現役女子高生、ダンジョンマスターを謳歌してます   作:竹槍至上主義者

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竹槍至上主義者です。ハーメルンの方が自由度が高いため、こちらをメインに更新していくことにしました。暖かい目で見てもらえると嬉しいです。


それはまるで月のようで
1:唐突な裏切り


私の名前は長月桜花(ながつきおうか)。華の女子高生(1年)である。そんな私には彼氏がいる。その名前は藤谷亮介(ふじたにりょうすけ)。私のクラス───というよりかは学校全体にその名前は轟いている。そんな彼と私、そして同じグループのメンバーである谷川健(たにかわつよし)花本美由(はなもとみゆ)の4人は横浜第三ダンジョンと呼ばれる場所にあった。  

 

「よし!じゃあ行こう」

 

「うん!じゃあしゅっぱーつ!」

 

そう言って私は高らかに声を上げる。今から5年前、世界中にダンジョンが発生した。当時の世界各国の政府はもちろん軍隊を派遣して内部を調査させた。が、中にはモンスターがおり、そのモンスターに軍隊は敗走したらしい。どうにも現代の火器はダンジョンのモンスターには効かなかったようだ。だけど政府が気づいていないところでもダンジョンは発生していたらしく、そこに無断で入った民間人はスキルや魔法といった力が使えるようになったとかなんとか。世界各国の調査隊でも同じ現象が起こっていたのでそれを信じて調査を続行したところモンスターを倒すことができた。そのモンスターからは魔石がドロップしたようでその魔石を解析した結果それはとても優秀なエネルギー資源であることがわかった。

 

「今日は何階層まで行くんだ?リーダー」

 

「今日は31階層までかな。なんせ昨日30階層のボスを倒し終えた後だからね」

 

今日は日曜日。私達は昨日もダンジョンに潜っていた。なぜ日本で民間にダンジョンが開放されているのか、なぜ私達ぐらいの年齢の若者がダンジョンに潜れるのか。その理由は放置していたダンジョンから魔物が溢れ出して来たからだ。ダンジョンに潜れるであろう陸自は総勢13万ほどしかいない。圧倒的にマンパワーが足りないのだ。それと魔石という環境を汚染せずに従来よりも優秀なエネルギー資源を大量に確保するためでもある。その他にも異次元にアイテムを収納できるマジックバックや調査によって発見されたスキルで不治の病を治せることも判明したのだ。ダンジョンに潜り、魔石やモンスターからのドロップ品、フィールドにあるアイテムなどを取ってきて売る。そういう人達が現れた。人々はそれをハンターと呼んだ。そのため、我々の様な若者の時から育成することで優秀なハンターを育てるという名目で立ち入りが許可されている。

 

ザシュッ

 

思考の海に耽りながらも私は目の前にいるモンスター───ゴーレムナイトを切り捨てる。 目の前にはまだ3体ほどのゴーレムナイトがいる。

 

「ファイアランス!」

 

後ろから美由の声が聞こえる。ここらで私達のジョブを確認しておこう。私は剣士、一番スタンダードなジョブだ。そして亮介は魔剣士というジョブ。大分恵まれたジョブだ。美由は魔法使い。言わずもがなアタッカーだ。最後に健はヒーラー。体力を回復させてくれる重要な役職だ。ジョブはダンジョン協会と呼ばれる組織が制圧したダンジョンで獲得するのがセオリーだ。最初に獲得するジョブはランダムである。適正によって変わるらしいが、その点私は平凡なのだろうか。

 

「ナイス美由!このまま一気に決める!」

 

「おらあっ!」 グサッ!

 

『~~~~~~!!!!』 ゴーレムナイトがうめき声を上げて倒れる。ラノベとかだと粒子状になって消えるけどこの世界では死体のまま残る。

 

「この調子で行けばあと20体ぐらいは狩れそうだね!」

 

「ああ、情報よりもゴーレムナイトに俺たちは対処できるっぽいぜ。これなら少し進んでも大丈夫だ!行くぞ!」

 

健に回復してもらいつつ私はステータスを確認する。

 

名前:長月 桜花

種族:人間

ジョブ:剣士

レベル:31

HP1173/1200

MP670/700

筋力157

防御145

精神156

俊敏213

器用193

ステータスポイント:32

アクティブスキル:斬撃≪上級≫ 身体強化≪上級≫ 疾風≪上級≫ 瞬歩≪中級≫ 加工≪特級≫

パッシブスキル:剣の心得・壱≪中級≫

称号:戦乙女 剣の達人 熟練職人

 

あとはステータスのどこにあてるかだなぁ~。私は当たらなければどうということはない(キリッ)って感じの構成にしてるからなあ。一応防御にも振っとこうかな?

