異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

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始まりました、「桜花爛漫お祭り騒ぎ!」

ちょっと、オリ設定でてきます・・・


百夜ノ春ノ桜花祭
六十五話


 ホシノ達を魔国連邦(テンペスト)に連れて行った日から数日が経った頃、俺はシャーレの部室で頭を抱えていた。

 アビドスが抱えていた大きな問題の大部分は解決された。

 在籍する生徒が少ない問題は、何処の学園にも所属していない生徒達や転校を希望する生徒達を迎え入れることによって解決した。元が不良である生徒達や問題がある生徒達であるが、ホシノ達の実力を考えれば問題が起きる可能性は低く、起きたとしても直ぐに解決できるはずだ。

 アビドスを復興させるために必用な資金確保も、ミレニアム、ゲヘナ、トリニティがアビドスの多くの土地を借りてくれたため、安定してかなりの額が入ってくることになっている。新しくアビドスに加わった生徒達もお金を稼いでくれるようになったため、これまで以上に多くのお金が入ってくる。

 今までちょっかいをかけてきたとされるカイザーも、この前の一件で大幅な弱体化をしている以上、アビドスにちょっかいをかけているほどの余裕は残されていないはず。

 ならば、俺が一体何に頭を抱えているのか。それは目の前にいる彼女にある。

 

「へぇ!!ここがリムルが先生をしてる世界なのね!!」

「ラミリス様。窓の方に近づいてはいけません!!」

 

 何故かシャーレの部室に居るラミリスが空を飛びながら、外の様子を見ようとしている。そして、そんなラミリスを窓から離そうとするベレッタの姿がそこにはあった。

 

「おい、ラミリス。その姿はこっちじゃ目立つから」

「え~いいじゃん!!」

「よくない」

 

 ラミリスは手のひらに乗るほど小さな体だ。当然、キヴォトスにこんなに小さな人が居るわけもないため、見つかれば大きな騒ぎになるのは確実だ。

 何故この場にラミリスが居るのか、それは少し前にしたラミリスとヴェルドラ、ミリムと交わした約束にある。

 

「一か月以上大人しくしてたんだから、少しぐらいはじけたって良いでしょ!!」

「今から魔国連邦(テンペスト)に連れ戻してもいいんだぞ?」

「まじでごめんなさい」

 

 俺が言った一言でラミリスはシュンとなり、机の上で正座した。

 ラミリス達と交わした約束、一か月以上問題を起こさなければ異世界へと連れていく。この約束が実際に果たされてしまい、俺は問題児三人を異世界へと連れて来なければいけないことになってしまった。

 それでも、三人を同時に異世界へと連れていくことになれば、ただでさえキヴォトスの先生として忙しいのにも関わらず、問題児の対応をしていられない。少しでも負担を減らすために、一度に連れていく人数を絞っていくことにした。

 そして、最初に連れていくことになったのは、三人の中で一番問題を起こしたとしても被害が小さく、場合によっては生徒達でも鎮圧することができるラミリスになった。

 

「リムル様。本当に私も異世界に来てよかったのでしょうか?」

「構わないよ。それに、ずっと俺がラミリスの相手をしているわけにはいかないからさ」

 

 ベレッタを一緒に連れてきたのは、ラミリスのお目付け役としての意味が大きいい。いくら被害が小さいといえど、ラミリスが問題を起こす可能性はゼロとは言い切れない。その点ベレッタならば、仮に問題を起こしたとしても、そこにベレッタの非がないはずだからだ。

 

「ところで、ラミリス」

「何かな?」

「その姿だとこっちの世界だと悪目立ちするんだが、どうにかならないか?」

 

 ラミリスが自由に動き回ることはもう諦めている。せめて、少しでも問題にならないようにしたいのだが。

 

「あ~、それならこれでどう?」

 

 ラミリスは羽で自分の事を覆い包むと、次第に羽が大きくなっていき、大体幼稚園児くらいの大きさになった所で羽を広げた。

 

「どう?お師匠様のおかげで思っていたよりも成長が早く進んでいるから、これくらいの姿にはなれるよ?」

 

 ラミリスの姿は幼稚園児から低学年程度の大きさになっていて、小さな妖精という印象はなくなっていた。この姿ならば翼持ちがいるキヴォトスではそこまで目立つことはないだろう。

 

「ああ、それなら大丈夫だけど・・・どうして今までその姿にならなかったんだ?」

「え……え~とそれはぁ……」

「おそらく、これまでの姿のままのほうがシュナ様やヨシダ様からお菓子の融通をしてもらえたからだと思います」

「ちょっとベレッタ!?」

「なるほどな」

 

