異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

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三十二話 覆面水着団

 私達の目の前にはブラックマーケットを牛耳っているブラックマーケットの銀行、所謂闇金の前へと来た。普段ならば止めるべき所であるが、今はシロコちゃんの普段計画している銀行強盗の計画を実行することとなり、何故かシロコちゃんが持ってきていた覆面を被り、ヒフミちゃんにはたい焼きの袋に目出しの穴を作ったものをかぶってもらっている。

 事の始まりはソーカが私達の前から居なくなってから少しして、私達の前を通過した一台のトラックを見たところからだ。あのトラックは毎月私達の利息の返済のために現金を払う際に受け取りに来る銀行員が使っているトラックだった。アヤネちゃんが確認してくれて、いつかは現金輸送車を襲いたいとマークしていたシロコちゃんの二人によってあれが今朝方私達の利息を受け取ったトラックと同じものだった。

 どうして現金輸送車がここブラックマーケットに来ているのかの疑問はそのトラックの行く末を見ていけば分かった。現金輸送車は今私達の目の前にある闇金に現金を渡していったのだ。

 私達が毎月支払っていた利息の現金はブラックマーケットに流れていた、そのお金が一体何の為に使われているのか、それを確かめるためにあいつらが持つ記録を奪い取りに行く。

 

「皆、準備は良い?」

 

 主な計画立案者のシロコが私達に問う、私達は頷きつつ全員セーフティーを解除した銃を手にしている。

 

「時間は三分、行くよ!!」

 

 シロコちゃんは愛銃のトリガーを引き、自動ドアのガラスを割りながら突き進む。乱雑に見えて、警備のオートマタを撃ちながら侵入する。それに続き私達も引き金を引いて弾幕を張って突入する。

 

「全員その場に伏せなさい!!持っている武器は捨てて!!」

「言うこと聞かないと、痛い目にあいますよ☆」

「あ、あはは・・・みなさん、けがしちゃいけないので・・・伏せてくださいね・・・」

 

 各々がノリノリで銀行強盗を演じ、いや実際に銀行強盗をしているから演じてるじゃないか。

 

「ひ、非常時t」

 

 警報ボタンを押そうとしたスタッフを私のショットガンで腕を吹き飛ばす。スラッグ弾だから一発はかなり痛いものだよ。

 

「警報ボタンを押そうとしてみ?ここからバイバイすることになっちゃうよ?」

「ほら、そこ!!伏せてってば!下手に動くとあの世行きだよ!!」

 

 特に前準備もなくやっているため、逃走経路は今アヤネちゃんが大急ぎで構築してくれている。セキュリティの無力化もできていないから、最初に銃声を鳴らしながら侵入した時点で扉に仕込まれていた防犯装置は作動しているはず。シャッターはノノミちゃんのミニガンで破壊してくれているものの、マーケットガードがこの場に到着したら弾が圧倒的に足りなくなる。

 

「みなさん、お願いだからじっとしててください・・・あうう・・・」

「うへ~ここまでは計画通り!次のステップにすすもうー!リーダーのファウストさん!指示を願う」

「え!?え!?ファウストって、わ、私ですか!?リーダーですか!?私が!?」

 

 目標の奪取はシロコちゃんがやると事前に決めているため、これはあくまで茶番。周囲の意識をシロコちゃんから私たちへと向けるための。

 

「危ない!ファウスト避けて!!」

「え?」

 

 セリカちゃんがそう言って、ヒフミちゃんは勢い良くその場に屈みこむ形で回避した直後、ヒフミちゃんの頭上を弾丸が通過する。

 

「ふざけたマネしやがって、ここがどこだか分ってるのか!!」

 

 スタッフの一人が銃を手にして撃ってきたようだ。多少の反撃をされることは考慮していたが、思っていたよりも早くに反撃をされてしまった。すぐにノノミちゃんが体を捻り、撃ってきたスタッフのほうへと銃口を向けて、遮蔽物事撃ちぬこうとするが、荒事を想定していてか遮蔽物自体が固く銃弾を防ぎ破壊にまで至らない。

 

「下手に反撃の機会を見せちゃまずいよぉ」

 