 

筋力:169 防御:165

 

こういう感じにしておいた。ちなみに私は回避盾兼生産職みたいな感じのポジションである。なので器用の値も高い。

 

「桜花?行くよ~!」

 

「は~い!わかった!」

 

美由に呼ばれて遅れてついていく。少しペースが速い気がする。 ガタガタガタ 「いわんこっちゃない!もうエンカウントしてるじゃん!」 私はこの中では一番速い。だから私は回避盾のようなポジションなのだ。

 

「はああ!」

 

ザシュッ

 

「はあ、はあ、皆大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ!そのまま頼むぜ!」

 

できれば早くしてほしい!

 

「ファイアランス!」

っ!いったん退避!

 

ドカーン!

 

美由が使っているファイアランスという魔法はスキル:初級火魔法を使い続けると進化して入手できる中級火魔法で使えるようになる魔法だ。それ故に火力が高い。なので美由はアタッカーになるのでこのパーティーで二番目にレベルが高い。ちなみに一番は私だ。私はエンカウントするとすぐに突っ込んでヘイトを集中させてバッサバッサ敵を切りまくる切り込み隊長だ。だから私はレベルがこのパーティーで一番高い。 ザシュッ

 

「あとは任せろ!」

 

ガスッ

 

『~~~~~!!!』

 

けれども単純な戦闘力なら亮介の方が強い。それはジョブの影響によるものだ。魔剣士と剣士ではそもそもの基礎ステータスが違う。私はもともとは全部10だったが、亮介は30だった。だから戦闘力は亮介の方が高い。

 

「結構疲れてきた...」

 

「そうだけど、もう少し先まで行ってみないか?」

 

「そうね。私もまだあと5発ぐらいはファイアランス撃てるわ」

 

「なら、もう少し奥まで...ん?なんだこれ?」

 

どうやら亮介が何かを見つけた様だ。

 

「これは...魔晶石?」

 

その魔晶石には見覚えがあった。私がダンジョンに潜る前に見たダンジョン攻略サイトに載ってあった。確かあれは...罠だ!

 

『『『『きゃあああ(わあああ)』』』』

 

 

 

「うう...」

 

「皆大丈夫か?」

 

「こっちは大丈夫だ!」

 

「私も大丈夫!」

 

「私も大丈夫よ」

 

皆無事らしい。周りを見渡してみると景色が変わっている。どうやら転移したらしい。

 

『ヴォアアアアア!』

 

皆無事なことを確認して安心していると私たちから10mほど離れたところには巨大な猪のようなモンスターがいた。

 

「あれってもしかしてアルティメットボア...?」

 

「噓でしょ!?アルティメットボアですって!?」

 

アルティメットボア。それは第87階層以降に出現する野良モンスターだ。ダンジョンによって出現するモンスターには傾向がある。例えばこの横浜第三ダンジョンではゴーレム系が出てくる傾向がある。これらはダンジョンモンスターと呼ばれている。そして野良モンスターはランダムに出現するモンスターだ。そして野良モンスターは出現する階層が決まっている。つまりここは最低でも87階層で、私たちは31階層にいたためあの魔晶石は転移する罠だったということだ。

 

「っ!桜花!」

 

「わ、わかった!」

 

ガキンッ

 

剣でアルティメットボアの突進の衝撃を受け止める。

 

「うあああ!」

 

その瞬間に剣を持っている右腕にものすごい衝撃が走る。恐らく今の衝撃で私の右腕の骨にはヒビが入ってしまっただろう。今思えばステータスが一番高い亮介がやればよかったのではないだろうか。

 

「美由!ファイアランスを!」

 

「...」

 

え?

