異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

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二十七話 帰省

 アビドス高校に関することで調べたいことはまだ山程あるけれど、今日は一度魔国連邦(テンペスト)へと帰ってきた。その目的は溜まりに溜まった仕事を片付ける事と、あいつらに会うためだ。

 そして、俺は魔国連邦(テンペスト)の名物の迷宮の奥底にある、あいつらの部屋へと来た。

 

「やあやあ、ヴェルドラ?ちょっとお話があるんだけど?」

「げ、リ、リムルよ。まだ帰ってくるような時間では」

「誰かさんがミリムと喧嘩したおかげで無理矢理時間を作ってきたんだよ」

 

 汗をだらだらと滝のように流していく親友のヴェルドラの元へとゆっくりと近づいていく。

 

「ま、待て!!我はこの迷宮をより良いものにしようと思ってだな」

「そうかそうか、で、ラミリスから第35層が崩壊したって話を聞いたんだけど?」

「い、いや、それはだな、ミリムと新しい罠を」

「俺が居ない間に何勝手に罠を増設して、階層をぶっ壊しているのかな?そこに正座しようか」

 

 俺はヴェルドラへのお説教を済ませる。今頃ミリムにはフレイさんがお説教をしてくれているだろう。やっぱり、ヴェルドラ達を下手に放置しておくと面倒なことを起こしてくれるか。幸いだったことは修復期間中第35層へと到達した挑戦者は居なかったようで、大きな被害はなかった。それに、ラミリスが一時的に第34層から第36層を繋げて進行は可能な状態になっていた。

 お説教を終えた後、しばらくの間ヴェルドラにはおやつ抜きを言い渡したところで。

 

「所で、リムルはここ最近何処に行ってるのだ?」

「どこって他国だよ」

「・・・嘘だな。リムルがこの世界に居なくなっていることはわかっているぞ」

「やっぱりばれてたか」

「当たり前だ、リムルがこの世界からいなくなったことに我が気が付かないわけがなかろう」

 

 まったくこいつは。

 

「それで、今回は一体何処の異世界に行ってたんだ?」

学園都市(キヴォトス)だけど昔行った学園都市(とある魔術の禁書目録)とはまた別の所だ」

「ああ、ああいった所か」

「ヴェルドラが考えている所とは全く別な環境だけどな」

 

 昔俺とヴェルトラ、ミリムも含めて行った学園都市とキヴォトスはまぁ、絶対キヴォトスの方が治安が悪いな。

 

「なあ、リムルよ。我を」

「却下」

「まだ何も言ってないぞ!?」

 

 ヴェルドラが面倒なことを言いそうになったので、俺は即座にそれを却下した。

 

「どうせ我も連れていけだろ」

「わかっているではないか。我も連れて行っても良いだろう」

「なんでヴェルドラとミリム、ラミリスにこの事を内緒にしてたと思ってるんだ。そう言うと思ったから内緒にしてたんだよ」

 

 案の定、ヴェルドラは自分のことを連れて行けと言ってきた。とはいえ、本当に言ってきた以上、何かしらの対応をしなければすねられて面倒なことになる。

 

「そうだよ!!私も連れて行きなさいよ」

「おおラミリスも連れて行ってもらいたいか!!」

 

 近くで俺とヴェルドラの会話を盗み聞きしていたラミリスも会話に割り込んできて、自分も連れて行けと言い始めてしまった。

 

「それに、私は今回リムルが居ない間のお師匠様とミリムの問題解決したんだからさぁ!!一つくらい報酬があってもいいじゃない!!」

「まぁ、それはそうだな」

 

 ラミリスが言っていることは一理ある。俺が居ない間にトラブル解決にいそしんでくれてはいたが、罠を勝手に設置したのはラミリスの最終決定でもある。

 

「ラミリスへのボーナスは・・・金貨でいいか?それともスイーツがいいか?」

「私もリムルが行ってる異世界に連れて行きなさい!!」

「ラミリスお前もか・・・」

「そうだそうだ!!ミリムも異世界に行きたいと言ってたのだぞ!!」

 

 おまけにミリムまで、この状態だといつかはちゃんと異世界に連れて行かなければこの三人は満足しないだろう。となれば、適当にこの場を流しておけばいいか。

 

「わかった、その代わり条件がある」

「条件?」

「なんだそれは?」

「これから一か月、三人とも問題を起こさなければ連れて行ってやるよ」

 

 一か月、普通の人ならばそう簡単に問題を起こさないため簡単に思えるかもしれないが、この三人ならば前の問題から一か月もしないうちに新たな問題を起こしてきた。この条件ならばあの三人はすぐに破ってしまい、俺が三人を異世界へと連れて行かない理由にできる。

 

「なんだ?それだけでいいのか?」

「ああ、できれば連れて行ってやるよ」

「そんな簡単な条件でいいなら、すぐに終わらせてやるわ!!」

「ああ、がんばれぇ」

 

 どうせできない難題だと気が付かずに納得してくれた二人に笑いつつ、俺は次の仕事をしに行く。

 次に俺がこなしたのは、俺が居なければ進められない仕事達。これは多岐にわたって、主に外交系、近いうちにドワルゴンからガゼル王が来訪するとのことなので、日程を大急ぎで予定を組む。

 

「リムル様、先日の執務館への就職希望者についてなのですが、面接はいつ行いますか?」

「ああ、それはもうリグルドに一任させるよ。合格不合格も任せるから」

「え!?よろしいのですか?」

「ああ、現場のことは俺よりも詳しいだろ?」

「そうですが、わかりました」

 

「リムル様、アイドル衣装というものなのですが、このようなデザインでどうでしょうか?」

「ああ、いいと思うよ。試作品の製作をお願いしてもいいかな?」

「はい、お任せください」

 

「リムル様、作曲の件なんですが、いくつか曲が出来上がったので今度聞きに来てほしいとのことで」

「わかった、時間を作るよ」

 

 こんな感じで次々と溜まっていた仕事を片付けていく。そして、仕事にひと段落が付いたところで。

 

「ソウエイ、居るか?」

「は、こちらに」

 

 何処からともなく現れるソウエイ。

 

「少し仕事を頼みたい。藍闇衆にも動いてもらいたいが、大丈夫か?」

「何時でも行けます。どこに潜入いたしましょうか」

「ちょっと、異世界の企業にな」

「異世界に、ですか?」

 

 予想外の相手を聞いて、あまり感情を見せないソウエイの顔にも驚きが見えたが。最初に連れていけないと言ったうえで、自分達を頼ったことに事の大きさを予想したのか、すぐに立ち上がり。

 

「すぐに藍闇衆を招集します」

「頼んだよ」

 

 そうして、ソウエイは姿を消して、仕事の準備を始めた。

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