異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

58 / 68
ちょっと・・・・うまく書けなかった・・・・


五十八話

 私は部屋の扉を蹴破り、銃を構え部屋の中へと突入する。

 部屋の中は薄暗く、最低限の明かり程度しか付けられていない。それでも、見えている範囲だけでもこの部屋の異質さに気がつくことができた。

 外は廃工場でありボロボロであるのに対して、この部屋は明らかに新しいのだ。まるでつい最近に改装をしたかのように。

 真新しいタイルの上を歩き進んでいくと、一つの明かりが見える。私達のは直ぐに銃口をそちらへと向けて、引き金に指を掛ける。

 

「おやおや、てっきりシャーレの先生が来ると思っていたのですが、これは予想外ですね」

 

 わざとらしい声で、そいつは、黒服は席を立ち私達の方を見る。

 

「随分と物騒な登場でございますね」

「あんたなんかにまともに相手するわけないでしょ!!」

「ホシノ先輩はどこですか?」

 

 ホシノ先輩がどこに居るのか問う。私は黒服からわずかに外れた先を狙って引き金を引き、銃声を響かせた。

 

「ふむ」

 

 自身の真横を弾丸が通過したにも関わらず、黒服は表情一つ変えず顎に手を当てる。

 

「貴方達だけでは、ここに到達することは不可能だと思っていたのですが、先生の助力があったと見てよさそうですね」

「質問に答えて、次は当てる」

 

 肩を大きく上げ、そして大きくため息をついた。

 

「何故私があなた達アビドス生徒に私の所有物の在処を答える義理があるのでしょうか?」

 

 黒服がそう言った瞬間、銃声が鳴り響いた。

 

「ッ!!これはまた、随分と暴力的ですね」

 

 引き金を引いたのは私ではなかった。セリカが自分の銃の引き金を引いて、黒服の足を撃っていた。

 

「ホシノ先輩を物扱いするな!!」

「そうです!!その発言撤回してください!!」

 

 所有物、まるで人を物として扱うかのようなその発言にセリカとノノミは怒りを見せる。

 

「そうは言いますがね、小鳥遊ホシノ、彼女とは合意の元契約した内容により、彼女が有する権利全てを私に譲渡しました。それならば、私がどう呼ぼうが私の勝手でしょう」

「私達がその契約を認めない!!」

 

 そんな契約を私達が認めるわけがない。それにどんな法的効力があっても、そんなもの関係ない。

 

「私は教鞭に立つものではありませんが、良いですか?大人の世界では契約が大事なのです。どんな些細な契約であっても、交わされてしまった契約を覆すことは誰にもできない。それが契約なのですから。いくらあなた達子供がわ~わ~、キャーキャー叫んだとしても変わらないのですよ」

「そもそも、人身売買みたいな契約が認められるわけがないでしょうが!!」

 

 ここまでの対話でお互いの主張は変わらず、平行線で続いていくことは察せてしまう。だからこそ、実力行使でホシノ先輩を奪い返そうか、そう頭によぎった時。

 

「まあ、いいでしょう。小鳥遊ホシノに会わせてあげましょう」

「だから・・・え!?いいの!?」

 

 突然会わしてくれる、先程までの話の流れならば頑なにホシノ先輩と会わせてくれないと思っていなかったため、意表を突かれたように驚いてしまう。

 

「ええ、それであなたがた納得してくれるのであれば、楽ですからね。そういうわけです、小鳥遊ホシノ、こちらへ」

 

 黒服に促されて部屋の奥から現れたのは、私達のよく知るホシノ先輩だった。

 

「ホシノ先輩!!」

「・・・みんな」

 

 ホシノ先輩は私達に顔を合わせないように、うつむいたままだった。

 

「ホシノ先輩!!」

 

 誰よりも先に、ノノミがホシノ先輩に駆け寄ろうとした。

 

「来ないで!!」

 

 けれど、ホシノ先輩の口から発せられたのは拒絶の言葉だった。その言葉を聞いて、ノノミは走っていた足を止め、ホシノ先輩が言った言葉の意味が分からずに困惑の表情を見せる。

 

「ど、どうしてですかホシノ先輩」

「もうね、私は皆が知ってる小鳥遊ホシノじゃないの。こいつの、黒服の所有物になった小鳥遊ホシノなの」

「な、なんでそんなことを」

「そうしなきゃ、皆が、ノノミちゃんが、シロコちゃんが、セリカちゃんが、アヤネちゃんの命が危ないからだよ!!」

 

