TSする呪いを掛けられたので、原因となるダンジョンを防衛する   作:ゼフィガルド

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25日目:準備会

「始めての時と比べれば、大分スマートにやれた。と言えるだろう」

 

 恒例となった反省会だが、バフォーを始めとして皆の視線はミツバちゃんに注がれていた。無理もない。

 

「ちゃうねん。普通に考えたら質量で押し切れると思うやん? でも、ホラ。今回アイツらを倒したから更なる力を得たと思うねん。次は上手くやれるって!」

「次も同じ様な過ちを犯しそうですね……」

 

 スキュさんが溜息を吐いていた。巨大メカは操縦者の慢心を招きやすくなるというのは創作における定番であるが、やっぱり分かりやすい力を持つと増長するのは無理からぬことなのだろう。

 

「相性や。相性の問題や! 考えてみ? 今回はフィジカルVSフィジカルで相手側に特化スキルがあったから突破されだけや。もしも、ホラ。次に来るんがスキル特化とか呪文特化みたいな連中ならウチが有利やん?」

「もちろん、相性の問題はあるだろうが。そもそも、お前は慢心が過ぎる。故に、お前を折ることにする」

「え?」

 

 ミツバちゃんがズルズルとバフォーに引きずられて行った。アイツのことだから、ボコボコにするんだろうなと言う確信があった。

 

「ですが、私も決して油断はできません。今回の同士討ちが上手くいったのは不意を突いたからであって、次回には対策されるでしょうね」

「今回でかなりの量のマナを得たけれど、それでも対抗して来るのかな」

 

 今回の挑戦では大いなる活躍をしてくれたスキュさんだが、次回も活躍できるかどうかは分からない。

 少なくとも、今回の記録を見られたら『こちら側が強化されている』と言うことも分かってしまうのだから。……ただ、1つ。気になったこともある。

 

「(この調子で高ランク探索者達を撃破し続けて、マナを吸収し続ければ。連中でも勝てない位に強くなる可能性があるんじゃ?)」

 

 この短期間で8人もの高ランク探索者達のマナを吸収しているのだ。私達に起きている変化も相当大きな物になっている。きっと、ダンジョンも同様だ。残り3組。中国、アメリカと来たから次は何処になるだろうか。

 

――

 

 アメリカ組の記録は直ぐに共有され、これもまた分析に回されていた。すると、直ぐに各国が共通の見解を出していた。

 

「高ランク探索者の挑戦が失敗するごとに加速度的にダンジョンの難易度が上がっている」

 

 以前まではこんなにボスモンスターはいなかったハズだ。だというのに、2体も増えているとなれば、過去の傾向と照らし合わせれば答えは見えて来る。

 各国とも協定は決めていたが、それは『取れる』と言う算段があっての物で、全員が大損こいて終わるという結末は求めていない。

 

「現実的に考えれば、次がクリア可能難易度の限界になるぞ」

 

 二度も防衛されたということは、次回以降のクリアは困難を極める可能性がある。四回目以降は攻略不可能レベルにまでなっているだろう。

 

「三回目で確実に攻略する。本来の予定では我々イギリスであったが、ロシア。貴殿らと手を組もう」

「断る。と言いたいが、お前達が失敗するのは目に見えているからな。仕方あるまい」

 

 とてもではないが協力体制には見えなかった。ここで控え目に手を上げていたのは、サラリと話題から外されていた日本代表だった。

 

「ですが。ルールは4人までと決まっております。約束を反故にすればどうなるか。できたら、最後に控えている我々まで攻略できなくなる事態は避けて頂きたいのですが」

「問題ない。ルールには違反しない方法を我々は知っている。ダンジョンの構造やギミックについて、どの国よりも先に研究して来たのが我が国なのだから」

 

 ダンジョンに関連するモンスターやアイテム等は、英国の神話や伝承に由来している物も多い。ファンタジーの本場と言うだけにあって、ダンジョンに関する研究は他国よりも進んでいた。一体、何をするつもりなのか?

