転生したら黒歴史なゴジラ映画だった件について   作:アイアイホイホイおさるさん

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第15話

 いざ対峙する、ムートーとガンダム。体格差ではムートーが圧倒しており、まともに組み合えば勝てる事は明白だった。

 

 カロロロ!

 

 のでムートーは迷うことなくその鎌のような腕をガンダムに突き立てようとした。しかし振り下ろされた鎌が貫いたのは、ガンダムではなく海面だった。

 一瞬混乱したムートーの背面で、次の瞬間起きる爆発!振り返れば、そこには銃口から煙の上がるメーサービームライフルを構えたガンダムの姿。

 

 カロロロ!

 

 小癪な!と言わんばかりに今度は鎌を横に薙ぎ払ってみせたムートーであるが、ガンダムは背中からバーニアを吹かせて空に飛び上がり避けてみせる。

 そして再びメーサービームライフルを構えズバビュウウン!!と撃ってみせる。

 

 カロォ!?

 

 爆発。ムートーの身体が大きくよろめいた。

 メーサービームライフルは外見をガンダムのビームライフルに似せてはいたが、並の怪獣相手なら十分ダメージが入る程度の威力はある。

 趣味的な外見でも立派に「兵器」なのだ。

 

 カロォ!!

「一つッ!」

 クルキキキィ!

「二つッ!!」

 クルカァア!!

「三つッ!!!」

 

 怒るムートーは何度も腕を振り下ろすが、ガンダムを捕まえる事はできない。それ所かガンダムからメーサービームライフルを何発も撃ち込まれてしまっている。

 

 ………たしかに今までのタクオの戦果はエヴァンゲリオンの性能に助けられていたというのもあるだろう。しかし、何の努力も成長もしていないかと言えば嘘になる。

 エヴァンゲリオンという高性能対怪獣ロボット兵器(イェーガー)に守られながら着実に経験値を積んだ結果、今のタクオがある。エースの名は伊達ではないのだ。

 

 カロロロロロッ!!

 

 そしてそんな戦法で散々煽られたムートーは完全にキレた訳だが、自分の武器を忘れてはいなかった。そう、ムートーには電磁パルスと言う、ほとんどの兵器を無効化できる武器があるのだ。

 お前を鉄屑にしてやる!と、鎌を振り上げ赤い光を解き放とうとした、その時。

 

「そうは問屋(ブローカー)がノットダウンデース!!」

 

 ばぁん!!爆発が起きた。

 ただの爆発ではない。特殊効果の花火でもぶつけたのか?と思うような光の爆発が、ムートーを吹っ飛ばした。

 そして倒れるムートーの目の前をフィィンと音を立てて飛ぶ小さな影があった。

 

 ………それは兵隊と呼ぶにはあまりにも荒唐無稽過ぎた。

 青を基調としたコスチュームとヘルメットは、乳房を強調する胸アーマーと太ももを強調するホットパンツと、露出の多いいかにも趣味的なデザインをしていた。

 そして背中についた飛行ユニットは、光の軌跡を引いて飛ぶというSFチックなそれ。そして手に握るのは、メーサーをそのまま小型にしたような大口径のビームバズーカ。

 冗談というか、そういった変身ヒロインのような外見である。が、これは防衛軍が歩兵のための装備として試作しているれっきとした兵装の一つ。

 

「このウイングダイバーはユーの電磁パルスは対策済みデース!!ヒューマンの底力思い知るデース!!」

 

 リンディーが身を包むそれは「ウイングダイバー」と呼ばれる防衛軍が新たに構想している兵種と、その装備、部隊を指す総称。

 ………そも地球防衛軍に使われている様々な技術は、大国が保有するUFOの残骸から得たオーバーテクノロジーが大元になっている。

 ウイングダイバーの装備は、そのUFOを由来とする異星のテクノロジーをより強く反映した装備であり、飛行ユニットを使って空を自由自在に飛び回り、その武装はメーサーを小型化したビーム兵器を主軸とする。

 当然ながら電磁パルス対策もバッチリだ。

 

「ゴー!撃つべし!撃つべし!撃つべし!(シュート!シュート!シュート!)