 叫ぶようにホシノが言ったことに私達は理解できなかった。私達の命が危ない?どうして、それがホシノ先輩が黒服の所有物になる話と結びつくのかがわからない。

 

「黒服から多少話は聞いてるでしょ?先生にカイザーの不正の証拠と、アビドス校の復興に協力してくれるって話は、でもね、実は他にも黒服と契約したことが在るの」

「それが・・・」

「そう、皆の命を守るための契約。今回の一件でカイザーがどんな手を打つようになるかわからない。なんなら、逆恨みを買って夜襲されて殺されちゃう可能性だってある」

 

 今回のアビドス高等学校校舎の崩壊の一件、十中八九カイザーがやった事であり、ここまでの手を打つようになったカイザーが今更一人二人、ましてや辺境の学校で知名度が低い生徒達を殺すような手を打ってきてもおかしくない現状。

 

「だからさ、黒服はカイザーにそんな手が打てないようにして、皆を守ってくれるって」

「私としても、あなた方に興味がありますからね。その興味が尽きる前に死なれてしまっては困りますから」

「ちょっと待ってください!!ホシノ先輩、そんな可能性の話を言っていたら」

 

 カイザーと対立してしまった以上、これから先カイザーから逆恨みをされて攻撃されることの可能性は十分にあるけれど、今リムル先生がそのカイザーたちを潰しにかかっている為、その可能性は考慮に値しないほど小さいはずだった。

 

「ほんの少しでもその可能性があるなら、もう!!私は誰も失いたくないの!!」

 

 今までに見せたことがない、ホシノの感情的な一面にあっけに取られてしまう。

 

「だから、お願い。私のわがままを聞いて。私のことは忘れて、アビドス校を先生と一緒に復興して」

「ふざけないでください!!そこにホシノ先輩が居なくちゃ」

「もう!あそこに私が一番守りたかったものは無くなっちゃったんだよ」

「そ、そんな」

「最低な先輩になっても構わない、お願いだからここから消えて」

 

 ホシノ先輩は自分の銃を手にして、私達にその銃口を。

 

「ちょっと待ってください!!なんで友達同士で武器を向けあってるんですか!!」

 

 ホシノ先輩の銃は横から投げられた一本のクナイによって弾かれた。こんな芸当をできる人と声をする人は一人しか知らない。

 

「ソーカさん」

「私が居ない間にどんな話をして武器を向けるようなことになったのかは知りませんけれど、仲間同士で武器を向けるようなことなんてあってはだめです」

「あの・・・この場に来ちゃって大丈夫なんですか?」

「大丈夫です。リムル様からどこまで干渉してはいけないとの指示は受けていませんし、現場判断で必要ならば好きに行動していいとも受けてあります」

「あ、いや、あなたの直属の上司さん」

「ソウエイ様はああ見えてお優しい方です。あなた方の事を見て居れば不問にしてくれます」

 

 完全に私情としか思えない理由でこの場に来たソーカに困惑しそうになってしまったが。

 

「これは驚きましたね」

 

 彼女の登場を一番に驚いていたのは、黒服だった。

 

「見たところ、シャーレの先生・・・ああ、あなた方にはこういった方がいいですね。リムル=テンペストさんとかなり関わり合いが深い人物・・・恐らく魔王の眷属かそのあたりとお見受けしますが違いますか?」

「・・・」

 

 この問いにソーカは沈黙で答えた。けれど。

 

「そうですか、そうですか。やはり眷属と、肯定しても否定しても相手に情報を与える事になってしまうから沈黙を選ぶ。けれど、沈黙もまた肯定を意味してしまう。なるほど、なるほど」

 

 一人で勝手に話して納得していく黒服に薄気味悪さを覚えてしまう。

 

「それで、あなたは一体何の用でしょうか?」

 

 ソーカは黒服を睨みつけるように見て構える。

 

「まぁ、それを問うのは愚問なのでしょう。シャーレの先生の眷属ならば、小鳥遊ホシノを取り返すことが目的なのでしょうから」

「そうだとして、随分と余裕そうですね」

「ええ、シャーレの先生魔王であるのならば、配下を使って私のことを追跡している展開は予想できていましたから」

「予想できてた?」

「はい・・・ですので、シャーレの先生にお伝えください。小鳥遊ホシノの権利全てを譲渡する交渉の場を設けましょうと」 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。