少し忙しかったもので・・・
遅くなって、本当にごめんなさい。
俺は今、オカルト研究部の部室にいる。
ソファに腰掛けながら、朱乃先輩の淹れてくれた紅茶を飲んでいる。
福田さんとの契約から一週間程経った。
俺の中ではあの契約は「チェスチャンピオン大号泣事件」と名付けられている。その名の通り、俺に負けた福田さんが大泣きしたのだ。
引くくらいに。
ちなみに今、さらっと言ったが俺は福田さんに勝った。
まあ、俺が頭脳戦で負けるなんてあり得ないからな。
部長は仰天していたが。
そういえば、福田さんに勝った後に笑いながら
「仇はとりましたよ」
と、部長に言ったら少し顔を赤くしていたな。
惚れた・・・のではないだろ。好感を抱いたくらいかな?
まあ、嫌悪されたわけじゃないのなら良いだろう。
ズズズ
紅茶を
朱乃先輩の紅茶を飲めるようになったのは、悪魔になったメリットの一つだ。
美味いだけじゃなく、こう、なんというか、心がほっこりする。
えーと、なんだっけ?あ、そうそう。福田さんの話だ。
俺に負けた後、大泣きした福田さんだったが、二十分ほどで平静を取り戻した。(逆に言えば二十分も泣いていた)
そして今度は、満面の笑みでお礼を言われた。
「こんなに楽しかったのは、チェスに出会って以来初めてです!!」
だ、そうだ。
結果、契約は成立。それだけでなく、お得意様まで出来た。
昨日も召喚されて、コテンパンにしてきた。
こうして、俺の新人悪魔としての初仕事は大成功だった。
ちなみに、もう一人の新人悪魔はというと・・・
「すいませんでした!!」
部長からのお説教中だ。
なぜなら、未だに契約を一つも成立させてないから―――ではない。
部長はがんばってる人を責めるようなことはしない。
では、なぜ怒っているか。それは、
「二度と教会に近づいちゃだめよ」
教会。
それは悪魔の敵地。いつ攻撃されても不思議ではない場所。
少し考えれば近づくわけがないんだが・・・
まあ、少しも考えていなかったのだろう。
イッセーの話によれば金髪美少女を案内したそうだし。
あいつは女が関わると思考力が大幅に下がるからな。
それから五分ほど、部長のお説教は続いた。
説教と言っても怒鳴りつける訳じゃなく、イッセーのことを考えた愛のあるものだった。
イッセーも自分のことを心配して言っているのが分かるのか、素直に聞いていた。
「あらあら。お説教は終わりましたか?」
説教が一段落したころに、外に出ていた朱乃先輩が帰ってきた。
「朱乃。どこに行っていたの?」
部長の問いに、朱乃さんは真剣な顔で答えた。
「先ほど、大公から連絡が入りました。討伐の依頼です」
俺たちグレモリー眷属は今、町内の使われていない倉庫に来ていた。ここに「はぐれ悪魔」がいるそうだ。
はぐれ悪魔とは、主人である爵位持ちの悪魔を裏切り、文字通りはぐれとなった悪魔である。
首輪の外れた野良犬なんて害でしかなく、見つけ次第殺すのが決まりだ。
今回は、討伐の依頼がグレモリー眷属に来たので、悪魔の戦いを見学するために、戦力にならない(と部長たちは思っている)俺とイッセーも一緒に付いてきた。
「・・・血の匂い」
小猫が小さくつぶやいた。
悪魔になったら五感が鋭くなる。
現に深夜だというのにはっきりと周囲を確認できる。
勿論、嗅覚も鋭くなっているが、血の匂いなどしない。
となると、小猫特有の能力ということか・・・
「すごいね、才斗君」
俺が小猫の能力について考えていると、隣にいた祐斗が話しかけてきた。
「何がだ?」
「普通、悪魔になったばかりだと、戦場の雰囲気にのまれると思うんだけど・・・」
ああ、そういうことか。
確かにここには、敵意と殺意が渦巻いている。一般人が耐えられる密度ではないだろう。
現に、イッセーなんて子犬のように震えている。
「俺は
だから夢を見ることもないんだ。
「祐斗、才斗。無駄話はお終いにしなさい。・・・来るわよ」
部長がそう言ったときだった。
「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」
暗闇から、上半身は女、下半身は獣の化物が出てきた。
「な、なんだあれ・・・」
流石のイッセーもあれには性欲が湧かないらしい。
「あっ、でも良いおっぱい・・・」
・・・お前は俺の予想を超えられる数少ない存在だよ。親友として泣きたくなってきた・・・
「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しに来たわ」
部長が堂々と告げる。かっこいいなぁ。
「こざかしいぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ」
バイザーが、ちょっと上手いことを言いながら突っ込んできた。
さて、じっくり見せてもらおうか―――ご主人様たちの実力を。
どうでしたか?
中途半端なところで終わって、申し訳ございません。
これからも、よろしくお願いします。