面白ければ幸いです。
ヴェルドラさんから離れてどれくらい経ったのだろうか。
僕は今ヴェルドラさんの封印の場所へと向かっている。
やはり定期的に生存を報告しておかないと不安になるだろう。今回はその記念すべき帰還1回目である。
お土産に、向かう途中で綺麗だったり貴重そうだったりする鉱石を探しながら歩いているが、あまり目ぼしいものは見つかっていない。
《告。左方10m先よりアーマーサウルスがこちらへ接近。》
「既知者」の声に従い、左右のスカートにマウントしていたマシンガンの一つを手に取り、撃つ。
そのまま近づいていけば、もう随分と殺し慣れてきた洞窟の魔物が死体になっている。
今日は随分と射撃の調子が良い。体の中心を寸分も狂わず撃ち抜いた魔物の死体を魔素に変換する。
「南無阿弥陀仏」
戦う気も殺す気もなかったが、こちらへの攻撃の意思がありそうだったのでトドメを刺した。
ヴェルドラさんの所に向かっているのだから、自然と空気中の魔素が濃くなっているはずである。
それなのに洞窟の魔物はこんな所にもいて、そしてどこからでも襲ってくるから参った物である。
《告。前方15m先よりエビルムカデ合計2体がこちらに接近》
考えた側からこちらへ向かってくる魔物を探知した。
アーマーサウルスとの戦闘時から持ち続けていたマシンガンを2発撃ち、これまた正確に弱点を撃ち抜く。
そのまま近寄り魔素に変換する。
魔物が2体以上で活動しているなんて珍しい。
経験が足りないのかも知れないが、この世界に来て此の方そんな光景繁殖目的以外で見た事がない。
しかし見たところこの魔物はどちらも雄である。
珍しい事で済めば良いのだが、なんだか嫌な感じである。
そんな事を考えている合間に辿り着いた様だ。
まずはヴェルドラさんに謝ろう。心配をかけてしまったことだろう。
「ヴェルドラさん久しぶり。あれから一度も帰ってきてなくてごめん。」
「貴様!我をよく3年も独りぼっちにしおって!」
やはり相当お怒りのようが、まさか3年も経っていたとは予想外である。
即座に正座し、土下座の体制をとる。
「ごめんなさいヴェルドラさん!そんなに時間が経ってたなんて知らなかったんだ!」
「ごめんなさいごときで許されると思っているのか!我に要らぬ心配を掛けた挙句それだけなのか!」
「これからは1年に一度は必ず帰る。それにお土産も持ってくる。だから許してほしい!」
「仕方がない。今回のみ“トクベツに”許してやろう。次はないぞ?」
「分かりました!」
どうやら許してくれたようで一安心である。
気持ちを切り替えて僕は、この3年間の成長や倒した魔物、見つけた鉱石などの思い出を暫く話していく事にした。
「それにしても驚いたぞ。3年間で魔素の量が2倍以上に増えいるではないか。」
「そうなの?最近は体内の魔素なんて気にして無かったから分からなかったよ。」
「しかし未だに勇者の魔素量には遠く及ばんな…」
「ははは…それもそうか。何せ勇者だ。3年で届くなら封印なんてとっくに解けてるよな…」
どうやら僕はこの3年で結構成長ができたようだ。それでも勇者なんてものには遠く及ばないが。
「それで、これからはどうするのだ?また洞窟の魔物共を狩って回るのか?」
何やらヴェルドラさんが寂しそうな声で話しかけるが、元よりそのつもりはない。
「その事なんだけど、俺は後3年くらいここにいようと思うよ。ヴェルドラさんに3年間寂しい思いさせちゃったしね。」
「そうかそうか、ならば我も暫くは暇で無くなると言うものよ!」
心底嬉しそうな声でヴェルドラさんはそう言った。
「それに、ここなら遠慮なく実験ができるしね!」
そう。ここは空気中の魔素が濃く、魔物が近づく事など滅多にない。
つまりここなら、大量に魔素を消費する実験や製作を遠慮なく出来るのである。
そんな事を考えている内にも話は続き、会話がやっと止んだのは5時間程経った頃だった。
5時間も話し続ければ流石の機械の体でも疲れた。肉体的にでは無く精神的にだが。
話をようやく終えて、早速実験を始める。内容は「魔鉱石よりも耐久性に優れた合金の開発」である。
早速「製作者」を発動し、現在制作できる合金をリストアップする。
合計13パターンの合金、この中から最も耐久性がある合金を見つける。
ステータス
前橋 英作
種族:ゴーレムコア
所持スキル
ユニークスキル「製作者」 ユニークスキル「放熱者」
効果:制作補助 効果:熱変換
スキル獲得補助 魔素変換
解析鑑定 熱操作
ユニークスキル「高速者」 ユニークスキル「既知者」
効果:身体能力三倍化 効果:演算解析
攻撃予測 魔力感知
超速再生 告知
エクストラスキル「採掘」
効果:物体粉砕
「既知者」の魔力感知は現状、意識していない状態で半径10m、意識すると反応15mを感知できます。