TSする呪いを掛けられたので、原因となるダンジョンを防衛する   作:ゼフィガルド

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25日目:第二陣

 25日目。各国が分析などに1日を費やし、次なるチームがダンジョンに足を踏み入れた。異様だったのは彼らの見た目だった。

 鎧を装備している探索者は珍しくはないが、彼らの物は装甲に余すことなくダンジョン製の特殊素材が使用されており、頭部からつま先までスッポリと覆われており、身体の各所にはマナを込めた水晶が埋め込まれていた。

 手にした銃火器やサイドアームズにも同様にアーティファクトを原料にした素材が使用されていた。

 

「作戦を開始する」

 

――

 

「パワーアーマーじゃないか!」

 

 全身鎧の探索者は珍しくはないが、ここまで近代的な物は始めて見た。

 先日の中国チームが人間の持てる技術力を練り上げた連中だとしたら、今回は人類が生み出した技術力の粋だと言える。

 

「まさか、アーティファクトをこの様に加工して使う連中がいるとはな。ウム、ダンジョンと人類のマリアージュだな!」

 

 バフォーがのほほんと語っているが、遠見の映像を見る限りではモンスターが襲い掛かっては蹴散らされて行く様子が映し出されている。さながら、ハリウッドのアクション映画めいている。

 

「まるで、名前の映画みたいや」

 

 現れたBBマナモンスター達を始末しながら進んで行くフォーマンセルの様子は映画めいているが、コレを今から蹴散らすのはミツバちゃん達だというのに。

 当然、彼らは初心者用の階層で止まる訳もなく。あっと言う間に4階に辿り着いていた。ここは植物人間達が現れるので少しでも体力などを消耗させればと思っていたが、彼らの内の1人、タンクを背負った化学兵と思しき者がスキルを発動させていた。マナで編まれたドローン達に何かを供与して発進させた。

 天井近くまで跳び上がったかと思えば、ドローンから地表に向けて液体が散布され、フロアを覆い尽くす植物に満遍なく降り注いだ。

 

「まさか」

 

 予想していたことは容易く現実になった。別の機体から炎が放たれ、フロアが燃え上がる。植物人間達の元となる物を焼き払えば、相手にする必要もないということだが、やることのスケールがデカい。

 

「バフォー。コレは?」

「慌てるな。見方を変えれば、これはフロアの植物人間全体に対する攻撃であって、壁抜きなどの様な物ではない」

 

 焼け焦げたフロアを4人が駆けて行く。火事後は通り抜けるのも危険なハズなのだが、彼らのパワーアーマーはそう言った物もキチンと防いでいるのだろう。

 5階へと辿り着いたが、彼らは中国チームの二の轍は踏まなかった。ゆっくりと扉を開いて、ちゃんと正攻法で入って来た。こうなってはクモ男も歓迎する外ない。

 

『俺の名は! お前ら風に言うとスパイダーマ』

 

 著作権に厳しいアメリカ出身チームは彼の世迷い言を許さなかった。

 先程の科学兵が、タンクと繋がっているホースの引き金を引いた。マナの混じった蒼炎が放たれ、クモ男が間一髪で天井に戻ろうとしたが、彼の尻から垂れている糸が千切れて落ちた。どうやら、彼らの内の1人が音もなく狙撃銃を使っていたらしい。

 

『Yipeeeeeeeeeeeeeee!』

 

 地面に激突したクモ男に追い打ちをかける様にして、両手に重機関銃を装備したアタッカーがトリガーハッピーに浸っていた。

 周りにぶら下がった小蜘蛛達が何とかしようとしていたが、科学兵に焼き払われているのでどうしようもなく、著作権を侵害する男! は、瞬殺されていた。

 

「昨日の中国チームと違って攻撃力と防御力で正面から突破して来るタイプだな……」

 

 昨日みたいな対処では無理そうだろ。では、どうやって戦うべきかと悩んでいると、フッフッフとワザとらしい笑い声をあげている者が居た。ミツバちゃんだ。

 

「相手が攻撃力と防御力でゴリ押しして来るタイプなら正にウチの出番やん!」

「アレかぁ」

 

 こんなにも彼女が自信満々なのは昨日、訓練して身に着けた新技を試したいが故だろう。メカ娘である彼女の特徴を強化する物ではあるが。

 

「配置するとすれば25階にしよう。20階にはアラクネに行って貰うことにしよう。15に引き続いて連勤だ」

 

 サラッとクモ男が格下げされているが、既にアラクネは手の内が知れてしまっているので繰り下げになってしまうのは仕方ないにして。では、29階に配置するボスが誰になるかと言われたら。

 

「私ですか?」

「ウム。強化されたお前は、モンスターとしても一線を画す存在だからな。できるだけ取っておきたい」

 

