TSする呪いを掛けられたので、原因となるダンジョンを防衛する   作:ゼフィガルド

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お久しぶりです。ぼちぼち再開していけたらと思います。


26日目:第三陣

 ダンジョンとは消費される物である。セオリーは殆ど確立され、攻略に臨んだ者達も何かしらの形で記録に残す為、例え失敗したとしても数回の後には攻略されてしまっている。

 故に、現状鈴子達が防衛しているダンジョンの存続日数は類を見ない物となっていた。しかも、有象無象の探索者だけではなく、高名な高ランク探索者を何人も返り討ちにしている。

 既に異変自体は観測されていた。恐ろしい程に大量にポップするエネミー。大型のボスモンスターが複数体。そして、また新たな変化が起きていた。

 

――

 

「ダンジョン内の様子がおかしい」

 

 すっかり、モンスターが板に着いた私も肌で感じる程なのだから変化が起きていることは間違いない。バフォーはと言えば、ペコペコと頭を下げながら誰かと通話している様だった。

 

「創造主様からご連絡いただけるとは。え? どういうことですか。たかが、一介のダンジョンに何故? え!? もう来る!?」

 

 聞き捨てならない単語が聞こえた。防衛やら何やら忙しい中で訪問とか止めて欲しい。何処から来るんだろうかと思っていると。

 

『―――』

 

 キィン。と耳鳴り、バフォーの隣に靄の様な物が浮いていた。何かがある。

 目を凝らそうとしたら、いつの間にか隣に立っていたバフォーに目隠しをされていた。

 

「存在を認識しようとするな。発狂するぞ」

「……もしかして、想像以上にヤバい方が来られている?」

「普通は顕現できない方なのだが、このダンジョンにはマナが満ちているから足を運んだ。と仰っている」

 

 もしかして、この大ダンジョン時代における神みたいな存在と対面しているのだろうか? だとしたら、私は人類史上初の偉業を成し遂げているんじゃ。

 

『――|―_|――』

「え? マジですか?」

 

 耳鳴りがするだけで何を話しているかは分からない。気にはなるが、あの存在を認識してはいけないので、ミツバちゃんやスキュさんに話し掛けようとしたのだが。2人共、表情が動いていなかった。

 

「大丈夫……ではなさそうだね」

「あ、お願いや。鈴子さん話し掛けといて。今、ちょっと気が触れそうになってんねん。スキュさんとか感応性が高いから、もっとヤバいことになっている」

 

 チラリとスキュさんの方を見れば口から泡を吹いていた。堰を切った様に眼球がギョロギョロと動き始め、触手がうねり狂い始めていたので、黒槍でぶん殴って気絶させておいた。

 

「ウチも頼むわ」

「分かった」

 

 同じ様にミツバちゃんも殴って気絶させた。相変わらず、バフォーは靄に話し掛けているが、私の精神的にあまりよろしくない。

 会話内容ではなく、次元の違う存在が会話をしているという事実だけで周囲の認識や正気度がガリガリと削られる。

 

『|||_|。――__||―』

「ちょっと、聞いてみます」

 

 バフォーが小走りでやって来た。余程、緊張していたのだろうか。大きく溜息を吐いて、自らを落ち着かせた後に口を開いた。

 

「単刀直入に言おう。このダンジョンが『異界レベル』に進化し掛かっているらしい。故に、お前を『ダンジョンクリエイター』へと引き上げてやるから、共同で管理しろ。とのことだ」

「なんで、私に昇進の話がやって来ているんですかね」

 

 探索者としては玩具でしかなかったのに、敵対してからは全てが順風満喫過ぎるのは何かしらのバグだと思う。

 

『――__――_』

「次も似たような量のマナを吸収すれば、お前は自動的に『クリエイター』になるらしい。拒否権はない」

「暴君すぎる」

 

 と言っても、高次元の存在が下々のことを気にする方が珍しいのかもしれない。

 むしろ、バフォーが甲斐甲斐しく誠実過ぎるだけで。私達だって足元にいるアリや虫のことなんて気にしたりはしないのだから。

 

『―。―_|_―。――』

「……創造主様は今回の探索者の撃退を見たいとおっしゃっている。間違っても手出ししないで下さい。頼みます」

 

 ペコペコと頭を下げるバフォーを見ていると居た堪れなくなってきた。……でも、創造主なんて存在が迎撃に出てきたらどうなるんだろうか。

 

「やめろ。探索者の魂が輪廻に戻れなくなる」

「よく分からないが、止めた方がいいのは分かったよ」

 

 もう、迎撃も終盤に差し掛かっているというのに。どうして、こんなのが来訪するんだろうか? とりあえず、今日も撃退に尽力するが無事で済むのか。

 

