異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

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え?五十話?五十話・・・・なのか・・・・話進まなすぎ(細かく投稿しているせいです


五十話

 仮設テントで夜を明かし、周囲が明るくなったころ、ようやくシロコ達も校舎の全容を見ることができた。

 

「何もない・・・」

「何もないですね」

「俺が全部食っちまったからな」

 

 校舎だった場所は本来ならば瓦礫の山になっていたが、俺が全ての瓦礫を胃袋にしまった為、瓦礫の一つない校舎跡地が広がっている。ついでに、捕食しなかった家具やら道具屋らは仮設テントの直ぐそばに分別しておいてある。

 

「校舎がなくなってしまった以上、新しい校舎を用意しないといけませんが、残っているアビドスの分校は・・・ありませんし」

「アビドス高校の自治区も、ここと周辺の少しだけ。今更他の場所にも移れないし」

「新しく校舎を建築するにしても、どれだけ時間がかかるか。それにお金も」

 

 俺が彼女たちに融資したお金の殆どは借金返済で消えてしまった。俺もこれ以上お金を用意するのは難しい。連邦生徒会も一校の為だけに建物を再建するためだけのお金を出せる余裕はないだろう。

 

「アビドス高校は終わりなのかな」

 

 セリカがそう言った。

 彼女達が守り抜いてきたものがたった一晩、それも自分達が知らない間に何もできないまま崩れ散った。自分達が今までしてきたことは何の意味があったのだろうか、これからようやく一歩を踏み出せる。そう思っていた矢先に。

 

「大丈夫だ」

「どこが大丈夫なのよ!!私達の学校は!!守りたかったものはなくなっちゃったんだよ!!」

 

 俺の言葉にセリカは噛みついてくる。

 

「何もない森から国を作ったんだ。学園の一つや二つ、立て直してやるよ。それにまだ、全部なくなったわけじゃない」

「何が残ってるっていうの」

「誰も居なくなってないだろ」

「そ、そうですが」

 

 建物の一つがなくなった程度、それはまだ取り返しがつくものだ。本当に取り返しの付かないものをまだ彼女たちは失っていない。

 

「ホシノも大切な物を失ってなかったんだから、いい加減立ち直れよ」

「・・・」

 

 一睡もせず、うつむいたままのホシノ。

 

「ホシノ先輩があんなに落ち込んでいるところなんて見たことがないです」

「そうなのか?」

「はい、いつもは笑っていにニコニコしていて、たまに怒ることはありますけど、落ち込んでいるところなんて」

 

 ホシノが握りしめているのは数冊のノート、そこまで劣化していないところを見ると古いものではなさそうだ。見た目もそこらで売られている一般的なノートで特別制ではない。だったら、あそこに何か大切なものが記されているのか。

 

「ホシノ先輩はあれを探しているときユメ先輩とずっと言っていました」

「ユメ先輩って、ホシノ先輩の先輩?」

「わかりませんが、もしかしたら以前おっしゃっていた生徒会長の方かと」

 

 ユメ先輩と親しいが、年齢を考えれば彼女はすでに学校から出て行っている可能性は高い。その彼女がアビドス校舎に残していった物がホシノが瓦礫の山から見つけようとしたものか。いくら仲が良い先輩のものでも、あそこまで探し出そうとして、見つけた今でも気持ちが落ち込むものなのか?もしかして、そのユメ先輩に何かしら強い思い出もあったりするのかな?

 

「まあ、ホシノがあの調子だけど、しばらくしたら立ち直るだろ。俺たちはこれからのことを話そうか」

 

 無事だった長机を囲い緊急会議を始める。

 

「リムル先生、私達はこれからどうしたらいいの?」

「そうだな。まずは被害状況の確認だ。俺もアヤネからのモモトークでここに寄り道せずに直行してきているから、アビドス地区のほかの場所がどうなっているのかは知らない。もしかしたら、ここ以外の場所でも大変なことになっている場所があるかもしれない」

「そうですね。ですが、状況を考えてこれをやったのは・・・」

 

 少しの沈黙が訪れるかと思ったが、すぐにセリカが机を力いっぱい叩いた。

 

