転生したらハロだった件   作:デンドロビューム

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タイトルが魔女のキキ!こっちはオークロードのゲルド!
毎度の如くの勢い&夜テンションの執筆です。
今回NTします。


やさしさに包まれたなら

首を刃によって切断されたゲルミュット。

その死体は、皮肉にも利用しようよしていたオークロードに食われ、糧となろうとしている。

 

グジャリッ グジュ ジャリッ ゴジュ

 

辺りに生肉を食い散らかす音を響く。

 

バキッ ゴジュ ゴジュジャ ゴゴッ バキッッ

 

生物が生きてゆく為に、食事は回避不可な行動であり、生命のある一つの面でもある。

しかし目の前で行われている食事行為には、そんな生命の動きや輝きすら感じなかった。

 

目の前で行われるは食事などと言う生命の動きではなく、渇望と言う魂の望みでもない。

それはユニークスキル「飢餓者」の働きにして性質でしかない、食事などよりも忌避され、渇望などよりも機械的なものだった。

 

その一連の行為にこの場にいる者は恐れ警戒する。

リムルはわずかばかりながら忌避に眉を顰め、ベニマルは不快感を顔に強く表し、ランガは強い警戒をオークロードに向ける。

 

やがて死体を取り込み終えたオークロードからは、不気味なオーラが立ち上り、ゲルミュットを取り込みんだ事による強化が始まった。

 

《告。オークロード 個体名ゲルドの魔素量が増加しました。魔王種への進化が開始されます。》

 

「既知者」の警告と共に、オークロードから立ち上ったオーラが体を包み、それと共にどす黒いオーラがオークロードを中心に旋風を起こす。

 

魔王種への進化。恐らく魔王へと至る上での最終段階に近いと考えて良いだろう。

 

《告。個体名ゲルドは、オークディザスターへの進化を成功しました。》

 

やがて旋風が弱まり、どす黒いオーラに遮られて見られなかったゲルドの変わり果てた姿が少しずつ見えてくる。

心なしかその周りには、先ほどのどす黒いオーラよりも、何段階も上だと思われる邪悪なオーラを感じる。

 

「オークディザスター 魔王ゲルド。放置する訳には行かないよな。」

 

ウゥオオオオオオオオオォォォォ!!!!!

 

湿地帯全域を揺らす咆哮が僕たちの耳を貫く。

 

「俺ハオークディザスター!!コノ世ノ全テヲ食ラウ者ナリ!名ヲゲルド。魔王ゲルドデアル!」

 

覚醒したゲルド――いや、オークディザスターが激しく、そして激情に駆られるように吼え、宣言する。

ひしひしと危険を感じる。コイツは、コイツは必ず、今ここで確実に殺す。

 

「シオンッ。」

「はッ承知しております。」

 

ベニマルが攻撃を命じ、それに応じてシオンは速攻でゲルドに向かって突撃する。

 

「おい。」

「ここは俺達にお任せを。」

 

リムルが警告ともとれる一言を掛けるが、ベニマルは自分たちでやる気の様である。

恐らくはオークへの復讐、そして僕ら二人の手を煩わせない為だろう。

 

「薄汚い豚が!魔王だと!?思い上がるな!!」

 

シオンが高速で駆け、怒りの籠った高威力の一撃を放つ。

当たれば恐らく、体は等しく両断され即死するだろう。

 

ガキンッッ

 

しかしその一撃はゲルドには当たらず、手に持った出刃包丁の様な剣により防がれる。

シオンは空中で全体重と筋力で、ゲルドは恵まれた四肢から出される筋力で鍔迫り合うが――

 

「――ッ!」

 

鍔迫り合いの最中にゲルドは太刀筋を変更し、大剣で防御したシオンを出刃包丁による攻撃でブッ飛ばす。

 

しかしシオンはそこで折れるような鬼人ではなく、遠くへ離れたのをチャンスに、先ほどよりも速い一撃を加えるべく加速しながらゲルドへ接近する。

やがてゲルドとの距離は約5m以内となり、ゲルドも出刃包丁を振り上げ――

 

ようとした所で、突如気配の遮断を解き現れたハクロウの滑らかな一撃により首を斬られた。

 

「やった!」

 

リムルが喜色を含んだ声を上げる。

しかしリムル。それはフラグだ。

 

「ん?」

 

ハクロウが首を落とした筈のゲルドへと目を向ける。

そこに居たのは首を落とされたまま立ち続け、自らの首を抱え持ったゲルドだった。

先程まで首が生えていた場所の断面からは、まるで膿の様な黄色いの触手が這い出て、手に持った首を元の場所へと戻し繋げる。

 