~~

 

 今回の高ランク探索者はイギリスとロシアの2国であったが、挑戦状のルールに則り、パーティは4人だけだった。

 その内の3人はアメリカチームと同じコンセプトなのか。アーティファクトを組み込んだパワーアーマーを装着していたが、彼らを率いている存在はあまりに異様だった。

 

『諸君ら、こうは考えないかね? どうして、我々はいつも寡兵で迫りくるモンスター達に挑まねばならないのだと。ダンジョンの理不尽さには辟易するね』

 

 イギリス訛りの英語で話す彼の全身はアーティファクトで固められていた。

 兜、鎧、大剣、大盾。合計で12もの水晶が装着されており、周囲に跋扈するモンスター達に呼応するように輝いていた。

 

『だったら、同条件でやってやろうじゃないか。さぁ、行こう。島国と大国のコラボレーションだ!』

 

 見る者が見れば、直ぐに分かっただろう。この12の水晶が全て『テイム用』の物であることが。水晶から噴き出した12の者達は大剣、盾、鎧、兜からパーツを剥ぎ取り、それぞれの得物として用いていた。

 現れたのはいずれも探索者だった。銘々にスキルを用いていることからもモンスターでないことは一目瞭然だった。畳みかける様にして、ロシアグループも3人同時にスキルを発動させていた。

 

『押し流せェ!!』

 

 すると、1人につき2人の分身が現れ、同じ様に攻撃やサポートを施していく。16×3で驚異の48人がモンスター達を圧倒しながら続々と歩を進めていた。

 

『いやぁ、私達は相性が実に良い。大体、モンスターの多さや階層の多さからして4人でしか挑めないというのが、ナンセンスだ。アレクセイ君、そうは思わないかね?』

『黙れ。さっさと行け』

 

 アレクセイと呼ばれた男性を始めとしたロシア3人組のパワーアーマーに取り付けられているタンクは周囲からマナを吸収して注入しているのか、増減を繰り返していた。

 数は力。それも1体1体が高ランク探索者程の力でもあるのか、罠もモンスターも全て力づくで突破して、植物人間達も数の力で引き潰して、5階のボスフロアに辿り着くや、クモ男から一言。

 

「ふ、ふざけんな!! 48人で俺をイジメて楽しいのか!?」

「全然」

 

 本当を言うなら場外の時点で攻撃を仕掛けたかったのだが、一切のルール違反をしていないので正々堂々と挑むしかなかった。

 数が多いのもテイム用の水晶から出現させた物だし、彼らが分身しているのもスキルによる物なのだから、数の上では制限の12倍いたとしてもルール内の話だった。

 

「1人位は道連れにしてやらぁあああああああああ!」

 

 他のモンスター達が強化を施されているが、数の暴力を前にしてはクモ男もどうしようもなかった。鎧袖一触、簡単に蹴散らされていた。

 

――

 

「ば、バフォー。コレ、何が起きているの? ルール違反じゃないの?」

『||__!――。』

「どうやら、あの先頭を行く英国の男はスキルで探索者をテイムできるらしい。それで、高ランク探索者12名を入れて来たのか。ロシア側は分身のスキルだな。この規模だと負担も大きい様だが」

 

 大剣などをテイムした者達に明け渡した後は防御特化のローブで身を固めていたが、身に着けているアーティファクトを見れば分かる。

 

「(マナを蓄える外付けのバッテリーと周囲からマナを吸収する装備に防御ガン振り。って、アイツ自身が大量の探索者を送り込むための装置みたいなモノだってことか)」

『――?』

「あ、いえ。ルール内でやっていることなので、創造主様が手を下す必要はありません。挑戦者側にも権利はあるので」

 

 恐らく、『裁いとく?』みたいなことを言われたんだろうか。それをしたら、私も必死に防衛する必要は無くなるのだが、ここで創造主様に介入を許してしまえば、公平君達が攻略する隙間が残らなくなる。

 だって、困ったら泣きつけばいいというだけになってしまうのだから。いや、もっとひどいことになれば、異界クラスの場所を確保する為に無条件で手を出してくるかもしれない。

 

「そうだよ。ちゃんと、私達もルールを守らないと」

 

 なので、このルールは探索者達だけではなく私達を守ってくれてもいるのだ。

 48人は数の勢いのまま次々と階層を攻略していくが、全然脱落者が出ないことが気になる。コレだけいても、弱い奴が1人もいないのは一種の反則だと思う。ミツバちゃんやスキュさん達がどれだけ減らしてくれるか。と、私は小さく祈っていた。

 

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