「どうぜカイザーの奴らに決まってるよ!!あいつらが、私達が借金返済をしたから嫌がらせでこんなことをしたのよ!!」

「待ってください、セリカちゃん。まだカイザーがやったと決まったわけでは」

「カイザーに決まってるわよ!!大体他の不良集団だってわざわざアビドス高校にちょっかいをかける理由はなに!?今まで私たちにちょっかいかけてきていたヘルメット団だって、結局はカイザーが裏で手を回していたからじゃない!!」

 

 セリカの言う通り、これまでアビドス高校が襲われてきていた原因はカイザーがそうするように仕向けてきていたからだ。だから、今回の一件もカイザーが、それもこれまで以上に卑劣で凶悪な手を打ってきた。

 

「セリカ、落ち着くんだ。まだそれは憶測にすぎない、カイザーがやったという状況証拠すらないんだ」

 

 俺も今回の一件、確実にカイザーが関わっていると思っている。けれど、この一件で俺が動くのは難しい、カイザーがやった証拠がないのだから。周囲の防犯カメラの映像を探ってもそもそも起動している防犯カメラがないのだ。

 

「証拠がなきゃ動いちゃダメなの!!」

「こっちの立場が悪くなる。最悪アビドス学園がなくなるだけじゃことは済まなくなるんだ」

「証拠さえあれば、動いてもいいの?」

 

 生気の感じられないホシノの声が聞こえてきた。

 

「ホシノ、大丈夫なのか?」

「うん、ごめんね、みんなに心配かけちゃった?」

 

 ホシノはいつものようなのほほんとした雰囲気を出し、笑顔を見せる。けれど、それは無理矢理張り付けた笑顔であることは誰の目でも明らかだった。

 

「それで、先生。証拠があれば動いてもいいの?」

「ああ、まぁ、証拠さえあれば」

「そう」

 

 証拠さえあればどれだけ楽なことか。けれど、カイザーは証拠を残さないように立ちまわっている。今回の一件もそう簡単には証拠を手に入れることができないだろう。

 

「みんなごめん、おじさんは一回家で寝てくるよ。結局一睡もしてなかったからさ」

 

 ホシノはそう言ってアビドス高校を出ていこうとする。あの荒れようだったホシノがこの場で寝れないという主張もわからなくはない。

 

「大丈夫か?家まで送ろうか?」

「大丈夫、それよりも先生はやらないといけないことがあるでしょ」

「うん、まぁ」

 

 ホシノは一人で帰って行ってしまった。一徹してしまった彼女が寝に行くと言われてしまってわ止めるわけにもいかない。彼女の背中を見届けていった。

 

「とりあえず、連邦生徒会側と俺でカイザーに対して動くよ。それまで君達は校舎の再建の策を練っていてくれ」

 

 目先の問題の解決、それをしたことが俺の失敗だった。

 

 アビドス高校を出て、多少の眠気を覚えつつも私はあいつが居る場所に来た。まるでこれを見越したかのように、教えた覚えもないメールアドレスであいつは私にメールを送ってきた。

 もう来るつもりはないと思っていたビル、そこの中へと入って、ある一室へと来た。

 

「ああ、そろそろ来る頃だと思っていました」

「こんなタイミングで呼び出しておいて何の用。私は今物凄く不機嫌なんだけど?」

 

 愛中の銃口を黒服へと突きつける。

 

「まあまあ落ち着いてください。私はあなたにとってとても大事な提案がありますから」

「今更なんだ!!私達のアビドス校舎を滅茶苦茶にして」

 

 私は銃口をゼロ距離で突きつける。けれど黒服は一切動じない。

 

「一つ、誤解をされているようですが、私はあくまでカイザーと協力関係にあります。ですから、カイザーがしていることに直接的な関りを持っていません」

「それがどうしたっていうんだ」

「今回、カイザーのアビドス校舎の爆破の一件に関して私は関しておりません」

「自分は無関係だって言いたいの?」

 

 ここで責任逃れをしようっていうのか。

 

「ですが、今回の一件でカイザーとの協力関係を切る良いきっかけとなりました」

 

 黒服はパンパンに詰まった一つの茶封筒を取り出した。

 

「ここにカイザーが行っていた不正の証拠があります。当然、カイザーがアビドス高校にしていたことも」

「!?」

 

 先生は証拠があれば私達でも動ける。つまり、それさえあれば。

 

「さて、小鳥遊ホシノ。あなたに絶対に断れない取引をいたしましょう」

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