仮面ライダーに変身できるけど何か違う 作:ザヨコぉぉぉぉ!!
ビビアン・パンシーとお菓子な仮面ライダー
彼女…ビビアン・バンシーにとって忘れられない思い出がある。
「見た人の危険や不幸を突発的に予兆する」という異能を持ち、幼少期にはこれが原因で周囲から忌み嫌われ天涯孤独の身となりかけていたその時だった。
『どうしたの?お腹減ってるのかい?』
話しかけてくれたのは人間とは思えない異形の姿をした怪物だった。
全身紫色に覆われた装甲で自分より2回り大きい。
最初は怯えていたものの、怪物は握り締めていた右手を差し出し、手を開くと。
『良かったら、お菓子食べる?美味しいよ』
姿とは裏腹に明るい声で話しかけてくれた彼の対応にビビアンは彼の掌に置いてあるお菓子を手に取り口にした。
「……美味しい」
『でしょ?まだあるから沢山食べてね』
怪物はビビアンの隣に体育座りして、どこから出したのかポテトチップスを取り出して彼女に渡す。
『これも美味しいよ、良かったら食べて食べて』
彼に進められたチップスを食べると先程まで悲しい表情をしてたのが嘘のようになり、頬を赤めながらも美味しそうに食べた。
美味しそうに食べるビビアンを見つめた彼は
『どうして君は泣いていたんだい?』
と聞くと彼女は不安そうな顔に戻りながらも話した。
"自分が持つ異能のせいで周りに嫌われてしまった。
対象の人物の危険や不幸を突発的に予兆するという力があるせいで一人になってしまった。
そう悲しげに答えると彼は
『へぇー、凄いね。そんな力があるんだ』
「……凄い?でも、皆は気持ち悪いって」
『俺も君と似たような力を持ってるんだ。見てて』
顔が仮面に覆われているにも関わらず、複数のお菓子を食べると。
「わにゃわにゃ!!」「わにゃわにゃ!」
「わにゃわにゃ!」「わにゃ!わにゃ!」
「えっ!?」
彼の身体からお菓子のパッケージを模した小さく可愛らしい姿をしたモンスターが現れた。
『ほら、すごいでしょ?食べたお菓子によって姿形が違う小さいモンスター。これをゴチゾウって呼んでるんだ』
ゴチゾウ達はビビアンの姿を見ると一斉に彼女の方へ向かい足に乗っかりはしゃぎ始める。
「ちょ、ちょっと!や、やめてくだs…アハハハッ!く、くすぐったいです!!」
『良かった、やっぱり元気が1番だな』
彼はそういうと立ち上がり、それを見たゴチゾウも肩へと乗っていく。
「どうしたのですか?」
『そろそろ、行かなくちゃいけない。大事な用が出来たから』
そう言うと彼女は少し寂しそうな表情で俯いてしまった。
『悲しむ必要は無いよ』
ビビアンが顔を上げると彼はこう言った。
『君の持つ力、確かに周りから見れば呪われたものかもしれないが、俺はそうは思わない。その力が誰かの助けになる時がきっと来る。だから自信を持っていい。」
そう言って彼は去った。
ほんの少しの短い時間であったが、彼女にとっては幸せな時間だった。彼との出会いにより勇気が湧き、これからも生きていけると自信を持つことができるようになった。
◆◆◆
そして讃頌会という所に引き取られた彼女はランドンという男の養子として生活を過ごすようになった。彼は言った。
「君は不幸を齎す存在なのではない、私の言う通りにすれば誰かを救う事が出来る」
彼女はそれを信じて彼の手伝いをした。
しかし……結果は裏切られることになってしまう。
ビビアンの手伝いというのはランドンが行なっていた『祝福』と呼ばれる物を授かる人間を選別するというものだった。
表向きは『祝福』を授かる事でより優れたエーテル適正に恵まれ、ホロウへの出入りが容易になり、突発的なホロウ災害を恐れる心配もなくなる。
だが真実は『祝福』と呼ばれる薬はサクリファイスの初期段階のものであり、短期間で能力を大幅に上げられるもののエーテル侵食症状の進行も早めてしまう。投与された人間の殆どが最終的にエーテリアスと化してしまう。
仮に成功した『サクリファイス』になったとしても人間だった時の意識は消えてしまう。
エーテリアスとなったその者達は処分され、サクリファイスは讃頌会の上層部に献上されるが、彼等の理念は「サクリファイスは人間の意識を保っている事が望ましい」よってランドンの薬は成功した訳では無い。
全ての真実を知ったビビアンは皆の前でランドンを見つめ、わざと涙を流した。
「ランドン様、どうかご自身に祝福をお授けください!」
「ビビアン…貴様」
「どうして拒まれるのですか?まさか、私達をずっと騙していたと?」
的中されたのかランドンは苦い表情をしながらも他の人々に向かって拳銃を構えた。
