明になると?」

 

「そうだ」

 

この“身体”が少佐の肯定の言葉に反応を示す。

鍛え抜かれた心臓の鼓動が早くなり、視野が狭くなる。

 

「『この任務はお前にしかできない』お偉方はそう判断した。お前が彼女の最後の弟子だ。しくじればお互いに葬られる。選択肢は無い」

 

いやさ、ずっとむかーしにも言ったけど—————

俺、ただの日本人だからね?

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ソ連領内 ツェリノヤルスク>

 

クソっ!!

何なんだよ!!!

身体中痛いんだが?!

 

減速したとはいえ元々マッハ3以上で飛んでいたドローンから空中で投げ出されたんですけど?

前回の作戦以来、空域の警戒が厳重になったからHALO降下は無理?

知らんがな()

 

『バーチャスミッションの時のように上空へは近づけない。よって最新鋭の兵器を使う。スネーク、これはアラン・シェパード並みの栄誉だぞ。これが最後のチャンスだ。愛国心を示せ』

 

機内で少佐に言われた言葉だ。

じゃあお前がやれよぉぉぉぉ???

元SAS(特殊空挺部隊)なんだろ?

自分で何とかしろよ!

 

そもそも誰だよアラン・シェパードって()

俺を感動させたいなら忠犬ハチ公でも連れてきな!!!

それにこちとらアメリカに対する愛国心なんてミジンコ一匹分持ち合わせていないんだが?

っていうかアンタだって元々イギリス人やん()

 

・・・はあ、嘆いていても仕方がない。

俺にはプレイヤーとしての知識がある。

このチート能力を使ってさっさとクリアしてEVAと———んっんん!!

と、とにかく現状を報告しないとな。

 

「こちらスネーク、待たせたな!(キリッ)」

 

 

 

 

改めてだがこの身体は驚異的だった。

肘関節、肋骨の骨折や複数の裂傷などを負ってからまだ一週間しか経過していない。

それなのに本調子ではないとはいえ、作戦行動に支障がないレベルまで回復が進んでいる。

しかしその代償として—————

 

ぐぅー

すぐに腹が減るのだ。

だが小さな代償だろう。

 

到着して間もないというのに俺は地を這っていたヘビをキャプチャーして丸かじりしているところだ。

中々・・・というか、かなりウマい。

あれ、おかしいな。

ゲテモノ得意って訳じゃなかったんだけど()

 

『スネーク、アミメニシキヘビをキャプチャーしたのね?』

 

呼び出してもないのに無線から若い女性の声が聞こえてくる。

原作の無線で一番聞いたと言っても過言ではないこの声はクラーク———パラメディックだ。

 

『アミメニシキヘビは世界最長と言われるヘビよ。大きいものは10mにもなるっていうわ・・・ってもう食べてるのね』

 

「ああ、ウマかった」

 

『共食いね(ボソッ)』

 

「なに?」

 

『何も言ってないわ。じゃあね!』

 

・・・ただ食事をしていただけなのに悪口を言われた気分になるのは何故なのだろう。

しかしそんなことは次の瞬間には忘れて食事を続ける。

 

あ、今度は“緑色”のヘビが!

 

俺は共食いの重ね合わせという幻聴が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

しばらく道を進んでいると木々の向こうに俺が乗って来たドローンが見えて来た。

搭乗者の人権をフル無視した“お優しい”安心設計に怒りが込み上げそうになるがアンガーマネジメントによって鍛え上げたメンタルを総動員して気持ちを切り替える。

 

何故かって?

これから大事なイベントが起こるからだ。

 

開けた空き地のようになっている中心でこの場に似つかわしくない白い馬がいた。

よく手入れされたその馬は人慣れしている様子が見受けられる。

っていうかそもそも馬具が付いてるしな()

 

「命拾いしたようね」

 

馬の傍に近づくと後ろから声を掛けられる。

そこには白いスニーキングスーツにポンチョのようなコートを羽織った女性が立っていた。

その雰囲気、顔つきからも只者ではないことが分かる。

 

「ザ・ボス・・・」

 

これが特殊部隊の母と呼ばれた伝説の兵士か。

画面を観ているだけでは決して分からないだろうな、この存在感は。

アメリカ政府がそのカリスマ性故に抹殺したというのも大袈裟なことではなかったのかもしれない。

 

「腕は治ったの?」

 

「お陰様で良い夢が見られた」

 

俺の言葉を受けてザ・ボスは訝しげな表情を浮かべる。

そしてマントを放り投げて駆け出した。

 

咄嗟に銃とナイフを構えるが次の瞬間には武装を解除され地面に薙ぎ倒される。

ちょ、尋常じゃないな!?

