異能至上主義に花束を ――神話級異能〈テミス〉は新世界を成り上がる―― 作:衝動
――第十回〈極皇杯〉、予選開始より三時間三十一分十三秒。時刻は夜。〈天上天下闘技場〉に、ウェーブがかった紫のポニーテールの女――インターネットアイドル、
『――おーっと!Gブロック!決着!Gブロックが遂に!決着しました!』
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
一般観客席からは大歓声と共に、騒めきが起こっていた。月光が一千万人の観客たちの横顔を鮮やかに照らす。
「この人って……〈十天〉の……!」
「マジ……!?ヤバくない……?」
「てかこの人勝ち残っちゃったけど……強いの?」
「さあ……俺はHブロック観てたから……」
一方、玉座に腰掛ける――厳密には玉座の周りで騒いでいるのは、この新世界における
「お侍サン♪結局来ちゃったぜ♪弟子のアルジャーノンが♪」
「――見事。
「ちっとタイムおせーけど♪まあいっか♪」
大歓声の中、ミルルンが高らかに宣言する。
『――では!一人ずつ!既に五千万票以上が集まっている、たった今始まったばかりの優勝予想ランキング!その順位と
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
『――ファイナリスト一人目!!本戦初進出!今年も〈
「ケケッ♪おめっとさん♪」
『――
月明かりに照らされたアリーナの中央に、白いボサボサの髪に赤いニット帽を
『――優勝予想ランキング六位!Aブロック代表!「革命前夜のスーパールーキー」!!!
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
大歓声の中、夏瀬雪渚――俺は、十天観覧席を見上げた。
――辿り着いたぞ……!ファイナリスト……!
雷霧や師匠もこちらを見て頷く。背後の満席の出場者観覧席では、
――闘技場に戻ったら〈
――さて、他のファイナリストは……!
『――ファイナリスト二人目!二年連続本戦進出!この男が今年の本戦でも他ファイナリストを斬る!!斬る!!!斬るゥゥゥゥ!!!第五回〈極皇杯〉優勝の
――ということは……あの人か……!
『昨年準優勝の特攻隊長が!!!昨年の屈辱を糧に!!頂に手をかける!!
俺の隣に突如現れたのは、赤い着物風の上着と青い袴風の
「雪渚殿、
「ええ……」
『――優勝予想ランキング二位!Bブロック代表!「ファンタジスタ無双侍」!!!
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
――
『――ファイナリスト三人目!本戦進出二年振り二度目!この女が二年振りに帰って来たぁ!今や生活必需品となったプレートフォンの開発、世界六国を結ぶエクスプレス開発の技術提供でお馴染み!!』
――「スマートフォン」で通用するからそう呼んでいないが、正式名称は「プレートフォン」……。そして、こんな紹介が為される女はこの新世界にただ一人……!
『〈
俺と
電動車椅子の両端から伸びたアームに大型のディスプレイが取り付けられ、女の前に展開されている。「Finalist」という文字がディスプレイの画面の中で踊る。女は何か辞典のような分厚さの本を読んでいる。
「夏瀬雪渚なのですか、そうなのですか。本戦に残ってくれて良かったのです。
その女の赤い瞳には、酷い狂気が宿っていた。こちらをじっと見つめて離さない。そして、その表情には絶対の自信が滲んでいた。
「……雪渚殿。
「ええ……。まあ、ちょっと……」
『――優勝予想ランキング五位!Cブロック代表!「言の葉のアカシックレコード」!!!
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
――俺が唯一認める天才・
『――ファイナリスト四人目!三年連続本戦進出!暴走族クラン・〈
――三年連続……!アイツも……やはり来るのか……!
『今は亡き友人や祖父に誓った〈極皇杯〉優勝の決意を胸に、破壊力を増した拳は今年こそ天を
現れたのは、長いストレートの金髪を後ろで
シャドーボクシングスタイルで登場した男。その拳がシュッシュッと空を切る。男は遅れて転移したことに気付き、俺の背中をバシバシと叩いた。俺は、内心呆れながらも彼に告げた。
「よォ……来たぜ!夏瀬!」
「いてえいてえ……!
「知るかぁい!オレが法律だ!」
「なんだこいつ……」
「はぁ……アホが増えたのです」
「……つーか暴走族やってたんだな」
「軽蔑するか?」
「いや、全く」
「はっ、お前ならそうだろうな!」
「
「おっ!
『――優勝予想ランキング四位!Dブロック代表!「
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
――幕之内は単なる脳筋に見えるが実際強い。それが明日の本戦で明らかになるだろう。……ここまでは順当として……竜ヶ崎はまだか……!?
『――ファイナリスト五人目!本戦進出二年振り四度目!第八回〈極皇杯〉!!優勝!!!〈十天〉入りを拒んだ前々回王者がまさかのカムバック!!!昨年は欠場ながら、二度目の出場以来、出場した年は必ず本戦まで進出するという脅威の戦績を誇るのは、〈十天〉・
――前々回……王者……だと!?
評価やお気に入り、感想等で
応援していただけると執筆の励みになります。
よろしくお願いいたします。