 カロロォ?!

 

 ビームバズーカがムートーの頭に向けて何度も叩き込まれた。

 ムートーが電磁パルスを放つ際のエネルギー充電機関は頭部にあり、そこを攻撃されると上手く電磁パルスを放てなくなるのだ。

 

 カロ………ロォ!?

 

 そしてリンディーが光の軌跡を引いて後ろに下がった直後、入れ替わるようにタクオとガンダムが前に出た。ムートーの開いた口に向けてメーサービームライフルを構える。そして。

 

 ………ズバビュウウン!!

 

 放たれた光の奔流は、ムートーの体内組織を焼き、貫き、破壊した。より出力を上げて放たれたそれは、ゴジラの熱線と比べても大差ない威力を発揮した。

 そして数秒の沈黙を挟み、ムートーはその場に崩れ落ちた。

 

「イエス!これこそ愛し合う二人の力デース!!」

「………そういう事にしとく」

 

 ガンダムとウイングダイバーの大勝利。であるが、勝利の美酒に酔う余裕はタクオにもリンディーにも無かった。

 離島から見える本島・那覇が炎に包まれていた。爆発音がここからも聞こえてくる。

 

「………リンディーさん、日本にいる雪江さん達とどうにか連絡を取って援軍を回してもらって!」

「ワッツ!?タクオはどうするデース!?」

僕はガンダムで行く!!

 

 ガンダムがバーニアを吹き、空へと飛び立つ。向かう先は今まさに戦火に包まれる那覇市。

 タクオ自身、コンバットフレームで那覇にいるであろうムートーやキングシーサーの相手をするのは無理である事は解っていた。だが、それでも自分しか戦えないなら行くしかないなら行く、そういう男なのだ。

 

 

 ***

 

 

 オスのムートーとガンダムが激突を繰り広げているのとほぼ同じタイミングで、ORCAから解放され自我を取り戻したキングシーサーもまた、メスのムートーと対峙していた。

 

 グルッ………ガァ………?

『頭が痛い………私は何をしていた………?』

 

 ORCAによる催眠状態から目覚めたキングシーサーであるが、落ち着く暇は与えてもらえなかった。その眼前には見知らぬ怪獣が………メスのムートーが、自分のテリトリーである沖縄にいるのだ。

 

 カロロロロロッ!!

 グルガァ!?

 

 隙を突くかのように突進してきたムートー。キングシーサーは咄嗟に飛び上がって回避。突進を避けられたムートーの進む先には、ジョニー大藤が根城にしていた高級ホテル。

 

「おいやめろっ!来るなっ!うぎゃああああ!!」

 

 当然ながらジョニー大藤は逃げられず、ムートーの体当たりにより破壊され崩れ落ちるビルの瓦礫の中へと埋もれて行った。

 そしてそんな事など知らぬとばかりに、ムートーは身体に覆い被さった瓦礫をふるい落とし、キングシーサーを睨みつける。

 

『何よアンタ!人の縄張りででかい顔して!』

 カロロロッ!カロロロロロッ!!

『縄張りだと!?ここは古くから私の管轄だ!よそ者は貴様だろう!』

 グルガァッ!グルアアアッ!グルルッ!!

『ふん、ここでアタシは卵を産むのよ!だったらアタシの縄張りになるに決まってるじゃない!』

 カァロロロ!カロロッ!クゥルルルッ!

 

 エコロケーションによる罵声の応酬。どうやらムートーはここを自分の縄張りにするようだ。

 ムートー、その莫大な繁殖力と底なしの食欲は怪獣の間でも認知されている。もし放置すれば沖縄は奴に埋め尽くされるだろう。古代と違い、ここにはムートーを捕食する天敵もいないのだ。

 

『そんな事は私が許さん!!』

 グルガァアアーーーッ!!