 

「お前は誰だ!」

 

ザ・ボスはガバメント(M1911A1)の弾倉と薬室に込められた弾を排莢し、テイクダウンピンを抜いてスライドを外して放り投げる。

 

それよりも、ボスの発言はどういうことだ?

 

「ま、待て。俺の話を———」

 

その場に立ち上がった俺の制止も聞かず、ボスは俺のみぞおちに拳を叩き込み、再び地面に投げ飛ばす。

そしてうつ伏せに倒れた俺の関節を決めたまま再び口を開く。

 

「もう一度聞く。お前は誰だ?」

 

「くっ・・・一体どう言う意味だ?」

 

「“ジャック”のことなら何でも知っている」

 

恐らくだがザ・ボスは自身の知っているスネークと、俺が憑依したスネークの違いを敏感に感じ取ったのだろう。

恐らく先程の発言が引き金になったに違いない。

 

「俺はアンタの任務を知っている! 協力できる筈だ!」

 

「・・・なに?」

 

その時、この場に関係のない第三者の声が響き渡る。

 

 

【未来が変わってしまった! タイムパラドックスだ!!】

 

 

すると視界が突然暗転し、場面が移り変わる。

 

 

 

 

意識がハッキリとした時、俺がいた場所はどこかの廃墟だった。

そして次の瞬間、強烈な光を浴びせられた。

 

「少し遅れたかしら?」

 

本気でびっくりした。

文字通り心臓が止まるかと思った。

バイクのヘッドライトを受けて、暗順応していた俺の視界はほとんどゼロだ。

 

一応、軽く説明しておくとこの任務を遂行する上で東側が用意したエージェントがサポートに就くことになっていた。

4年前にアメリカのNSA、つまり暗号解読に関わる二人がソ連に亡命したんだ。

ADAMとEVA、そのうちのADAMが協力員となるということになっていた。

 

「エンジンを切れ、聞かれる」

 

「あなたが西側のエージェント?」

 

だからエンジン切れって!

夜の森はただでさえ音が響くんだ。

それもそんな大排気量のバイクの爆乳・・・違う。

爆音と言ったら—————

 

しかし時すでに遅し。

ソ連側の兵士に周囲を包囲されてしまう。

先程のワープ?をきっかけに俺は原作の知識云々など頭から吹き飛んでしまった。

『このままでは死ぬ』

 

「伏せて!」

 

EVAの言葉を受けると同時に俺は前方に身体を投げ出した。

身体を駆け巡るアドレナリンにより、周囲の流れる時間が酷くゆっくりに感じられる。

 

EVAはバイクのライトを消すと懐から十七型拳銃を取り出し、銃を水平にして反動を利用した独特な射法で兵士たちを次々に撃ち抜いていく。

バイクの光に目が慣れていた兵士たちは混乱し、状況を把握する前に命を落とすのだった。

 

協力員がバイクを降り、ヘルメットを外すとそこに現れたのは月明かりに照らされた絶世の美女だった。

そしてこちらに近づきながら、つなぎ型のライダース・スーツのジッパーをへその下まで降ろす。

けしからん露出魔だ()

ここは俺がガツンと一言—————

 

「よろしく、EVAよ」

 

「おぉ・・・」

 

ダメだ。

釘付けだ。

転生のことも任務のことも全て吹き飛んでしまった。

EVAがへその下までチャックを下げる行為になんのお〇ぱい・・・違う。

なんの意味があるのかお〇ぱい。

俺の脳みそは完全におチ〇チンと化し、お〇ぱいに支配された。

 

 

 

 

「計画と違う。ADAMはどうした?」

 

先の任務でソコロフが捉えられていた部屋に設けられたベッドに腰掛けながら俺は葉巻を楽しんでいた。

完全にクセになってしまった。

というかこの身体は当たり前のような反応を見せている。

結局は俺の意識の問題なのか。

あ、息子と違って俺自身はある程度落ち着いたのでご安心を!

・・・・・ん?