 バフォーの言葉に私も頷いた。スキュさんの新能力は私も体験したが、アレは単に強いとか弱いとか言う話ではない。最初に彼と出会った時のことを思い出す能力ではあったが。

 

「まだ、調子が出ていない感じですけれど。それでもいいなら」

「何かあっても私達で巻き返すから安心してくれ」

 

 前回と同じように行けばいいのだが、そう簡単にことが運ぶとは思えない。

 私の不安も他所に、アメリカチームはどんどん突破していく。15階まではあまり時間が無さそうだった。

 

――

 

 昨日の休憩を挟んで、公平は始めて上級ダンジョンに挑んでいた。

 ミツバの様なモンスター娘からドラゴンなどの強力なモンスターと相対しつつ、今までとの違いを肌で感じながら進んでいた。その中で休憩を取りつつ、豹華が話し掛けて来た。

 

「今日、挑戦するアメリカチームの強さはですね。やっぱり、資金力と開発力に物を言わせた所にありますよねぇ」

「と言いますと?」

「アーティファクト・テック。連中、アーティファクトの効果を基軸に置いた装備を開発しているんや」

 

 普段、連携以外にあまりコメントをしない土場が珍しく口を出して来た。

 彼の戦いの野生児ぶりから、そう言ったことには関心が無いと思っていただけに、龍華達も驚いていた。

 

「アンタ。そう言うことも知っているんだ」

「向こうの連中とは仲ようやっとるからな。やっぱり、本場は違うぜ」

 

 何の? と聞こうとしたが、公平は口をつぐんだ。きっと、彼の戦闘スタイルである殴り合いとかそっち方面の話だ。そうに違いない。話題を逸らそう。

 

「でも、そんな物を開発したら新兵器とか云々で引っ掛かっちゃいそうな」

「だから、ダンジョン攻略用の特注品として作っとるんや。殆どがダンジョン内のマナを使わんと動かんからな」

 

 もしも、ダンジョン内のルールが外に持ち出されたらどうなるのか。

 今はアーティファクトやアイテム程度で収まっているが、そんなことになれば世界のパワーバランスを変えかねない。

 

「果たして、バフォーさん達は対抗できるんですかね? 彼が直接出向くんなら話も違うでしょうが」

「人の心配より。まずは、私達の心配ね」

 

 小休止をしている彼女達に白い影が襲い掛かった。

 豹華と土場が対応に入り、公平も龍華と一緒に援護に回る。襲撃者は全身の白い獣毛を生やした狼娘だった。見目の可愛さとは裏腹に、犬歯をむき出しにして殺意を漲らせている。

 

「(鈴子さんもやられないで下さいよ!)」

 

 今は後ろで援護することが多いし、龍華達にフォローされることも多いが、彼女達と並び立つ為にできることをしていた。

 

~~

 

『か、固すぎる……』

 

 と言う、アラクネの遺言を聞き届けたアメリカチームは20階を踏破し、高ランクダンジョン部分のモンスター達を退けて25階に辿り着いていた。

 扉を開けると、天井の高いフロアで大量のマナBBと共にミツバが待ち構えていた。狙撃手がリーダーにインカムで通信を入れた。

 

『このモンスター。中国チームの配信では、高ランクダンジョン部分にポップする通常モンスターだったハズですが』

『ここに来るまでに居たのは、あの気持ち悪いマナモンスターと人面獣ばかりだったが』

 

 既に、彼らもダンジョンの一部が変化していることは分かっていたが、ボスの配置は兎も角、特性まで変わっているとは思っていなかった。

 

「よぅ、ここまで来た。せやけど、アンタらの快進撃はここで終わりや!」

 

 ミツバの体にマナで編まれたBBが纏わりつき、巨大なシルエットを作り上げていく。形成される前にアタッカーが銃撃を加えたが、変化中のマナBBが剥がれるだけで変身は止められなかった。 

 巨大な人型を模したロボットが出現していた。頭部にはチョコンとミツバの頭部が乗っている。

 

『どうします。リーダー? ウチもリバティ・プライム用意します?』

『嘗めるな。鉄くずにしてやるぞ』

 

 科学兵から叩かれた軽口に返すと4人は一斉に行動を開始した。

 スキルで編まれたドローンに捕まり、狙撃手が天井付近まで上がり、アタッカーとリーダーが攻略の糸口を掴もうと地上部での攻撃を開始した。

 

「このフロアでゆっくりしていくと良いわ。ウチが踏みつぶしたるさかい!」

 

 ちょこんと乗っている顔だけで呟いている姿は……定番と言えば定番だが。巨大な力を手にした人間が酔いしれているソレだった。

 

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