 

『ヴォアアアアア!』

 

ドゴォッ

 

私が美由に支援攻撃をするように合図してもファイアランスは飛んでこなかった。咄嗟に剣で衝撃を受け止める。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

思わず苦痛に声を上げる。もう右腕の感覚がない。というか変な方向に向いているし力なく垂れている。

 

「み...ゆ!ファイアランス...を?」

 

後ろの方を見ると私以外のメンバーが魔法陣の上に載っていた。まさか私時間稼ぎに使われた?

 

「みんな、っ!なん、で...?」

 

どうして...?亮介?

 

「目障りなのよ、アンタ」

 

「俺らは陽キャグループなのになんでオタクが混じってんだって話だよな?」

 

なんでよ。私たち友達じゃなかったの?

 

「お前がいるだけで俺たちの評価も落ちるんだ。そういうことだ、それとこれで恋人関係も解消だぜ!清々するな!」

 

「そんな!待って!待ってよ!」

 

「じゃあな!戦乙女さんよ!」

そう言って彼らは行ってしまった。目の前にはいまだ傷一つないアルティメットボアがいる。武器を扱うための右腕はもう使えない。それにもう剣も落としてしまった。

 

『ヴォアアアアア!』

 

逃げるしかない!

 

『身体強化!疾風!』

 

今の私じゃアイツに勝てない!ならもう走るしかない!

 

『ヴォアアアアア!』

 

もう少しで追いつかれる!ギリギリまで引き付けて...

 

『舜歩!』

 

舜歩とは5mほど先まで瞬間移動できるスキルである。なのでギリギリ追いつかれそうになったところで舜歩を使い逃れる。これならいける!

 

「あれは...階段!?」

 

しかも下の方に伸びている。つまりあれは今よりも下の階層に行くための階段ということだ。後ろには猛ダッシュして私に突撃しようとしているアルティメットボアがいる。あの階段に逃げ込むしかない。

 

「ええいままよ!」

 

ドゴン!

 

私は力を振り絞り飛び上がって階段に入った。アルティメットボアが階段の両端の壁にぶつかった。どうやらこちら側には大きさ的に来れないようだ。何とかなってよかった。右腕はアドレナリンのお陰か衝撃を受けた時ほど痛くはない。それにしてもこれからどうしたものか。

 

「下、降りるしかないかぁ...」

 

後ろにいるアルティメットボアはずっとこちらを見て睨んでいる。これは後ろに戻ろうとしたら殺されるのがオチだろう。

 

「うっ、い、いたい...めっちゃ痛い...」

アドレナリンの効果が切れてきたのか右腕がとても痛みだした。

 

「はあ、はあ、もう剣は使えないし、あれを使うしかないか...」

 

私は右腰に付いているホルスターから武器を取り出した。

 

「はたしてこのコイルガンはどこまで通用するのか...」

 

このコイルガンは自分で製造したものだ。動力は魔石、この前魔力を流しながら加工した金属の棒でサンドゴーレムを殴ると倒すことができたのだ。銃が効かないのは魔力を含んでいないからだという自分なりの仮説をもとに作ったものだ。。ダンジョン産の武器などは魔力を含んでいるので効くのだと思う。なので私はこのコイルガンと弾に魔力を流し込みながら作った。だから理論上は効く...はず。

 

「これって...ボス部屋?」

 

階段を降りるとそこには大きな扉があった。ちなみにボスはフィールドにいるモンスターの2倍くらい強い

 

「噓でしょ....?でも、もう後戻りはできないし...行くしかないか...」

 

ズズズズズズ

 

私の左手が触れると思い扉が開いていく。

 

「ゴクリ」

 

思わず唾を飲み込む。コイルガンを握る左手の力が強くなる。

 

「お父さん、お母さん。直ぐにそっちにいけるからね...」

 

シーン...

 

そこにいたのは黒くて、片膝をついて下をうつむいて腕を垂らしている人型のゴーレムだった。

 

「あれは...っ!」

 

ギュィィィン!

 

「侵入者を発見。排除します」

 

ボス部屋に入ると無機質な女性の声のようなものが聞こえた。すると同時に目の前のゴーレムが甲高い音を出して動き出した。

 

「まさか機械なの!?」

 

私の心が少し躍った。何を言おう私は生粋の技術オタなのである。家では六脚のロボットやドローンを作ったりしているのだ。基本一人なのでシステム面も私は詳しい。なので私は...

