仮面ライダーに変身できるけど何か違う 作:ザヨコぉぉぉぉ!!
初めて会った時はどこにでもいるごく普通の男の子だと思った。
「お兄ちゃん、今日だっけ?うちにアルバイトの面接に来る子って」
「うん、時間的にはもうすぐ来る頃だと思うんだけど」
ビデオ屋『Random play』にてここの店長を務めるリンとアキラが会話していた。
「でも、不思議だよねー、人気のないビデオ屋にアルバイトがしたい子がいるなんて」
「そうでもないみたいだよ。これ履歴書のコピーなんだけど、ここ見てごらん」
そういうとお兄ちゃんは履歴書のコピーを見せてくれて、趣味の欄に「映画鑑賞で主にホラー映画」と書かれていた。
「へぇー!ホラー映画が好きなんだー!じゃあもし採用だったら早速おすすめのホラー映画を紹介してもらおっかなー!」
「それだけはやめてくれ…リンも知ってるだろ?僕がホラー系が苦手である事を」
「冗談だってば~、
そろそろあたし達も面接の準備しないとね。聞く場所は2階でいいんだよね?」
「うん、本当はあそこの部屋使いたいんだけど流石に見られる訳にはいかないからね」
あたし達には裏の顔がありそれは「パエトーン」と呼ぶ凄腕プロキシ。
主に危険区域ホロウでの行方不明者捜索や物資回収を専門とする裏稼業。
あの部屋にはそれを動かす為のH.D.Dシステムがあるから下手に見られると不味いので2階で面接する事にした。
「それじゃああたし達は面接の準備をするからイアス達は入口ら辺にいてアルバイトの子が来るかどうか見てきてもらえる?」
「
◆
準備してから数分後……それは突如起こった出来事だった。
「ンナ、ンナナナッ!!」
「ん?どうしたの?トワ」
面接の準備をしていた私達は階段から登ってきたスカーフに「18」の番号が振られているボンプ「トワ」の様子が慌ただしく見える。
「何かあったのかい?」
「ンナナッ!!ンナナナナッ!!ンナナッ!ンナナナナッ!!《それが…急にイアスがアルバイトの面接に来た人に向かって》」
「まさか……」
イアスに限ってそんな事する筈がないと急いで下に降りるとそこには
「ン"ナ"ナ"ナ"ナ"ァァァッ〜〜!!!」
「おぉ~、人懐っこいボンプだな。どしたどした?そんな大泣きして腹でも減ったか?」
イアスが大泣きしながらもアルバイトの面接に来た子に対し必死に抱きついている光景だった。
アルバイトに来た子の容姿は黒髪ツーブロで見た目は私達より少し年下に見える。
……って、そんな事言ってる場合じゃない。
「い、イアス!?なにやってんのッ!?」
すぐさま私とお兄ちゃんはイアスを必死に引き剥がさんと試みた。
◆
「本ッ当にごめんなさい!恥ずかしい所を見せてしまってッ!」
「いえいえ!何を言ってるんですか?賑やかでいいと思いますよ、あんなに人懐っこいボンプは初めて見ました」
あの後、イアスは正気を取り戻し面接に来た子「齋藤恭弥」君に謝った。しかし恭弥君は「全然大丈夫、寧ろこんなに可愛いボンプがいるなら益々働きたくなりますよ」と言ってくれた。
「えっと…それで合否の方はどうなりますかね?」
「勿論、うちで良ければ是非歓迎するよ。ただバイト代は他の所よりちょっと少ないけど」
「全然全然、ホラー映画がメインに好きなんでこのジャンルの良さ伝えたいと同時にRandom playは他のビデオ屋より一線を画すお店ですからね。そんなお店に働きたいなと思って志望した迄ですから!」
「ありがとう!そう言って貰えてこっちとしても嬉しいよ!じゃあ、詳しい仕事内容とかシフトはまた後日連絡するから今日の所は帰って大丈夫だよ!」
「分かりました!じゃあ、すみません今後ともよろしくお願いします!」
色々あったけど彼の志望動機を聞いてうちとしても是非働いてもらいたいなと思って即採用しました。色々話してみて思ったのがとても元気が良くて気持ちのいい子だったと言うのが大きな印象になっている。
◆
「とても爽やかでいい子だったね」
「本当それ!早速シフトを組みたい所だけど……イアス?」
「ンナッ!?ンナナ…」
面接が終わったのも束の間、あたしはイアスがどうしてあんな行動をしたのか気になり
「もう~、来たなら来たって言ってくれれば良いのに、あんなに騒がしくしちゃって…こっちも恥ずかしい思いしちゃったんだから」
「
「まぁまぁリン、イアスも何か理由があってああいう行動を起こしたんだと思う。そうだろ?イアス」
「
「そうなの?」
そう言うとイアスは恥ずかしい仕草をしながらもこう説明した。
「ンナナナナナ……ンナナナナナ、ンナナナナナナナ《面接に来た子が親友に瓜二つに見えて、それで勢い良くつい抱きついてしまったんだ》」
「親友?」
「ンナナナ、ンナナナナナナナ……ンナナナナナナナナナナ《うん、けどもう随分前に亡くなって…その人はカローレの恋人だったんだ》
「え?」
それを聞いた私達はとある思い出が脳裏に蘇った。
──先生って好きな人とかいたの?
──あら?どうしたの?急にそんな事聞いて
──だって先生、いつも同じ写真立てを眺めてて顔真っ赤かだもん
──ッッ/////
──あー!赤くなった~絶対そうだ〜!見せて見せて!
──も、もう///駄目よ。いくら二人でもこれは見せられないわ////
嘗て親同然の存在だった恩師との記憶を思い出し、確かに聞き覚えはあった。
「先生はずっと大事にしてた写真立てがあって、その人の顔を全然見せてくれなかったな」
「写真の人の事を聞くと先生は悲しそうな顔をしてた。当時僕たちは子供だったから分からなかったけどそう言うことだったのか」
私達はイアスから聞いてびっくりしたものの、昔謎だった事が解けた気がした。更には
「ンナナナナ、ンナナナナ……ンナナナナ《名前も聞いた時びっくりした。苗字は違うけれど下の名前が同じで偶然にも程があるよって思った》」
「え?下の名前が「恭弥」って事?」
「ンナナナナ……ンナナナナ、ンナナナナ、ンナナナナ《うん。その人の名前は"佐上恭弥"。リンとアキラに出会う前からボクは彼と大の仲良しでいつも遊んでくれてたんだ》」
「そっか、イアスにも大切な友達がいたんだね」
「ンナナナナ~、ンンナンナンナンナ、ンナンナンナ《2人とも黙っててごめん。もっと早く言うべきだったんだろうけど》」
イアスは落ち込んでいたが、当然私達はそんな事気にする事なく
「何言ってるのイアスが正直に話してくれて私達嬉しいんだ。
それに先生の秘密を少しでも知れて良かったと思ってるし」
「リンの言う通りだ。イアスが話してくれたお陰で僕達は改めてパエトーンとして頑張らなくちゃならないと気合いを入れ直すことが出来た。
だから、これからも僕達と一緒に頑張っていこう。
先生とその人の為にも」
「ンナナナッ!!ンナナナナナッ!!《ありがとう!リン、アキラ。僕も頑張るよ!》」
さっきまで落ち込んでたイアスがもう元気になって良かった。
それにしても先生の恋人があんな爽やかな感じの人だったなんて、なんか羨ましいな。
少し嫉妬しながら私は新人の子の為のシフトを作り始める。