先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな?   作:ミサキル

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枯れ木二人と狐一人

ガラガラと勢いで扉が壊れそうなほど強い音がする。

振り返ると赤髪の女の子が居た。

 

「僕の親友に……触るな!!」

 

―――話は、通じないようだ。

 

相手はサブマシンガンこちらは使い慣れてないショットガン。

接近して撃てば何とかなるとは思うが。

 

「果たしてそれで大丈夫なのか?」

 

思考が淀む。

それでいいのか?正しいのか?確定してもいいのか?

無限にハマりそうになる思考が。

 

「……ぁ」

 

ガチャリと、一つの穴に嵌った。

 

 

この狭い教室という空間での戦闘は難しい。

下手に行動するとライフルで蜂の巣だろう。

―――だがそもそもの話である。

なぜこの生徒はここに居るのだろうか?

なぜこの生徒はあの机に触っただけで激昂したのか?

答えは絡まった糸より単純であり、故に因縁を深くしてる。

 

「君は……ここの生徒なんだね」

「!?それがどうし」「その反応で理解した」

「ここは狭く、蜂の巣にされては敵わない、だけどこの行動はどうかな?」

「な!?」

 

私はショットガンを放り投げ……代わりに近くにあった椅子を掴み、投げた。

 

「はァ!?」

 

思わず避ける赤髪の反応を見て、より理解は深まる。

 

「―――君はこの学校は傷つけたくないんだね」

「!!!てめぇ!!だからって、うぉ!?」

「ほい!そいや!せいや!」

 

ポイ、ガンッ!ポイ、ガンッ!とにかく教室にあるものを投げて投げて投げまくる。

 

「てめ、ちょ、はな、おい!壊れ、やめ!」

「ほい!せい!はァ!たァ!よいしょ!はい!」

 

投げる!投げる!投げる!投げる!

少し良心は痛むが仕方なく――だ。

後で謝れたなら先生と一緒に……「いや、これは無駄な思考だったな」

 

「何をして!?」「チェックメイトだ」

「なん……?」

 

疑問点を吹き出しそうになる彼女の思考を押しとめるように椅子を投げて完成する。

 

「もしや、君は私がただ無秩序に椅子を投げてたと思っていたのかい?」

「!?」

 

彼女の前に積み上がってる椅子達……これはただ彼女の前に積み上がってるのではない、椅子が彼女を囲うように積み上がっているのだ。

 

「君はこの牢屋を壊せない……これで終わりだ」

 

そう言いこの勝負の決着をつけたのだった。

 

 

「ちくしょう…かもしれないな」

 

ドサッと座り込む音が聞こえる。

どうやら諦めたらしい。

 

「どうしてだ…」

「なんの話かな?」

「白々しい!……あの花瓶がある机の椅子だけ、なんで投げなかったんだよ」

「………………1番近かっただろ?」

 

赤髪の彼女は少し、期待するような、不安そうな、そんな声色で呟いた。

 

「あぁそれは簡単な道徳の話だよ、私はね」

 

ふぅと息を吐き淡々と話す。

 

「死は冒涜はしたくないんだ、それはあまりにも死んだ人に失礼な話だからね…それにふりだとはいえ、死ぬなんて二度と御免だ」

「なんだよ、その死んだことがあるような……まぁいい、納得した」

 

諦めたように、少し困ったように言った。

 

「僕はとんでもない人に向かっていったんだなって」

 

直後。

 

「ちょっと!!待ってーー!!……てえ?」

 

ガラガラドン!!と扉を開けて来たのは緑色の髪少女だった。

 

「あ〜こっちは終わったわ、負けだ、負け」

「―――負け?」

「あぁ……この牢屋みてぇな椅子見ればわかるだろ、僕は負けたんだよ」

「……負けって…なに?」

「負けは負けだろ、もう――」

「ちょっと待ってよ!!それじゃエミコのこと!!」

「…………喧嘩をするなら少し待ってくれないかい?」

 

喧嘩しそうな険悪な雰囲気になっている2人に割って入る。

 

「―――まず、君たちの話を聞きたい」

「いや、そもそも…君たちは何者なんだい?」

 

赤髪の少女が答える。

 

「僕?僕はメンチカツ部の部員の……って言っても伝わらないか、この学校の3年の赤城(あかぎ)ヒトミって名前の生徒だよ……不登校児だけど」

「わ、私は……この学校の2年の水戸野(みどの)ミトだよ」

「なるほど、どちらもこの学校の生徒なんだね……まあ、制服から分かっていたことだがこうして不確定な事実が確定的になるのは好ましいね」

 

とりあえずこの2人の名前も聞けたし……次の話を。

 

「なあ、僕たちのの名前を教えたんだ。そっちの名前を教えてくれよ……なんて呼べばいいか僕が分からない」

「嗚呼……そうだったね私は百合園セイア…とある組織にいる3年生だよ」

 

 

「名前も聞いたところで――その赤城ヒトミ」

「いいよ僕はヒトミで……それで、なんだ?」

「改めて話を聞きたい」

「いいけど……なんで?」

「そもそも私の目的は、ここの学校での騒ぎを起こしていた生徒の鎮圧だったんだそれと関連する話を聞きたい」

 

少し驚いた顔をするヒトミ。

 

「あぁかみさまはしっかりとやってくれてたんだな」

「―――かみ?」

 

初めて聞く言葉ではない、だがそれはあの夢の。

 

「そんなことより!!これから先どうするの!??エミコの事を諦めるの!??」

 

この先の話を遮るように緑髪の少女…水戸野ミトは声を荒らげる。

何か知って欲しくないことがあるように…だ。

それを。

 

「いいや、もう話しちまおうぜここからじゃどうにも出来ない」

「それは……そうだけど」

「バレる可能性なんて幾らでもあったんだ、なら僕はバレても如何にかなる方法を選ぶ」

「ぅ……」

 

諭すように、諦めるように、いいやそれとも切り替えたように…だろうか?

クレバーなようで熱く、熱いようでクレバーな少女は水戸野ミトに向いていた顔をこちらへと振り向き要請する。

 

「協力してくれ1年前に消えた……いや、神隠しにあった……黄エミコに会うために」

 

そう言い話の歯車を進めていくのだった。

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