 

「ヴォルギン大佐は用心深いわ。ADAMは適任でないと判断されたの」

 

「君なら適任なのか?」

 

「ええ、彼にはできないことができるから」

 

彼女は自身の魅力を自覚し、それを最大限活かす術を知っているのだ。

今もセクシーなポーズを取っている。

 

「そんなことでこの俺が誤魔化されると思ったらその通りだ」

 

「・・・? あ、あなたのコードネームh」

 

「スネークだ」

 

俺は食い気味に答える。

誰かが言った。

子が親に似るように、部下は上官に似ると。

 

「ス、スネーク・・・蛇ね。私はEVA、誘惑してみる?」

 

EVAは俺の失言にお〇ぱいを魅せた・・・違う。

動揺を見せたがすぐに切り替えた。

そのお〇ぱいといい、見事なもんだ。

 

「はい、喜んで」

 

「・・・・・」

 

「愛国者は?」

 

「—————え?」

 

「合言葉だ。事前に決められていただろう。愛国者は?」

 

俺は気まずい雰囲気をぶち壊すために最大限の努力をする。

俺が悪いんじゃない。

そのお〇ぱいが悪いんだ。

誘惑する彼女が悪いんだ。(責任転嫁)

 

「さっきの私の行動が答えだと思うけど?」

 

「あれ自体は答えになっていない」

 

「そんなに私が不満?」

 

「いえ、決して」

 

再びセクシーなポーズを取り、首を傾げる絶世の美女の前に俺の心理プロテクトは一瞬のうちに瓦解する。

自慢じゃないが俺はパツ金巨乳美女がどタイプなのだ。

男なら嫌いな奴はいない筈だ。

俺が悪いんじゃない、彼女の魅力が悪いんだ。(2回目)

 

「・・・武器を無くしたそうね。安心して、あなたにはアメリカ製を用意しておいたわ」

 

彼女は不自然にならないようにしながら俺から距離を取り、スーツのジッパーを喉元までしっかりと上げる。

そして荷物からいくつかの装備品を取り出した。

 

おかしい。

原作では直接手渡してくれた筈が彼女はガバメントをベッドの上にそっと置く。

意気消沈した俺だったがメタルギアファンとしてアレをやらない訳にはいかない。

 

「はぁ・・・鏡のように磨き上げられたフィーデングランプに? えーっと、はいはい強化スライドね、んで? あーサイトも変えてあるのね。あとは? サムセーフティが延長してあるっと。寧ろいらんやろサムセーフティ() トリガーガードには滑り止め、これも別に気にせん。リングハンマーと、ハイグリップできるように付け根が削ってあるのか。まあこれは良いね。グリップセーフティはオミットされてるっと—————」

 

原作と違い、葉巻を吹かしながら投げやりな感じで説明する俺にEVAはまるで汚物でも見るかのような視線を向けてくる。

どこで何を間違えた?

 

「・・・愛国者は?」

 

「・・・・・」

 

どこで何を間違えた?

俺はEVAの経過心を最大限引き上げたと同時に、科学者の服や前回の作戦で持ち込んだ麻酔銃なんかを手に入れた。

EZ GUNくらい貰わないと割に合わないんだが?

 

 

 

 

ソコロフのいる研究所とそこまでのルートについて情報を得た俺はパラメディックの勧めもあり数時間の仮眠を取った。

息子が寝ていたのかは知らないが、相変わらずEVAたんは俺から距離を取っていたようだ。

・・・メンタル的にやり遂げられる気がしない。

 

陽の光が差し込んで来る。

熟睡してしまったな。

だがお陰で体力は回復した。

改めてこのチート・ボディーの高性能さを認識する。

お陰で—————

 

「今日も元気だな!」

 

・・・どうしよう。

EVAたんとの関係は修復不可能な域に達してしまったように思えてならない。

あのー、大佐?

タイムパラドックスするなら今がチャンスですよ?

