TSする呪いを掛けられたので、原因となるダンジョンを防衛する   作:ゼフィガルド

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20日目:残す所10日。 その2

 某高校。鈴子やバフォーと言った面々の用事に付き合わされながらも学業と部活動を両立させている公平は、間違いなく優秀な学生である。着替えをして帰宅の準備をしていると、声を掛けられた。

 

「おーい、公平。偶には一緒に帰ろうぜ」

「お前、最近。付き合い悪いからよー」

 

 複数人の同級生から言われたが、これは公平も意識していることではある。

 最近はダンジョンの妨害に駆り出されまくっているので、部活を終えたら真っすぐに鈴子の部屋に向かう。と言う日々が続いている。

 それでも、高ランク探索者でも来ない限りは、妨害活動は休んだり部活動後に行ったりもしているが、部活仲間との付き合いが悪くなるのは必然だった。

 

「(今日はダンジョンも休みだし)」

 

 今日位はと思って、スマホの画面を開いた時のことである。鈴子から通知が入っていた。画像が添付されていたので、開いてみた。

 

「お!?」

「うぉ!?」

 

 いつの間にか背後に部活仲間達も集まっていたので、思わず公平も声を上げてしまった。

 開いた画像には、着飾った鈴子が映し出されていた。ダンジョンで糞を撒いたりとか、探索者の妨害をしたり、碌でもないことばかりしているが、見た目はバチクソに良かった。

 

「おい、公平。この女(ヒト)は一体?」

「ダンジョン関係で知り合った人でさ。時々、そう言ったネタで話したりするんだ」

 

 こういった時。全くの嘘を言うと、整合性が取れなくなって破綻してしまうことが多い。故に、嘘も言っていないが事実も言っていない程度に留めた。と、彼がナイスフォローを見せているとメッセージが飛んで来た。

 

『もしも、時間があったら一緒に遊ばないか? 君のラグビーの話も聞きたい』

 

 部活仲間達から妬み嫉みの視線が向けられた。

 普段の行動や服装を置いといて、ちゃんと着飾れば美人でスタイルの良いお姉さんなのだ。運動部で情欲を持て余している男子達からすれば、お近づきになりたいと思っているし、実際に公平もそうだった。

 先程まで一緒に帰るハズだった仲間達は彼を取り囲んでいた。フレンドがエネミーに翻った瞬間である。

 

「さて、公平君には彼女との関係を説明して貰う義務がある。こんなにバッチリ決めて、一緒に遊ばないか。と誘って来る相手が、果たしてタダのダンジョン同好仲間だろうか?」

 

 実際にただの仲間ではなく、共犯者みたいな間柄ではあるのだが、ここら辺を説明する訳にはいかない。

 しかし。『イヤイヤ。あっしらは清い関係で……』と言うのも納得する訳がないので、彼らに合わせた回答を用意することにした。

 

「クッ。正直に言うぞ。見た目がバチクソ好みだったから、仲良くなるために色々と努力したのが結実したんだ!」

 

 部活仲間達の性欲も肯定しつつ、自らの下心を提示することで彼らの共感を買おうとした。……のだが。

 

「ずりぃーぞ! コラ! なんで、お前だけ!」

「お前! 最近、さっさと帰っていたのはコレか!」

 

 幾ら共感できても、目の前で幸せになる仲間は認められないらしい。ラグビー部らしく全員ガタイは良いのだが、器は小さかった。

 部活仲間の追及が厳しくなる中、その内の1人がワザとらしく『マァマァ』と皆を宥めていた。

 

「だが、待って欲しい。如何に偶然と幸運が積み重なっても公平が、こんな美人さんと出会えるだろうか? これはもしや、何かに巻き込まれているかもしれない。部活仲間として、コイツのことを心配するべきだと。俺は思う」

 

 なんで、そんな無茶苦茶な論なのに真実に触れている部分があるんだと。公平が多少の焦りを覚えた時、部活仲間が続けた。

 

