とりあえずあの学校に行かなくては…。
今更ながらカンナに撃たれたところがジンジンと痛む。
"消毒もしたし…これでよし"
とりあえずシャーレにあった包帯で撃たれたところをぐるぐる巻きにする。
"――行くか"
夜の街は全く知らない世界のようで、この現状を表してるようにもみえた。
*
あの学校は前と全く同じ廃墟のような佇まいでそこにあった。
"これを持ってきて正解だったよ"
ビュンビュンと涼しい風が吹く中、暗闇に懐中電灯で光を灯す。
目指すところは学校の神社。
"――引っ掛かりがとれない"
エミコから聞いた昔の話…神隠しの話が喉に引っかかった魚のようにずっと脳裏にこびりついていた。
とりかく進まなくては意味が無い。
そう思い学校へと足を進めた。
*
ぺちゃりと雑草と落ち葉をを踏みしめて、進む先に。
"これが――"
静かにある少し古びた小さな神社があった。
特に何か仕掛けがあるようなものでもなく、何か特別なものを感じるようなものさえもない。
ただの神社だった。
"どんな神を祀ってたんだ?"
疑問のまま頭を下げて鳥居を潜ろうとしたその時。
「あんた誰っすか?」
聞き馴染みのないが忘れられない声が聞こえた。
振り向くと。
銃を構えてるエミコが居た。
"わた「喋らないでくださいっす」
グッと強く、疑心に満ちた声が聞こえた。
「とりあえず私の言う3つの質問に答えてくださいっす」
ゴクリと唾を飲み込む。
ここからは一挙手一投足の全てが死に通じるそんな感覚に平衡感覚が崩れる。
「まず1つ目あなたは誰ですか?」
"私は…シャーレ所属の、先生"
「――」
じっくりと舐めとるように見るエミコ。
緊張で吐きそうなりそうだった。
「嘘は言ってなさそうっすね…次の質問をするっす」
とりあえず1つ目の関門は抜けたようだった。
「2つ目っす、目的はなんっすか?」
"一緒にこの学校に来た行方不明のセイアって子を探してる"
「――つまり人探しってことっすか」
"はい"
緊張で足の震えが止まらない、今私の表情を鏡で見たらきっととてもじゃないが見られな顔をしてるだろう。
「最後の質問っす」
2つ目の関門も抜けられたことの安堵を挟むまもなく質問がくる。
「先生は神の使いっすか?」
は?
「答えてくださいっす!」
何を言ってるのだろうか…?
思考が疑問で終わりそうになるがそれで思考停止してはダメだ。
だけど下手に答えると死ぬ………。
ならもう詳しく説明するしか私には出来ることはない。
"詳しく、説明させてほしい"
「…いいっすよ」
「ただし」
エミコが近くに寄ってくる。
眉間に鉄の冷たい感覚が伝った。
「しっかりと一から百まで全て説明してください」
*
エミコにこれまでの説明をした。
自分の事。
シャーレの事。
セイアの事。
何故か今日がループしてること。
とにかく全部だった。
さすがにここまでこと細かに説明されたら納得するしかないと思ったのか。
「なるほどっす…とりあえずあいつに巻き込まれたとみていいっすね」
そう警戒をとく。
「けどっす」
と思って安心したのもつかの間。
「信用は出来ないので」
ガチャリと冷たい金属の感覚が手に突き刺さるように嵌る。
「私とこの手錠で一緒に行動して貰うっすからね!」
"……とりあえずそれで信用されるならいいよ"
ふぅ、と緊張感からの解放からため息をついてしまう。
「……?なんっすか?」
”いや、なんでもないよ”
少しの間だけエミコを見る。
”ただ、なんか……嬉しいだけ”
「?」
……何はともあれこうして彼女、エミコと一緒に行動することになった。
*
エミコに連れられ移動した先は準備室。
「準備室には弾薬とかあるっすから今襲撃されてもここならなんとか反撃できるっす」
とエミコが言ってたが…。
"そもそも神ってなに?私は前にエミコに神隠しがあったことしか聞かれてないけど…"
少しどんよりとした感じでエミコは答える。
「あいつは…そうっすねあんまり喋りたくもない存在なんっすけど」
「あいつについて話すと少し長くなるっすけど…まぁいいっすよね」
"あぁ…話してほしい、その神という存在について"
*
*
*
「いいだろう、協力しよう」
「交渉成立ってことでいい?」
「あぁ…そう受けとっても構わない」
結局、あの神を騙るナニカの交渉に従うしか道はなかった。
先生のループを解放させるにはこの方法しかない。
悪質な…悪質な詐欺のようだった。
「そんな顔をしないで欲しいな…まぁとにかく私はともかく自分を恨むことはないですよ」
「たまたま選ばれたのはあなた達であってそれは避けようがない運だったって話」
「よく喋るじゃないか、それも求められたからかい?」
「いやいやこれは性分ですよ、元々備わってた性質みたいなもの」
本当に…よく口が回るやつだと思う。
私も人のことは言えないが流石にここまでとは思われたくない。
「それでは、また会いましょう」
私は振り返ることもせずに目の前にある現実への帰路へと足を踏み入れた。