もしかして、川田先生?電車の中で姿を見かけたときね美也は驚いた。
気づかれないように視線を向けて確認する。
間違いないと思った、クラスの担任ではなかったが、女子には人気があった。
バレンタインデーにはチョコを渡す女子生徒もいた。
自分も渡したいと思った、多分受け取ってくれるだろうと思う。
職員室に入ると先生のテーブルの上にはチョコのがあった。
直接、渡せなかった女子がこっそりと机の上に置いていったと話しているのを聞いたのだ。自分もそうすればよかったかもと思ったが、それができないまま卒業してしまった。
だから、あの夜、電車の中で姿を見つけたときは驚いた。
見間違いかもしれないと思った、
まだ教師をしているのだろか、卒業してから会うことはなかった。
気になってしまった、もしかしたら似ている他人のそら似かもしれない。
でも、本人かもと思って近づこうとしたとき、電車が急ブレーキで体がふらついてしまった、車内が少しざわつく。
「もしかして川田先生ですか」
思い切って尋ねてみた。
「確かに私は川田だが、あなたは」
不思議そうな顔で見られた無理もない、隣のクラスの生徒だったから、覚えていなくても当たり前だ。
だが、少しばかり記憶にあったのかもしれない、名乗ると先生の顔が驚いた表情に変わった。
大人っぽくなったねと言われてどきりとした。
でも、川田先生だってかっこいい、渋さが増してますと言いたかったが、それは言わないことにした。
「エレクトーン、子供たちに教えている?」
先生が驚いた顔になった。
「はい、でも今はやめてます、エレクトーンッて今は需要がないんです。だから趣味という感じで、たまに友人と大道芸みたいに演奏しているんです」
川田先生は驚いたようだ。
「駅前で週末に演奏しているんです」
「どこの駅だい」
聞かれて驚いた、もしかして見に来て、いや、言うんじゃなかったと思った。
週末の土曜日、駅前の少し開けた場所で演奏した。
ボーカルの友人と一緒になって、色々な曲を演奏するのは楽しかった、その日、演奏が終わると声をかられた。
知らない人だ。
「君たちバンドに興味ない」
正直、友人と暇なときに演奏、歌ったり演奏するのが好きなだけでバンドなんて、視野になかった。
友人も断ったのに相手の男性はしつこい。
はっきりと断ったのに、しつこいと思ったとき。
「彼女たち断っているだろう、はっきりと」
男の声がした。
「先生っっ」
美也は驚いた。
そこにいたのは川田正義だった。
友人と別れた後、先生に話があると連れて行かれたのはスタジオだった。
「実は今メンバーを探しているんだ、よかったら」
そこで二人の男性を紹介たされた。
ドラムは浜中、ギターはタケダという男性。
このとき、美也は川田がジュリーと呼ばれていることを知った。
「キーボードを捜していたんだ、だが、おっさんばかりのメンバーだと、なかなか入ってくれる人もいなくてね」
川田の言葉に美也は、そうなんですか驚いた。
「引き受けてくれて助かったよ」
エレクトーンは弾いていたが、川田のバンドとはロックだ、自分にできるだろうかと美也は不安になった。
「大丈夫、最初からうまくいくなんて思っていない」
褒め上手ですねと美也は川田を見た。
「近い内にフェスがあるんだ、参加したくてね」
「ええっっ、それって大勢の人の前で演奏するってことですか」
美也は驚いた。
「駅前で演奏していたじゃないか」
「そ、それは」
美也はわずかに俯いた。
女友達二人だったから、そう言いかけてちらりと隣を見た。
「なんだ、悪いこと言ったか」
「い、いえ、そんなことは」
言いかけて自分が緊張していることに気づいた。
「先生は意地悪ですよ」
笑いながら、川田は私は言葉を続けた。
「先生はやめてくれ、もう教師じゃないんだ」
はいと頷きながら、このとき美也は自分が緊張していることに気づいた。
「どうした」
「い、いえ、何でもありません」
緊張していることに、このとき彼女は気付いた。
オジサマ専科ね久しぶりに書いてしまいました。