 そして、蚊帳の外へと追いやられた日本の代表はと言えば、薄っすらと笑いを浮かべていた。

 

――

 

 高ランクダンジョンに挑戦していると、高価なアーティファクトを入手することも珍しくはない。公平もパーティを組んで攻略を始めてから装備品などを獲得していたが、コレを入手するのは初めてだった。

 

「この水晶って。龍華さんが使っている」

「テイム用の物ね。ちょうど、数も減っていたし。買い取るわ」

 

 と。彼女は公平の帳簿に書き足していく。恐らく、ちゃんと相場の値段を引いてくれているのだろう。

 

「龍華。このダンジョンで誰かをテイムするつもりで?」

「あの狐娘とウサギ娘。仲が良さそうだったし、2人いっぺんに……」

「大所帯になるなぁ」

「トモダチ!!」

 

 龍華の周りにはハル、トモエ、ハピやんの3匹がヒラヒラと飛んでいた。彼女達は偵察要員兼戦闘要員として活躍しているが、気になることはあった。

 

「龍華さん。トモエさん達って、パーティの人数制限とかに引っ掛からないんですか? ホラ。例のダンジョン4人までって言うし」

 

 龍華自身も高ランク探索者としての能力は持ち合わせているが彼女が十全に力を発揮する為には、やはり相棒達の力は欠かせない。

 

「そこら辺は大丈夫だと思う。本当に制限が掛かるなら。例のダンジョンに入った時に何かしらの制裁か制限を食らっていたハズだし」

 

 あくまで、あの時。龍華が制裁を下されたのは、本来のターゲット層からは掛け離れたレベルの人間だった為で、豹華の様に行動自体に問題があった訳ではない。

 

「だからと言って、テイムしたモンスターを出しまくれば有利って訳でもないですけれどね。連携の取れないメンバーなんて幾らいても邪魔ですしねぇ」

 

 と、豹華が付け加えていた。そもそも、テイム用のアイテムも希少なので数を揃えるなんてこと自体が無茶な訳だが。

 

「それに。モンスターを仲間にするのは簡単な話じゃないんや。有名なゲームみたいに捕獲したら言うことを聞く訳じゃないからな」

 

 最近、分かったことなのだが。土場は野生児の様に見えて、実際は経験も知識もかなり豊富だ。だからこそ、こんな変態みたいな真似ができているのかもしれないが。

 

「だから、短期的な戦力の増強を考えてモンスターをテイムしようなんて思わないことね」

「そうですね。……いや、先日の動画を見ていたら。鈴子さんもすごい強くなっていたから。このまま自分達に番が回って来る頃には対処が不可能になっているんじゃ? って思うんですよね」

 

 ミツバは巨大化なんてしなかったし、スキュラもまるで別のモンスターみたいになっていたし、肝心の鈴子も眷属としての力の使い方に慣れて行っている様に思えた。彼の懸念は最もなのだが、3人とも首を傾げていた。

 

「だから、アンタがいるんでしょ。何度も言うけれど、私達は感傷的な理由でパーティに入れた訳じゃないんだからね」

 

 感傷的な理由を除いた時、直ぐに理由は思い当った。なるほど、防衛に成功すればするほど強化されて行くダンジョンにおいて、自分の役割は大きい。

 

「なので、今の公平君は立ち回りを覚える必要があるんですねぇ。逸らず、焦らず。コレはその為の訓練兼調達ですから」

 

 豹華にも諫められた。どうしても自分が迎えに行く為に前線に立って……と言う、絵空事を思い浮かべてしまう位には彼も青かった。

 

「龍華ちゃん。近くにバッファロー娘が来とるで!」

 

 偵察をしているトモエからの警告を聞いて、注意を割く。彼女が指差した方から、正に『牛』と呼ぶにふさわしいモンスター娘が突進して来た。彼女は非常に大きな物を持っていた。

 

「なんて、デカい角なんだ……」

 

 公平が緊張した面持ちで見ていたのは彼女の頭についている物を見てか、胸についている物を見てか。龍華と豹華から若干冷たい視線を向けられながらも、前線に合わせた対応をしていた。

 当初は手際が悪かったが、今となっては対応も大分慣れて来た。特訓の成果はちゃんと実っていた。

 

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