月が半分 暗いのは   作:夜のイロ

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後藤 もうひとり

『──なに考えてるの?』

 

 顔を上げられない。

 頭上から降ってくるのはいつものあの声だ。

 こうして暗い場所で一人目を閉じていると「彼女」は不意打ちのようにいつも突然目の前に現れる。実体を伴わない白い影はしかしハッキリとした人型で、人の言葉も話せる。ちゃんと感情も持ち合わせているらしく、今日はいつにも増して怒っているように思えた。

 

『部活に入るなんて、しかもよりによって軽音部だなんて。本当にどういうつもりなの?』

 唇だけを動かして答える。

「べつに……ただ、なにかしら部活には入らないといけないって決まりだし。その中で軽音部の人にしつこく誘われたから、仕方なく入っただけで」

『ウソつき。学校にそんな決まりないよ。それに、誘われたって言ったってもう相手は諦めてたじゃん。最後に入るって決めたのは結局、君の意志でしょ』

「ち、ちがうよ。そんなんじゃな、」

『なにも違くない』

 たたずんでいた「彼女」は腰をかがめて、耳元でささやいてきた。

『私にウソは通じないって、君がいちばんわかってるはずだよ』

 

 後藤ひとりはこわごわと顔を上げた。

 自分とそっくりな顔の少女が、目の前にいる。

 そっくりとは言っても、丸っきり同じというわけでもない。ひとりより髪は短く肩につく程度しかないし、背も幾分か低い。顔立ちもまだ幼さが残り、中学時代のひとりの面影を強く感じさせる。

 ドッペルゲンガー。

 いつからか現れるようになった彼女のことを、ひとりは裏でそう呼んでいる。

 ドッペルゲンガーは小指一本分の距離まで顔を近づけ、開き切った瞳孔でジッとひとりの瞳の奥を瞬きひとつせずに覗き込んでいる。

 ひとりは気まずそうにふたたび顔を伏せ、

 

「……は、入っちゃったもんはしょうがないじゃん。今さらやっぱやめますなんて言ったら、きっと怒られるよ……」

『誰かが悪い、何かが悪い、だから仕方がなかった──君の決まり文句だよね。そうやっていつもいつも言い訳ばかり並べて、被害者しぐさして。それで調子よく都合の悪いことから逃げようとするんだ』

「そっ……逃げてなんかない。私は、」

『ならこの前、どうしてちゃんと飛び降りなかった』

 喉の奥でギュウと呼吸が狭くなる。女子トイレの窓から逆さ吊りになった日のことを思い出した。

『約束したはずだよね。今度こそちゃんと責任を果たすって。〝あの時〟の罪を償うって。だから私にもう出てくるなって言ったのは君でしょ。なのに、なんでまだ生きてるんだよ。話が違うだろ』

「それは、だからっ……あのときは、きっ喜多さんに助けられちゃったから」

『ほら、また「誰かのせい」だ。言われても変わらないんだね』

「で、でも、本当のことだし……っ」

 ふうんと彼女はあごを撫で、

『喜多さんね。そっか、あの人には屋上の件以外でも助けられてたんだ。なるほどね、それでその恩返しのつもりで軽音部に入ったってわけだ』

「そ、そんな理由じゃないよ」

『じゃあなに、友達って言われて舞い上がっちゃったの? あんなの社交辞令に決まってるのに。向こうは本気で君を友達だなんて思ってないよ』

 ドッペルゲンガーは嘲りと呆れの息をひとつ吐き出し、

『はあ。もういいや、理由なんてどうだって。とにかく君は私との約束を破って、そしてこれからもう一つも破ろうとしてるんだ』

 それからゆらりと腰を伸ばすと、氷像のような顔で見下ろしてくる。

『二度とギターを弾かない──この約束を軽音部に入っても守れるなんて、私はとても思えない』

「そ、それだけはちゃんと守るよ、これからもちゃんと、ぜったいに……!」

『信用できない。だって君ウソばっかなんだもん。どうせまたテキトーなこと言って、誰かや何かに責任をなすりつけて、ちゃっかりギター再開するのが目に見えてるよ。そんなの許さない。だからもう、私のやり方で無理やりにでも約束を守らせるから』