「恩知らずの愚民共め!貴様らにもう価値はない!」
「ひっ!?」「嘘つき!」「は、早く逃げよう!」
拳銃を構えた彼の姿に恐怖を感じ、逃げ出そうとしたその時だった……
「うわぁァァァァッ!?な、なんだぁ!?」
突如、部屋の壁で爆発が起き、大穴が空けられ爆発の衝撃と煙と共に何かが姿を現した。
「えっ……」
ビビアンはその姿を見て思わず、声を漏らした。
姿形は嘗てここに来る前に出会った紫色の怪人にそっくりだったものの、視界に見てるのはオレンジ色で巨大化した両腕を持つ怪人だった。
「な、何者だ!?」
ランドンが叫ぶとオレンジ色の怪人は
『通りすがりのお菓子な仮面ライダーって所かな?』
「か、仮面ライダーだと!?最近、讃頌会のあちこちを暴れ回ってると言われる謎の戦士か!?」
"仮面ライダー"その名前はビビアンも薄ら耳に入っていたが、単なる都市伝説と聞き流していたがまさか本当に存在するとは思いもよらなかった。
『へぇー、そんな噂が流れてるんだ?さて、ランドンって言ったか、お前の悪事もここまでだ』
「ふ、ふん!何を根拠にそんな事を!証拠はあるのか!?」
『そう言うと思った。皆、入っておいで』
空けた穴から少し離れ、声をかけると入ってきたのは複数の男性、女性達だった。
「ば、馬鹿な……貴様らは…!?」
『この人たちが全部話してくれたよ。
見覚えは勿論ある筈だ。何しろ彼等はアンタに殺された筈の人達なのだから』
入ってきた人達は皆こう言った。
「皆、そいつは人殺しだ!」「そうよ!騙されないで!」
「俺達は嵌められたんだ!」「彼は嘘つきよ!」
「祝福なんて嘘だ!」「こいつに殺されかけたのよ!」
色々とボロが出たせいかランドンは気が気でなくなっている状態。
『これだけの証言があるにも関わらず、まだシラを切るつもりかな?』
「ぐぐぐっ……!!」
『治安局には通報した。時期、ここにやってくる。お前は終わりだランドン』
これで諦めるのかと思いきや、ランドンは鋭い視線を見ながらビビアンに銃口を向けた。
「ッ!?」
「くっそぉ!!これも全部貴様のせいだ、ビビアン!」
怒りで我を忘れ、引き金を弾こうとするランドン、それに対して怯える目を瞑ったビビアンだが、
『フンッ!!』
「ぐわぁぁっ!?」
オレンジ色の怪人はベルトのような物を弄ると姿を消しランドンの前まで現れ、キックを繰り出して吹っ飛ばした。
「ッ!?あ、貴方は……!?」
目を瞑ったビビアンは何が起こったのかと目を開けた瞬間、視界に移ったのは彼女にとって思い入れのある紫色の怪人だった。
『どうする?大人しく投降するか、それともこのまま俺に倒されるか…好きな方選べ』
「く、くそ……くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」
その後、戦意喪失したランドンは周りにいた人々の手によって拘束されてしまう。
紫色の怪人はその場を後にしようと部屋から出ようとしたが、
「あ、あの!」
ビビアンは去ろうとする彼に声をかけた。
「ん?」
「あの時、お菓子をくださった紫色の怪人様ですよね?さっきはオレンジ色だったから分からなかったけど、助けていただきありがとうございます!」
『……いや、礼を言うのは俺の方さ。君が勇気を出し行動したことによってあの場にいた人々の命が救われた』
「そ、そんな……私はただ、皆に真実を伝えただけで」
『謙遜することは無い。君があの場にいた人を救ったんだ』
「……ッ///」
『さて、そろそろ行くよ。またやらなくちゃいけない事が増えたから』
「あ、お待ちください!せめてお名前だけでも教えて頂きたいのです!」
『仮面ライダーガヴ……それが今の俺の名前だ』
片手を振りながら紫色の怪人がそう言い残し、彼女が瞬きした途端、彼の姿は消えていた。
「仮面ライダー……ガヴ」
これが彼女にとって忘れる事の出来ない思い出となり、後にパエトーンと同様「仮面ライダー」の信望者となるきっかけとなったのだ。
◆
「以上が私と"仮面ライダー様"の出会い話なのです……ってヒューゴ!ちゃんと聞いてるのですか!?」
「あ、あぁ、そのなんと言えばいいのか……ビビアンが彼に対する思いが想像以上だったという事がわかったよ…」
「ふふふ、まだまだこんなもの序の口なのです!続いて助けて頂いた"仮面ライダーガヴ様"の姿をフィギュアとして再現で作ってみたので今度はそれを語るのです!」
「す、少し…休憩させてくれ」
オーバーガヴとマスターガブってゲイツリバイブにそっくりじゃね?