 

その時、廃墟の外からこちらに接近する何者かの気配を感じる。

ある意味で規則的で統制されたその動きは野生動物のものではない。

 

「お客さんのようだ。夜間に襲撃しないとはバカなのか、それとも余程腕に自信があるのか」

 

「マズい。山猫部隊よ!」

 

山猫部隊といえばGRU傘下の特殊部隊であるスペツナズ、その中からさらに選抜されたエリート部隊だ。

現代で言う所の米海軍特殊部隊であるSEALsからさらに選抜されたDEVGRU(Team6)が分かり易いかもしれない。

っていうか19?20歳?のオセロットが少佐で、しかも部隊長やってるってんだから元々陸自だった俺からすると完全にフィクションだ。

・・・そもそもフィクションだったな()

だが今俺が置かれている状況はフィクションでもなんでもない。

 

「手伝って」

 

俺はEVAに手を貸し、備え付けられていたベッドを移動させる。

その下から床下に続く扉が現れる。

 

「オセロットだわ」

 

床下に入ったEVAが部隊長のオセロットを確認する。

元々知っていたから驚きはしないが唯一の取柄であるポーカーフェイスを貫く。

スネークが彼と会うのはこれが二度目だったな。

 

「私はバイクで突破する。また連絡する」

 

「わかった。俺は奴らを引き付ける」

 

俺は待ちに待った一つ目のイベントに心を躍らせている。

しかし決して顔には出さない。

少し頬をEVAに向けるくらいだ。

彼女は迷った末、俺の頬に向かって顔を近づける。

 

今だ!!!!!!

 

俺はEVAたんの整った顔が近づいてくるのを確認すると向けていた頬を背け、彼女の弾道(?)を計算する。

着弾位置を正確に見定めた俺はその位置に自らの唇を持っていった。

 

だんちゃーく・・・・・アレ?

おかしい。

一向に弾着する様子がない。

それどころか彼女は俺から距離を取り、四つん這いになって去って行った。

俺は穴に頭を突っ込む形でその姿を見送る。

良い尻・・・・良いセンスだ。

 

 

 

 

さて、どうするか。

取れる選択肢はいくらでもある。

床下に入ってもいいし、窓からローリングで飛び出してもいいし、ベッド下に隠れてもいい。

 

うーん・・・

何故か道中にはたくさんの装備や弾薬が落ちているし、無駄遣いしなければそれらが足りなくなるということもない。

よし、今はこの時代の装備に慣れておくか。

そもそもこの身体に慣れさせるという行為は必要ない。

だって元々スネークの身体だし。

結局は俺の意識の問題なだけだ。

 

俺はベッドの下に身体を滑り込ませる。

暫くするとこの部屋に続く扉がブリーチングされ、銃を発砲、スタングレネードが放り込まれる。

俺は爆音を覚悟し、目を逸らすことで被害を最小限にする。

 

精鋭部隊とはいえ、CQB(近接戦闘)に関してはまだまだだ。

この時代よりも前から閉所戦闘自体は存在したが、CQBという概念が普及するのもまだ先の話だ。

 

寧ろ、この時代で言えば部隊単位でよく訓練されていると言えるだろう。

なんでそんなに偉そうなのかって?

手前味噌になってしまうがCQBに関しては割と自信があるんだ。

寧ろ山の方がからっきし()

 

と、とにかくこの時代の精鋭部隊のレベルの一角を確認できたことが何よりの収穫だ。

 

『誰もいない!?』

 

『どこに消えた!?』

 

なんか周りがザワザワしてるから俺はポーチからスタングレネードを取り出して転がす。

強烈な閃光と耳を劈くような爆音が発生し、部屋に突入してきた4人のうち、3人がその場に気絶する。

残りの1人も強烈な光で目をやられたようだ。

悪いな、お互いやるべきことをやっているだけだ。

恨みっこなしだぜ?

 

俺はベッド下から這い出て混乱している兵士に向かってCQCを繰り出す。

突然地面に叩きつけられた兵士は頭を打ったのか分からないがその場で気絶してしまう。

 

・・・この身体すげぇ

だが妙なミスマッチ?な印象を受ける。

学生の頃にやっていたスポーツを大人になって久しぶりにやった時のような感覚?

例えが絶望的に下手なのは置いておいて、自身のイメージと身体の動きが連動していないのは間違いない。

 

そういえばCQCは久しぶりで鈍ってるとかなんとかスネーク自身が言っていたのを思い出した。

多分それが原因だな。

 

俺は静かに部屋の外に出て可能な限り山猫部隊をCQCで無効化していく。

こうやって使っていれば少しずつ慣れてくるだろう。

 

 

割とスムーズに山猫部隊を制圧した俺はEVAたんに言われた沼地に続く道を進むために歩き出すとその場に銃声が鳴り響く。

咄嗟に身構えてしまうがこちらを狙ったものではなかった。

最初の発砲から、続けざまに5発の銃声が聞こえる。

あー、オセロットのこと完全に忘れていた()

 

 