「なにを、する気なの……?」

 それまで何もかも面倒くさそうだったドッペルゲンガーの目が、その瞬間だけ愉快そうに笑った。

 

『今後一切、音楽ができない体にしてやる』

 

 

 ……………………

 …………

 ……

 

 

「──後藤さん、いる?」

 

 霞がかった意識の中に、今度は違う誰かの声が響いた。

 ハッと目を開けると、ほんの一瞬前まで目の前にいた「彼女」は忽然と姿を消し、両方の耳からはゴウンゴウンとやかましい自販機の稼働音が聞こえる。汗で顔が湿り、少しだけ頭が痛い。薄暗い空間を作るのに一役買っていた眼前のゴミ箱はどけられ、代わりにまばゆい陽の光を背に従えた女の子がそこに立っていた。

「あ、やっぱりここにいた」

「……喜多、さん……」

 喜多は今にも「まったくもう」とでも言いそうなふくれっツラで腰に両手を当てて、

「歓迎会やるから今日の放課後はちゃんと部室に来てねって言ったじゃない。どうして来ないの? 先輩たち、ずーっと後藤さんのこと待ってるのよ?」

 ひとりは喜多のつま先に目線を落とし、

「す、すみません……えっとあの、今日はちょっと都合が、」

「悪くないでしょ。そんなところでのんびり体育座りしてるくらいなんだから。ほらはやくいこう、日が暮れちゃう」

 

 そう言うと喜多はさっさと歩き出し、観念したひとりもむくりと体を起こして自販機のあいだから出てくる。ヒヨコのような歩幅の乏しい駆け足で喜多の背中を追っかけていく。ようやく足並みが揃い、喜多と二人並んで歩くとひとりは密かに呼吸を整えた。

 まだ少し、頭が痛かった。

 ドッペルゲンガーが出てくると、毎回こうして低血圧の寝起きのような頭痛に見舞われる。とはいえ、もはや慣れたものだし四、五分も経てば痛みも引くので特に気にも留めていなかったが、

 喜多が唐突に、

 

「顔色あんまり良くないけど、もしかして体調わるい?」

「えっ」

「平気?」

「あ、や、わっ悪くないです、どこも……平気……」

「そう?」

 

 そしてまた正面を向いて歩き出す。

 すごくびっくりしてしまった。

 歩きながら話しかけられるなんて思ってもみなかった。冷静に考えればそこまで驚くことじゃないだろうし、二人で歩いていれば会話くらいあって当然なのかもしれないが、びっくりしてしまったもんはしょうがない。

 胸をおさえると、心臓が興奮気味にドクドクと動いていた。だけど、さっきよりだいぶ息が楽になったようにも感じる。それに、

 それに。なんかこういうのって、

 なんだかすごく、ちゃんとした普通の友達っぽいような。そんな感じがして、

 

 

 ──向こうは本気で君を友達だなんて思ってないよ

 

 

「……………………」

 ちら、と。

 歩きながらひとりは喜多の横顔を覗き見る。

 そして思う。

 も、もっと話しかけてくれないかな──。

 語るも長い十五年の人生の中で、ろくに友人などできた試しのなかったひとりである。当然、友達が何たるかまで理解できないほどのおバカではないが、「友達とは仲良く楽しくお話しするもの」という小二の頃の価値観が今なお健在であるのもまた事実だった。