 確かに小さいままのほうが得られる恩恵もあるだろう。

 

「い、一応ちゃんとした理由もあるから!!こっちの姿だと魔素の消費が多いし、成長が遅くなるんだもん!!」

「あ~、そうか、そうか」

「ちょっと!?ちゃんと聞いてる!?」

 

 ラミリスが喚いているが放っておく。一応、こっちも仕事が沢山抱えているんだからな。そんな時、インターフォンが鳴った。

 

「ベレッタ、来客が来たから」

「わかりました。ラミリス様こちらに」

「え~?」

 

 不満を見せるラミリスの手を引いて、部屋を出ていこうとしたところで扉が開いた。

 

「リムル先生?頼まれていた仕事の件・・・なん・・・だけ・・・ど」

 

 扉を開けて入ろうとしていたアルが目の前にいるベレッタの姿を見て固まった。

 

「アルちゃん?どうし・・・」

「二人とも?どう・・・」

「あわわわ!?」

 

 遅れてきたムツキ、カヨコ、ハルカもベレッタの姿を見て固まった。

 

「あ~、そうか」

 

 よくよく考えてみれば、武骨な被り物をしていて、腕や足が見るからに人のものではないベレッタの姿はこの世界でも異質な部類だった。

 

「失礼しました。どうぞお入りください」

 

 ベレッタは一歩引き、アル達を室内へと入るように促すが、アル達の視線はベレッタにくぎ付けになっている。

 

「?私の顔に何か付いているでしょうか?」

「単純にベレッタに興味があるんだと思うぞ」

「ちょちょ!?先生!?この人何者!?もの凄くアウトローのような感じがするのだけれど!!」

「ア、アウトロー?」

「あ~始まっちゃった」

「・・・あれ?もしかして私のこと眼中にない?」

 

 アルの興味がベレッタに行ってしまい、自分に興味が持たれていないことを察したラミリスは頬を膨らませて不満を見せる。

 

「彼女はベレッタ、まぁ、本職の仕事仲間って言うか部下っていうかそんなところだよ」

「リ、リムル様、仕事仲間は恐れ多いといいますか」

「ちょっと!?ベレッタは私の部下のなんだけど!!」

 

 ラミリスはベレッタが俺の部下であると言われ、激昂するが、小さな姿であるため、かわいらしい姿にしか見えなかった。

 

「ラミリス様、お邪魔になりますからこちらへ」

「ちょっと!?」

「あ、別に私達は一緒に居ても問題はないのだけれど、リムル先生は?」

「ああ、君達が構わないならいいけれど」

「じゃあ居ても良いよね!!」

 

 アル達がラミリスとベレッタが同席しても構わないと言ったため、ラミリスは堂々と傍にあったソファーにドカッと座った。当然、ベレッタはあわあわと本当にそうしていいのかとラミリスと俺の方を交互に見る。

 

「ベレッタも座っていいから。あ、あっちのほうに茶葉と茶菓子もあるから勝手に食べちゃってていいから」

「いいの!!」

「ラミリス様、遠慮というものを覚えましょう」

 

 はしゃいでるラミリスを横目に、俺はアル達を椅子に座らせる。

 

「それで、アル達は今日は何の用で来たのかな?」

「リムル先生に依頼されていた事の報告に来たのよ」

 

 カヨコは形式に作った報告書を差し出し、俺はそれを受け取る。

 

「・・・やっぱり駄目だったか」

 

 報告書に大きく書かれていたのは、依頼失敗の一言であった。

 

「ええ、期待に沿えなくて申し訳ないわ」

「元々成功する可能性が低かった依頼だから気にしなくていいよ」

「そうは言うけれど、依頼を受けた以上達成はしたかったわ」

 

 便利屋としての名を使う以上、アルとしてはどんな依頼でもスマートに解決していきたかったのだろうが、彼女には悪いことをしてしまった。

 

「それに、行方不明者の捜索だ。捜索をお願いした範囲も特殊な場所だからな」

「そうね。流石に雪山の捜索は堪えるものがあった。ゲヘナとアビドスって結構暖かかったんだなって思ったよ」

「リムル先生が防寒着を支給してくれなかったら、危うく凍え死にしそうでした」

「前金は受け取らない主義だとしても、今回は本当に助かったわ」

 

 俺が彼女たちに依頼していた内容は、百鬼夜行の雪山で行方不明になった人の捜索。アビドスの一件の途中から、カイザーに利用されないようにするため雪山に隔離する目的と、彼女の捜索をしたいために依頼していた。

 

「それで、これを返すわ」

 

 アルは白い手袋をした手で、ドンっとぱんぱんに詰められた鞄を机の上においた。

 

