ザクⅡを造るという新しい目的ができた僕は早速「製作者」を発動する。思い立ったが吉日と言うやつだ。
「製作者」の効果の1つである制作補助。これは自らの作りたいものを念じることで、必要な素材や技術、制作方法、作業ミスなどを教えてくれるという効果であり、物作りに関してはチートと言っても遜色ないだろう。
そして「製作者」を使用したことにより、僕の頭には製作補助による情報が流れ込んでくるが、それと共にある問題点が浮上する。
(やはり材料は金属だし問題はなさそうだ。だが、金属の加工には熱が必要だ。)
そう、ここは洞窟。確かに石炭などの燃料は見つかるかもしれないが、ここらを全て掘り返して探したとしても発見できる可能性はかなり低いはずだ。
そうと来たらやはりスキルとして獲得した方が早い。
しかし「製作者」の効果はスキル獲得そのものではなく補助である。
解析鑑定による調査によればスキル獲得補助を使用してスキルを獲得するには、取得するスキルに準じた行動の積み重ねが無ければならない。
今回のような熱に関したスキルの獲得の場合、魔法で火を扱うなどの、火を扱った経験が重要である。
ならばやはり燃料を探すのかと問われれば答えはNoだ。
なぜなら、たった今熱を扱う方法を見つけたからである。
そもそも僕の「製作者」は何かを材料に別の物を作り出すという目的のスキルである。そのため、同じエネルギー、しかもスキル獲得にすら使える万能なエネルギーである魔素ならば熱への変換は可能なのである。
しかも魔素の熱変換にはロスも少なく、「製作者」による解析によれば魔素の熱変換のエネルギーロスは10%である。今の僕が気軽に使える体内魔素は60%、そう考えると僕の体にも優しい素敵なエネルギーである。
つまりは魔素を熱変換して金属加工を続け、一定の経験が溜まったら「製作者」でスキルへと一気に強化するというものである。
(早速、熱と金属を使って装甲とフレームの材料になる合金を造ろう)
早速合金の材料を集めに行く。
(合金の材料は洞窟の壁で結晶になってる魔鉱石と鉄鉱石それぞれ割合は4:1か。鉄鉱石は池の近くで見た気がするな。)
久しぶりに池の近くへ行くと、そこにはここが異世界か半信半疑だった頃に警戒していた危険な存在いた。
硬そうな装甲、ぎょろりとした眼、巨大な肉体。
池のほとりに、バケモノのようなトカゲがいた。
(なんだあいつ!?とりあえず解析鑑定だ!)
アーマーザウルスと呼ばれるそのトカゲは、動きからして水を飲んでいただけだろう。脅威となるような生物ではあるが、静かに岩陰に隠れているこちらには気づいてなさそうである。
(とりあえず穴に帰ろう。しばらくはこっちに来るのもやめておこう。)
これが僕がこの世界で初めて恐怖心を抱いた瞬間であった。
体感時間で何日か経ったが未だに池のほとりには恐怖と警戒心から近づけないでいる。合金の材料である鉄鉱石は採ることができないが、魔鉱石のみでも十二分な装甲とフレームとなるため、多少の不満はあるが、ザクⅡの制作の楽しさがそれを上回っているのを感じる。
ここ数日で魔素の熱変換ももうスキルにできるレベルまで来ているがまだスキルにはしていない。これは、「製作者」無しの自力で獲得したスキルを「製作者」によって強化できるのかという疑問からである。
そして既にフレームは完成しており、装甲もあと数時間あれば完成する。
あとは武装だけである。
ステータス
前橋 英作
種族:ハロ?
所持スキル
ユニークスキル「制作者」
効果:制作補助
スキル獲得補助
解析鑑定
エクストラスキル「採掘」
効果:物体粉砕
実は英作、ハロそのものではなくユニークとして生まれたため見た目だけがハロと似ている別の魔物です。