 自分から話しかけるのは恥ずかしいけど、向こうから話題を振ってくれれば何とかなるかもしれない。

 楽しく会話できれば、ちゃんと自分たちが友達であると信じられるし、認めてもらえるような気もする。

 だからひとりは必死に視線を送ってみるのだった。喜多の右に左に回りこみ、目で訴えつづける。私に話しかけて、もっと話しかけて、いっぱい話しかけて──。

 が、待てど暮らせど喜多は一向に話しかけてくれなかった。視線に気づいてくれない。こちらに振り向いてくれすらしない。無言の間だけが二人のあいだで引き伸ばされ、どんどん膨れ上がっていくばかりだ。

 手のつけられなくなった沈黙に、やがてひとりは悄然と顔をうつむかせた。喜多のとなりから二歩、三歩と下がっていく。

 まあ、そうだよね──。

 結局、あれから部室に着くまで会話らしい会話などひとつもできなかった。

 

 

 ──あんなの社交辞令に決まってるのに

 

 

 

 *

 

 

 

「よしみんなっ! クラッカーは持ったなー?」

 はあい、と喜多が手を挙げて、うん、とリョウがうなずく。それを合図に虹夏は声を張り上げ、

 

「それじゃいくよっ。せーの──ひとりちゃんっ、軽音部にようこそ〜っ!!」

 

 スコ、

 スコ、

 スコ、

 湿気たクラッカーは引き糸を勢いよく抜いても実に大人しいものだった。しかし、三人同時に不発というのも中々すごい。

「ああー、やっぱダメでしたね」

「去年クリパ用に買ったやつの使い回しだしね。ケチケチせずに新しいの買えばよかったのに」

 愚痴る後輩と副部長を尻目に、ワハハと軽音学部部長はごまかし笑いをぶっ飛ばし、

 

「ま、まあまあまあ。クラッカーは残念だったけど、こっちはちゃんとしてるから。ほら!」

 

 と言いながら、何やら白い箱をテーブルの下から召喚してくる。

 ケーキの箱だ。

 ひとりはすぐにそう思った。すごい、私なんかのためにそんなものまで用意してくれるなんて──内心で感動しながら虹夏の手がテープを剥がし、フタを開けていくまでをワクワクと見届けていると、

 

「じゃーんっ、中身はお饅頭だよー!」

「お、お饅頭……っ」

 お饅頭であった。

 よく見れば、白い箱の側面にも「黒糖まんじゅう」と書かれている。

 なんだかものすごく失礼な感情が表に出そうになって、ひとりはあわてて顔を伏せた。

「あ、これって宮坂のお店のですかっ?」

 駆け寄ってきた喜多が嬉々としたまなざしで虹夏に訊ね、虹夏も上機嫌に答えた。

「そうそう! しかもこれね、普通は予約しないと買えないやつなんだけど、行ったとき運良く店で売っててさあ」

「えーっ、すごいラッキーですね!」

 

 まあでも考えてみれば、学校にホールのケーキを持ってくるというのも不自然な話かもしれない。それにお饅頭だってケーキと同じくらい美味しいし、みんなが自分を歓迎してくれている事実は変わらないのだ。スイーツトークで盛り上がる喜多と虹夏の声を聞きながらようやくひとりはそう思い至り、顔を上げた、

 

「ぶっちゃけ、ちょっと残念だったでしょ?」

 

 直後、耳元で悪魔がささやいてきた。

「へっ?」

「あの箱、どう見てもケーキ入れるやつだもんね。虹夏も思わせぶりだよね、私だったらぜったいガッカリすると思う」

「あ、あの、私はべつに……」

 やっぱりこの人はわからないな、とひとりはリョウの横顔を見て思う。悪い人ではなさそうなのだが、如何せん感情の機微が表情から読みとれなくて、何を考えてるのかまったく想像できないこわさがある。

「ま。虹夏も悪気がある訳じゃないだろうから勘弁してあげて。ダメなんだ、私がそばにいてあげないと。たまにああやって天然発動させちゃうから。あれじゃ将来が心配だよね、そう思わない?」