「凄まじい回復能力だな……」

「あの調子で攻撃を受け続けて、耐性すら取得されたらヤバくなってくるぞ……」

 

しかし首を落としても死なないのなら、殺し続ければいい。

そう言わんばかりに、足元からは「粘鋼糸」が現れ、ゲルドを囲みたちまち巨大な繭の様な状態となる。

 

「操糸妖縛陣」

 

拘束に手いっぱいなソウエイは、手の空いているベニマルへとバトンを渡す。

 

「やれ、ベニマル!」

「これでも喰らってろ!」

 

ベニマルの手のひらから、高密度のエネルギーを誇る紫炎の球が放たれる

拘束してなければ避けられる程速度の遅いそれは、着弾するなりたちまち超高熱の炎のドーム、「黒炎獄」となる。

 

ウオオオォォォォォォォン!!!!

 

トドメと言わんばかりか、ランガが咆哮し、それを合図に曇り空から轟音を響かせて黒い稲妻が落ちて来る。

それは「黒炎獄」によって全身を炭化させたゲルドへと勢いよく落下した。

 

ゴオオオォォォォォォンッッ!!!!

 

しかしながら、落雷を放ったランガは魔素切れを起こしたらしく、ゼェゼェと息切れをさせている。

 

「魔素切れか?」

「面目くありません……!」

「俺の影に潜ってろ。」

 

魔素の回復を行なうため、ランガはリムルの影へと戻り休息する。

 

これだけ高威力の攻撃を浴びせ続けてやってのだ、出来ればこれでトドメが刺せていれば良いのだが……

 

「なにっ!?」

「まさか!」

 

土煙が晴れたその先には、体中の炭化を既に回復させたゲルドが佇んでいた。

 

「コレガ痛ミカ……」

 

流石にこれは酷い。僕の「蓄熱者」の最高火力には届かないとはいえ、あれはかなりの熱量を持った攻撃だ。

それを数瞬で回復させるとは……

 

「嘘だろ……?」

「まさに怪物を超えた怪物だ……」

 

僕とリムルが驚きと恐怖の混じった声を上げ、茫然としてしまう。

しかしその隙に、側近と思われるオークがゲルドに近づく。

 

「王よ、この身を御身と共に……」

「ウム……」

 

ゴジャ ゴキ グシャ ムシャ ボキ

 

なんと側近はゲルドへと身を捧げ、その側近をゲルドは一瞬の躊躇いもなく取り込んだ。

それと共に、ゲルドのオーラはまたもや変化を遂げ、魔素量もかなりの上昇を遂げた。

さらに、炭化の残った部分すらも、それにより完全な回復をした。

 

「自己再生と回復魔法か……」

 

どうやらリムルはこの回復速度の仕組みが分かったらしい。分かったところで僕には余り対策は取れないが。

 

「足リヌ。モットダ!モット食ワセロ!!」

 

オークロードは更にそう吼え、こちらへ手のひらを向けてピンクの魔弾を放つ。

魔弾は僕らの頭上で停止し、ゲルミュットの名前負け魔弾の様に分裂してこちらへと降り注ぐ。

 

しかしそれらは前に出たリムルによって捕食される。

 

「リムル様、ボルド様。」

「大丈夫だ、任せろ。」

 

どうやらベニマル達はきつく感じてきた様なので、ここからは僕たちが攻撃する番だ。

 

「まずは僕に行かせてくれ。僕がとどめを刺せなかった時にはよろしく。」

「分かった。きつくなったら言えよ。」

「ああ。」

 

リムルとのやり取りを終え、ゲルドに近づく。

影からは収納していたガンダムシールドを取り出し、右手には背中のランドセルのビームサーベルを持つ。

 

対するゲルドは、オーラを4つに絞って凝縮し顔の付いた人魂の様な物を出す。

 

「食らい尽くせ!「混沌喰(カオスイーター)」!!」

 

ゲルドの声と共に、背後に控えていた4つの人魂はこちらへ向かって飛んでくる。

それらから身を守るべく、すべてをシールドで受け止めつつスラスターを吹かせて接近する。

 

どうやら人魂には物を腐食させる効果があるらしいが、このシールドには魔力強化が掛けられているためあまり効果は無いだろう。

 

そして、約4m程の距離まで近づいたところで出刃包丁を持った左手を切り落とし、そのまま心臓のある部位にビームサーベルを突き刺し、そのまま横薙ぎに振るい左腕を落とす。

 

しかしそれで止まるほどゲルドも柔では無いらしい。

即座に断面から膿の様な触手を展開して左手や右手を体に繋ぎ、その両手でガンダムの頭部を掴む。

恐らく僕を食べようとしているのだろう。

 

