ランゴ兄さん転生〜なお知らないところで問題は発生する模様〜 作:誰かオレを笑ったか?
これで仮面ライダー対策は概ね万全と言えるだろう。
人間回収をグラニュートではなく人間自身の手で行わせることで、仮面ライダーが戦う余地を無くした。
ガヴはオレの手の中にいるし、ヴァレンも辛木田絆斗の母がグラニュートに攫われることがなければ誕生しない。ヴラムは敵対することになるかもしれないが、まあ一人では大した障害でもない。
そしてこれは仮面ライダーだけではなく、もう一つの脅威に対しても有効だ。
もう一つの脅威とは何か。そう、警察だ。
いや、もちろんふざけているわけではない。
ショッカーを始めとした悪の組織が警察を恐れるか? と問われれば返す言葉もないが、ストマック家は今から闇菓子で権力を得ようとしている組織なので、司法の前には無力なのである。
本編では闇菓子漬けにした一般グラニュートをアルバイトとして雇っていたが、ここから警察に垂れ込まれたら、その、凄く困る。
なんてったって本物ランゴ兄さんも、警察に垂れ込まれたらどうするか聞かれたら閉口するしかなかったのだから。
だが闇菓子の材料集めにアルバイトを雇わなければ、少なくともそこから漏れる心配はない。
あと一般グラニュート相手に売る際に、ストマック社のロゴ入りで、ストマック社の屋台で売るのもやめさせるか。
なんでストマックの名前だしながら販売してたんだ。
■◆■
グラニュートの上位個体には眷属を生み出す力がある。
条件を満たすと生成できる人型の使い魔のようなものであり、普通に会話を行い、自立して思考行動もできる。
そんな眷属と、オレは戦っていた。
別に襲撃されたわけではない。これは戦闘訓練だ。
本編でも弟のジープが眷属相手に戦闘訓練を行っていたが、それと同じ。
力がすべてのグラニュート界で生き抜くための日課でもある。
「お疲れ様、兄さん」
「私達、飲み物を淹れてきたの」
「ありがとう、シータ、ジープ。気が利くな。よし、いただこうか」
今日の訓練を終えたところで、やって来た弟妹の相手をする。真っ黒な飲み物を受け取り、ベンチへと並んで腰掛けた。
「最近、いつもより訓練が激しくないか。屋敷がぶっ壊れちまうよ」
「そうか。それは気をつけないとな」
「なにかあったの?」
なお、ぶっきらぼうな口調で男物の服を着ている方が妹のシータで、比較的丁寧な口調でスカートを履いているのが弟のジープだ。
「ああ。次の大統領選に出ようと思ってな」
「え。兄さん、大統領になるの! すごい!」
別にこれで勝って大統領になる気はなく、売名やコネ作りがメインなのだが、わざわざ否定することでもないか。
■◆■
それから数カ月、無事に選挙は終わり、もちろんオレは落選した。
一応真面目に選挙活動はしていたのだが、まあ当然の結果だろう。
本編ではボッカというグラニュートが大統領だったが、今回の大統領はボッカではない。まだ本編開始までは時間があるからな。
まったく覚えのないグラニュートが大統領になったが、こいつはどうでもいい。
重要なのはこの選挙中にも暗殺が起こったことだ。
ボッカは対立候補を暗殺して大統領になったグラニュートだが、これくらい珍しいことではない。
むしろその程度、自力で解決できなければグラニュートの頂点になど立てないだろう。
だがまあ、そう暗殺があったのだ。
起こらなければマッチポンプするつもりだったが。
ともあれ事件が起きた。
事件が起きたのであれば当然、警察の出番だ。
自分の身を守る力も無い、と喧伝するような行為であるが、それがなんだというのか。
ともかくオレは他候補者が暗殺されたことを理由に、警察へ護衛を依頼した。
そして今。
「お久しぶりです署長。先日はありがとうございました。おかげさまで無事に選挙を乗り切ることができました」
「ああ、ランゴさん。いえいえそんな。我々は仕事をしただけですよ」
護衛の礼という建前の下、警察関係者と顔を合わせていた。
落選したことを話題にしばし世間話をして。
「おっと、そうだそうだ。こちらをどうぞ。細やかながら我が社の菓子です」
「申し訳ない。こういった物は受け取れないんです。賄賂になってしまうので」
「それもそうですね。ふむ。ああ、ではこういうのはいかがですか。我が社の新商品開発のため、是非とも味の感想をいただければ」
「そういうことでしたら」
手土産に持ってきていた菓子を差し出す。
「ほほう。綺麗な見た目ですね。では……こ、これは──美味しい。こんな美味しいものがあっただなんて。ストマック社の菓子は食べたことがありますが、こんなのは初めてだ! まるで心まで蕩けていくかのような」
「よろしければまだいくつか持ってきていますので」
まずは取っ掛かりができたな。