「は、はあ……」

 これも冗談なのか本気で言っているのかわからなくてこわい。

 急に話を一転させて、

「──ところで、ひとりは『草』はいける口?」

「く…………はい?」

「草だよ、草。私ね、最近野草生活始めたんだけど、これがけっこう健康的にも金銭的にも優しくて。色んな人にオススメしてるんだ。で、どれが食べられる草なのか分からない人のためにレクチャー本を出してて。よかったら二千円で買わない?」

 

 ああ──。

 これは冗談だろうな、とひとりは思った。さすがにこんなことをマジで言える人はいないはずだ。なのでどうにか愛想笑いを作ろうとして顔を引きつらせていると、

 

「こらあっ! また変なの押し付けようとして!」

 瞬間、勢いよく虹夏が飛んできた。肩を跳ね上げ脱兎のごとく逃げ出そうとするリョウの首根っこをあっという間に掴みあげる。

「ひとりちゃん、今この大バカにお金巻き上げられなかったっ? ダメだからね、ぜったいに支払っちゃ! ペテン師も真っ青な手口で騙し取ろうとしてくるから!」

「そ、そんなことしないし……私はただ人々が文明に頼らずとも生きていけるように啓蒙を、」

「なにが啓蒙だよ、偉そうに。そうだ、この前も同じようなこと言って喜多ちゃんから五〇〇円借りてたよねっ? あれはちゃんと返したのっ?」

 リョウは気まずそうな顔でゴニョゴニョと、

「いやまだ……でもあれはお昼ごはん代だから。生きていく上で必要なお金だったから。返さなくてもべつにいいかなって……」

 

 草食べればいいのに、とひとりは口の中でつぶやく。

 同時に、賑やかな人たちだなあ、とも思う。

 いいわけあるかバカ、と虹夏の血の粛清が始まり、腕を極められたリョウの悲鳴が響きわたる。そして、四人分のお饅頭やら駄菓子やらジュースやらの配膳を終えた喜多がのんきな声で呼びかけてきた。

 

「では、そろそろ歓迎会始めましょー!」

 

 そんなこんなで開始となった歓迎会だが、始まってみれば案外悪いものでもなかった。

 二人の先輩たちは口の中にガキでも飼ってるのかと思うくらいによく喋り、よくひとりに話しかけた。面倒見もよく、『結束バンド』が先月本格始動したばかりのインストバンドであることや、『結束バンド』という名前が虹夏考案であることなど、色々と教えてくれたりもした。言葉にも容赦がなかった。特にリョウはひとりに向かって「先輩として何か素晴らしくいいあだ名を考えてやろう」などと大々的に宣言した後、

 

「──じゃあさ、『ぼっち』ってのはどう?」

 

 と言い放ってきたのだった。

「ぼ、ぼっち……ですか?」

「そう。名前も『ひとり』だし、いつもぼっち飯なんでしょ? ならこれ以上にぴったりなネーミングないよ」

「な、なるほど……ぼっち……ぼっち……」

 さすがにそれはマズイだろという顔で虹夏が割って入り、

「せめてもうちょい可愛いのにしてやりなよ。かわいそうでしょ」

「でも似合ってるじゃん。私的にはもう、ぼっち以外考えられん。ね? ぼっちも気に入ったよね?」

「あ、あの、はい……!」

 

 勢い込んでうなずきながらも、ひとりも実際かなり気に入っていた。当たり前といえば当たり前なのかもしれない。友人のいないひとりには、必然的にあだ名をつけられる機会なんてものも存在しなかった。だからどんなものであれ、誰かから呼ばれる特別な名前は嬉しいに決まっていた。

 ひとりの反応にリョウも満足そうにうなずき、虹夏も「まあ本人がいいならいいか」という顔で苦笑する。一方で、面白くない顔をしている人物がただ一人。

 

「後藤さんばっかりズルぃ……わらしにはあだ名なんてつけれくれらことないろに……」

 