しかしこちらもタダで食べさせるほど優しくない。

頭部を掴まれた瞬間からシールドを放して左手にもビームサーベルを持ち、二刀流でゲルドの両腕を肩から切り落とす。

更に追撃として、腹部をX字に斬り刻み、ゲルドの再び首を落とす。

 

その結果ゲルドは全身の断面から膿の触手を吹き出させて再生を始めるが、その弊害で身動きが格段にし辛くなる。

そこを突いて僕はビームサーベルをランドセルに収納し、影から新たにハイパーバズーカを2丁取り出す。

 

再生を終えたゲルドは、こちらへまたもや「混沌喰(カオスイーター)」を向かわせてくるが、それらを上空に向かって回避する。

上空に回避した僕に向けて、「混沌喰(カオスイーター)」が未だに追従してくるので、それぞれに1発ずつ打ち込む。

 

「さようなら、オークディザスター ゲルド。」

 

混沌喰(カオスイーター)」が消えて無防備になったゲルドに、「蓄熱者」を周囲に影響のないだけ利用した2丁のバズーカの砲撃を放つ。

 

ッッドオオォォン……!!!!!

 

「これで、トドメを刺せてると良いんだが……」

 

嫌な気配を感じつつ、煙の晴れたを見ると――

 

「今度ハ、熱カッタ。ソレニ危ナカッタナ。」

 

《告。オークディザスター 個体名ゲルドは、「熱耐性」を獲得しました。》

 

そこには、体中を真っ黒に炭化させながらも生きながらえるゲルドがいた。

いくらオークディザスターでもあの火力を生身で受けるのは限界に近いはずだ、おそらくはさっき捨てたシールドを拾って防御に使ったのだろう。

 

しかもゲルドは既に「熱耐性」を手に入れている。

僕の「熱変動耐性EX」よりは下の耐性とは言え、次の砲撃は防がれてもおかしくない。

 

しかし、ゲルドの方もかなり消耗しているはずだ。

不甲斐ないが、ここはリムルに助けてもらおう。

 

ゲルドが炭化した体の再生に手間取っている隙に、リムルの横へと降り立つ。

 

「ごめんリムル、僕ではダメだ。トドメを刺してやって欲しい。」

「そうか、分かった。」

 

僕からバトンを受け取ったリムルが、早速ゲルドへと歩を進める。少し雰囲気が変わっている様に見えるのは、恐らく「大賢者」に自動操縦して貰っているからだろう。

身体の大半の再生をを終えたゲルドも、リムルへと目線を向ける。

 

「次ハ貴様カ。次コソ我ガ食ッテヤロウゾ!!」

 

ゲルドがそう叫び、両手の平から4つの魔弾を放つ。

それらはリムルに辿り着くまでに一つ一つ数百に分裂して、リムルの前方と後方から挟み撃ちにしようと迫る。

 

それら全てにリムルは両手を向けて、「捕食者」を使い捕食する。

そこを隙と判断したゲルドが背後に回ってリムルを鷲摑みにするが、それに対応してリムルはイフリートの「炎化爆獄陣(フレアサークル)」で反撃する。

 

「グァアァァァァハハハハハ!!ウワァァァッハッハッハハハ!!」

 

それでも、普段から熱を使用しているのではないリムルでは、「熱耐性」を手に入れたゲルドには力不足であった。

しかし、次の瞬間リムルの纏う雰囲気が元に戻る。

 

「俺ニハ炎ハ通ジヌゾ。」

「そうかよ。炎で焼け死んだ方が、幸せだったかもしれないぜ?」

「フンッ」

 

リムルがゲルドを煽る。

この態度、どうやらリムルは勝利への道筋を見つけたようだ。

 

「俺はお前を敵として認めた。今こそ本気でお前の相手をしてやるよ。」

「ヌッハハハッ!!笑止!今マデハ本気デナカッタトデモ?最早貴様ニハ何モ出来ヌ!」

 

そう言うと、ゲルドに掴まれたリムルの体が煙を立て始める。

恐らく「混沌喰(カオスイーター)」を応用した腐食攻撃だろう。

 

「コノママ俺ニ食ワレルガイイ!!」

 

しかし、それでも余裕でリムルはゲルドに告げる。

 

「お前に食われる前に、俺がお前を喰ってやるよ。」

 

スライムと化したリムルの下半身が、リムルを掴むゲルドの右手に静かに絡みついてゆく。

 

「俺は、スライムだ。」

 

次の瞬間、リムルの前身は完全にスライムへと戻り、ゲルドの全身へ絡みつき捕食を始める。

 

体中を這いまわり、駆け巡り、ゲルドを捕らえ喰らおうとする。

 