「つまり! 俺達もコイツが遊びに行くのに同行するべきだと思う! 仲間の無事を願って!!」

「ふざけんな!」

 

 どうして、こんなデートみたいなシチュエーションに外野を設けなくてはいけないのか。シッシと手で追い払う仕草を見せたが、思春期の男子が納得してくれるはずもなかった。

 こんなことで時間を取られていたら、鈴子との時間が目減りする一方な訳で。かと言って、強行突破したら翌日以降に響くので。

 

「ちょっと。待ってくれ」

 

 公平は優秀な学生である。ダンジョン妨害もこなしつつスクールライフも充実させている。だから、どちらかを捨てることはできなかった。

 

~~

 

「えー……」

 

 公平君を遊びに誘ってみたら、余計なのがいっぱい付いて来ても良いですか? と聞かれた。もちろん、嫌だ。嫌なのだが、彼にだって学校での立場やら何やらもあるだろう。断り辛い。

 

「コイツ。デリカシー無さすぎますねぇ。〇ねよ」

 

 横にいた豹華がブチギレている。龍華に助けを求めてみた所、彼女もクッソ不機嫌な表情になっていた。

 

「男子のこういうノリ本当嫌い」

 

 私の代わりに2人がブチギレているので逆に冷静になって来た。

 朝の話もあって尾行されたり、監視されたりと言うことも考えたが、これだけ関係の無い者達が一緒にいたら迂闊なことはできないだろう。

 

「男子って言うのはそう言うモノなんだ。それに、これだけ無関係の人間を巻き込むような下手を打てないだろう」

 

 豹華と龍華が一緒にいてくれるのは心強いが、むしろ。彼女達がいる限りはことを起こしたりはしないだろう。

 

「じゃあ、ソイツらを囮にするんですかぁ?」

「人聞きが悪い」

 

 男子諸君らと遊ぶだけだ。直ぐに『いいよ。友達を紹介してくれるなら歓迎だ』と返事を送った。スマホの向こう側で歓喜している男子達が浮かぶようだ。

 直前で龍華と豹華と別れて、集合場所へと向かうと。公平君と同じ制服を着て、同じ様なガタイをした男子生徒が数人。デカイ。

 

「すいません。鈴子さん……」

「構わないよ。ごめんね、公平君を借りちゃって」

「いいんっすよ! いや、そらもう。仕方ないって奴で!」

 

 男子陣のテンションが滅茶苦茶上がっている。出会ったばかりの公平君もこんなんだったから、デフォルトみたいな物かな?

 2人でブラブラしたり、食事したりする位に考えていたのだが、数がいることを悪く思う必要はない。人がいればできることもある。

 

「とりあえず、ボウリング行こうか」

 

 生まれて、この方集団で遊んだことは殆ど無いし。全部がボウリングだったが、現代でも通じるんだろうか? と思っていたら、男子達は喜んで賛成してくれた。

 

「で。鈴子さん、ボウリング上手いんですか?」

「いや、全然」

 

 ストライクを取った覚えが殆ど無い。と言うか、最近はやった覚えがない。

 でも、私可愛いし? カッコいい奴は失敗が許されないけれど、可愛い奴は失敗も許されるんだ。と言う緩い気持ちで、近くの遊戯施設に入ることにした。

 

――

 

『対象、例の男子学生を含む数名のグループで遊戯施設に入りました』

 

 羽生の懸念通り。鈴子達を付けている者達はいた。一度、龍華達によって撒かれたハズだが、再度補足することに成功していた。

 いずれの姿も街中の風景に溶け込んでおり、彼らが探索者とは別の道でプロであることは伺えた。

 

『それと。他にも嗅ぎつけている者達が幾つか』

 

 加えて、彼女を補足している者達は他にも多数いた。ある者はアーティファクトを使って姿を隠し、ある物は極自然に街中に溶け込んで監視している。

 ダンジョンの休業日だというのに、この日は鈴子達にとって最も長い一日になりそうだった。

 

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