 喜多である。

 異常である。

 やたらと据えた目つきで、やたらとやさぐれた姿勢で、やたらと呂律の回らない口ぶりで、黙々とチョコレートを貪り食っている。ちなみにこのチョコはリョウが今日の歓迎会のためにと(勝手に)家から持ち寄ってきたもので、中には度数控えめな甘い日本酒が入っている。

 つまるところ、酔っ払いであった。

 知らぬ間にへべれけが出来上がっていたことに虹夏は目をみはって、

 

「ああっ、喜多ちゃんはそれ食べちゃダメって言ったでしょ! すぐ悪酔いするんだからっ」

「わらしのことはみんな『いくよ』とか『きたちゃん』としか呼んでくれらいのに……どぉーして入ったばっかりの後藤さんにはそんな……えこひいきですよう……うぅぅ」

 意外と泣き上戸なのかもしれない。喜多はひっくひっくと風邪っぴきの子供のような鼻声で訴えてくる。リョウは頬杖をつきながら実に面倒そうな声色で、

「だって郁代は『いくよ』って名前の時点ですでに完成されてる感があって。なんか下手にいじりづらい」

「ほらぁ! やっぱりわらしなんかもう必要ないんらあっ! 後藤さんがいればいいんらあ! でも、追い出そうたってそうはいからいですからね!」

 

 話が通じない。

 さらに何を思ったか、喜多は突然弾けるように立ち上がると部室の隅に向かってふらふらと歩き出した。ギタースタンドに立てかけてあるレスポールジュニアを手にとり、ふたたび席に戻ってくる。

 ジャカジャン、と挨拶がわりに弦を弾きながら、

「後藤ひゃん」

「ひゃ……は、はい」

「あなたがどれらけの腕前かわかららいけど、わらしらって、けっして下手っぴじゃらいんだから。見れれよね」

 

 告げると、喜多はいきなり右手でストロークを開始した。シールドもアンプも部屋の隅っこに放置されたまま、乾いた生音だけが淡々と室内に反響する。ピッキングは正確、16ビートのリズムに細かな乱れもない。技巧派というよりは素直な楽譜信仰者という感じで、指板を跳ねる指の動きは堅実そのものだった。テーブルの上のグラスがかすかに震える、まだ完全には掃除し切れていない壁の汚れや落書きたちが喜多の演奏を無表情で見下ろしている。虹夏もリョウも静かに耳を傾けている。

 

 その中で、ただひとりだけが破壊された。

 

「、ぅ……っ」

 おかしい。

 どう考えてもおかしい。

 さっきまで何もなかったのに、普通だったはずなのに。喜多の演奏を聴き始めた途端、ひどい倦怠感と嫌悪感が全身にのしかかってきた。視界がぐにゃりと歪んだ。耳がキンキンと痛む。ひどい吐き気で、胃袋の裏表がひっくり返ったに違いないと思う。

 これ以上、彼女の演奏を聞いてはいけない。

 ひとりはそう直感した。息を止めて、口をふさいでいた手をどうにか耳に持っていこうとした。そのとき、ドッペルゲンガーのあの言葉が銃弾のように脳裏を貫いた。

 呪いの言葉だった。

 

 

 ──今後一切、音楽ができない体にしてやる

 

 

「ど、どうしたのっ? 顔真っ青だよ……?」

 先ほどからぴくりとも動かなくなったひとりに気づいた虹夏が、心配げに顔をのぞき込んでくる。つられてリョウものぞき込み、

「ほんとだ。なに、気持ち悪いの?」

 そう言ってひとりの背中をさすってしまった。

 きっと、悪気はなかったはずである。

 しかしそれが引き金となり、ひとりは大きく口をすぼませた。そして次の瞬間、ひとりの口から大量のゲロが発射された。

 ぎゃああああ、と先輩たちの悲鳴が上がる。演奏を終えた喜多が「どうですか」とばかりにドヤ顔を晒す。ひとりは床に倒れ伏し、泣きながら今なお空えずきを繰り返している。

 

 なす術は、なかったと思う。

 

 

 

 

二章 夏

 

 

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