"それでここからどうするの?"
ガチャガチャと銃弾などを背中を向けながら整え、臨戦状態に入ってるエミコに聞く。
「神の野郎をぶっ飛ばす…と言いたいんすけど」
整備が終わったのかこちらに振り向き。
「なかなかこれが難しいっすね」
と苦言を零した。
"そもそも神ってやつとはどう戦って、どう勝てばいいか分からないしね…"
「ここは夢っす、それも相手の」
「だから基本的にこっちからは手出しは難しいっすね」
―――少し違和感を感じる。
"難しいって出来ないことは無いってこと?"
彼女は悪ガキのように少しニヤリと笑い。
「いい所に気づきましたっすね」
秘密基地を自慢する子供のように語った。
「神への干渉は出来ないっすけど…この世界は違うっす」
「だからこれはこの世界を破壊する作戦」
「神への挑戦っす」
*
"ふぅ…"
息を整え、覚悟をする。
汗が滲んだのは緊張か、夏の暑さか――。
ゴクリと息を飲んだ。
”さて、どうなるかな……”
エミコが言っていた神への挑戦の作戦を思い出す。
*
「簡単な作戦っすよ」
エミコは指で円を空にぐるっと描きながら言う。
「私たちが居る世界はその人が持ってる記憶の世界っす」
そしてその円からはみ出るように線を描いた。
「だからその世界の外に出れば」
「多分神の野郎に会えると思うっす!」
話を聞きながら思いついた例えを出す。
"それってつまりゲームで言うオープンワールドのマップの外に出るってこと?"
エミコはうんうんと頷き。
「そういうことっす!」
とドヤ顔でエミコは言った。
「……そのためにも」
ガチャと硬い音ともに、冷たい金属が離れる感触がした。
「先生には協力をして貰いたいっす」
”―――私でいいの?”
「正直言って、先生が何できるか私には分からないっす」
なら……?
そんな疑問言う前に言葉を防ぐようにエミコは話す。
「けど、今までずっと、一人……この夢の中で、不安で、心が歪んで……自分がよく分からなくなって……疑心暗鬼になってた中で」
「そんな中でやっと、夢なんかじゃない本当の、本当の人が居てくれたんっす」
「上手く、言えないけど、それが私には本当に嬉しいんっす」
「だから私、先生が何も出来なくても何か出来ても関係なく、一緒に居たいんです」
”…………”
「ダメっすか……?」
”ダメなんかじゃないよ、凄くOK”
「―――っ!!ありがとうっす!!!」
なんか、色々あったけど。
その笑顔で、言葉で、全部吹き飛んだ。
―――ああ、そうだ。
誰だって、事情があって、その行動には理由があって、その人なりの本物があったんだ。
”少し……忘れてたなぁ……”
少しだけ、自分を失笑して夕焼け空の宙を見上げた。
宙には爛々と輝く星々があった。
*
手にハンドルをしっかりと握り作戦担当を思い出す。
マップの外に行くための足役は私。
最初は全て一人でやろうとしたエミコを静止して自らの買って出た役目だ。
そして外に出ようとするのを妨害するであろう神へ対抗する役はエミコ。
―――よし、完璧だ。
緊張を隠すようにニヤリと笑い。
"―――行くよ、エミコ"
そう聞くと後ろから。
「はいっす!!」
と威勢のいい声が聞こえた。
もう準備は必要ない、浮かんだアクセルを踏み、最高速度でのまだ見ぬ神とのカーチェイスが始まった。