異世界に来たら先生になった件   作:御神梓

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六十七話

 百鬼夜行の昔の日本に似た街並みをした百鬼夜行、百夜ノ春ノ桜花祭(ももよのはるのおうかさい)の最中だからか、独特の熱気が溢れる雰囲気、そして、祭を楽しんでいる人達の歓声が四方八方、どこからでも聞こえてくる。

 

「ねぇ!!リムル!!あれは何!!」

「チョコバナナだな。魔国連邦(テンペスト)じゃ、あの果実もコーティングに使ってるカカオもまだ手に入ってないからな」

 

 チョコバナナといえば、よく祭で見かける食べ物の一つだ。けれど、いまだに魔国連邦(テンペスト)ではチョコレートを作るうえで肝心なカカオが手に入っていない。吉田さんもチョコレートが使えるようになれば、スイーツの幅が広がるって言ってったっけ。

 

「あっちは!?」

「あれはリンゴ飴だな。確か似たものはあっちでも出してたはずだぞ」

「あれは!!あれは!!

「あれはだな」

 

 魔国連邦(テンペスト)では見ないような屋台の数々、それらすべてに興味を示すラミリスは一つの屋台で一つ、二つの商品を買って、隣の屋台へと行くのを繰り返していく。

 

「ラミリス様、そのお金はリムル様がこちらの世界だ稼いだお金で」

「別にいいよ、こっちのお金を俺が持っていても仕方がないからさ」

「ですが」

「いいじゃん!リムルがこう言っているんだしさ!!」

 

 いずれこの世界を去る身、こちらの世界のお金を貯めこんでいても仕方がない。それに、シャーレの先生というのは、結構給料がよく。普通に使っているだけならば、持て余す程度にはもらっている。

 

「ん!!リムル、こっちの焼きそば、お師匠様が作る焼きそばと全然違う!」

「そりゃあ、材料が違うからな。それに、ソースの材料も違うだろうし」

 

 シズコとの待ち合わせにはまだ少し時間がある、こうして、出店の数々を見て回ることでラミルスの好奇心と興味を削らせる。こうすることで、目の前のことに注目させて面倒なことに気を引かせないようにさせる。

 そんな感じで、ラミリスの屋台巡りを付き合っていると、万能探知に気になる人物が引っ掛かった。祭りの人ごみの中を器用に掻き分けながら走る少女。それが次第にこちらへと近づいてくる。

 

「あっ、あっ!あぶないですーーっっっ!?」

 

 そして、その少女は勢いを殺しきることができずに、ベレッタの横から勢いよく衝突した。ベレッタは少女が勢い良くぶつかったにも関わらず、何事も無かったかのように立ったまま、衝突した少女の方を見る。

 

「いたた……」

「大丈夫ですか?」

 

 ベレッタは屈み、倒れた少女に手を差し出す。

 

「ああっ、すみません!えっと、ありがとうございます」

 

 少女は差し出された手を取り、立ち上がる。

 

「えっと、すみません!!大丈夫ですか?お怪我はありませんか!」

「大丈夫です。この体は名刀であっても容易には傷がつかないものですから。それよりも、あなたの方が大丈夫でしょうか?」

「そ、そうですか。私は大丈夫です」

 

 ベレッタの依り代となっている人形は、大部分が金属でできているため、そう簡単には傷がつかないだろう。

 

「待てー!逃がさないんだから!」

 

 他の少女の大きな声が聞こえてきた。

 

「はっ、もうこんなところにまで!えっと、えぇっと!ど、どうすれば!?」

 

 少女はあわあわとしだした。

 状況から察するにこの少女は誰かに追われているという状況なのだろうが。

 

「状況は分からないけどさ、あなた誰かに追われてるの?」

 

 りんご飴を加えていたラミリスが口をはさむ。

 

「ええと、まぁ、そんな感じなのですが」

「それじゃあ、ベレッタ!!この子を連れて逃げるわよ!!あなた、後でここのお祭りを案内しなさい!!」

「「ラミリス/様!?」」

 

 ラミリスの突然の提案に驚く間に、ラミリスは少女の手を掴み走り出してしまった。

 