 

 

「会いたかったぞ、貴様に」

 

声のする方へと視線を移すと、階段上に俺が絶賛激推し中であるEVAたんにナイフを突きつける小僧の姿が目に入る。

 

「その構え・・・その構えだ!」

 

ハンドガンとナイフを同時に構える独特のスタイルはオセロットに強烈なインパクトを残したようだ。

EVAは何とか拘束から抜け出そうともがく。

 

「動くな! ん? 女スパイか?」

 

そのタイミングで捕虜が女性だと気が付いたオセロットは下心皆無の手つきで、相手の性別を確認する為だけにEVAの片乳を揉みしだく。

 

あああああああああ!!!

なんでお前が先に触るんだよ!!!

無理やりか!?

無理やりが良いのか!?

 

「雌犬め、香水などつけやがって!」

 

アイツにはおチ〇チンがついていないのか?

だがどんな理由でも俺のEVAたんの身体に触れた事実は変わらない。

ザ・ボスの実子だろうが、これからの世界に重要な役割を持つとか関係ないから!!

 

「そこで止まれ! もうジュードウはごめんだ」

 

俺が近づこうと動き出すとすぐに止められてしまう。

角度が悪くてここからではオセロットを狙えない。

ここは原作通りに進めるしかないか。

 

「シングル・アクション・アーミーか?」

 

「ああ、もうアクシデント(ジャム)は起こらない」

 

「あれがアクシデントだと? あれは(笑) 貴様の虚栄心が生んだ必然だ」

 

「・・・なに?」

 

「確かに良い銃だ。だがそのエングレーブ(彫刻)はなんのタクティクスアドバンテージ(戦術的優位性)もない。寧ろ邪魔だと言ってもいい。そもそも銃に彫刻を施すということ自体好かん。どうやらお前とは気が合いそうにないな」

 

「・・・くっ!」

 

オセロットは怒りを滲ませたような、嘲笑を受けたような複雑な表情だ。

え?

原作通りじゃないだろうって?

そこはさ、まあほら個人的な恨みってやつ?

 

「それとお前はもう一つ、根本的な誤解をしている」

 

「?」

 

「お前に、俺は、殺せない」

 

大丈夫だよね!?

さっき6発の銃声したよね?

もう手遅れだよ!?

死んだらコンテニューできる!?

 

「 ! 舐めるな!」

 

プライドを逆撫でされたオセロットは躊躇なくハンマーを起こして引き金を引く。

一瞬、『シークレットなムービー路線があり得るかも』と内心肝を冷やしたがどうやら杞憂だったようだ。

 

「・・・ふう」

 

「なっ?!」

 

安心した俺と動揺を隠せないオセロット。

正反対の反応を示す男たちだったが、我らがEVAたんは自らの役割(ロール)を忠実にこなす。

オセロットに蹴りを入れてバイクに飛び乗り、エンジンを掛ける。

もしかしたらここで雷電が登場するかも、と淡い期待を持つがそんなことはなく、どんなムービースタント?とツッコミどころ満載なドラテクを披露するEVAたん。

いや、人間に突っ込んでそれを足場に空中宙返り?するとか最近のB級映画でも出てこないよ?

・・・そもそも最近ですらないのか()

 

おっと、惚けている場合じゃないな。

台本では俺のセリフのはずだ。

 

「6ぱちゅだ」

 

「「・・・?」」

 

噛んだ。

 

「・・・愛国者は?」

 

困った時の『愛国者は?』だ。

だが乱用は控えるように。

おじさんとの約束だぞ?

だがこの後、思いもよらぬ方向へと話が進んでしまう。

 

「らりるれろ」

 

オセロットは動揺と、様々な外的要因でつい反射的に答えてしまう。

うおぉぉい!!

何やってんだよ!?

俺の照れ隠し?の為に台本が滅茶苦茶だ。

 

 

【未来を変えてしまってはダメだ! タイムパラドックス!!】

 

 

なんだそれ。

 

 




________________________________________
はい、お疲れ様でした。

前段の中東の一件については細かく書きたかったんですけど、諸事情によりボカシているのとフィクションっぽくしているのでご了承ください。

主人公に関しても、
「あー、陸上自衛官がスネークに憑依したのね」くらいに思っておいて下さい。

ちなみに知識や技術などは全て主人公君が吸収したような形なので戦闘力でオリジナルに劣るということもないのでご安心を。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。