「キ、貴様ァ!」

喰う(食う)のはお前の専売特許じゃねぇんだよ!」

 

位置を変え、形を変え、ゲルドを少しずつ消化しようとする。

 

「お前が俺を食うのが先か、俺がお前を喰うのが先か、相手を食い(喰い)つくした方が勝ちだ!」

 

リムルが喋るのを止め、完全に捕食に適した状態となる。

 

「ウ、ウォォォォォオ!!!」

 

ゲルドは全身に絡みつき、取り付いたスライムを引きはがし、両手で少しづつ腐食させて行く。

しかしそれよりも速く、リムルはゲルドを捕食し、増殖し、また捕食していく。

手以外の体表でも腐食を試みるが、それでも全身が消化器官のリムルの捕食速度を上回ることは無い。

 

ウオオォォォォォォ!!!!

 

捕食され、腐食して、捕食され。捕食して、腐食され、捕食され。

これは2人の、「飢餓者(飢えて食べるスキル)」と「捕食者(捕らえて喰らうスキル)」のぶつかり合いだ。

もっとも、この場合勝つのは単体同士の殺し合い(喰らい合い)で優れた「捕食者」だ。

 

やがて、ゲルドはリムルに全身を包み込まれ――ピキーン!!

 

不思議な光景が流れて来る。

日照った荒地、ひび割れた大地に乾き切った植物。

そこで空腹に泣くオークの子供達に、文字通り自らの()を与えるしかない王。

そこでは死が続く。子供は生まれようとも2日で弱り3日目には死ぬ。

だからこそ王は――男は(ジュラ)へ食料を求め歩き、行き倒れる。

そこを魔人に助けられた。食事を与えられた名を与えられた。

 

「あの方は教えてくれた。オークロードとなった俺が食えば、「飢餓者」の支配下にある者は死なない。」

 

男が、ゲルドが話す。

 

「邪悪な企みの駒にされていたようだが、賭けるしかなかった……だから俺は食わなければならない。」

 

上に立つ者として、民の平和を願う者としての決意がこもった声だった。

 

「奴が何でも焼き尽くすゴーレムだとしても、俺は燃え尽きるわけには行かない。お前が何でも喰うスライムだとしても、俺は喰われるわけには行かない。」

「喰いあいは俺に分がある。火ならアイツのには耐えられない。お前はどの道負ける。」

 

食らう者の決意が、喰らう者に否定される。

 

「俺は他の魔物を食い荒らした。ゲルミュット様を食った。同胞すら食った。同胞は飢えている、俺は負けるわけには行かない。」

「この世は弱肉強食、お前は負けたんだ。だからお前は死ぬ。」

 

食らう者の心が、喰らう者に砕かれる。

 

「俺は負けるわけには行かない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。俺は罪深くとも良い、皆が飢える事の無いように、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ。」

「それでも、お前は死ぬ。だが安心しろ、俺がお前の罪も全て喰ってやるから!」

 

食らう者の意地が、喰らう者に喰われる。

 

「俺の罪を、喰う?」

「ああ!お前だけじゃなく、お前の同胞の全ての罪も食ってやるよ!」

「……同胞を含めて罪を……フッお前は欲張りだ……」

「そうだな、俺は欲張りだよ」

 

荒地に、緑が広がる。

温かく照らされた野原、緑や花に覆われた大地に青々と茂った植物。

そこには生が広がっている。小鳥のさえずりが響き子供の笑い声が聞こえる。

いまこそゲルドは森に辿り着いた。

 

「強欲な者よ、俺の罪を食らう者よ、感謝する。俺の飢えは今、満たされた…………!」

 

ゲルドが緑の優しい光と共に消えてゆく。

生の優しさの包まれて、王の、男の、食らう者の、ゲルドの旅はここで終わった。




ステータス

ボルド・テンペスト(前橋 英作)
種族:人型炉心(ゴーレムリアクター)
搭乗機体:RX-78-2 ガンダム
所持機体:ザクⅡ S型
称号:「魔物に齎す者」「天才」
所持スキル
ユニークスキル「製作者」 ユニークスキル「蓄熱者」
効果:制作補助      効果:放熱変換
   スキル獲得補助      吸熱変換
   解析鑑定         魔素変換
                熱操作

ユニークスキル「高速者」 ユニークスキル「既知者」
効果:身体能力三倍化   効果:演算解析
   攻撃予測         魔力感知
   超速再生         告知

ユニークスキル「改造者」 ユニークスキル「潜行者」
効果:合成        効果:影潜行
   分解           影収納

固有スキル「魔力生成」
効果:魔素生成

アーツ:隠密

特性:NTの素養

次回もぜってぇ見てくれよな!(悟空さ)
あと高評価も……(強欲)

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