「別に受け取っていて構わないんだが」

「今回は依頼の遂行のために必要な防寒着や食料を購入するために使わせてもらったけど、それ以外の目的ではこのお金を使えないわ」

「・・・わかった」

 

 彼女達がこのままこのお金を懐に入れてくれていればよかったのだが、本人達が受け取るつもりがないのならば、この大量の現金は回収するしかないか。

 机の上に置かれていた鞄を手にして、俺の横に置く。

 

「依頼が失敗で終わった以上、報酬は受け取らないわ」

「わかった。君達が報酬を受け取らないつもりならばしかたがないな」

 

 そういいつつ、懐から厚みのある茶封筒を取り出して彼女達の前に置く。

 

「報酬とは別だが、個人的にこれを君達に渡しておくよ」

「いや、受け取るわけには」

「社長・・・今財布に幾ら入ってる?」

「う」

 

 カヨコに痛いところを突かれたアルは、苦虫を噛み潰したような表情をしたまま茶封筒を手にした。そして、それを懐に入れようとしたところで。

 

「あ」

 

 茶封筒がアルの手から零れ落ちた。落ちた茶封筒は中に入っていたお札を広げてしまった。

 

「もう、なにやってるのアルちゃん?」

「ご、ごめん」

 

 カヨコが散らばったお札を取ろうとしたとき。

 

「ねぇ、お姉さん手ケガしてるんじゃないの?」

 

 ラミリスが突然口を挟んだ。

 

「な、なんのことかしら?」

 

 アルは声を裏返しながらラミリスの方を見たが。それが自分で答えを言っていることには気が付いていない。

 次の瞬間には、アルの手首を掴み付けていた手袋を外した。

 

「・・・これ、どういうことだ?」

「え、えっと、そのぉ」

「はぁ、やっぱり隠しきるの無理だったんじゃない?」

 

 アルの手は酷く紫になり腫れていた。見るからに普通な状態ではないこの手、一体何が原因でこうなったのかは想像に容易い。

 

「えっと、これは」

「凍傷だろ、どうして今の今まで黙っていたんだ?」

 

 つい先日まで雪山に行っていたとなれば、思い当たるけがはこれしかない。

 

「えっと、それは、その」

「はぁ、とりあえず応急処置はしておくから」

 

 胃袋から取り出した完全回復薬(フルポーション)をアルの手に惜しみなくかける。やはり、回復は遅いものの、一応少しずつ回復はしているようだ。

 

「あ、あのリムル先生、そ、それは?」

「俺の国で使われている薬だ、外傷ならこれ一本で何でも治せるが、こっちの子には効きが悪いから。何本か渡しておくよ」

「えちょ、そ、そんなもの受け取れ」

「手が怪我してたら銃も握れないぞ」

「そ、それは・・・・」

 

 アルが何を言おうが、有無を言わさずに数本の完全回復薬(フルポーション)を包み無理矢理持たせる。

 

「過去のに使った例からして、凍傷だと数時間じゃ回復できないだろう。少なく見積もって数日か・・・」

「いや、なんで凍傷が数日で治るの?」

「そのポーション、身体欠損でも治るからね。というかポーションを知らないって・・・ねぇ、リム「ラミリス様?リムル様達がお話ししているのですから、邪魔してはいけません」ん~!!ん~!!」

 

 ラミリスが余計なことを言いかけたが、ベレッタがラミリスの口を塞ぎ、給湯室の方まで下がっていった。

 

「・・・え~と、身体欠損が治るって」

「さぁ、どうなんだろうな!!」

「皆、聞かなかったことにしよう」

「そ、そうね」

 

 この世界の医療技術でも、一度欠損した部位を完全に回復させることはできない。一度失われた部位は二度と戻らないが常識なのだから、完全回復薬(フルポーション)の存在が知られてたら、騒動だけで済めばいいものだ。

 

「その、リムル先生を疑うわけじゃないのだけれど、この怪我が治ったらいくら」

「金はいいよ」

「でも、そんな貴重なもの」

「俺はただ傷薬をやっただけ」

「で、ですが、貴重なものに」

「俺のところじゃ普通の薬だから気にしなくていいよ」

 

 子供達に貸しを与えるわけにはいかない。ましてや、身体欠損を治せるだけの薬となれば、億どころじゃすまない額になりかねない。

 

「ですが」

ジリィィ

 

 突然、シャーレに備え付けの固定電話から着信音が鳴り響く。

 

「と、すまない」

 

 俺は受話器を手にして電話に出る。




さすがに、妖精の姿のラミリスをキヴォトスになったら騒ぎどころじゃ済まねぇ
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