「も、申し訳ありません!!リムルさま!!私はラミリス様の方を追いかけていきます!!」

「あ、ああ、そうしてくれ……」

 

 早々にラミリスがやらかしてくれたことに頭を抱えることになりつつ、ベレッタは走っていくラミリスと少女を追って走りだす。

 そして、遅れて先ほどの少女を追いかけていたと思われる少女が現れた。

 

「ああ!!どこに行ったの!!」

 

 小柄で脇を出した独創的な衣装、あれ?前世で脇出しの巫女キャラが有名になっていたような気が。

 

「あの、そこのお方。茶髪で制服の上に着物を着崩した格好の生徒を見かけませんでしたか!!」

「あっちに行ったけど、たぶん今から追いかけても追いつかないぞ」

「え!?なんでって・・・」

 

 少女は俺の顔を見て固まった。

 

「もしかして……シャーレの先生だったりします?」

「そうだよ。連邦捜査局シャーレの先生、リムル=テンペストだよ」

「ええ!?ど、どうしてシャーレの先生がこんなところに!?」

「お祭り運営委員会からお誘いだよ」

 

 少女と少し話している間に、少女の連れらしき少女達が来た。

 

「カエデちゃん、彼女はどこに行きましたか?」

「ミモリ先輩、すみません、見失っちゃいました」

 

 薄いピンク色の髪を持つ少女、これまで会ってきた少女たちと比べれば、一、二を争うほどには大人しい雰囲気を持っている。

 

「zzz」

「おおう」

 

 もう一人の少女、下手したらシオンよりも大きな胸を持ち、それを脇と同時に側面を露出させている。あまりにも奇抜的な衣装に俺は思わず言葉を失ってしまう。そして、少女は立ちながら寝ているようにも見える。

 

「?カエデちゃん、そちらのお方は?どこかでお会いになったような気がするのですが」

「シャーレの先生だそうです!」

「ああ、道理で何処かでお会いになった気がするわけです」

「zzz」

 

 少女は納得がいき手を叩く。

 

「リムル=テンペストだ。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします。私は修行部の水羽ミモリです。こちらは修行部の部長の」

「春日ツバキだよぉ~zzz」

「私は修行部の勇美カエデだよ!!」

 

 ツバキって子、寝てるのこれ?それとも起きているのかな?

《半覚醒状態と思われます》

 危なさそうに見えるけど、彼女達が何も言わないってことは彼女のデフォなのかな?

 

「それにしても、何かあったように思えるが・・・何かあったのか?」

「えっと、実は」

 

 ミモリから何があったのかの話を聞いた。先程ラミリスと一緒にどこかへと走っていった少女が問題を起こして、その問題を起こした少女を捕まえるために追いかけているところだった。

 

「すまない、俺の連れが勝手の事をしてしまって、後で俺のほうからきつく言っておくよ」

「いえ、そちらは何も知らなかったわけですし、ただ追いかけられているってだけではどちらが悪いかなんてはっきりとはしませんから」

「そうだねぇ、私達もただ逃げているってだけの情報だけじゃ、私達もそっちの手助けするかもしれないから。その連れの人にはお説教とかしなくていいから」

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

 それはそれとして、勝手に行動した点についてはしっかりとお説教をするけれど。

 

 リムルが修行部の少女達と話している間、ミリムは少女とともに百鬼夜行の中を走り抜けていく。そして、そのあとをベレッタが追いかけていく。

 

「ふぅ・・・ここまでくれば大丈夫そうですね」

 

 追ってであった修行部の少女達とリムルが話しているため、結果的に少女を追いかけていた修行部の足止めをしてしまい。少女は追っ手をまくことに成功していた。

 

「えっと、イズナを助けてくれてありがとうございました!ところで、あなたは・・・百鬼夜行の生徒ではなさそうですし・・・」

「私?私はラミリスよ」

「ラミリスさんですね!」

「ねぇ、あんた。この祭りについて詳しいかしら?」

「え?それなりにはですが」

「だったら、私に祭りの案内をしなさい」

「わかりました!!」

「ラミリス様ぁ!?」

 

 裏で頭を抱えたくなることが起きているとはリムルは後になって知ることになる。

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