 

「欲しい!分解したい!なんか凄そう!っ!やばい避けないと!」

 

え?威力高すぎない?地面えぐれたんだけど! ガン!ゴン!

 

「ああ、効いてない!やっぱり対戦車ロケットとか欲しいかも!」

 

ぜんっぜん効いてない。ちょっと落ち込んだ。敵に撃っても弾き返されるだけだった。一応少し穴は開いてるけど致命傷ではなさそうだ。

 

「あれって...ビームソード!?」

 

敵の前腕の手の甲側からビームが出ている。恐らくあれは触れたら死んじゃうDEATHってところかな。私の回避力の高さ、ここで発揮してやる!

 

ブォンッ

 

「うわっ!あっつ!」

 

ビームは私には触れていないが私のすぐ横を通った。しかし直接触れたわけでもないのにとても熱くなった。

 

「でもどうやって倒せば...あれだ!」

 

そこにあったのは赤みを帯びている魔晶石。あれは爆魔晶石と呼ばれるものだ。衝撃を受けると爆発する性質がある。あまり見つからない魔晶石だ。つまりあれを使えば...

 

「徹甲榴弾が作れる!」

 

私は爆魔晶石に近づき、ステータスにものを言わせて引きちぎる。

 

「加工!」

 

加工とは自分が思い描く形に物質を変化させるスキルである。通常は精度は低く、時間も掛かるため一般的には使われていないが私の場合は称号に熟練職人があるので、精度は高いし時間も0.5秒ぐらいしか掛からない。

 

「この弾ならいけるはず!」

 

貫徹力も威力もある!

 

「いっけぇぇぇ!」

 

ドカーンッ

 

轟音が鳴り、爆炎が私の視界を覆いつくす。  

 

「やった!倒した!」

爆炎が晴れてそこにあったのは左上半身が砕け散ったゴーレムの姿だった。

 

『ラストボスの撃破を確認。ダンジョンコアを開放します』

 

「ダンジョンコア?ラノベでよくあるダンジョンの最奥にある球体みたいなやつの事?」

 

アナウンスが流れると奥の壁が開いて水色に光輝く球体が現れた。

 

「綺麗...」

 

右腕の痛みを忘れて思わずコイルガンを落としてそのダンジョンコアに伸ばした。その途端に声が聞こえた。

 

『このダンジョンのダンジョンマスターになりますか?』

 

「ダンジョンマスター?」

 

『ダンジョンマスターとはダンジョンを管理、運営する者のことです。通常は複数人で攻略されるため、ダンジョンを残すか消滅させるかを選ぶことができますが、ソロで攻略した場合はダンジョンマスターになるという第三の選択肢をとることができます』

 

今までダンジョンが攻略されたのはアメリカで一回だけある。ファイアブラストというパーティーが攻略をしたとあった。つまり私は世界で初めてソロでダンジョンを攻略したということだ。

 

「でも、今の私はパーティーメンバーに裏切られたしソロだと稼ぎは今まで以下だろうしそもそも剣がもう握れないし...」

 

もしかしてダンジョンマスターになればモンスターを召喚してそれから魔石をとることができるのではないだろうか?

 

「それってモンスターの召喚とかできるの?」

 

『はい、ダンジョンマスターはダンジョンの防衛や、野良モンスターの駆除のためにモンスターを召喚し配置することができます』

 

つまりそれは魔石を効率的に採取できるということだ。なら選択肢は一つしかない。 「わかった。私は...ダンジョンマスターになる!」

 

『了解しました。では、肉体の最適化を始めます』

 

「え...?」

 

肉体の最適化?

 

「ゔあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

『最適化率30%』

 

「があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

『60%』

 

「ゔゔゔゔゔゔゔ!」

 

『90%』

 

「あ゛あ゛あ゛!」

 

『100%。肉体最適化完了』

 

「あ゛あ゛、はあ...はあ...はあ......」

 

『おめでとうございます。長月 桜花様、あなたはダンジョンマスターになりました』

 

「うう...ガクッ」

 

私は肉体の最適化に伴ったアルティメットボアとは比べ物にはならない痛みになんとか耐えてそのまま気絶してしまった。

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