「ま!そんな話はもう終わった事さ」
話の空気を切り替えるようにパッキリと言葉の重さを変える
「いやーこんなしがない蛇の話を聞いてても楽しくなかったでしょ?」
そうケラケラ?と笑う蛇に対して私は
「なんで…なんで話そうと思ったんすか」
そうただ疑問を持つし事しか出来なかった
もっと何か言うべきことがあるだろうに、出てきたのはそんな言葉だ
その言葉に、神と祀れ、そして忘れられた蛇は
「これが最後、ラストトークだからさ」
そう少し寂しそうに呟くのだった
「―――」
10秒
10秒……かかった、その言葉を咀嚼し、理解し
今まであった思いとか…そんななんかがかき混ざりあったものを
人の言葉としてカタチに収めて発するのに10秒
10秒……かかったのだ
「何言ってるんすか?」
―――声は震えていた
考え抜いて知った答えは1つ…それは事実だというイノリへの負の信頼
私の無限の一日を観てた観測者への…信頼があった
それを踏まえても、何故?と問わずにはいられない
「悪い癖だね、頭は分かってるのに心が理解しようとしない」
そんなのは分かってる、わかってるから……
「そろそろ分かるさ、頭じゃなくて次は体がな」
そうイノリが呟くやいなや
―――轟音がした
飲み込むような、侵食するような、潰すような…真っ黒な音がした
*
体は正直だ
これをすぐ危機だと察知しその危機の元を見定めようとする
「なん……!?」
窓の外、驚きで口から出てた言葉が凝固する
そこにはさっきまであった平和な街並みは崩壊し、ただ『黒』に飲み込まれるだけの滅亡存在となっていた
「そうか……君にはこれが侵食に見えるのか」
まるで懐かしむような感傷を持ちながら話すイノリ
「これは…一体どういうことなんすか!?」
イノリの方向へと振り向き原因を問う
「なにもね…はぁ、理解力は高いし君はもっと自分で考えて納得の落とし所を見つける方法を学んだらどうだ?」
「学生だろう?」
苛立たしいが事実だ、何も考えず思考停止で考えないのは悪だ
考えろ……考えろ
「分からないっす!」
「こいつは元々の知性の問題か……?」
「うるさいっすよ!!考えても分からないっすから早く教えてくださいっす!!」
はァ……とため息をつくような動作をして、神は言う
「さっきも言ったが、私にとってこれはラストトークなんだよ、だからあんまり無駄な時間をとりたくないんだが…その顔だと言わないと納得しないぞって顔だな」
イノリは首を回し『黒』を見つめる
「『アレ』は別に崩壊だとかそう言う怖いものではない…ある意味間違っては無いが」
「まぁ、とにかく安心して欲しい。アレは元に戻ってる途中経過みたいなものさ」
「元……?」
元とはなんだ?この景色よりも前の時代?
いや、イノリの話を聞いてる今なら分かる…これは
「そうだ、私が元々居た場所に巻き戻ってるんだよ」
「なんで、そんな……?」
「神という化けの皮を剝がされて名を明かされたからな……まぁ簡単に言えば負けたんだよ、私のゲームオーバーだ」
「はァ!?」
驚くのも無理がない話だと言いたい
急に自分は負けましただと言われても理解出来ない
実際に負けた瞬間をみたわけじゃないのもそうだし…そんな人
人……ひと?
もしかして
「私が負けた、という情報だけでそこまで辿りつくのは中々いい理解力だね、まぁ持ち得る情報がそれぐらいしかないと言ってもいいけど」
「じゃ、じゃぁ…イノリが負けた相手って」
ニヤリと秘め事をする子供のように笑うように見える蛇は
一言
「そう、あの連邦生徒会長が選んだシャーレの『先生』さ」