 

 キングシーサーは飛び上がり、身軽さを活かした蹴りの一撃をムートーに浴びせようとする。

 しかし襲いかかった一撃は、ムートーの持つ四本の腕により阻まれてしまう。

 

『何ィ!?』

 グルガッ!?

『甘いんだよ!』

 クゥルカカッ!

 

 ムートーはキングシーサーを吹き飛ばすと、倒れたキングシーサーを四本の腕で押さえつける。

 見た目通りの手数が多い上に、パワーもムートーの方が勝っていた。捕まったキングシーサーはなんとか脱しようとするも、押さえつけられた身体は思うように動かない。

 

 カロロロロッ………!

 

 見せつけるように牙を剥き、ムートーがキングシーサーに迫る。まるで獲物に襲いかかろうとするエイリアンそのものである。刃物のようにギラギラ光る牙が「お前を食い殺してやる」と言っているようでもあった。

 

 カロロ………ギィッ!?

 

 だがその直後、ムートーの頭部が爆ぜた。横から飛来した緑色をした火炎の放射が、ムートーを吹き飛ばしたのだ。

 運が悪かった。ムートーは相手がキングシーサーだからと電磁パルスを出しておらず、もはや「王」に迫る威力となった緑の炎の一撃をモロに受けてしまった。

 頭部の焼け落ちたムートーはそのままビル街を転がり、一際大きなビルに突っ込んみ、息絶えた。瓦礫に埋まるムートーの死体を前にキングシーサーは、呆然としていた。そこに。

 

 ギャエエェーーーーン!!

 

 直後、沖縄の海を引き裂き80mの巨体が姿を現した。

 鋭い爪を持つ四肢と、先端に棘塊(モーニングスター)のついた長い尻尾。緑色のワニのようなウロコに全身を覆い、背中にはナイフのような小さな背びれを3列並べる。

 それは、いわば怪獣のパブリックイメージ………キングシーサーの知る、あの恐るべき巨神の王に似ていた。

 

『お前………まさかゴジラか?』

 

 キングシーサーが問うたのは、「王」の恐ろしさをよく知っていたから。「王」により粛清された怪獣は古代の頃からずっと見てきていたし、その強さも知っていた。

 しかし、眼前に現れたその怪獣は確かに「王」に似た姿と似た力を持っていた。しかし、どこか違っていた。

 

『………違う』

『何?』

『俺をあんな暴君と一緒にするな!』

 

 キングシーサーは驚愕した。その怪獣は、あの恐るべき「王」を平然と暴君呼ばわりしている上に、言葉(エコロケーション)の節々から、明らかな侮蔑と嫌悪が聞き取れたからだ。

 怪獣の多くはよほどの馬鹿でない限りは「王」の名を聞いただけで平伏し、恐れ、縮こまる。だがこの怪獣は、平然と「王」を侮蔑して見せていた。それがキングシーサーにはあり得なかった。

 ………そりゃそうだ。そも、この怪獣は肉体こそ「王」の同族の死体をつなぎ合わせた立派な怪獣であるが、魂は人間のものなのだ。

 

『俺はジゴラ』

『ジゴラ?』

『ああ、俺を作った人間はそう呼んだ』

 

 そこに、遅れてガンダムが到着した。

 

『聞こえるかガンダム、こちら天願。ジョニー大藤の死体が見つかった、キングシーサーはもう敵じゃない』

「ええ、こちらからも見えています」

 

 街を破壊するメスのムートーを退治せんと馳せ参じたタクオとガンダムであるが、到着した頃には全ては終わっていた。

 そこに広がるのは激闘の余波で破壊された街と、ムートーの死体。そして。

 

「………あれがジゴラか」

 

 防衛軍関係者であるタクオは、例外として知らされて知っていた。

 これこそ、かつて鏑木が自らの威信をかけて作ろうとした人造ゴジラであり、人の魂を宿したゴジラ………ゴジラ・キマイラ、フランケンシュタインのゴジラ、様々な異名を持つ、かつて旧日本軍が推し進めた人造兵士から取って名付けられた"ゴジラならざる者"。人造巨獣「ジゴラ」なのだ。

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