 今はスタッフ一人が反撃してきたからいいが、他のスタッフや客が参戦してきたら手に負えない。一先ず、銃を手にしようとしている客の銃を撃って弾き飛ばしつつシロコちゃんの方を見る。店員が慌てているのか、余計なものを渡されているのか奪取した合図が出てこない。

 

「あんまり時間はかけたくないんだけど!!」

「ああ、どうしてこんなことに」

 

 ヒフミちゃんが泣き言を言っているけれど、今はそれに構っていられるような余裕はない。シロコちゃんが目標の奪取ができるまで、私達が警備を抑えないといけない。

 私はすぐにシェルを装填し、隙をさらさないようにして武器を持っているスタッフを抑えるように絶え間なく続けていく。ノノミちゃんも意図を察してか弾を撃ち続けて警備のスタッフを動かせないようにくぎ付けにさせる。

 

「ん!目標は確保した!!逃げるよ!!」

 

 ここでシロコちゃんが目標を奪取したようだ。重量があるノノミちゃんは撤退に専念させ、私とセリカちゃんで射撃をしつつ後退し、闇金から撤退する。

 

『駄目です!!撤退ルートにマーケットガードが居ます!!別のルートを使ってください』

 

 インカムにアヤネの大声が聞こえてくる。思っていたよりも時間がかかったうえ、私達が逃走に使うルートをおおよそ予想できていたのか、待ち伏せをされる形になった。けれど、今更ここで留まってはいられない。どんな汚い道になろうとも私達は逃げ帰ろう。

 

「居たぞ!!こっちだ!!」

「うへぇ、こっちもダメそうだよ!!」

 

 とにかく逃げ切れそうなルートを模索する。けど、行く先々に先回りされるようにマーケットガードが居る。やっぱり、ちゃんと逃走経路を用意できずに地の利がある相手と勝負するのは無理があったか。

 

『皆さんそっちはダメです!!袋小路です』

「しま」

 

 逃げる方向を間違えた、いや誘導されたか?そんなことを考えている暇はない、とにかく私達が袋小路で退路がなくなってしまった事実をどうにかしなければいけない。

 

「みんな!!応戦するしかないみたい、弾は大丈夫!?」

「あんまり」

「まだあるけど、足りるかどうか」

「すみません、もうあまり」

「い、一応まだあります」

 

 弾の数は全体的に少ないようだ、そういう私もあまり多くの弾は残されていない。最悪の場合中を鈍器として殴ることを考えなければいけないかもしれない。

 

「ようやく追い詰めたぞ、観念するんだな」

 

 袋小路に追い込まれた私たちをマーケットガードはずいぶんと余裕そうにしながら銃を向けながらこちらへと近づいてくる。私達は応戦するために銃を構えたその瞬間だった。

 

「ガハ!?」

 

 マーケットガードの一人の頭上に一人の女性が現れて、そのままマーケットガードを踏み潰した。

 

「さっきの人!?」

「救援?」

 

 口周りを覆い隠しているが、服装と髪型は間違いなく先ほど話していたソーカだった。

 ソーカは苦無を手にして自身に銃口を向けているマーケットガードヘと投げる。苦無一つで何ができるのか、そんなことを考える暇もなくその苦無はマーケットガードの装甲を突き破って刺さった。

 

「撃て!!」

 

 マーケットガードがソーカへと発砲するが、発砲した時にはその場にソーカは居らず近くにいたマーケットガードへと足払いをかけて転倒させたうえで顔に新たな苦無を突き刺した。

 

「遅いですね」

 

 次の瞬間、ソーカの姿は消えた。直後周囲のマーケットガードの装甲に大量の傷が入り、破壊されていく。同時に周囲の壁に何かが何度も着地している音が立っている。

 ものの数秒、私達を追い込んだマーケットガードたちは鉄屑へと変わっていた。相手はオートマター内部のメモリさえ生きていればどうにか復活できるはずだが、彼女の戦い方はまるで殺しを厭わないそんな物を感じた。

 

「あの」

「アビドスまでの退路は私達が確保しておきます。行ってください」

 

 ソーカはそう言って私達の前から跳んでいなくなってしまった。どうしてこのタイミングで私達を助けてくれるのか、わからないことはあるけれど、今は彼女が私達の退路を確保してくれたそれだけは確かだ。私達は急いでこの場から逃げ出した。

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